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多店舗化のための理論「21世紀のチェーンストア」レビューその1

今回から、「チェーンストア理論」を提唱した渥美俊一氏の書籍をご紹介したいと思います。

前回もお伝えしましたが、今回このチェーンストア理論をご紹介するのは、仕組み化や経営者としての在り方に多くのヒントがあるからです。

また個人的には、これだけ多くの経営者に影響を与え、成功事例を出した渥美氏への尊敬の念もあります。

店舗ビジネスのみならず、全業界の方に役立つようにお伝えしたいと思いますので、ぜひお付き合いください。

前回のメールを見逃した方は、こちらからバックナンバーをご覧ください。
http://www.shikumikeiei.com/20180808-2/

最初にご紹介するのは、約10年前に出版された21世紀のチェーンストア」という書籍です。

この書籍は渥美氏の著作物の中でも新しいほうに入ります。既に多くの成功事例を出してきた後に出版されています。

タイトルから分かる通り、店舗運営の細かいやり方ではなく、チェーンストア業界の現状と方向について書かれています。

■チェーンストア理論のスゴイところは、単なる経営理論ではなく、産業(業界)全体の目指すべき姿を説いた点です。

渥美氏は、「商業の復権」と表現されていますが、海外から立ち遅れた日本の商業、それが原因で日本人のライフスタイルが貧しいままである、という当時の日本の現状を、チェーンストアを日本に広めることで打破しようとしました。

チェーンストアを否定する人もいるかも知れませんが、普通に生活しているならば、皆さんの家庭や生活も、必ずチェーンストアの恩恵にあずかっているはずです。

そういったビジョンをもとに、チェーンストア理論を単なる経営理論ではなく、社会運動にまで押し上げました。

ここがほかの経営理論や〇〇メソッドなどとは、圧倒的に異なる点です。

■本書の冒頭ではこんなくだりがあります。

人の一生は、その人ひとりだけのかけがえのないものである。間違えた生き方をしては、とりかえしがつかない一度きりの人生だからである。(中略)その際の満足とは、自分自身の営みが人々がより幸福になることについて、少しでも貢献できたと自覚できることだろう。

では、何が人々の幸福につながるのか?

それは、日本が最も立ち遅れた分野、流通(商業)で貢献することである。

そのための方法論が、チェーンストアという経営の仕組みである・・・

という感じで続きます。

このように、大前提として、企業としてのビジョンの前に、産業としてのビジョンがあるべき、と説かれているのです。

そして、産業としてのビジョンが求心力となり、賛同する人たちがペガサスクラブという研究会に参画し、実際にそのビジョンを実現してきました。

あなたが所属している業界、そこには産業としてのビジョンはありますか?

■もうひとつ、この本について最初にご紹介しておきたいのは、次の絶対原則です。

渥美氏は、米国発のチェーンストア経営の絶対原則として、次のような点を挙げています。

1.大部分の人々が使う品(大衆品)と
2.日常的により高頻度で使う品(実用品)を
3.より低い売価で
4.より多くの地域で
5.同じように提供する

あなたも知っているチェーンストアはすべてこの絶対原則を守るように経営されているのがわかると思います。

今の時代においては、もう大衆品なんてこれ以上要らない、という意見もあるでしょう。

チェーンストア理論が提唱され始めた時代と、今の時代では価値観に変化があるのは当然です。

一方で、ここに挙げられている5つの原則は、いまなお起業家が参考にすべき原則となっています。

いま、シリコンバレーを中心とする技術系スタートアップ(ベンチャー)の世界では、次のようなことが言われています。

”10億人の暮らしに影響を与えるサービスを作ろう”

これはまさに大衆品を作ろう、ということとイコールです。

また、ITのサービスを企画する際には、”歯磨きテスト”と呼ばれる基準があります。

歯磨きは1日2回か3回する。同じように、1日2回も3回も使うようなサービスを作ろう、ということです。

これは実用品を作るということとイコールです。

あなたも使っているであろうFacebookやLineなんかは、まさに大衆品であり、実用品ですね。

大衆品かつ実用品を、どこでも提供できるようにすることこそ、起業家のすることです。

たとえば、今多くの起業家が宇宙産業に取り組んでいます。

言ってみればあれは、高価で一般的ではない宇宙旅行を、大衆品かつ実用品にしようという試みなのです。

ぜひあなたのビジネスもこの絶対原則に照らし合わせてみてください。