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多店舗化のための理論「21世紀のチェーンストア」レビューその2

前回から、「チェーンストア理論」を提唱した渥美俊一氏の「21世紀のチェーンストア」という書籍をご紹介しています。

前回のバックナンバー:
https://www.shikumikeiei.com/2018081321c/

前回は書籍の本の入り口だけご紹介しましたが、今日はその先に進んでいきます。

以下、いくつかポイントをご紹介していきます。

■経営者の生きがい

渥美氏は、他の人々が少しずつでも、より幸福になっていくことが確認できることをチェーンストアづくりの生きがいと言われています。

さらに、日本が立ち遅れた分野、つまり日本人の生活水準の向上に貢献すること、これを2つ目の生きがいとされています。

そして、2つの生きがいを人生のビジョンに出来た時、その人をロマンチストという、と書かれています。

これほど明確に、経営者としての生きがいとは何か?を定義されている人はなかなかいないと思います。

渥美氏は、このロマンチストたちを同志と呼び、チェーンストアを社会的に広めていきました。

生きがいや人生のビジョンを求めているのはもちろん、経営者だけではありません。

社員の方、顧客、ビジネスパートナーにもそれぞれ生きがいや人生のビジョンがあります。

そういった人たちといかに協働関係を築けるかが、ビジネスが広がっていくかどうかの大きな分岐点だと思います。

■売る仕掛け⇒×

流通業界では、マーチャンダイジングという言葉が使われますが、
これは「売る仕掛け」ではなく、「売れる商品づくり」と定義されています。

つまり、

1.人々が気軽に買える小売価格を設定し、
2.それに見合うコストと品質の品を
3.世界中から探し出し
4.マス化(大量に販売する)ための仕組みを工夫する

ということです。

これは「仕組み経営」の中でも定義しているのですが、

究極の顧客志向とは、顧客サービスでもおもてなしでもなく、

”顧客がぜひ欲しいと思うような商品を作ること”

です。

そのような商品は本当に顧客のことをわかっていなければ作れないからです。

まず黙ってても売れる商品があることが第一前提で、
その補助役として集客・販売のテクニックや顧客サービスがあります。

■良いシステム(仕組み)の条件

チェーンストアはまさに仕組みの集合体です。

当たり前ですが、属人的な仕事のやり方ではチェーン化・多店舗化は決してできません。

渥美氏は、良いシステム(仕組み)の条件として、以下の点を挙げています。

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1.いちいち努力、注意しなくても、いつの間にか良好な結果が出るような、
2.良い習慣としきたりを積み上げることであり、
3.適切な標準化が進むことである。
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考えてみれば、私たちの生活も仕組みの集合体です。

その中には良い仕組みもあれば、悪い仕組みもありますね。

良い仕組みの例としては、歯磨きです。

毎日歯磨きする習慣(仕組み)がある人は、いちいち努力しなくても歯を健康に保つことが出来ます。

一方で、毎晩、寝る前にスマホを見る習慣(仕組み)がある人は、眠りが浅くなり、朝の寝起きが悪くなります。

このように、会社の中には意識せずとも、”仕組み”になってしまっていることがあったりします。

それらを発見し、意図して良い仕組みに変えていくことも、仕組み経営の重要な活動です。

■売上ではなく、客数が重要な指標

チェーンストア理論では、売上よりも客数が重要な指標として紹介されています。

客数が多いということは、それだけ多くの人に価値を提供できていることになるからです。

客数を増やすには、大型店を作ってその商圏内でビジネスをするのではなく、
小商圏のお店を大量に展開することが求められます。

そのための方法論がチェーンストア理論というわけです。

また、渥美氏は、大型店であるだけでは、個人の成功物語にはなりえても、
人生の価値は断じて生まれてこない、と書かれています。

より多くの人が、より頻繁に使う商品やサービスを創ることが起業家の役割です。

この辺は前回ご紹介した5つの絶対原則と同じですね。

■歯車の意味を教える

スイスのスーパーマーケット大学では、学生に時計を分解させ、歯車がいかに大切かを学ぶそうです。

日本では歯車人間というとイメージが悪いですが、歯車がなければ全体が動きません。

それぞれの歯車が全体にどう貢献しているのか?を理解することが大切なのです。

これも仕組み経営の中でお伝えしていますが、社員の方々は会社の全体像が見えたほうがより良く働けます。

これはもう紹介するまでもない有名な逸話ですが、「3人のレンガ積みの話」というのがあります。

ご存知ない方のために引用すると、こんな話です。

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世界中を回っている旅人が、ある町はずれの1本道を歩いていると、
1人の男が道の脇で難しそうな顔をしてレンガを積んでいました。

旅人は、その男のそばに立ち止まってたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」

すると、男はこう答えました。
「見ればわかるだろう。レンガ積みをしているのさ。毎日毎日、雨の日も強い風の日も、暑い日も寒い日も1日中レンガ積みだ。なんでオレはこんなことをしなければならないのか、まったくついてない。」

旅人は、その男に「大変ですね」と慰めの言葉を残して、歩き続けました。

しばらく行くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会いました。
しかし、その男は、先ほどの男ほどつらそうには見えませんでした。

そこで、また旅人はたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」

すると、男はこう答えました。
「オレはね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これがオレの仕事でね。」

旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると、意外な言葉が返ってきました。

「なんてことはないよ。この仕事でオレは家族を養ってるんだ。この仕事があるから家族全員が食べていけるのだから、大変だなんて言ったらバチが当たるよ。」

旅人は、その男に励ましの言葉を残して歩き続けました。

さらにもう少し歩くと、別の男がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいました。

旅人は興味深くたずねました。
「ここで、いったい何をしているのですか?」

すると、男は目を輝かせてこう答えました。
「ああ、オレたちのことかい?オレたちは歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。」

旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると男は、楽しそうにこう返してきました。

「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、元気いっぱいに歩き始めました。

引用元:福山市教育委員会PDF(福山市立城北中学校の生徒指導だより)
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このように、全体像が見えているかどうかは社員の働く動機付けに大きな影響を与えます。

会社のビジョン、夢、価値観などはその一部ですし、財務情報、各社員の情報などなど、
全体像が見えていたほうが、自分がビジネスにどう貢献しているのか?がわかるのです。

では、今日はこれくらいにして、続きは次回にしたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。