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社内の意識統一をマニュアル化で実現【2/2】

こんにちは、一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。今回のレポートでは、仕組み化のためのツールや教育を提供する会社を創業した、ジョッシュ・フォンジャー氏のインタビュー記事(後半)の概要をご紹介します。

▶前編はこちら:スモールビジネスが労働生産性を劇的に向上させた?

ジョッシュ氏は元々MBAを持っているコンサルタントとして仕事をしてましたが、多忙を極める日々に限界を感じていました。そして、7年前にとあるきっかけで仕組み化の概念に出会います。

そして、中小・スモールビジネス向けに仕組み化のためのツールや教育を提供する会社を創業。仕組み化のすばらしさを世の中に伝え続けています。

今回のインタビュー(後半)では以下のような内容をご紹介しています。

  • 経営者と社員の意識を統一させるオペレーションプリンシパルとは?
  • 社員が社長と同じように決断し、行動できるようにするためには?
  • マニュアル化は社長主導?それとも社員主導?
  • 仕事時間を週100時間⇒40時間に短縮させるマニュアルとは?

 

以下からどうぞ。

 

インタビュワー:スティーブ・ゴードン(以下、スティーブ)

インタビュイー:ジョッシュ・フォンジャー(以下、ジョッシュ)

 

 

ジョッシュ

少し話は逸れるかもしれませんが、サム(ジョッシュの共同創業者で、コールセンター事業の創業者でもある)のビジネスは同業種が3,000社ほど存在しています。でもサムはその業界の中で、他の人とは異なった仕方でビジネスを展開しています。

特定の業界における、特定のニーズを持つ、特定のクライアントだけを選んでいます。市場を非常に限定しているわけですが、それによって、他の人々と比べて、2倍の金額を設定し、約半分の時間で提供しています。ほかの人が3%しか利益率がない中で、彼は32%の利益率を稼いでいます。

彼のやり方は非常に効率化されており、このカテゴリーにおいて彼に敵う人が存在していないのです。この地点に到達することが重要なのです。

 

スティーブ

それこそが戦略的目標を設定する効果であると言えますよね。それができたとして、次のステップは何なのでしょうか?

 

ジョッシュ

次はオペレーションプリンシパル(運営方針)です。運営方針はより行動に結びついたものです。これらは決断を下す際の方針であり、チームが、何が良くて何が悪いかを判断させることができる基準です。時間をどのように使うか、どのような手順を踏むか、カスタマーサービスについてどう感じているか、利益に関する決断をどのように下すか、どのタイミングで新しい技術に投資するか、関係を築くことを優先しているか、それともすぐお金を手にすることを優先しているか、また、革新的な企業になるか、保守的なビジネスを展開するか、といった難しい決断を下す際に関する原理になるわけです。

契約社員、パートタイマー、小売業者、社員を含むあなたのチームはどのようにしてあなたの代わりにいろんな決断を下すことができるのでしょうか?

私はある歯医者と仕事をしていました。彼自身は30年間にわたって仕事をしていて、かなりの成功を収めていたものの、彼のチームは常に失敗を犯してきました。それらのミスは彼にしてみれば、あり得ないミスでした。私は彼に向かって「チームのメンバーはあなたの頭の中を読めるわけではありません。あなたは歯や他の事柄について長い経験があり、いろいろなことに対処してきました。でも、メンバーからしたら、あなたがどのように対処してきたかが分からないのです。あなたはチームワークが大切であるということを伝えてきていないわけです。顧客と長期的な関係を築いていきたいことも伝えてきていないわけです」と言いました。

そうなると、誰かはある仕方で物事を行い、別の人は別の仕方でやるようになるわけです。彼らは決断を下す上での基準を必要としているわけであり、それがあれば、時間も遥かに節約できるわけです。この医師が運営方針を導入したところ、ビジネスは飛躍的に成長しました。

 

スティーブ

それではまず最初に戦略的目標を立て、次が運営方針になるわけですが、これらを作ることで、社長の自由度が増してくるわけですよね。私の会社では、例えば私が家族と共に2週間出かけていて、携帯電話もつながらない状況にあったとしても、どのようにして仕事をやり遂げるかを熟知している社員がいるので、帰ってきた時には何ら問題がないわけです。

私は、チームメンバーに全てを説明して理解してもらうことこそがリーダーとしての根本的な仕事であると思います。しかし、中には、社長自らが現場に顔を出して、チームメンバーの目の前で仕事をやり続け、背中を見せ続ければ、それだけでチームメンバーが社長の頭の中を理解するだろうと思っている人もいます。

 

ジョッシュ

そうですね。人は一般的に質の高い仕事をしたいと思っています。しかし、良い仕事とは何かを知る必要があるのです。現在私は住宅販売関連の会社にアドバイスをしているのですが、そこでは22歳の男性と、62歳の男性が働いています。22歳の男性は非常にクリエイティブですが、62歳の男性は完璧主義者でミスを犯さないようにしており、手順をきっちりと踏まえるようなタイプです。そのため、仕事が遅くなりがちです。

しかし、二人とも、会社からすると間違った働き方をしているように見えてしまうのです。この職種においては、クリエイティブさよりもプロ意識やミスを犯さないことが大切です。だから22歳の男性に対してはそれを伝える必要があります。一方で、62歳の男性に対しては、もう少しペースを上げなければいけない、といった事を伝える必要があります。そういったことをオーナーはハッキリと彼らに説明していないわけです。

そのようなわけで問題が生じているのです。22歳の男性も自分は正しいと信じてやっており、62歳の男性も自分が正しいと信じて行っているわけですからね。良い仕事をすることを彼ら自身も願っているわけです。人は、自分がやらなければいけないことが理解できれば、それを楽しんで、高い質で行うことができるようになるのです。会社にルールを構築すると、仕事環境が悪化すると考える人がいますが、その反対です。チームメンバーとオーナーの意識が一致すれば、混沌とした状態やストレスや問題は一つずつ消滅していくのです。

私は以前、不動産開発会社で勤務していました。この会社は非常に明瞭な戦略や原則が存在しており、そこで働き始めた初日に、6インチ程の厚さがあるバインダーを受け取りました。私は薬局を建設する計画のプロジェクトマネージャーでしたが、「ジョッシュ、このようにして物事を進めていくんだ。ステップ1:この人物に電話を入れる。ステップ2:~、ステップ3:~」というように説明されました。

このとおりにやれば、プロジェクトは2年間で完成し、700万ドル程の収入が最終的にもたらされること、そして、問題もミスもおこらず、プロジェクトを成功することができ、一週間当たり普通は100時間かかるところ、40時間働けば十分であるとも説明してくれました。これには驚きました。

 

スティーブ

そのようなバインダーを作るときに、非常に多くの項目が存在するので、どこから初めていいのか分からないかもしれません。また、経営者やリーダーが、そのような手順を確立し、文書化するための情報すら持っていないことがあります。

 

ジョッシュ

そうですね。自分がヒーローのような存在になって、他の人に知識を分け与えなければいけないと感じるヒーローコンプレックスを抱えている場合があります。そういった会社はオーナーが全てを指揮する必要があるため、成長性、効率性、作業においても妨げられてしまうことでしょう。

これは覚悟の問題なのです。仕事を文書化するために、時間を取る準備ができていますか?これはやれば即座に効果が出るわけではなく、より良いブランド、品質、より高い効率性を実現させるためには数週間または数か月、待たなければいけないわけですが、それでもやる気はありますか?

準備ができている人も居れば、そうでない人もいます。もし準備ができていなければ、始める意味はありません。前にもお伝えしましたが、これは重量挙げに例えられることができます。でも5~10個の文書が構築できれば、それ以降は容易になります。一方、その最初の5~10個に到達するのが困難なのです。

でも私のクライアントの中でも、時間を取って、そこに投資する会社は、劇的に発展しています。ほとんどの会社はそれが出来ないのです。

オーナーはそれらの作業を牽引する必要がありますが、必ずしもオーナー自身がそれを行う必要はありません。自分自身がやることで、最初の数週間は迅速に進んでいるかのように思われますが、それは成長を止めてしまうことになります。

 

スティーブ

どれも素晴らしい点だと思います。手順の文書化はオーナー主導なのか、チームメンバーが主導するのでしょうか?

 

ジョッシュ

一個例を挙げましょう。精神疾患を治療している非営利団体と働いている時がありました。ある問題が起こった際に、新人従業員が、その問題を解決する手順が存在するかどうかを上司に聞きました。その後、また同じような問題とやり取りがありました。そのような事態が繰り返されないためにも、手順を書き残しておく必要があるという声がメンバー同士のミーティングで上がったということです。

チームメンバー同士で、こういった手順を書き残しておくことで、より良いチームになるという結論に至ったわけです。オーナーでもなく、監督者でもなく、マネージャーでもなく、現場にいた人たちがそれに気づいたわけです。

文書化するというと、完ぺきでなければいけないと勘違いしてしまう人もいますが、必ずしもそうではありません。確かにフォーマットが正しくなかったり、何かが欠けている場合もあるかもしれませんが、重要なのはそれを始めることで、ビジネスが向上され、整理され、前進したということです。

それは財産として残され、その後、何かが変わったりしても、繰り返しやればいいだけの話です。

これまで話した通り、戦略的目標を立てること、運営方針を立てること、手順を文書化すること、という3つのステップが存在していますが、実際には非常に単純なのです。難しいのは、それを応用して自社に適用することであり、それにはリーダーが関与しなくてはいけません。

 

スティーブ

これはすぐにできることですし、効率化しながら進めることが大切ですね。必ずしも最初から全ての情報が必要であるとは限りませんよね。最初からたくさんの物を詰め込み過ぎた結果、失敗してしまった人の例を見たこともあります。

今日は沢山の時間を提供して下さりありがとうございました。非常に楽しかったですし、視聴者の皆さんも多くの恩恵を受けたと思います。

 

ジョッシュ

ありがとうございます、非常に楽しい時を過ごすことができました。

 

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