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「介護事業を仕組み化し、新規事業へ」2018年12月インタビューレポート 有限会社ファイブアローズ 岩下由加里様

今回のレポートは、介護事業、フィットネス事業を営む有限会社ファイブアローズの岩下由加里様のインタビューです。

岩下さんのブログはこちらから:https://ameblo.jp/nsiwashita/

岩下さんは、元々、創業前から「はじめの一歩を踏み出そう」を参考にして、会社を作られてきました。そして、2012年ごろにマイケルE.ガーバー氏の認定ファシリテータートレーニングにご参加されました。

いまでは100人以上のスタッフを抱えながらも、仕組み化したおかげで新規事業にも取り組む余裕を創出されています。

どのようにして今のような状態を実現されたのか?

以下からどうぞご覧ください。

 

清水

いまの仕事を教えてください。

 

岩下さん

介護事業とインドアのゴルフ練習場、あと新しく始めた栄養健康事業です。これを同じ会社でやっています。

 

清水

介護事業を始めたのはどういう流れですか?

 

岩下さん

会社は平成16年の6月に作ったんですが、現実的に動きはじめたのは9月でした。その前は、東京の医療法人で雇われ経営者をしていました。その時、上下の間に挟まれて苦しい時期だったのですが、5年間修業していました。ただ、その法人自体があまりうまくいっていなくて、働き尽くめでした。ラットレースのような。

どうしていいかわからないと思っていたそんなときに、「はじめの一歩を踏み出そう」に出合いました。たまたま本屋で見つけたんです。当時はたくさん読んでいるビジネス書のひとつでした。

「はじめの一歩を踏み出そう」の考え方で、そのときに在籍していた医療法人を立て直そうとしたのですが、理事長には相手にされなかったんです。

それで冷めてしまい、5人の弟妹家族で会社を作ったわけです。前いた法人みたいになりたくないから、5冊本を買って、本の読み合わせ会から始めました。その本に則ってやっていけば、当時のようにはならないかと思っていました。

 

清水

数あるビジネス書のなかでなぜ「はじめの一歩」を参考にしたのですか?

 

岩下さん

他の本はハウツーがたくさん書いてあって、参考にしてちょっとずつ良くなるのはあると思います。

ただ、ガーバーの本は、どのビジネスにも当てはまる根本的なこと、そして自分がサラと同じようなことを経験していたので、何をやるにしてもこの考え方を知っていれば苦しくなることはなかったと思って、この通りやろうと決めました。苦しさを体験する前に読んでいたら、そこまで思わなかったかも知れません。

 

清水

弟妹でスタートしたということですが、ファミリービジネスの場合、仲良くないとできないですよね。仲良くても価値観合わないと出来なかったり。その辺はどう解決していきましたか?

 

岩下さん

最初は自分たちでいろいろ揉めながらもやっていたんですが、ガーバーの言う組織図を作って、職務契約書を交わす、というのを完ぺきではないですが、かなり似た形でやりました。5人いるので、それぞれの得意分野や特徴によって、経営を5個に分けました。

最初、介護保険のことは私しか知らなかったので全部自分でやっていたのですが、それをみんなにも教えて、仕事を分けていきました。

それから大きくなっていくにしたがって、それぞれ部下が付いていきました。5人の役割が決まる前は色々やり取りがあったのですが、役割が分かれてからはもめることはなくなりました。あまり出勤もしないので、半年くらい会わないこともあります。

 

清水

普通、創業メンバーが5人だとみんなでひとつのことをやりはじめて混乱するわけですが、最初から分けたわけですね。

 

岩下さん

はい。介護サービスはスタッフが足らなくなる時があるのですが、その時に誰がどの順番で手助けするかも決めました。今日も5人がどこで何をしているかわからない状況です。でも報告は送られてくるので、それはお互いにチェックして、気になったら意見交換はしています。

 

清水

それぞれが社長のような感じでやっていると。

 

岩下さん

はい、その部門の社長ですね。

 

清水

売上は順調に上がっていきましたか?

 

岩下さん

介護の場合、施設を増やせば売上が上がるので、最初、2011年の震災前に銀行から億単位でかりて高齢者住宅を作りました。

その後、震災が起きて、建物は立ててしまうと崩壊したら何も残らないという怖さがあったので、自社で建てずに借りるようにして、翌年、翌々年に一個ずつ増やして、計3か所に増やしました。そうして売上が上がってきた感じです。

いまは人手不足になってきて、ひとまず拡大を止めている状態です。お客様は集まるんですが、ひとつ施設を作るのに30人を集める必要があるので、いまは止めてます。

 

清水

いまスタッフ数はどれくらいですか?

 

岩下さん

いまゴルフ事業も含めて、140名くらいですね。

 

清水

5人でスタートしてから役割分担されたということですが、他には何に取り組みましたか?

 

岩下さん

マニュアル作りですね。創業メンバーの一人である妹の子供がまだ小学校にあがっていなかったので、本音では専業主婦になりたかったと思います。早く子育ての時間を取りたいという気持ちがあり、彼女は調理部門担当だったので、調理できる人を雇って教えれば出来ると。なので、調理部門が一番にマニュアル化されていきました。

 

清水

なるほど、そういう理由は重要ですね。

 

岩下さん

その結果、調理部門は新しい高齢者住宅をオープンするときに妹は2日間だけ行って説明して、あとは出社せずにマニュアル通りにやってもらうという感じになりました。

 

清水

それを横展開して他の部門もやったと。

 

岩下さん

そうですね。マニュアルがあれば、教えるのが早くなるし、一人前になるのが早いし、新しいことがあればつぎ足せばいいし。だから何か問題が起こったり、もめたりするたびにマニュアルが増えて、改善し続けている感じです。

 

清水

活きたマニュアルになっていますね。だいたいの完成形が出来たのはいつですか?

 

岩下さん

最初はどういう書式にするか?がわかりませんでした。ネットでいろいろ調べて試して、を繰り返して、ひな形決まるまで10年くらいかかりましたね。それからひな形決まったら、これまでのものを集約して、足りないものを作るとか、現場がだんだん変わってきてやり方が変わったら直すとか、そういうメンテナンスをやっています。

 

清水

マニュアルは誰が書くんですか?

 

岩下さん

他の人は文章が苦手なので、私が意見を聞き取って、私が書いていますね。文章作りは私と妹がやっています。

 

清水

文章力って学んで出来るものでもないですからね。いまの状態に至るまで一番大きなハードルは?30人超えたら混乱するとか。人が辞めがちになるとかよくありますよね。

 

岩下さん

一番大変だったのは、最初の役割分担が決まるまでの3年間くらいですね。私たちの弟妹は、高校生卒業してからバラバラだったので、その後の弟妹たちと接していませんでした。だから大人になった彼らを理解するのに少し時間がかかったかもしれません。

介護の仕方は私だけ知っていたので、それを教えながらやっているときは、言っていることがみんなに伝わらなかったり、細かいもめごとはありました。ただ、私の母親が看護師で、私の言っていることを理解してもらえていたので、弟妹の間に入って解説してくれたときもありました。

その後、介護のことがみんなわかってくるようになって、役割が分担されてからは淡々と仕事が進むようになりました。

あとは、人は増えたから、というよりマネージャーの育成は時間かかりました。2,3年前くらいまではマネージャー業務が委譲できないということがありました。職人業務は委譲できても、マネージャー業務が委譲できないという状態です。

いまは管理するという面では、ほぼやることはなくなってきています。マネージャーたちが困ったときとか、法律関連の書類を創るときとか、そういう時だけ教育はまだ続けています。

報告連絡はきっちりやってくれるので、その日の状況をリーダーが報告してくれて、離れていても状況はわかるようになっています。

 

清水

不在のマネジメントですね。人と人とのやりとり、たとえば接客ってなかなかマニュアル出来ないと思うんですが、その辺は?

 

岩下さん

介護だとお年寄りとどうコミュニケーション取るか?が一番大切なのですが、マニュアル=テキストみたいなものを使っています。私が出版した本もあるので、それをテキストというかマニュアルとして読んでもらったり、勉強会をしたり、テストをしたりしています。

 

清水

座学と実践ですね。

 

岩下さん

はい。あと人事評価が4つの軸があって、5問くらいの態度評価と知識評価、技術評価。技術は国が決めているのがあるので、それは1年に一回出来るかどうか確認しています。あとは職務評価です。仕事を簡単な順に並べて、ここまで出来たら時給いくら、みたいな感じにしています。その4側面で評価して平均点で給与が決まるようになっています。

 

清水

それを導入したのはいつくらいですか?

 

岩下さん

2年くらい前です。それまでは態度評価と知識評価をやっていましたが、最後に職務評価を入れました。

 

清水

仕事の評価制度とマニュアルを連動させているわけですね。ここまでいきたいなら、このマニュアルを出来るようにしてくださいと。

 

岩下さん

そうです。給与が低いと思うのなら、この仕事を出来るようになってください、といえるような仕組みになっています。

いまのやり方でスタートしてからまだ2年くらいですが、今期から色々データを取ろうと思っています。そうすると、みんなが出来ないところが見えてきたり、やらなくていい部分が見えたりとか、今期はそういう分析をやろうと思っています。

ガーバーと出会った頃は、まだそこまでは行っていなかったですね。マネージャーが育って、私が現場に行って采配を振るう仕事が減ったんです。そうすると時間が出来て、仕組み化に使える時間が増えて進んだ感じです。

マネージャーの育成をしない限り、現場で監督しないといけないので。創業15年のうち後半は、管理職評価を作って教えてきました。

それをやるには、報告連絡相談の仕組みが重要ですね。たとえば、上司から仕事を任されていても、どこまで勝手にやっていいかわかりません、となるので、その辺を結構細かく決めています。こうなったら言ってきてほしいとか、これは言わなくてもいいとか、それを決めて、何度も繰り返し教えてということをいまでもやってますね。

 

清水

ホウレンソウって基本だけど重要ですね。

 

岩下さん

はい、社長が不在で運営すると言っても、社長が全く何も知らなかったらマズいので、何をどういう方法で報告して、というルールを決めない限り、お互い不安になると思います。いろんなことが起こるたびに、ルールを追加している感じです。

あとは、メンタルフォローが大切なのですが、プロの人を雇って、その人にお願いしています。マネージャーが人の管理で困っているときは、その人に相談してもらうようにしています。そうしたら、役員側の負担が減りました。

外部の人のほうが冷静に判断してくれるし、内部の人から言われるより素直に聞きやすいわけです。

 

清水

いまの状態について教えてください。いまのメインの仕事は?

 

岩下さん

栄養カウンセラーですね。介護事業はマニュアル整備が私と妹しかできないので、それはやっています。それにかかる時間は、月に10時間もないと思います。メールを見たり、そういう細切れのことはありますが、手を動かすのは10時間もないですね。

妹が分析思考なので、彼女が現場の直すべきところとかを見つけてくれて、私がマニュアルを直すみたいな感じですね。

 

清水

栄養カウンセラーというのは?

 

岩下さん

食べる物によって病気になったり、健康になったり、ということがあるわけですが、昔の考え方と少し違うことが結構あるわけです。それをまずは自分の健康のために勉強したのですが、これは面白いと思って、フィットネス会員向けに提供したりしています。

あともっと広めるために講師の育成をしています。介護の場合には、外注スタッフを使うのが法律的にダメなので、社員を雇う必要があります。今回は、社員ではなく、外部の講師を育てていく仕組みを創っています。それを3-5年くらいで創って、また手放していくことを考えています。

 

清水

なるほど。今日はどうもありがとうございました。。

 

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