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「天ぷら揚げるのに10年修行が必要」は本当か?中小・成長企業における人材育成の仕組みを考える

ちょっと前のテレビ番組で、某一流天ぷら店が紹介され、そこの店主が

「お店で出す天ぷらを揚げるには10年かかる」と発言したことが物議を醸しだしています。

番組での情報によると、「弟子は10年間は見て覚えるだけ」だそうです。

最近、またこの情報が各所に転送されており、私もたまたま目にしました。

ちょうど今月の勉強会テーマが人材育成のなので「これは良いネタだ」と思ったので
本日はこのテーマについて考えてみたいと思います。

「お店で出す天ぷらを揚げるには10年かかる」

という発言に対して、ネットの口コミはだいたいこんな感じです。

”10年なんて無駄”

”マニュアルを整えてないだけ”

”見て覚えろ、は悪しき習慣”

あなたはどう思いますか?

仕組み化という観点でいうと、たしかに育成に10年かかるのは長いな、と感じますね。中小企業や成長企業の場合、新人が一人前になるのに10年も待ってられないと思います。

奇しくも、先日、杜氏要らずの酒造りについてご紹介したばかりです。

「獺祭」の旨い酒を造るための仕組み

 

天ぷらを揚げるとはどういう仕事か?

正直、テレビ番組なので色々誇張して紹介しているでしょうし、
私もその店に行ったことがなければ、天ぷらを揚げたことがないので、
良いか悪いかを断言できません。

また、本当は弟子も裏で教えてもらって、かなり熟達しているのかも知れません。

さらに誤解が無いようにお伝えしておくと、私がその店主について調べたところ、天ぷらのレシピを色々なところで公開し、人を育てることに力を注がれているそうです。

なので、さっきのネット上の口コミはちょっと事実じゃないところがあります。

 

、、、という前置きをしたうえで、熟練者を育てるにはどうすればいいか?
というテーマについて考えてみたいと思います。

まず、「お店で出す天ぷらを揚げるには10年かかる」という発言にはある程度の根拠があると思います。

高級天ぷら店においては、お店で出す天ぷらの質こそが店を存続させる最重要項目です。

つまり、客前で天ぷらを揚げられるのは、そのお店の中で最上級の職人だけ、ということになります。

一般の会社でいえば、最重要プロジェクトのリーダーみたいなものです。

ほとんどの中小・成長企業では、それは社長自身ということになるでしょう。少なくとも一人前、というレベルではなく、熟練したベテラン社員というレベルになります。

 

10年ルール

そして、人を育てる、または人が熟練していくための10年ルールというのがあります。

仕事に限らず、スポーツや各種芸能などあらゆる分野で共通することですが、その分野で熟達者として成熟するためには10年かかるというものです。

これはエリクソンという人が調査で明らかにしました。

たとえば、水泳の場合、国際レベルに上達するには4,5歳からスタートして、パフォーマンスのピーク年齢は10代後半くらいと言われています

企業においては、昇進が早い外資系であっても、管理職クラスになるのが30歳前後(現場経験で10年)、さらにそこから役員クラスに行くのが40歳前後(管理職経験で10年)だと思います。

私の昔の同期でも早い人はもう執行役員になっています。

なので、熟練者になるのに10年かかるというのは、大体どの世界でも相場なのです。

問題は、その10年をどう過ごすかによって、熟練者になれるのか、
または単に長く経験しただけの人になるのか、が決まるということです。

 

熟練者になるには?

では、10年をどう過ごすか?

熟練者になるためには、5つの学習方法を組み合わせることが必要です。

1.見て学ぶ
これが昔ながらの職人の世界です。先輩のやり方を見て学びます。

 

2.徒弟交流
師匠が弟子の仕事に対してフィードバックを与え、徐々に一人で仕事が出来るようにします。

 

3.反復練習
学んだことを自ら考えながら繰り返し実践します。

 

4.スキルや知識の転用
学んだことを別のことに応用することで自分のなりの仕事のやり方を身に付けます。会社でいえば、他部署に移ったり、違う上司に付いたりします。これで仕事に幅や深みが生まれます。

 

5.座学
マニュアルやテキストなどを見て学びます。

 

今回例に出したような職人的な育て方に批判が出るのは、「1.見て学ぶ」しかやってないように見えるからです。

今言ったように、たしかにこれだけだと、熟練者を育てるのには不十分だということがわかります。

というわけで、今回のテーマに挙げた

「お店で出す天ぷらを揚げるには10年かかる」
「弟子は10年間は見て覚えるだけ」

というのは、この言葉だけでは良いのか悪いのかわかりません。

10年やったかどうかよりも、会社側が上記5つが実践できるような環境を用意したかどうかが問題です。

成長する環境を用意するのは会社の仕事、その環境を活かすかどうかは本人次第(レイクロック談)です。

というわけで、あなたの会社も熟練者が育つような環境を用意しているかどうか、ぜひ確認してみてください。

 

なお、より詳しいことは今月の勉強会でご紹介していきます。(2019年6月時点。勉強会テーマは毎月変わりますのでご了承ください)

詳細&お申込みはこちらから
https://shikumikeiei.com/workshop

では本日は以上となります。引き続きよろしくお願いいたします。