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サービス業のビジネスを仕組み化するにはどうするか?

マイケルE.ガーバー氏は、彼が過去40年間にわたって経験してきたことを世界中のスモールビジネス経営者に伝えるため、1年にわたって、音声として残しました。

その内容の大意を、以下にご紹介させていただきます。

一般受けするように編集された書籍と異なり、ガーバー氏が本来伝えたかったメッセージをそのまま収録しています。

今回はそのボリューム2をご紹介させていただきます。

※ボリューム1はこちらから

 

マイケルE.ガーバー氏が伝えたかった起業家精神(アントレプレナーシップ)

眼科医の悩み

さて、ここでゲストからの質問を紹介したい。このプログラムでは、ゲスト、すなわちスモールビジネス経営者から質問を受け、私がそれに答えていきたい。

最初のゲスト、アンシェル医師の質問は次のとおりだ。

「私は眼科医を開業しています。15年ほど同じ場所で開業しています。ほとんどの患者は、これまで定期的に来ている人たちで、彼らには手紙で来院のお知らせをしています。しかし、年々減ってきています。視力の問題は、ゆっくりと進行し、痛みがありません。そこで、どのようにして、患者に定期的に来てもらうように出来るでしょうか?」

アンシェル医師と、あなたに質問をしたい。自分の商圏にいる全ての人たちに対して、伝えたいことは何だろうか?商圏というのは、患者が住んでいる場所のことだ。つまり、彼らはどこから来ているのか?

最初にして欲しいことは、これまでの患者のデータベースを見て、全ての患者を地図にすることだ。地図を壁に貼り付けて、全ての患者をマッピングする。それをやると、商圏が見えてくるはずだ。患者がどこに住んでいるのか、とても集中した地域に集まっていることがわかるだろう。

それがあなたの商圏になる。マクドナルドは自社の商圏を知っている。スターバックスは自社の商圏を知っている。しかし、世の中で自分の商圏を知っている医者は、まずいないだろう。せいぜい感覚で知っているだけだ。だが、ほとんどのビジネスにとって、自分の商圏に関する情報は必須といえる。

これまでに獲得した顧客がある程度いれば、商圏を決められるはずだ。

商圏が決まったら、それを囲う線を描く。そして、多数の患者が来ている商圏の中にある、全ての郵便番号を明確にしよう。そうすれば、商圏にいるすべての消費者の郵便番号がわかる。中にはすでに患者になっている人もいるだろうし、そうではない人もいるだろう。それがわかれば、彼らを惹きつけるための手法を設計できる。これがひとつめのステップになる。

次にやって欲しいことは、地元の大学に行って、この作業をやってくれるインターン生を探すことだ。インターン生を学校でのプロジェクトの一環として雇えば、驚くほど安いコストでやってもらえるだろう。彼らも社会での仕事のやり方を理解できる。

次のステップは、これまでの患者に対して、電話をかける。データベースにいるものの、まだ来ていない患者、あなたに会うべき患者、全員に電話をかけよう。

しかし、それをオフィスマネージャーや医師にやらせてはいけない。もちろん、自分でやらないこと。誰かにやってもらうようにしよう。

あなたのやることは、その誰かのために電話の原稿を書くことだ。その原稿は、患者を惹きつけるものにしなくてはいけない。それによって、彼らがアポイントを取って会いに来るように。まず、既にあなたの患者向けのもの、そしてまったく知らない人向けの原稿を作る。

いま言った事をやったら、もう一度、何が起こったか教えてほしい。いま言った最低限のことをやれば、患者の数は増加するだろう。

 

販売は仕組み

さて、みんなに言っておきたい。アンシェル医師に必要なのは、患者を集めるためのシステムだ。これはすべてのビジネスに必須のシステムである。あなたが私の書籍を読んだ事があるならば、私が最初の会社をスタートしたストーリーを知っているかも知れない。私は友人の紹介で、シリコンバレーにあるハイテク企業を訪問した。その社長はソフトウェアの作り方は知っていたが、販売の仕方を知らなかった。販売はシステムであるということを知らなかった。だから私がそのシステムを作った。それがすべての始まりだった。

アンシェル医師も販売はシステムであるということを知らなかった。今までにそれをやったことが無かった。それを考えもすらしなかった。なぜならば、私に質問をしてくるこの瞬間までは、それで十分だったからだ。

もし彼が、彼にとっては十分だったときから、いま言ったようなことをやっていれば、彼の診療所は、彼自身のキャパシティを超えて成長していただろう。そして、もう一人の医師、さらにもう一人の医師が必要になっていただろう。そして彼の診療所は、立派なビジネスへと成長していただろう。

 

カスタマイズされた標準化とは?

次の質問を紹介しよう。彼の名前は、デニス。彼の質問は次のとおりだ。「6ヶ月前に、前の会社を辞めて、マーケットリサーチの会社を立ち上げました。いま、イベントや交流会で新しいクライアントを探していますが、安定する売上の基盤を作り、成長させるには、他に何をすべきか?」

デニスは、マーケットリサーチの会社を立ち上げ、全ての顧客にカスタマイズされたリサーチを提供しようとしている。彼がこれまでに培った専門性を使って、サービスを提供するということだ。まず言っておきたいのは、彼は典型的な起業熱に駆られた職人であるということだ。彼はいまから、職人ではなく、起業家としての視点を手に入れる必要がある。

彼の質問に答えるならば、デルコンピューターのように、カスタマイズされた標準化を行うことだ。カスタマイズされた標準化。

全てのリサーチ案件は、彼が何年もかけて学んできたことの複製として提供できる。

要するに、すべての案件は、異なるように見えてるものの、実は同じシステムで実行可能なのだ。世の中には、リサーチの新しい方法を開発し続けているリサーチ会社はない。彼らは学んだやり方を、とても上手にやっているだけなのだ。

そのプロセスを開発すれば、彼は、全てのクライアントに対してより安く、より効果的にサービスを提供出来るようになるはずだ。

デルのサイトに行けば、私だけのためにカスタマイズされた商品を得ることが出来る。標準化された部品をまとめ上げることによって、その結果を生み出しているのだ。つまり、私は私のニーズに合わせて、私のために設計されたコンピューターを購入できる。私の期待、それで何をしたいかによってカスタマイズされる。これらのことが、私がデルのサイトに訪問した瞬間に全て行われる。それから彼らは工場で、私の解決策を提供してくれる。

もしデニスが、マーケットリサーチの世界でそれをできれば、彼の言っている問題を解決することができるだろう。

大半の経営者は、顧客のことを理解せずにビジネスをしている。だから彼らは、毎日大きな間違いを犯し続けているのだ。一方でデニスはどのように顧客の問題を解決できるだろうか?いま言った事を考えてほしい。考えて、それから何が起こったか、もう一度教えてほしい。

 

自分の仕事は複製できない?

スモールビジネスの多くは、デニスのようなサービス業である。彼らは自分の専門性に頼って独立するため、自分の仕事を複製することができないと考えている。しかし、それは事実ではない。まったく事実ではない。

私の例を挙げよう。2005年に、これまで30年以上にわたって関わってきた会社を引退し、新しくドリーミングルーム(起業家向けプログラム。現在は提供停止)を始めた。前の会社をスタートさせたときには、トムという名前のパートナーがいた。しかし、ドリーミングルームにトムはいない。いるのは私だけで、何が起ころうとも自分ひとりで向き合わなければならなかった。今でも、どうやってやり遂げてきたのかわからないが、私はやったのだ。

そして、私は次のように信じるようになった。夢やビジョンによって、どこか知らない場所に行くとき、自分の中の誰かが、私の行動の実権を握るのだ。

過去30年以上、70,000を超すクライアントと共に働いてきた。その結果、私が言えることは、このような体験は、誰でも起こりうることであるということだ。このような状態になった時には、その誰かに道をゆずり、ただ起こるがままにさせておくべきである、ということを学んだ。また、自分の中で他の誰かが実権を握ったその時、奇跡が起こる。

全てのことが、その誰かによって行われていて、私たちは、すべてのことを安心して見ていられるのである。まるで、全ての瞬間、すべてのやりとり、すべての思考をカメラを通して見ているように。まるで時間が止まり、動かなくなったように。

そうなったとき、自分がしていることをプロセスやシステムとしてみることができる。つまり、拡張可能性を感じることができる。だから私は、ドリーミングルームを他の人でも実行できるように出来たのだ。私は全てを自分でやる必要性がなくなる。

大昔に誰かが私に言ってくれた。私がやっていることは、誰にも同じように出来ない、ということだ。しかし、私がドリーミングルームで発見したのは、まったく正反対のことだった。まったくの偶然にそのことを発見した。

これは空想を話しているわけではない。私の人生で、何度も何度も同じことを経験して、あなたに語っているのだ。

だから誓っていえる。あなたのしていることは、世界中で複製可能である。それをやる可能性を追求してほしい。

 

事業のプロトタイプを作ろう

次の質問は、ブライアン・メイヤー氏。

彼の質問は、「グラフィックと印刷の会社を作ってから、去年は倍、今年は3倍に成長しています。急成長していることは良いことだと思いますが、サービスのレベルを保つのが難しく、私がいつもやってきたようなサービスを顧客に提供するにはどうすればよいでしょうか?」というものだ。

これもサービス業に良くある問題だ。まず聞きたいのは、ブライアンの行っている仕事、その仕事に必要なスキルがどの程度複製可能か?という質問だ。つまり、その仕事は、どれくらい簡単に出来るのか?優れた機械があれば、作業が容易になるのか、または人を雇って教育するのにどれくらい時間がかかるのかが問題だ。

次に、彼の質問にある、サービスのレベルを保つのが難しい、ということについて考えよう。サービスを提供するプロセス、その全体のプロセスのどこに問題があるのか?

私の経験から言わせてもらえれば、問題になっているのは、ブライアン自身だ。彼自身がたくさんのクライアントを抱えていて、クライアントから見て、ブライアンが有能な存在になっている。そのために、彼の有能さが逆に活かせなくなっているのである。

誰も自分が失敗しているとは口に出したくないと思う。みんな、自分が問題を抱えているとか、恐れているとか、言いたくないものだ。しかし、私がビジネスの中で出会う人たちはみんな、彼らが考えているよりも、実態は恐ろしい状況になっている。だからまず、それに気がつかなければいけない。

ブライアンがしていることが、完全に彼に依存している。そして、彼はいまの仕事をとても上手くやれるがゆえに、彼の顧客との関係性を失いつつある。これは直感的には、理解しがたいことかも知れないが、多くのビジネスで発生している状況だ。

ブライアンの問題はとても、とてもシンプルである。彼は私が本の中で書いている、事業のプロトタイプを持っていないのだ。たとえば、アナハイムで店を開いて、ロサンゼルスにもう一店舗開いたら、ビジネスはすぐに、破綻するだろう。

プロトタイプは、起業家のアイデアがどれくらい有効なのかを、机上の空論ではなく、現実世界でテストする場所である。

そして、“いつでも一貫して、顧客を望むものを提供しながら、安定的に収益を確保できる”ようになれば、プロトタイプが完成する。

プロトタイプが完成すれば、他の人に任せてもうまくいくような事業が完成する。どこでも誰でも、同じ結果が出せるような事業が完成する。

起業家にとって、プロトタイプは自分の夢を形にする手段である。マネージャーにとってはルールが決まり、計画や管理がしやすくなる。

そして職人にとっては、自分が得意な分野の仕事に打ち込むことが可能になる。プロトタイプがあることで、ビジネスのオーナーは、3つの人格のバランスをとりながら、事業を作り上げることができる。

つまり、この事業のプロトタイプこそが、あなたの探しているものなのだ。

 

Working ON it

次の質問を問いかけてほしい。

どうすれば他の人に任せても、事業が成長するだろうか?
どうすれば自分が現場にいなくても、社員は働いてくれるだろうか?
どうすれば自分の時間を確保しながら、事業を経営できるだろうか?

残念なことに、ブライアンは卓越した実行者であるがゆえに、全てのことを自分のうちに閉じ込めてしまっている。自分のやっていることが得意だから悪くなっていく。彼はクライアントを見つけ、仕事を生み出す方法を知っている。問題は、彼が組織をリードし、委任する方法を知らないことだ。

会社の中ではなく、会社の上で働き始めれば(Working ON it)、これらの問題から自由になれるだろう。

彼は会社が成長していると言ったが、会社の上から働くことを覚えたときに体験する、驚異的な成長をまだ経験していないだろう。まずは私の本をもう一度読み、それからもう一度質問しにきてほしい。