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会社を高く売るには?米プール会社が4年で企業価値を10倍にした話

跡取り問題や人材不足の影響で、近年日本の中小企業の間でM&A/企業売買の件数が増えてきました。

そんな中、一見うまくいっているビジネスなのに企業価値が低く見積もられる事例はよくあります。

実はその原因は企業価値の評価基準を高めるビジネスモデルが作られていないことにあるのです。

今回はそんなM&Aを視野に入れる経営者に役立つ、アメリカのローカルスイミングプール管理会社事例を紹介します。

4年間で市場価値を数百万ドルにまで増やしたやり方とは?

ぜひ最後までご覧ください!

1. 事業としての成功

Texas Aquatic Enterprises (TAE)は、トム・ベレッツがアメリカのテキサス州ヒューストンに設立したスイミングプールの管理会社で、学校やマンションのプールの修理やライフセーバーの派遣、運営を請け負う会社です。

日本ではあまり馴染みのない産業ですがアメリカではメジャーなビジネスで競争率も高かかったのですが、

彼らは統計データを元にした安全なプール運営で競合他社とうまく差別化を図り、事業はだんだん軌道に乗り始めました。

トムとクリスは元々〜の事業が成功したら会社を売却しようと起業時から決めていたので、創業から7〜8年後に会社としての価値の評価を依頼したのですが、

その額は予想をはるかに下回っていたのです。

2. 企業価値が低評価を受ける理由

トムのビジネスが低評価された理由は、会社のシステムにありました。

というのも、企業価値を図る際に指標となるのは評価時点での“帳簿上の”アセットや利益が重要な基準となるためです。

しかし彼らのビジネスモデルは1年契約を基本としているため、たとえその時点での契約が3年後に5倍の利益を生み出す見込みがあったとしてもその潜在価値は評価対象にはなり得ません。

更に、会社ではトムとクリスがセールスやオペレーション等ほとんどの業務を担当していたので、彼らがいないと成長が見込めない状態となっていました。

確かに、社長がいないと価値のない会社を買ったところで買い手に得はありませんよね

このような理由で、TAEの市場価値は10万ドルにも満たない低価格に見積もられてしまいました。

しかしトムはここで諦めず、企業価値を高める次のような施策を実行しました。

 

3. 企業価値を向上させる3つの施策

①CFOを雇用

トムが初めに取り組んだのは財務の見直しでした。

彼は経験豊富なCFOをフルタイムで雇うことを決めました。

それ以前のTAEの財務状況は実はかなり適当でした。

トムとパートナーのクリスが銀行口座を確認しているだけだったのです。

起業家は経理や財務と行った会計業務にあまりこだわらない人が多いようですが、実は会計は会社全体の動きや価値を決める最も重要な業務なのです。

トムが雇ったCFOは、社の財務を徹底的に見直し、だんだん会社の経営や未来の投資・支出に関する重要なアドバイザーとなりました。

②セールスチームの雇用

CFOの雇用と同時にトムが取り組んだのはセールスチームの雇用でした。

彼はセールスチームの雇用は会社に非常にとても大きな成長をもたらし、現在の社の売上のほとんどはこの変革のおかげだと言います。

彼がセールスを雇う際外せない条件は、セールスマンに向いている経験者のみを雇うことです。

他の会社では、よく未経験を雇用して入社後に育て上げる例がありますが、彼は常に自分より賢い人材を選んだそうです。

というのも、社員のトレーニングに時間を割いて彼らの仕事を見守る時間を省くことができるためです。

③現場から社長が退く

最後に、トムは会社の業務を整理して部署ごとに必要な責任者を雇い、彼が現場にいなくても会社が回る仕組みを構築しました。

トムの勤務時間はだんだん減っていき、一度彼が6週間のNY旅行に行った時ですら会社の業績は下がるどころか向上するまでにシステムは完成しました。

M&Aにおいて社長が実際の業務を自分で担当していないことは会社の価値向上にとって非常に重要です。

というのも、TAEのようなスモールビジネスの市場価値評価にはアセットや利益以外に、経営者のSDE(Seller’s Discretionary Earnings)も大切な指標になるためです。

SDEとは自由裁量所得のことで、社長の給与や社長が自由に使った会社のお金を指します。

例えば、社長が毎年2000ドルの社員旅行を会社の利益から計画していたら、その2000ドル分は企業の価値として加算されます。

なぜなら、新しいオーナーが会社を買った後社員旅行を廃止した場合は、その2000ドル分が会社の支出ではなくて収入分に変わるためです。

同じことが社長の給与にも当てはまります。

社長の給与は経費ではなく利益から捻出されるため、評価の際には社長の給与分が価値として加算されます。

しかし、もし社長が社員と同じように日々の業務に従事していた場合は、その給与分は価値として支出としてマイナスされます。

というのも、たとえ経営者が変わったとしても元社長の仕事を担ってくれる人材を雇わなくてはいけなくなるので、将来的に費用となるためです。

こういう訳で、企業価値を高めるのには社長が現場におらず、日々の業務が社長なしで行われていることがとても重要になるのです。

4. 会社を評価額より安く売った理由とは?

1度目の企業価値評価から4年間、社長がいなくても十分に価値のある企業を作ってきたトムは遂に売却を決意しました。

ブローカーと契約して会社を評価してもらうと、その価値は何と100万ドルを悠に超えていました。

会社の仕組みを1から見直して改善していった結果、4年間で10万ドルにも満たなかった企業価値が数百万ドルに膨れ上がっていたのです。

さらに、通常買い手が見つかるまでは12〜18ヶ月程かかるそうですが、TAEに関してはリスティングからわずか1週間足らずで5つもオファーが届いたのです。

早速トムはそれぞれと面談し、交渉を進めました。

そして最終的に彼が選んだ入札者は、提示していた価値評価額より安く買いたいと申し出たシリアルアントレプレナー*でした。

その理由は、彼が従業員をとても大切にしていたためです。

買い手のシリアルアントレプレナーは、入札額は他より低かったものの、従業員の好待遇を約束してくれたそうです。

トムは自分の利益よりも、今まで尽くしてくれた社員を優先して買い手を選んだのですね。

*シリアルアントレプレナーとは

 

5. 社長トムからのアドバイス

最後に、トムが語ったTAE売却後の心残りや反省について紹介します。

彼は、もっと早くに会社の仕組みを整えるべきだったと語っていました。

正しいタイミングで正しい人を雇い、社長依存から仕組み依存の会社を作れればもっと早くに売却できたと言います。

 

いかがだったでしょうか?

4年間の仕組みづくりでこんなに高く会社が売れるようになるとは驚きですね!

M&Aをお考えの経営者はぜひ、自社が社長依存になっていないかもう一度見直してみてください。

会社の仕組み化はプロに相談

本記事の出典:「How Re-Modelling A Swimming Pool Business Led To A 7-Figure Exit