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「経営をしない旦那(社長)」2024年7月3日号



お世話になります。
一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。

恐らく大半の世の中の社長も同様だと思いますが、私は若い頃から自己啓発に熱心に取り組んできました。

その甲斐あって自分で創業し、いまに至っている。

その自分の経験から、豊かに幸せに暮らすには、みんな努力をしなければならない。

努力をしなければ幸せにはなれない。

・・・と考えていました。

しかし、何年か前から、この考えはちょっと違うのではないか?と疑問を持つようになりました。

そのきっかけは二つあります。


■一つ目のきっかけは、

”努力できるかどうかは遺伝で決まる”

という研究があることを知ったことです。

世の中を見渡してみると、自己啓発に取り組み、努力をしている人はわずかなパーセントに過ぎないでしょう。

となると、そのごくわずかな、努力した人だけが報われるというのはおかしいのではないか?

世の中はそんないびつな形に設計されているわけじゃない、と思うようになりました。



■もうひとつのきっかけは、ある経営者夫婦との出会いでした。

そのご夫婦は製造業を営んでおり、社長が旦那さんで、奥さんが副社長でした。

ただ、旦那さんは根っからの職人で、経営的な仕事は主に奥さんが行っていました。

あるとき、奥さんが

「うちの旦那は朝起きてすぐに機械いじりをはじめて、17時には帰宅して晩酌するのが楽しみなのよ。経営者としての仕事を全くしないので、困っているんですよね」

といいました。

私も日頃、経営者は職人、マネージャー、起業家の人格を使い分けなければならないとお伝えしているので、奥さんの話に賛同し、”そりゃ困ったものですね”と答えました。

しかし、後から振り返ってみたら、

朝から自分の好きな仕事をし、1日やり遂げて夜には晩酌している。

つまり、この旦那さんは、普通に働いて、幸せに暮らしている。

これは本来の人間の姿ではないか、と思ったのです。

奥さんとしては、困ったものだ、と思っているわけですが、役割分担も出来ていて、会社は回っており、幸せに暮らしている。

この姿には何も困ったことはないのでは?と振り返って感じました。


■というようなきっかけを経て、

人には八百万の特性があり、それを生かして、普通の人が普通に働くことで幸せに暮らせるような仕組みを創ること、

それが私たちの仕事ではないかと考えるようになりました。


■そんな中、当会の評議員(社外役員みたいなもの)である坂本路子氏が、「LITA COFFEE」という事業を始めました。

「LITA COFFEE」は、就労支援継続B型事業所として、珈琲豆の焙煎販売を行っています。

LITAは利他に由来した自分そしてそれを超えて周りのために存在したい、との想いから皆で決めたブランド名です。

一般に、就労支援継続B型事業所は工賃が安く、働く人が自立出来ないことが問題になっているそうです。

この問題を仕組みで解決することを目指して、立ち上げたのが「LITA COFFEE」です。

豆の仕入れから発送までの全プロセスにおいて仕組み化に取り組んでいます。

■以下、坂本さんのメッセージを引用すると、以下のような仕組みになっています。

——————————————
ドリーム、ビジョンを掲げ、役割を明確にするインセプションデッキに始まり、現場では作業の明確化のためにカンバン方式も取り入れています。

これにより、スタッフや障害のある方々の成長やスキルアップを支えています。

事業スタートから、問題に直面した際にはとくに仕組み化を通じて、人を責めることなくプロセスを見直し、改善することの重要性を強く感じています。

一般の職場では「空気を読む」ことが求められる場面でも、私たちの職場ではすべてを明確に言語化する必要があります。当事者への個別の配慮などもあり複雑性もあります。

そこで、私たちは、当事者、療育者、就労支援の専門家の三つの視点を取り入れ障害のある方々が働きやすい仕組み化へ挑戦しています。この仕組み化は、まずは、工賃アップやスキル習得、そして各自の自己実現に寄与していくことになります。

——————————————

という感じで、まさに先述した、働く人の特性を生かして、事業が回るような仕組みづくりに取り組んでいます。

事業モデルはシンプルで、一般に小売りされているよりも質の高い珈琲を適正な値段で提供するものになっています。

詳しいストーリーや商品については以下から見れますので、日頃から珈琲を飲んでいる、という方はぜひお試ししてみてください。

ストーリー:
​https://lita-coffee.com/pages/story

商品:
https://lita-coffee.com/collections/all


というわけで、仕組みが持つ役割について、改めて考えていただきたいと思い、最後は事業の紹介をさせていただきました。


何かしらヒントになれば幸いです。


では本日は以上となります。


引き続きよろしくお願いいたします。



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