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社長の仕事は2種類ある

世界No.1の中小企業アドバイザー、マイケルE.ガーバー氏によれば、社長の仕事は大きく分けると2種類あります。より正確に言えば、会社内のすべての人は、2種類の仕事をしています。戦略的仕事と戦術的仕事です。今日はこの2種類の仕事について解説をします。

社長の仕事その1. 戦略的な仕事

一つ目は戦略的な仕事です。戦略的な仕事とは、未来の売上を生み出す仕事です。たとえば、ビジョンを描く、計画を立てる等、要は会社としてどのような結果を生み出すのか?を定義する仕事です。

より具体的に「仕組み経営」の言葉でご紹介しますと、以下のようになります。

ミッション、ビジョン、バリューを決めること

ミッションは自社の存在意義、ビジョンは自社の将来の姿、バリューは大切にしている価値観です。どんな会社においても、これらは経営の基盤になりますのでとても大切です。

ミッション、ビジョン、バリューの詳細についてはこちらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ミッション、ビジョン、バリュー(理念)を決める – 仕組み化のステップ7

戦略的指標を決め、継続的に測定・改善すること

戦略的指標とは、ビジョンを分解して、ビジネスがどんな状態にあるのか?を数値化するもので。自社がちゃんとゴールに向かって進んでいるのかどうかを判断するために必須の数値化になります。

指標というと、明らかに計れるものだけを考えがちです。たとえば売り上げ、利益率、成長率、資産、負債、株価、効率性、生産数などです。これらは計ることができ、比較的明確です。これらは”目に見える指標”と呼んでいます。

一方、明確に計れないものもあります。スタッフはどれくらいやる気になっているのか?マネージャーはどれくらい部下から尊敬されているか?混乱、フラストレーション、不信、創造性、これらはとても大切ですが、軽視しがちです。これらは直接は測れませが、数値化は可能です。これらを”目に見えない指標”と呼んでいます。

そしてどちらかというと、”目に見えない指標”のほうが会社にとって大きな影響を及ぼします。

経営の神様と言われた松下幸之助氏も、次のように言っています。

経営をすすめるときに知っていないといかんことはな、目に見える要因と、目に見えない要因、その両方とも考えないといかんということやね。

しかし、この目に見えるものだけに取り組んでいったら経営がよくなると思っている人もおるようだけど、実際にはそうではないんや。それだけでは、経営というものは決してよくはならん。そういうものも極めて重要やけど、もうひとつ、目に見えない要因というものも考えないといかん。

(東洋経済オンラインより抜粋)

「仕組み経営」の中では、これら”目に見えない指標”についても数値化し、測定していく仕組みづくりを行っています。

組織戦略の立案

組織戦略とは、ビジョンに合わせて自社の未来の組織図を描くことです。そして、その組織図に向けて採用や配置転換を行う計画を立てます。詳しくは以下に記載していますのでご覧ください。

仕組み化のステップ4. 組織戦略を立てる

また、ポッドキャストでもこのテーマを扱っていますので、ぜひご視聴ください。

 

仕組み化戦略を立てる

仕組み化戦略とは、自社にどんな仕組みが欠けているのか?を把握し、それらを創る仕組み化の計画を立てることです。たとえば、採用の仕組み、集客の仕組み、教育の仕組み、等です。さらには、計画づくりを仕組み化するための計画も必要かも知れません。

ビジネスモデルの再考

商品や会社にライフサイクルがあるように、ビジネスモデルにもライフサイクルがあります。

マイケルE.ガーバー氏は書籍の中で次のように書いています。

”どのような会社であっても、社会が大きく変化して、存在意義を失い、顧客の要望にこたえられなくなるときは来るものだ。それを予め予想して、「新しい会社」ー起業家としての第二の人生の始まりーの準備を始めなければならない。”

いまほど、ビジネスモデルを再考する必要性が迫っている時代はないかも知れません。ビジネスモデルについては以下に詳述していますので、合わせてご覧ください。

ビジネスモデルとは?優れたビジネスモデル変革に欠かせない視点

 

その他の戦略、計画づくり

上記は戦略的な仕事の一例でした。もちろん、戦略的仕事は他にもたくさんあります。採用計画、財務(予算やキャッシュフロー)計画などもそうです。ただし、これらすべてを社長がやらないといけないわけではありません。

冒頭で社内のすべての人は2種類の仕事をしていると書きました。なのでこれらの仕事も部署ごとに担当を分けることが出来ます。(ミッション、ビジョン、バリューは除く)

世界一有名なコンサルティング会社、マッキンゼーの元CEO、マーヴィンバウワー氏は次のように語っています。

事業を経営することと業務上の判断を下すことが、まったく別物であることは、誰しも認めるだろう。後者は、上はCEOから下は現場主任までマネージャーなら誰でもする仕事である。だが地位が上がるにつれて、経営の仕組みを整え改善することが、次第に重要な任務となってくる。自分のところに上がってきた問題を処理する、部下を選別する、部下のした仕事を評価あるいは調整する、部下を指導する・・・といった仕事に没頭しているだけでは、責務を完全に果たしたとはいえない。-マーヴィン・バウワー(元マッキンゼー、パートナー)

目の前の仕事をどうやってやるか?だけではなく、どうやったら結果を改善できるか?に皆で取り組むことでイノベーティブな会社になります。

 

社長の仕事その2. 戦術的な仕事

一方の戦術的な仕事とは、目の前の仕事を片付けることです。よっぽど仕組みで回っている会社でない限り、社長自身も現場の仕事や今すぐやらないといけない目の前の仕事があるはずです。

会社の規模や組織状態にもよりますが、戦術的な仕事としては例えば以下のようなものがあります。

大型案件のクロージング

いわゆるトップセールスで、大型の顧客、案件のクロージングをすることです。法人営業の場合には特に大事です。

部下のメンタリング/コーチング

直属の部下のメンタリングやコーチングを行います。

重要人材の採用

Cクラス(CEO、CFO、COOなど上級幹部クラス)の採用や、自社に必須のスペシャリストの採用については社長が積極的にかかわるべきです。

キャッシュの確認

手元に現金がどれくらいあるか?を常に把握しておくことは非常に大切です。そのためにもキャッシュフロー計画などがあると役立ちます。

品質基準・サービス基準のチェック

自社が提供している商品やサービスが、ちゃんと自社のブランドに沿う基準になっているかどうかをチェックします。そのための仕組みを創っておくのも良いでしょう。

 

ダブルビジョンで仕事をしよう

社長の仕事は目の前ではなく未来を考えることだ、という意見もあります。今回2種類の仕事をご紹介したように、これは一理ありますが、かといって目の前をおろそかにしてはいけません。

「仕組み経営」の中では、ダブルビジョンという考え方があります。これは長期的な視点と短期的な視点を両立させる、ということです。長期的な視点ももちろん大事ですが、目の前の一つ一つの仕事をクオリティ高く実行することも大事です。

戦略的仕事と戦術的仕事の関係を図で表すと以下のようになります。

仕事の流れ

戦略的な仕事は結果を定義すること。一方の戦術的な仕事とは、決められた結果を生み出すための実際の仕事です。優れた会社では、全社員が戦術的な仕事と戦略的な仕事の両方を行っています。

また、マイケルE.ガーバー氏は次のような言葉も言っています。

Dream Big, Think Small, Act Even Smaller.

大きく夢を見て、小さく考え(計画し)、さらに小さく行動せよ

これも先ほどのダブルビジョンの大切さを違う表現で言った言葉だと思います。

ぜひ今回ご紹介したことを参考に、社長の仕事に取り組んでみてください。