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会社(事業)売却と社長の出口戦略【仕組み化の原則】

マイケルE.ガーバー氏著の「はじめの一歩を踏み出そう」を読まれた方であれば、経営者は会社を売れるようにしなくてはならない、と書いてあったのを覚えてらっしゃるかもしれません。

仕組み化をお伝えする際には、必ずこのテーマも合わせてお伝えしています。仕組み化の大きな目的は、会社を売れる状態にすることだからです。

永遠に所有していけるように、しかし、明日にでも売却できるように今日のビジネス構築に臨め。

これは実業界で語られ続けている格言です。経営者が高齢化(東京商工リサーチによれば、平均61.9歳)しているせいで、会社が存続できなくなり、自主廃業せざるを得ない会社が増えているのです。自主廃業するくらいなら、社員のためにも他の誰かに会社を売って、存続させたいという経営者が増え、スモールM&Aが増えているのです。

事業(企業)売却の2パターン

あなたが会社を売るとなった時、2つのパターンがあります。ひとつは意図した売却です。会社を売却できるように準備をし、計画立てて売却する場合です。この場合、会社を売れるようにしていく過程で、企業価値が高まり、オーナーの希望するような売却額で売れる可能性が高まります。また、残った社員に対する配慮もされるため、いわゆる「ハッピーリタイア」となります。

また、仕組み化されていて経営者が交代しても経営できる会社と、そうではない会社では、売却時の価格に何倍も差が付くともいわれています。あなたでしか経営できない会社であれば、買い手は買う意味がないので当然です。

もうひとつが、強制売却です。これは後継者を育成できなかった経営者や、病気や死亡などの理由で急に経営者が働けなくなった場合に生じるケースです。

この場合、売却金額も二束三文にしかなりません。

あなたがどちらの道を選ぶことになるかは、あなたが今取る選択肢、すなわち、今のまま経営を続けるか?社長が交代しても経営できる仕組みを作るか?それ次第と言えるでしょう。

チップコンリーはなぜ会社を売ったか?

「会社を売るなんてとんでもない。社員はどうするんだ?」

という方もいらっしゃるかもしれませんね。ただ考えてみてください。もし、あなたが今のビジネスに情熱を失ってしまったらどうしましょう?また、何十年か先、ビジネスモデルが時代についていけなくなったらどうしましょう?

そんな時、会社が売れる状態になっていれば、もっと大きい会社に売却してしまったほうが、ビジネスの成長が加速され、社員も幸せになるかも知れません。

会社を売るのは恥ずべきことではありません。ジョワドヴィーブルという有名なホテルチェーンを創業したチップコンリー氏という人がいます。マズローの欲求段階説に基づいて経営し、世界的に知られた経営者です。

そんな彼も、ホテル経営よりも情熱が持てる分野が見つかったことが理由で、ホテル事業を売却し、次のキャリアをスタートさせました。このように人の情熱というのは年齢によって変わってくるものです。あなたが本当に情熱が持てることをやることが、利害関係者にとっても幸せな道と言えるでしょう。

もし、あなたが当面会社を売るつもりが無いとしても、仕組み化を進め、売れる状態にすることは大切です。会社が売れるということは、その会社が他(他社、社員、顧客)から見ても魅力的であるということです。イコール、業績にも良い影響が出ますし、人の採用もしやすくなります。

高値で売却できる会社の条件

ではどうすれば高値で売れる会社が出来るのか?そのいくつかのヒントをご紹介していきます。

高値で売れる会社を作るために必要な要素を8つに集約させました。ここではその8つの要素を簡単にご紹介いたします。

1.財務状況

高値で売れる会社を作りたいならば、投資家が買収価格を決めるロジックを理解する必要があります。これは顧客のニーズを理解するのと同じです。当然ながら、財務状況は大きな価格決定要因になります。IT系のスタートアップ企業なら話は別かもしれませんが、通常の中小・スモールビジネスの売買においては健全な財務状況が求められます。

2.成長のポテンシャル

あなたが対象としている市場は、将来的に成長が見込めるでしょうか?または市場が縮小していくでしょうか?このような外部要因は買収価格に大きな影響を与えます。起業家にとって、市場の選択は極めて重要です。

とあるベンチャーキャピタリストは、”スタートアップで最も重要なのは市場の選択である。正しい市場を選べば、創業メンバーがよほどの無能でない限り、事業は拡張していく。”というような発言をしていました。もちろん、持続的に成長していくためには正しい市場を選ぶだけでは不十分ですが、市場選びが間違っているとスタートで躓きます。

3.自立度

自立度とは、あなたの会社の運営が何かに依存せず、自立して運営できているかどうか?たとえば、どこか大手の下請けが売上の大半を占めているならば、自立度が低いといえます。

4.キャッシュフロー

あなたの会社の買い手が最も重視するのは、あなたの会社が将来どれだけのキャッシュフローを生むか?です。財務諸表上のレポートで利益が上がっていたとしても、現金の巡りが悪ければ、それだけ企業価値も下がってしまいます。

5.売上安定性

いくら売上が大きくても、それがいつ減ってしまうのかわからなければ、価値は下がります。買い手が重視するのは、いまの状況ではなく、将来の状況です。売上安定性を高めるには、継続的に課金できるサービスや商品を持っていることが重要です。

6.市場支配力

あなたのビジネスは、市場においてどれだけ支配力があるでしょうか?たとえば、価格の決定権はありますか?競合は模倣されにくいビジネスになっていますか?市場の支配力がある会社は、それだけ永続的にキャッシュフローを生み出すとみなされ、高い価値が付きます。

7.顧客満足度

顧客満足度が企業価値に影響するというのは何となくは理解できると思います。顧客に支持されていない会社に高い価値が付くわけがありません。しかし、ここで重要なのは、顧客から評判が良い、というだけではなく、顧客満足度を図り、改善していくシステムがあるかどうか?という点です。そのようなシステムがあれば、現在だけではなく、将来的にも顧客に愛される会社になることが想定されます。

8.経営チーム

比較的規模が大きい会社であっても、細かいところまで意思決定権をすべて創業社長が握っているという会社は少なくありません。そういう会社では、他の社員は社長の指示を待つだけになりがちです。したがって、創業社長が会社を離れてしまえば、つまり、会社が売却されてしまえば、組織全体のパフォーマンスがあっという間に落ちてしまいます。そのような会社を高い値段で買いたいという人はいないでしょう。要するに、「あなたがいなくてもうまく回る会社」でなければ、高値では売れないのです。

以上、8つの要素をご紹介しました。ご覧いただければわかる通り、これらは何も会社を売却するときだけに役立つものではありません。

高値で売れる会社の肝は、そのビジネスの再現性です。ほかの経営者が経営しても同じように経営できるか?これは会社を売却した時のみならず、後継者に会社を譲る際にも同じように重要です。

今回これらご紹介した要素を考慮しながら日々の経営に臨めば、経営者であれば誰もが望むような卓越した会社が出来るはずです。ぜひ日々の経営で意識されてください。