儲かるビジネスモデルの作り方

儲かるビジネスモデルの作り方を完全解説



ビジネスモデルとは何か?

経営者ならば知っていないとまずいこの言葉、わかっているつもりでも一言で答えるのは難しいですね。今回はそんなビジネスモデルとは何かをテーマに、儲かるビジネスモデルの作り方をご紹介していきます。

ビジネスモデルというとアカデミックなものや、ITスタートアップ企業向けの話が多いですが、本記事の対象読者は中小・成長企業の経営陣の方になります。

解説するのは、このサイト「仕組み経営」の運営者、一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。

私たちはこれまで海外の経営ノウハウをもとに、多くの中小・成長企業の経営をご支援してきました。そのノウハウも盛り込んでいきますのでぜひ楽しみにしていてください。

 

ビジネスモデルとは?

ビジネスモデルとは、一言でいえば「会社が収益をあげる仕組み/構造」のことです。

「ビジネスモデル」という言葉が今ほど有名になったのは、おそらく書籍「ビジネスモデルジェネレーション」が出版されてからではないでしょうか。私もこの書籍を何度も読み、ワークショップに参加し、仲間とともに、共著者のイヴ・ピニョール氏にインタビューしたこともあります。

ビジネスモデルジェネレーション

この書籍は、ビジネスモデルとは何か?を網羅的に示したという点で評価されるべきものだと思います。ただ、この書籍を読むだけでは、有能なファシリテーターやアドバイザーがいない限り、優れたビジネスモデルを生み出すのは相当無理があると思います。

そこで、ここでは、もう少し簡潔にビジネスモデルを考えるためのフレームワークをご紹介していきます。優れたビジネスモデルとは少なくとも次の質問に明確な答えを出せるものだと言えます。

  • 対象市場はどこか?
  • あなたはどんな問題を解決しようとしているのか?
  • その問題をどのようにして、他社よりうまく、安く、早く解決するか?
  • 利益モデルは何か?
  • 競争優位性をいかにして維持するか?

正直なところ、ほとんどの中小企業では、上記の質問に明確な答えは持っていないと思います。(持っていたら既にワールドクラスの会社になっているかもしれません)しかし、いずれにしろ、これらの質問を考え続けることが、優れたビジネスモデルを発明するためのプロセスになるはずです。

ビジネスモデルにもライフサイクルがある

ビジネスモデルについてはもう一つ重要な事実があります。それは商品や会社にライフサイクルがあるように、ビジネスモデルにもライフサイクルがあるということです。

起業家のバイブルである「はじめの一歩を踏み出そう」の著者マイケルE.ガーバー氏は書籍の中で次のように書いています。

”どのような会社であっても、社会が大きく変化して、存在意義を失い、顧客の要望にこたえられなくなるときは来るものだ。それを予め予想して、「新しい会社」ー起業家としての第二の人生の始まりーの準備を始めなければならない。”

ここで言っている「新しい会社」というのは、何も新しい会社を登記するということではなく、いまの事業を運営しつつ、時代の変化に対応した新しい事業を発明することを意味しています。

 

ビジネスモデルのバージョンアップ

ビジネスモデルのライフサイクルをうまく管理していくためには、ビジネスモデルのバージョンアップという考え方が必要になります。

たとえば、Windowsはバージョン1から始まり、いまでは10までバージョンアップしています。そして、そのたびごとに操作性を含めて、大きな変化を加えています。

ビジネスモデルのバージョンアップ

ビジネスモデルも同じように、時流や市場環境の変化に合わせてバージョンアップさせていく必要があります

先ほどのマイケルE.ガーバー氏は次のようにも言っています。

”現状を維持するためにわずかばかりの変化を加えるだけじゃなくて、会社を全く新しい場所に持っていくような根本的な変化を考えるべきなんだ。ワールドクラスの会社を創るためには、過去の成功した部分を残しながらも、決して聖域を創るべきではない。”

ここで言っている、「会社を全く新しい場所に持っていくような根本的な変化」というのが、ビジネスモデルのバージョンアップといえます。

これは新商品を出すとか、店舗を増やすとか、価格を変えるとか、そういうレベルの変化ではありません。利益の取り方、競争優位性、さらには必要ならば対象市場まで変えていくことを指しています。

実際、マイケルE.ガーバー氏が1977年に創業した会社では、私が知る限り、過去に少なくとも4回、ビジネスモデルの大きなバージョンアップを繰り返しています。2000年代に入ってからは2回ほどバージョンアップしているので、時代の変化のスピードが早まるとともに、バージョンアップのスピードも早まっているのだろうと思います。

理念はぶらさず、ビジネスモデルを進化させる

そして、重要なのは、ビジネスモデルがバージョンアップしても、創業時の「世界中の中小・スモールビジネスを変革させる」という思想は、創業から40年たった今でも変わっていないことです。理念はブラさずに、理念実現のための手段であるビジネスモデルは時代とともにバージョンアップさせていく、だからこそ、いまでも業界内で権威性を持った存在になっているのです。



他にもいま有名になっているワールドクラスの会社の歴史を紐解いてみると、その多くが、途中でビジネスモデルをバージョンアップさせています。そして、バージョンアップを繰り返したビジネスモデルが、ある時、市場とうまくマッチし、爆発的な成長を遂げているのです。

【理念だけではダメ】ビジネスモデルが間違っていれば努力は無駄

まず大事な事実をご紹介しておきます。

優れたビジネスモデルと貧相なビジネスモデル

という方程式です。

頑張り社長ほど、優れたリーダーになろうとします。それはもちろん必要なことですが、一方で、その社長が率いるビジネスのビジネスモデルが貧相であれば、、、いくら人徳があり、人間力が高く、社員から好かれていうようとも、ビジネスは貧相になります。いくら理念が素晴らしくても、ビジネスモデルがヘボければ利益が上がらず、肝心の理念も世の中に広まりません。

一方、平凡なリーダーであっても、ビジネスモデルがダントツに優れていれば優れたビジネスになります。正直、社長の人間性がクズでも、ビジネスモデルが優れていれば稼げるビジネスになります。こういった例をあなたも周りでよく見かけるはずです。

多くの経営者は、ハードワークや知性が成功の要因の9割を占めると考えています。しかし、実際には、優れたビジネスモデルが成功要因の5割以上を占めています。優れたビジネスモデルという基盤があることで初めて、ハードワークや知性が活きるわけです。一生懸命働いていても大して利益が出ないというのは、要するにビジネスモデルが間違っているのです。

 

職人型ビジネスモデルの兆候とは?

次に中小企業で非常に良くありがちな「職人型ビジネスモデル」というのをご紹介していきます。職人型ビジネスモデルというのは、簡単に言うと、社長(またはベテラン社員)の個人的スキルや能力、人脈などに依存しているビジネスです。

▶詳しくはこちら

仕組み化とは?計画から作り方までを解説。

 

ここでは、そのような職人型ビジネスモデルに陥っている兆候をご紹介していきます。自社が当てはまっていないかどうかを確認してみてください。

商品やサービスを売るのに高いスキルが必要である。

セールスやマーケティングのテクニックを学んでいる経営者も多いと思いますが、それよりも、高いスキルが無くても売れるようなビジネスモデルを設計したほうがはるかにインパクトがあります。 理想はバイトでも売れる商品やサービスを作ることです。高いスキルがないと売れない状態というのは、属人化しやすい(職人型になりやすい)のです。

社員一人当たりの収益が低い(生産性が低い)

生産性が低いと、ビジネスの拡張が期待できません。また仮に、生産性が低いまま組織が大きくなった場合、生産性が高い場合と比べて、余計なトラブルや悩み事が起きがちです。だから、最初から生産性が高いビジネスモデルを設計することが大事になります。

事業がコモディティ化している(他社と似たり寄ったり)

事業のコモディティ化は、価格競争を招き、スモールビジネスにとっては会社を縮小せざるを得ない大きな要因となります。そうなる前に、ビジネスモデルの再設計が必要です。

売上に波がある

売上に波があるということは、利益を生み出す仕組みに問題があることを示しています。また、売上に波があると、人を雇う、店舗を出す、などの投資に消極的になり、結果として職人型ビジネスから抜け出すことが難しくなります。

市場全体が縮小、または停滞傾向にある

事業の成長可能性は、対象としている市場に大きく左右されます。ビジネスモデルをしばらく変えていない場合、既に成長が見込めない市場で勝負している可能性があります。

技術の進歩に付いていっていない

あらゆる業界において、技術の革新的な進歩が見られます。成長するビジネスは、どこかのタイミングで、技術に大きな投資をして、積極的にビジネスモデルを再設計しています。

事業全体が何かに依存している

大手の下請けや少数の大口顧客からの案件に依存している場合、成長に限りがありますし、相手次第でいつ売り上げが激減するかわかりません。

今の倍の顧客に対応できるキャパシティがない

”行列ができる店”というのは聞こえは良いですが、大半の場合、職人型ビジネスモデルであるがために、キャパシティ不足になっているだけです。本来、そのサービスを受けるべき顧客に価値を提供できていないのです。

 

いかがでしたでしょうか。もしこれらの兆候があったとしても落ち込まないでください。これは経営者の能力や頑張りが足らないのではなく、ビジネスモデルの仕組みがマズいのです。そして、実は、こういった職人型ビジネスモデルから抜け出す方法があります。

儲かるビジネスモデルの最大の特徴

私たちの講座やコーチングを受けていただく方のほとんどは、素晴らしい事業目的や壮大なビジョンを持たれています。そういった理念は会社を成長させていくうえで、非常に重要なことです。

一方、理念だけでは成長できないのも事実。近代日本経済の父、渋沢栄一氏が言われるように「論語と算盤」、つまり正しい理念とお金を稼ぐ算段が必要です。

素晴らしい理念があるものの、いまいちビジネスが伸び悩んでいる場合、お金を稼ぐ算段が弱いのです。つまり、ビジネスモデルが弱いわけです。正しい理念の他に、

  • お金を稼げる市場を対象にしているか?
  • 生産性の高い利益モデルになっているか?
  • 他社との明確な違いがあるか?
  • “バイトでも売れる”ような販売モデルがあるか?
  • 利益率は業界水準より高いか?
  • コストを下げる工夫があるか?

こういった質問に答えられることが大事です。



あなたの商品(サービス)、バイトでも売れますか?

この中でも最も重要なのは、“バイトでも売れる”ような販売モデルがあるか?というものです。

中小企業の場合、トップセールスマンが社長自身ということがほとんどです。その理由は、社長が一番人脈があり、商品に情熱があるから、ということもありますが、そもそも高度な営業スキルが必要なモデルになっている、という理由もあります。

まず、そのモデルを変えなければ、職人型ビジネスモデルから抜け出すのが難しいです。理想はバイトでも商品を売れるようにすることです。世の中で広がっているビジネスを見てみてください。そのほとんどが、バイトでも売れる仕組みを持っています。逆に広がっていないビジネスは、専門スキルを持った社員が販売しています。この違いがビジネスが成長するか否かの大きな違いなのです。

営業やマーケティングを学ぶ前にビジネスモデルを変えよう

バイトでも売れる仕組みがなければ、社長自身がマーケティングやセールスのスキルを身に付けることに必死にならざるを得ません。実は、それが中小・スモールビジネス向けにマーケティングやセールスを教えるコンサルタントや講師が世の中にたくさん存在する理由です。

本当の起業家は全く正反対の考え方をします。”そもそも世の中にはそんなに優れたスキルを持つ人はいない”という前提に立ったうえで、最初から自分以外でも商品やサービスを売れるようにビジネスモデルを作ります。

まとめると、、、、

ビジネスモデルが優れていれば、セールスやマーケティングの仕事は楽になります。逆に、ビジネスモデルが貧弱であれば、セールスやマーケティングの仕事が困難になります。

ですから、経営者の仕事は、「社員が楽に仕事ができるように、優れたビジネスモデルを創ること」です。

ビジネスモデルを変革するフレームワーク

儲かるビジネスモデルの作り方

では、どのようにしてそのような優れたビジネスモデルを作るのか?実は、脱・職人型ビジネスモデルのための、体系的な方法があります。これは私が海外で学び、日本語化したもので、”ビジネスモデルサークル”と言います。

ビジネスモデルを体系的に整理し、23のカテゴリーに沿って質問に答えていくだけで、仕事時間を削減しながら稼げるビジネスモデルが完成するというものです。以下が、その23のカテゴリーの一部です。

市場魅力度

市場選びが間違っているとスタートで躓きます。いまあなたが対象としている市場が本当に魅力的なのかを見直します。

実はほとんどの中小企業は、対象としている市場が”良い市場なのか?”、”悪い市場なのか?”を考えずにスタートします。たとえば、独立開業しようと思った場合、たまたま自分がそれまで会社員として所属していた業界で、似たようなビジネスを始めるからです。エンジニアは、SI企業をスタートさせ、美容師は美容室をスタートさせ、歯科医は歯科医院をスタートさせます。このような場合、独立開業時に”その市場が魅力的かどうか?”を考慮することが少ないのです。ですから、改めて次のような質問を問いかけることが必要です。

  • あなたの対象市場は全体として成長しているか?縮小しているか?
  • 10年後も今と同じかそれ以上の利益が見込めるか?
  • どれだけ多くのプレイヤーがいるか?彼らの強さは?
  • 他の市場へ参入できる可能性があるか?
  • いまの市場は、あなたの会社の強みや資産を活かせるか?

UVP(ユニーク・バリュー・プロポジション)

UVPとは、”あなたが顧客に提供できるユニークな価値”です。対象市場に対して、どんな価値を提供していくか?つまり、顧客のフラストレーションをどう解決するか?さらに、他社が出来ない方法で、それをどう実現するか?を決めていきます。たとえば、次のような質問を問いかけることが必要です。

  • あなたの商品がなくなったら、顧客はどうなる?
  • 商品が解決できる課題はどれだけ大きいか?
  • 同じような商品は市場にどれくらいあるか?
  • 同じような課題を解決できる商品はどれくらいあるか?

利益モデル

利益モデルとは、要するに、どう利益を上げるか?です。利益モデルを考えるときに重要なのが、 ”高いスキルを持つ営業マンがいなくても商品が売れる” ということです。高度な営業スキルを持っていなくても、利益が上がる仕組みを考えていきます。たとえば次のような質問を問いかける必要があります。

  • 単品販売だけで十分な利益が出るか?または追加の商品が必要か?
  • 一回の販売プロセスで複数の収益が生まれる機会があるか?
  • 顧客一人当たりの売上予測が経っているか?
  • 大衆に受けやすい商品があるか?

販売モデル

販売モデルは、どのようにして商品やサービスを売るか?です。努力やハードワークではなく、仕組みで商品やサービスが売れていくようなモデルを作ります。たとえば次のような質問を問いかける必要があります。

  • あなたと同じくらいうまく販売できる人はいますか?
  • 販売の流れは可視化されていますか?文書化されていますか?
  • 販売するためのキットはありますか?

競合優位性

競合他社と比べて何が優れているのか? そして、その優位性をいかにして維持するか?努力やハードワークによる差別化ではなく、他社が参入しようと思わない、または参入しようと思っても参入できない、といったような構造を創り出すためにどうすべきか?

イノベーション

ビジネスモデルを継続的に改善していくための仕組みを作ります。あなたのビジネスに以下のような兆候はありませんか?このような兆候がある場合、ビジネスモデルをイノベーションするタイミングです。

  • 利益率の低下
  • 長い期間、売上横ばい
  • 1日26時間必要
  • 採用が難しい
  • 競合他社の増加
  • 原価の増加
  • 業界成長率が経済成長率に追い付いていない
  • 成長もせず、倒産もしない
  • 低い生産性
  • 外から見て、魅力的ではない業界やビジネスモデル
  • 自社の魅力(条件や文化、新規性)を打ち出すことが難しい

出口戦略

現在の社長が会社を”引退”し、新しい経営陣に会社を引き継ぐための戦略を決めます。

 

ビジネスモデルを見直すために

以上、ビジネスモデルの基礎から、職人型ビジネスモデル、ビジネスモデルサークルなどについて解説してきました。ぜひ以上を念頭に置きながらビジネスモデルを見直してみてください。

また、本格的にビジネスモデルを変革していきたい方は、以下から続きをご覧ください。

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