会社を仕組み化するに当たって、一番重要なのは、実は経営ビジョンを明確化することです。
経営ビジョンとは、ビジネスが完成した時の具体的なイメージです。
https://www.shikumikeiei.com/shikumistep/7-2/vision/
仕組み化の正しい順序は、
ビジネスが完成した時に、いったいどのような状態になっているのか?
まずそのイメージを思い描き、そこに至るための仕組みづくりに取り組むことです。
つまり、経営ビジョン無くして仕組み化無し、と言えます。
経営ビジョンと経営の仕組み化がどうつながるか?
ただ、そうは言っても、仕組み化と経営ビジョン、この二つがいまいち結びつかない方もいるかも知れません。
マイケルE.ガーバー氏がビジネスコーチングの会社をスタートさせたとき、
最初にクライアントに伝えたのが、ビジョンの大切さでした。
しかし、ほとんどのクライアントは仕組み化とビジョンの関係性が結びつかず、
ガーバー氏も、経営ビジョンの重要さを伝えるのに苦労したと聞きました。
そこで彼は、経営ビジョンの大切さを伝えるために、”IBMが成功した理由”を講演や書籍などで伝え始めました。
以下にその講演内容を抜粋してご紹介させていただきます。
ここでIBM創設者のトーマス・ワトソンについてお話ししたい。誰もが認めなくてはならないだろうが、IBMは比較的に成功している会社でありながら、誰もがそうであるように、問題を抱えている時期もあった。とはいえやはりIBMはすでに成功している会社だ。
さて、スモールビジネスを所有・経営している人たちにIBMの話をすると、こいつは少しおかしいのではないかという顔をされる。「何のためにIBMの話などするのか? うちはIBMではない。IBMになりたいわけではない。IBMは巨大企業で、うちはスモールビジネスに過ぎない。巨大企業になるつもりなどない」というわけだ。
トーマスはあなたと同じように、朝起きて、朝食を取って、仕事に行って、私たちが一緒に働いているのと同じような人たちと働いた。同じように自然の力に対処し、私たちの間にも経験した者がいるような大きな不況や景気後退をくぐり抜けたのだ。
しかし、あの男はどうやったのだろう? 誰かの質問に答えて彼は次のように言った。
IBMでわたしは3つのことをした、と。これは重要なことだから書きとめて欲しい。
IBM創成期においてトーマスが最初にしたのは、ビジネスが最終的にできあがったときにどんな姿をしているかの青写真を持つことだった。彼はビジネスが最終的にできあがったときにどんな姿をしているかの青写真を持った。あなたも自分に対して問いかけて欲しい。自分のビジネスが最終的にどんな姿を取るのかを。
言わせてもらえば、この問いに返答できたビジネスオーナーにいまだかつて出会ったことがない。ビジネスは最終的にどんな姿を取るのか? ビジネスが最終的にできあがったときにどんな姿をしているかの青写真を持たないなら、ビジネスは決してできあがらないのだ。
トーマス・ワトソンは言った。彼はビジネスの青写真を持っていて、最終的な姿が分かっている、と。あなたのビジネスは最終的にできあがったときにどんな姿をしているだろう?
トーマスが第2にしたのは、ビジネスが最終的に、青写真に描いたような姿になるならば、それを実現するためにどれだけの能力が必要なのか、それを実現するための能力を持っている人がどれだけ必要なのかを考えた。
あなたはあのIBM創設者たちの姿を知っているだろうか。ダークスーツ、糊の効いた白シャツ、黒光りするウィングチップシューズを身につけた彼らは、熱狂的で他に類をみない販売会社だった。世界を見回してもあのようなことをした者は他にいない。
いったいあのような人たちはどこから現れたのか? 誰もが言うのだ。「あのような人たちはどこにいるのか、トーマス・ワトソンよ」と。あのようなひらめきを持った人たちをどこで得ることができるのか?
IBMは銀行家よりも銀行業について知っていた。IBMは配給業者より配給業について知っていた。小売業者より小売業について知っていた。サービス業者よりサービスについて知っていた。
IBMで第3に彼らがしたのは、ビジネスが最終的にできあがった姿と現在の姿の差を埋めることだった。彼らは、実際には大企業とスモールビジネスの間に何の違いもないということに気がついた。大企業とは、単に正しいことをしているスモールビジネスだ。彼らは頭のなかのイメージを現実にするべくIBMで働いた。彼らは、1日ごとに自分たちがどれだけうまくやっているか、そして、目標を達成するためにどれだけうまくやる必要があるかを振り返り、理想と現実の差異を測ったのだ。
ところで、どうしてビジョンが必要なのか?ビジョンとは一体何なのか?ビジョンとは、実現しようとすることを心の中に抱く個人の能力のことである。心の中で、実現しようとすることのイメージを抱かなければ、どんな仕事をしても、日々のルーティンの領域から脱することはない。働いて、働いて、忙しい、忙しい・・・でも何のために?優れたキャンペーンをやり、優れたセールをやり、いい社員を採用し、、素晴らしいことをしたことで、一時的な満足を得るかも知れない。
しかし、それは、真の意味で自分の目的、目標に近づくというよりも、自分のビジネスからわずかに得られるものを得ているだけなのだ。自分たちの使命は何なのか、目標は何なのか、自分たちはどこに向かっているのか?
いかがでしたでしょうか。
話に出てきたように、ビジョン無くしては、目の前の職人仕事に終われて、日々過ごしていくだけになってしまいます。
ビジョンファンドは孫正義のビジョンから生まれた
話は変わりますが、ソフトバンクの孫さんは、いま10兆円という史上最大規模のファンドを創って、「群戦略」を進めています。群戦略とは、世界中のIT、AI領域の企業に巨額の投資をし、何百社という同志的結合の企業群を生み出すことです。
実際、weworkやuberなど名だたる巨大ベンチャー企業の筆頭株主になっています。ソフトバンクはもはや通信会社ではなく、巨大な投資会社と言っていいでしょう。
このような最近の動きを見て、もはや金儲けだけに走っている、と思われる人もいるようです。
しかし、この群戦略は、実はもう20年以上に孫さんが描いたビジョンだったのです。
彼はかなり昔から、会社を30年繁栄させるだけなら、ひとつのビジネスモデルでやっていけるかもしれない。しかし、300年続けるためには、ひとつのビジネスモデルだけではなく、企業群を創る必要がある、と考えていたのです。
つまり、孫さんの描いた経営ビジョンは、最近になったようやく形になってきた、と言えるかも知れません。
先ほどのIBMの話と同じで、彼は昔からまずビジョンを描き、その状態に向けて、日々行動をしてきたのです。
ビジネスは経営ビジョンから逆算
ちなみにソフトバンクの社外取締役、ユニクロの柳井さんが推薦する「プロフェッショナル・マネージャー」という本があります。
この本の中では、”本は最初から読むが、ビジネスは逆である。終わりを描いて、そこから始める”と書かれています。
”終わり”というのが経営ビジョン、ビジネスが完成した時の姿です。
ここでも経営ビジョンの大切さが語られています。
かくいう私たちもアントレプレナーシティという経営ビジョンを設立当初から描いています。
この経営ビジョンがあることで、いま何に集中すべきなのか、足りていない仕組みは何なのかがわかり、毎日前に進むためにやるべきことが明確になります。
ぜひあなたも自分のビジネスが完成した状態とはどんな状態なのか、イメージを描いてみてください。
では本日は以上となります。
引き続きよろしくお願いいたします。