最近話題の”セルフブランディング“および”パーソナルブランディング“。
セルフブランディングとは、個人をメディアを介してプロモーションしていくマーケティング方法のことで、起業家や経営者の中でも最近注力している人が多い印象を受けます。
ソフトバンクの孫正義社長やZOZOの前澤元社長などはその代表例ではないでしょうか?
今日は、そんなセルフブランディングについて、経営者・起業家のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」の著者マイケルE.ガーバー氏と起業家デイブの対談記事をご紹介します。
起業家デイブは、現在の課題(セルフブランディングから抜け出せない)をガーバーに相談し解決しようとします。
SNSの時代、セルフブランディング/パーソナルブランディングに力を入れている起業家は多いですが、一方で、自分をブランディングしようとすればするほど、自分に仕事が集中してしまい、職人型ビジネス、つまり自分自身がいないと会社として成り立たないような経営から抜け出せないという欠点もあります。
デイブもその欠点に苦しむ一人でした。
本記事では、経営者・起業家のビジネスにとってセルフブランディングがどのようなデメリットを与えるのかを明らかにし、そこから抜け出す方法について紹介しています。
以下からどうぞご覧ください!
セルフブランディングのデメリットとは?
デイブ
私の本業はwww.AskDaveTaylor.comを運営することです。オンラインによる無料テクニカル・サポートを提供しています。
携帯電話の使い方から、PCブートをより速くする方法、新しいアップルiPadを使用した作業の仕方まで多岐にわたります。
現在抱えている課題は、ほかにも複数の会社から取締役会に入るように誘われていることです。それらの仕事をどういう基準で選べばよいのかわからず、日々、焦点が移ってしまうのです。
マイケルE.ガーバー
それで、あなたのビジネスの収益源はどこですか?
デイブ
主な収益源は、広告です。非常に収益が大きく、毎年成長しています。昨年はこれまでで最高の年でした。
マイケルE.ガーバー
では、あなたが明日(仕事を)止めるとすると、ビジネスはどうなりますか?
デイブ
長期にわたって徐々に衰えると思います。
本は出版された時点で販売され続け、印税が入り続けます。
しかし、人々は新しさを望むため、こういった印税は時間とともに衰えます。それと同じだと思います。
マイケルE.ガーバー
確かに。あなたの質問に戻りましょう。どのように焦点を絞ればいいのでしょうか。
私が思うには、その質問をするのはちょっとやめて、いまの本業の最後の最後まで行くことです。
あなたのビジョンの最終地点、あなたが描き出しているイメージの最後、あなたのベンチャービジネスの最後を目指すということです。
それを実現するには、あなた以外の他の人によって、サービスの提供が出来るようにしなくてはなりません。
そのサービスがきちんと提供されているかどうか、一歩引いたところから精査する必要があります。
それが出来れば、ビジネスの力は拡大します。リーチできる市場は拡大します。
あなたがやっている技術的な問題というのは、太古の昔から人々がもっており、誰かに頼りたいと思うものです。その誰かが、あなたなのです。
あなたは起業家的な視点で、「スケーラブル(拡張可能)」にしなくてはいけません。
結局のところ、あなたがユーザーと個人的な交流をしているのなら、それはスケーラブルではないのです。
いまの状態で人を雇ったとしても、彼らは自分の経験で勝手に回答をし始めるでしょう。
そして何が起こるかというと、そのブランドは衰えてしまいます。
なぜなら、誰が質問に答えているのか、誰もわからなくなってしまうからです。
突然、“デイブ“というブランドは消失してしまいます。これは一瞬のうちに起こり得ます。
起業家がセルフブランディングから抜け出すには?
デイブ
それでは、その代わりに、自分自身がブランドであることを辞めるには、どのようにすれば良いのでしょう?
マイケルE.ガーバー
そうですね、品質管理の方法を開発し、あなたの代理としてそれを行う品質管理者を雇うか、そういった品質管理者と契約を結びます。
品質を管理する系統的な方法があるのです。
ただし、その方法を使うには、あなたが品質とはどういう意味なのか、つまり「これは質の高い回答なのか、そうではないのか」を非常にはっきりと理解していることが条件です。
デイブの方法論、すなわちデイブの品質に照らしてみたとき、はい、またはいいえ、とはっきり言える必要があります。
あなた自身は、それが自分の基準に合う回答かどうかすぐに判断することができるでしょう。
その基準となるものは何でしょうか?
それがデイブ品質の回答なのか、デイブに認定された回答なのか、そうではないのか、どのようにして判断するのでしょうか?その評価基準は何でしょうか?
デイブ
そうですね。私の評価基準とは、明確で、首尾一貫していて、正確で、非常に理解しやすい回答であることです。
そして最も重要なことは、人々を見下さないということです。
ユーザーが何かを理解できないからといって、私は彼らが馬鹿だとは思わないということです。彼らはまだそれを理解していないだけで、それは簡単に解決できるのです。
マイケルE.ガーバー
素晴らしい。こういうことですね。
「私はあなたより優れているわけではありません、私はあなたの役に立つために単にこれを勉強しただけです、あなたの混乱を理解できます、なぜなら、世間一般では、技術的な問題に対する分かりやすい解決策を得るのはとても難しいからです」
これがあなたがしていることですね。
デイブ
まったくそのとおりです。
マイケルE.ガーバー
では、あなたはそれをターンキーにするべきです。
※ターンキーについてはこちらの記事をご参照ください。
企業のCEOとして、起業家としての覚悟があるならば、それをターンキーに出来ます。
あなたはもう、一人の技術者ではないのです。
もう二度と質問に答えなくても、機能するブランド、拡大できるビジネスをデザインできるのです。
デイブ
そうですね。ただ、私は会社組織を大きくしたいわけではありません。
マイケルE.ガーバー
私はいつも、誰に対しても言うのですが、実際にあなたがそれを指数関数的に成長させ、37人や100人ではなく、100万人の人々に同じようなサービスを提供できるのなら、なぜそうしないのですか?
彼らは皆、問題を抱えているのです。
彼らは皆ニーズがあるのです。何故あなたは無料で彼らに貢献することを拒むのでしょうか。
アマゾン社が行ったことをあなたは何故しないのですか?何故あなたはそうしないのですか?
デイブ
いま私は従業員を雇っておらず、諸経費もかからず、たくさんの技術者を雇うような複雑なこともしていません。
だから品質を保てるのだと思います。
マイケルE.ガーバー
それはいつも職人型の経営者が私に言う言葉ですね。
つまり、
「これは私自身のライフスタイルの上に築かれたライフスタイル・ビジネスなのです」というものです。
あなたは世界中の人々に貢献するという仕事にチャレンジするにあたって、いまのライフスタイルを変える必要はありません。
あなたがしなければならないことは、焦点を変えることだけです。
世界中に、何億という人たちが、質問に対する答えが得られないために、困っているのです。答えが得られるのであれば、彼らは喜んでお金を払うでしょう。
デイブ
その通りです。
マイケルE.ガーバー
これは世界を一変させるチャンスだと思ってください。あなたならそれができます、デイブ。真剣に向かい合ってみましょう。あなたは多くの者が持っていない何かを持っています。
今、あなたが質問しなければならないことは、「それを誰にでも利用可能にするにはどうしたらいいのだろうか?」ということです。
デイブ
分かりました。スケーラビリティに焦点を合わせるということですね。
マイケルE.ガーバー
その通り、何故でしょう?
なぜなら、あなたは世界に貢献することになるからです。
誰かがそれをしなければならないからです。そして、何故それはあなたにとって重要なのでしょう?なぜなら、あなたはやり方を知っているからです。
私たちのほとんどが技術的な問題に直面し、不満を抱いています。
あなたは、一握りの人たちではなく、可能な限り多くの人々に役立つために、あなたが独自の価値を提供するのです。それがあなたが存在する理由です。
デイブ
分かりました。ひとつ気になるのは、ユーザーが私の名前を冠してあるサイトに来て、回答がすべて他の人によって書かれている場合、問題が生じませんか?
マイケルE.ガーバー
そうはなりません。
なぜなら、デイブ・テイラー社が行っているサービスだからです。他の誰のものでもありません。
あなたはシステム、つまり方法論を創り上げるのです。
あなたが作った基準、あなたが作った品質管理の仕組みによって、他の誰かが、あなたと同じことを出来るようになるのです。
この質問に答えてください。「実際これが成し遂げられることができるならば、実際たったいま、問題を解決しようとしている何億兆もの人々にとってこれが間違いなく意味のあるものであるとしたら、これを成し遂げるために、時間と労力を投資する価値はあるでしょうか?」
デイブ
ええ、もちろんあります。一目瞭然です。
そもそも私にとって他人の役に立つことは一番のモチベーションになります。
マイケルE.ガーバー
では、それをやってください。進展があったらまた教えてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
デイブの会社には、彼自身の魅力に惹かれた顧客が多く集まっていました。
しかし、これでは彼以外の人間が少しでも違ったやり方で顧客対応を行うと、会社のブランドや評判が大きく落ちてしまうことに繋がるため、彼は人を雇って会社を大きくすることはできません。
これが起業家・経営者のセルフブランディングの最大のデメリットです。
このような欠点をカバーするためには、彼の仕事のやり方を方法論として体系化すること、つまり誰でも同じことができるように仕組み化・マニュアル化することが必要だということがわかりました。
仕組み化・マニュアル化によって彼は会社のスケールを拡大し、現場社員ではなく経営という経営者としての本業に注力できるようになるでしょう。
仕組み化・マニュアル化についての詳しい情報はこちら。