経営者の成功

経営者の成功を測る8つの基準とは?



清水直樹
経営者となったからには成功したい、というのは誰もが考えることでしょう。しかし、いったい経営者としての成功とは何でしょうか?ここでは、経営者の成功を測る8つの基準をご紹介していきます。

 

経営の成功率はどう測るのか?

中小企業庁によると、5年以内の起業の失敗率は18.3%となっています。 逆に言うと、81.7%は、5年以上生き残ることに成功していると言えます。ただ、個人的には一般的に言われるこのデータはあまりあてにならないと思っています。なぜならば、

5年以上生き残ったとしても、それが「成功」といえるかどうかはわからない。

私はこれまでに4社ほどの経営に携わっています。そのうち、最初に作った会社は10年以上生き残っていましたが、ちょうど10年くらい経ったころには、実質、その会社での活動はしておらず、別会社で別のビジネスをしていました。つまり、1社目の会社は、会社としては存続しているが、ほとんど実態が無い状態で何年もたっていたのです。こういう会社は世の中に結構あると思います。このような幽霊会社だけではなく、5年以上居k残っていたとしても、社長が細々と生活をやりくりしているだけ、という状態の会社はたくさんあります。したがって、5年以上、さらには10年以上生き残っていたとしても、それで成功とは限らないのです。

5年以内に倒産、廃業したとしてもそれが経営者としての失敗とは限らない。

いまは会社を作ること自体は非常に簡単になっています。たとえば、自分で創業した会社があったとして、創業3年後にもっといいビジネスアイデアを見つけたとします。そのために、新しい会社を作ります。そして、最初に作った会社を自主廃業させたとします。この場合、会社は5年以内に廃業してしまっていますが、経営者自身は、別会社で新規事業に意欲を燃やしている状態となります。果たしてこれが失敗と言えるでしょうか?

というわけで、公的機関が出している経営の成功率、失敗率などたいして役に立たないのです。

 

経営者の成功、失敗とは

次に、経営者としての成功、失敗とは何を意味するのかを考えてみましょう。経営している会社が年商100億円になったら成功でしょうか?たしかに会社としては成功している部類に入るかもしれません。しかし、経営者が働き過ぎのせいで身体を壊していたらどうでしょうか?会社は成功しても、人生は失敗したと言えるかも知れません。

そこで、経営者の成功、失敗を測る基準を以下の通り8つご紹介していきます。

経営者の成功
経営者の成功

成功の基準1.身体的な健康を保つ

経営者にとって、何より、身体的な健康が一番大切です。たとえ、手持ちのお金をすべて失ったとしても、身体的に健康であれば何度でもやり直しがききます。そういう意味で、身体的に健康であるだけで、すでに大きな財産を得ていることになるのです。せっかく経営者としてキャリアを積んだのに、体調を崩してしまっては意味がありません。裕福になったとしても、病状に伏していたとしたら、お金を使う機会もありません。

ちなみに、WHOによれば、健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。

あなたは身体的に健康な状態ですか?

成功の基準2.精神的な健康を保つ

精神的な健康というのは、あまりイメージが付かないかもしれません。しかし、経営者にとって精神的な健康は、会社の業績や文化にも影響を与える非常に重要な要素です。

経営者にとって、精神的な健康が何を意味するかと言うと、

  • 自分が本当に情熱を持てるビジネスをしている。
  • 顧客の成功が自分の成功だと本気で思える。
  • 1日終えた時、ストレスではなく、明日へのワクワク感で満たされている。
  • 5年後、10年後の会社と自分の人生のビジョンが明確になっている。
  • 毎日、そのビジョンに向けて進んでいると実感できる。
  • 会社の文化に自分の個人的な価値観が反映されている。

などになります。

 

ジョン・ウッデンの成功の定義

伝説のバスケットボールコーチといわれるジョン・ウッデン氏は、成功を次のように定義しています。

成功とは、なりうる最高の自分になるためにベストを尽くしたと自覚し、満足することによって得られる心の平和なのである。
– ジョンウッデン

これはまさに精神的な健康を実現している状態と言えるでしょう。

 

成功の基準3.家族関係を成功させる

経営者にとって、会社の経営と家族は切っても切れない関係にあります。会社が家族経営ならば猶更重要性は増しますが、そうでなくても、家族関係は同じように重要です。私の師匠であるマイケルE.ガーバー氏は、会社と家族の関係について以下のように語っています。

すべての会社は家族経営である。

この事実を無視すると悲劇が訪れる。

会社が実際に、家族で経営されているかどうかは関係ない。会社と家族が、実際にどのような関係にあろうとも、会社における意思決定は、家族からの影響を受けるものだ。

それを無視することは出来ない。

不幸なことに、大半の経営者は、彼らの仕事を家族とは関係ないものと考えている。

夫は妻に言う。

“お前には関係ない。”と。

しかし、それは真実ではないのだ。

家族と会社は切っても切り離せないものだ。

会社の中で起こることは、家庭の中でも起こる。

  • 仕事で苛立っていれば、自宅でも苛立っている。
  • 会社をコントロールできなければ、家庭もコントロールできない。
  • 会社でお金にトラブルを抱えていれば、家計にもトラブルを抱えている。
  • 会社でコミュニケーションのトラブルを抱えていれば、家庭でもコミュニケーションにトラブルを抱えている。
  • 会社でメンバーを信頼していなければ、家族のことも信頼していない。

これらのことによって、あなたは信じられないほど大きい代償を支払っているのだ。

 

成功の基準4.経営能力の向上を続ける

営業や開発などと同じく、経営という仕事もひとつの職業と言えます。日本でも増えてきましたが、海外では複数の会社経営に携わり、成果を出す「経営のプロ」がいます。その職業的能力を向上させ、誰からも認められる経営者になることも成功の基準と言えます。

経営能力については、以下の記事に「経営者の資質」というテーマで書いていますので、ぜひご参考にされてください。

経営者の資質を12個のチェック項目でテストしよう



 

成功の基準5.経済的豊かさを手に入れる

当然ながら、お金は重要です。経営者として経済的豊かさを得る方法としては、大きく分けると2つあります。

インカムゲイン(役員報酬)

一つ目は、経営している会社から役員報酬をもらうことです。いわゆるインカムゲインです。日本総研の2020年度のデータによりますと、東証一部・東証二部上場企業 2,600 社における社内取締役の平均報酬は2,660 万円だそうです。上場していない会社の場合には、役員報酬が公開されていませんが、これくらいの報酬を得ている社長はゴロゴロいるでしょう。ただし、役員報酬には給与と同じように所得税などがかかりますので、実際の手取りはもっと少なくなります。

役員報酬はどう設定するか?

ちなみに役員報酬はどれくらいに設定すればいいのでしょうか?これは社長次第と言えますが、同じく日本総研のデータによりますと、東証一部・東証二部上場企業 2,600 社における各社の当期純利益に対する役員報酬総額の割合は 7.0%(中央値)だそうです。つまり、純利益が1億円の場合、役員報酬は700万円ほどと言えます。利益を1億円出して700万円というのは少ないような気もしますね。ただ、実際のところ、経営者は社宅扱いにしている自宅や、社用車扱いにいしている車があったりしますので、生活の質の体感値は、役員報酬額よりも高くなりそうです。

 

キャピタルゲイン(上場や売却)

経営者が経済的豊かさを得る二つ目の方法は、会社を上場させたり、売却したりして、株式売却によるキャピタルゲインを得る方法です。創業社長や株を持っている社長の場合、役員報酬よりもこちらのほうが大きなリターンを見込めることが多いでしょう。

たとえば、ユニクロの柳井氏の2020年度の役員報酬は4億円(東洋経済による)で、上場企業の中では44位とそれほど高いわけではありません。しかし、資産は2兆円を超えています。内訳はユニクロ株式の評価額がメインですが、現金でも数千億円を所有していると言われています。これは柳井氏がユニクロを成長させ、上場させたことによるキャピタルゲインです。

 

インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを目指すか?

経済的豊かさを実現させたいと思った場合、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを優先させるべきでしょうか?これも社長の人生計画やビジョンによります。上場や売却等は目指さず、着々と経営をこない、役員報酬をもらい続ける、というのも一つの手です。一方、当面の役員報酬は低く抑えておき、その分を成長への投資へ回し、企業価値の向上を目指す、というのも手です。

 

成功の基準6.良質な人脈を持つ

経営者にとって、良質な人脈(コミュニティ)はそれ自体が財産と言えます。健康と同じく、全てのお金を失ったとしても、良質な人脈を築いていれば、再起のために資金提供してくれる人もいるはずです。また、経営の悩みを相談できる相手やアドバイスをくれる師匠などがいれば、そも大きな財産と言えます。

私がメンターとして学びを得ているロビン・シャーマ氏は、そのような良質な人脈を「サークル・オブ・ジーニアス(天才の輪)」と呼んでいます。

地域や趣味のコミュニティも重要です。社長も仕事を引退したらただの人です。経営を退いたとたんに急に老け込んでしまった、という人が多いようです。これは会社以外に自分の生きがいや人脈がなかったことが原因だと言われています。そうならないよう、仕事以外のコミュニティも大切なのです。

 

成功の基準7.挑戦の機会を持つ

経営者は本来、挑戦好きです。そうでなければとても日々の経営を出来ませんからね。そこで、日々、何かに挑戦しているという感覚が大切です。それが身体的にも精神的にも活力を生み出しますし、ひいては会社の文化にも影響してきます。

一方、長年経営をしていると、その状態になれ切ってしまい、挑戦を忘れてしまうことがあります。新しいことに挑戦するよりも、いまある売上、いまある組織、いまある顧客を守ることに精いっぱいになってしまうこともあるでしょう。これは挑戦好きの社長にとっては不幸な状態と言えますし、会社自体も挑戦を忘れてしまっては、停滞の始まりです。

会社においても、人生においても新しい挑戦の機会を探してみましょう。

会社における挑戦の機会

  • 新規事業の機会を探す
  • 新しいエリアや顧客層を開拓する
  • 新しい商品・サービス・技術を模索する
  • 新しい出会いを探す

等々

人生における挑戦の機会

  • 身体を鍛える
  • スポーツに取り組む
  • 新しい趣味を始める
  • 新しいコミュニティに入る
  • 行ったことのない場所に行く

等々

 

成功の基準8.レガシー(遺産)を残す

ここでいう遺産とは、お金のことではありません。あなたがこの世に生きた意味を残す、ということです。これは人間にとって、最も崇高な目的とも言えます。

遺産、言い換えれば、

あなたが生きたことで、この世にどのような違いが生まれたのか?

あなたが死ぬときに、地球上での任務を完了したかどうかをどのようにして判定できるのか?

ということです。

金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流、人を残し続ける組織を残すのは超一流

良く言われる言葉で、「金を残すは三流、仕事を残すは二流、人を残すは一流」というのがあります。これを経営者の立場で言い換えてみると、

  • お金を残すというのは、個人的な資産を家族に残すこと、会社としての資産を後継者に残すことと言えます。
  • 仕事を残すというのは、自分が開発した事業、商品やサービスを残すことと言えます。
  • 人を残すというのは、会社にリーダーや後継者を育てることと言えます。

私はこれに加えて、さらに超一流の基準を提案したいと思います。

それが、「人を残し続ける組織を残す」ということです。これは経営者だけが出来る特権です。

松下村塾がいまもあったら?

人を残すというのは確かに尊いことだと思います。しかし、その残した人も結局はいずれは死んでしまうのです。それよりも、傑出した人材を輩出し続ける組織を創ることによって、永続的に世の中に違いをもたらすことが出来ます。

たとえば、吉田松陰は松下村塾において、優れた人材を輩出したことで有名です。これは人を残した、と言えます。しかし、一方、もし吉田松陰が松下村塾を現在に至るまで残るような教育機関にしていたならば、同塾からはいまだに傑出した人材が生まれ続けているはずです。(松陰先生はその志があったはずですが、当時の環境や時間がそうさせなかったのでしょう)

経営者にとって、人材を輩出し続ける組織こそが遺産と言えるのではないでしょうか。

優れたリーダーと超一流のリーダーの違い

優れたリーダーは現役時代に実績を出すが、超一流のリーダーは自分がいなくなった後に実績を出し続ける組織を残します。その典型例がスティーブジョブズです。彼は現役時代に卓越した実績を残しましたが、それよりスゴイ功績は、アップルという卓越した会社を創り上げたことです。彼にとっての商品とはiPhoneやiMacなどではなく、アップルという会社そのものだったのです。これは本田宗一郎や松下幸之助にも同じことが言えます。

参考:

スティーブジョブズの最大の功績はiPhoneじゃない?



 

 

経営者として、自分なりの成功の基準を持ちましょう

以上、経営者としての成功の基準を8つほどご紹介しました。これはあくまで私が考える成功です。成功の基準は、人それぞれだと思いますので、ぜひあなたなりの成功の基準を考え、それを追求してみてください。

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