従業員エンゲージメントの調査方法と質問集



清水直樹
従業員エンゲージメントという言葉が流行っていますね。そこで、この記事では、従業員エンゲージメントの調査方法、アンケート項目のサンプルを解説していきます。

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、会社と従業員一体感がどれくらいなのか?を示す指標と言えます。より具体的に言うと、

  • 従業員が会社に対して感じる愛着度
  • 従業員が従事している仕事へのコミット度
  • 従業員が会社に貢献しようとする意欲の度合

などがどれくらいなのかを意味しています。

従業員エンゲージメントが高い企業ほど、離職率が下がったり、利益が上がりやすいというデータがあります。問題は、どうすれば従業員エンゲージメントを高めていけるのかということになりますが、そのために、まずは現在地がどこなのか。いまの自社の従業員エンゲージメントはどれくらいなのかを調査することが大切です。

 

従業員エンゲージメントの調査方法

従業員エンゲージメントの調査は、主に従業員向けのアンケート/調査で行います。アンケートを設計、配信、集計してくれるツールも多くありますので、それらを活用してもいいでしょう。中小・成長企業であれば、そこまでのツールは必要ない、ということもありますので、その場合には調査項目を用意して、グーグルフォームなどで答えてもらうのでも十分かもしれません。

調査のステップ

1. 誰が調査項目を決め、承認するかを決める。

調査項目を決める。以下の調査項目のサンプルを参考にしながらも、自社に必要のないものは削除します。調査項目を決める場合には、この調査でいったい何を調べたいのか?と自問しましょう。一般的に、従業員エンゲージメントの調査で分かることは、以下のようなテーマです。

  • 従業員が自社で働くことにどれだけ誇りを持っているか?
  • 従業員は自社にとどまりたいと思っているか、去りたいと思っているか?
  • 友人や家族に会社を推薦する可能性(「Employee Net Promoter Score」と言われる)はどれくらいあるか?
  • 会社のために何かをしたいという意欲がどれくらいあるか?

 

2. 調査文、質問文の言葉の定義を明確にする

これは見逃されがちですが、みんなが同じ認識で答えるために大切なことです。たとえば、「あなたの部署では・・」と言ったとき、この部署は何を意味するのか?その人が所属している「課」だと捉える人もいるでしょうし、より大きな枠組みの「部」であると捉える人もいるかもしれません。また、「経営陣は・・・」と言ったとき、どの人までを経営陣と捉えればいいのかを明確にしておくことが必要です。

 

3. 調査フォームを作る

ツールを使う場合には、問題ありませんが、自前で用意する場合には、そのセットアップが必要です。

 

4. 調査回答を得る

フォームを従業員宛てに送信し、回答を得ます。大半の場合、すぐにみんなが回答してくれることは稀なので、リマインダーを送りながら、2週間くらいかかると想定しておきましょう。

 

5. 回答を集計し、対策を打つ

大切なのはここからです。結果に基づいて、従業員エンゲージメントを向上させるための対策を検討していきましょう。調査だけして何も対策が無い、というのでは、逆に従業員エンゲージメントが下がってしまい、本末転倒です。

 

従業員エンゲージメントの調査項目と回答方法

では、調査項目のサンプルを以下にご紹介していきます。なお、回答方法については、通常、1~5(強く反対、やや反対、どちらでもない、やや同意、強く同意)のスケールで回答してもらうのがいいでしょう。YES/NOだけよりもデータが正確になりますし、1~10だと選択肢が多すぎて、回答するほうも考える時間がかかってしまいます。

基本項目:

  • 私はこの会社で働いていることを誇りに思っている
  • 私は自分の役割以上のことをしようという気になっている
  • この会社を家族や友人に働きがいのある職場として推薦したい
  • 2年後も私はこの会社で働いていると思う

経営陣/上司について

  • 会社の経営陣を信頼している
  • 経営陣から十分な情報やコミュニケーションを得ている
  • 経営陣は明確なビジョンを持っていて、私もそれに同意している
  • 会社の戦略と目標をよく理解していて、私もそれに同意している
  • 私は会社の戦略と目標に向けて、どのような役割をすればいいかを理解している
  • 上司は言行一致している
  • 上司は私の強みを理解し、足りない部分に対するフィードバックをしてくれる

働き方について

  • 私は仕事をするのに必要な意思決定権を与えられている
  • 上司は私のアイデアに耳を傾け、行動してくれる
  • 自分の仕事について、新しいやり方を考えるように推奨されている
  • 自分の仕事に影響する意思決定に関与する機会を与えられている
  • この会社は、必要に応じてリソース(人材、資金、その他)を適切に活用している
  • 私の部門には、仕事を成し遂げるのに十分な人数がいる
  • 私が効果的に仕事をするために必要なツール・設備・技術がある

コミュニケーション/協力関係について

  • この会社では、異なる経歴、年齢、意見を持つ人が一緒にうまく働ける環境になっている
  • 他の部門やチームと協力することが簡単に出来る
  • 仕事量は各メンバーに均等に配分されている
  • オープンで誠実な双方向のコミュニケーションが行われている
  • 会社で何が起こっているか、定期的に知らされている
  • 悪い情報も自由にコミュニケーショ ンを取ることができる

キャリア/成長について

  • この会社では、キャリアアップの機会がある
  • 上司は、私のキャリアの目標に合わせて、新しいことに挑戦する機会を与えてくれる
  • この会社での自分のキャリアパスを理解している
  • 日々の仕事はやりがいがあり、面白いと感じている
  • この会社では、新入社員のトレーニングが充実している
  • 自己成長のための機会があり、それを利用することができる
  • 私は自分の仕事で成功するために必要なトレーニングを受けている

待遇/評価/承認について

  • 私の仕事に見合った報酬を得ている
  • 私の給与は、他の会社で同じような職務に就いている人と比べて妥当だと思う
  • 私の給与は自分の成果に連動している
  • この会社は、成果に応じて人を評価し、昇進させている
  • この会社では、成功を祝う時間を設けている
  • 私は良い仕事をしたときに、上司からポジティブなフィードバックを受けている

商品/サービスについて

  • この会社が顧客にとって価値がある商品を提供している
  • 商品やサービスに問題があった場合、解決するまで努力する文化がある
  • 顧客の期待を超えるために行動した人が評価される

 

従業員エンゲージメントを高める仕組みづくり

以上、従業員エンゲージメントの調査方法や項目について解説をしてきました。ぜひ参考にされてください。なお、仕組み経営では、従業員エンゲージメントを高め、業績をアップさせていく仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下からご覧ください。

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