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フランチャイズの仕組みづくりで大成功。7万円を320億円にした事例。

清水直樹
清水直樹
今回はフランチャイズの仕組みづくりで大成功したカナダ発のゴミ収集会社、1-800-got-junk?社(現02E Brands)の成功ストーリーをご紹介させていただきます。

フランチャイズの仕組みづくりで大成功した1-800-got-junk?社(現02E Brands)とは?

URL:http://www.1800gotjunk.com/us_en

(左:「はじめの一歩を踏み出そう」著者マイケルE.ガーバー氏、右:ブライアン氏)

1-800-got-junk?の創業者、ブライアン・スカッダモア氏(写真右)は、創業まもない時期、1995年にガーバーの書籍「はじめの一歩を踏み出そう」を読み、会社を全面的に仕組み化して、成長させていくことに決めました。

最初、自己資金わずか700ドルで始めた会社は、今や年商3.2ミリオンドル(約330億円)以上になっています。もともとゴミ収集という市場は、小さな会社が乱立しているような状態でしたが、1-800-got-junk?が一気に支配的な立場になりました。

また、現在では、同じ住宅サービス市場において、壁の塗り替えや引っ越しなど、他に3つのブランドを立ち上げ、そちらも急速な勢いで成長しています。

今回の記事では、ブライアン氏のインタビュー内容をご紹介させていただきます。

 

すべては一台のトラックから。フランチャイズプロトタイプ(試作品)をスタートしたきっかけ。

聞き手:

まずゴミを集めて、どれくらいのビジネス規模になっているのかを教えてください。

ブライアン:

昨年は151か152ミリオンドル(約160億円)で、かなり成長を遂げました。我々はビジネスをスタートして25年ほどになりますが、いくつか新しいブランドのビジネスも立ち上げています。

※注:数年前のインタビューなので、売上高が現在よりも低くなっています。

人が生活をしていれば、ゴミ(粗大ごみ)が出ます。しかし、それをどうすれば良いか、みんなわかっていないのです。我々は回収したゴミの61%をリサイクルに回しているため、顧客にも「良いことをしている」と思っていただいています。

聞き手:

いまのビジネスのアイデアは18歳のときのマクドナルドのドライブスルーでの経験がきっかけと聞きましたが、どういう経験だったのでしょうか。

ブライアン:

当時、私は将来を悩んでいました。単位が足らずに高校を卒業することも出来ませんでした。大学に行くための学費を稼ぐため、仕事を探していたのですが、なかなか見つからず、自分のビジネスをスタートさせるのはどうだろうか?と思ったのです。

すると、私の前に古ぼけたピックアップトラックが止まっていました。私はそれを見て、”これを使おう”と考えたのです。そして、1週間以内に中古のトラックを700ドルで購入し、ゴミを有料で回収することにしました。

当時は、学費を稼ぐためにビジネスを始めただけだったのですが、こんな規模になるとは想像していませんでした。振り返れば、学校では起業家精神について学んだことは何もありませんでした。ビジネスを実際にやる中で学び、成長してきたのです。

聞き手:

最初の顧客はどのように見つけていったのですか?

ブライアン:

玄関のドアをたたき、”私はブライアンと言います。お宅のガレージの横にあるごみを回収させてくれませんか”と言って回りました。

そのようにして広告費を掛けずにスタートし、徐々に口コミで広がりました。また、トラックに1-800-GOT-JUNKと書いて宣伝していたので、見れば何番に電話をかければ良いのか一目瞭然でした。覚えやすい名前にしたのが良かったのです。

聞き手:

ゴミを集める仕事ということに抵抗はありませんでしたか?

ブライアン:

いえ、なかったですね。ビジネスを始めるとき、周りの人にアイデアを話しましたが、みんなそれは良いね、と言ってくれました。それがカッコいい業界であるかどうかは問題ではありません。いまでは私のたくさんの友人たちも、一緒に仕事をしています。

聞き手:

ゴミを集め始めて収入が得られ始めた後、どのようにして次のステージに進んでいったのでしょうか?

ブライアン:

”一夜にして成功するには、長い時間がかかる”という言葉があります。私たちのビジネスを見て、”突然出てきた会社だな”と感じる人もいますが、私たちは25年もやってきているのです。

次のステップ、という観点でいうと、稼いだお金は、次のトラックを買うことに投資をしてきました。

聞き手:

最初のトラックは700ドルで買ったそうですが、2台目を買うのにどれくらい時間がかかりましたか?

ブライアン:

2年もかかりました。89年にはじめたので、91年に2台目のトラック、93年に3台目のトラックです。そのあたりから、成長の勢いがついてきました。

 

フランチャイズの仕組みはどこから生まれたか?

聞き手:

そのころからあなたの対応できる限界が来たのでは?

ブライアン:

はい、友人を採用し始めました。1991年にプレス戦略を行いました。地元の新聞に電話をかけ、取材をしてもらったのです。彼らは私たちのビジネスのストーリーを書いてくれ、翌日、トップページに載りました。

聞き手:

新聞社にどうやって伝えたのですか?あらゆる起業家は、同じにやりたいと思いながら出来ていないと思うのですが。

ブライアン:

当時のガールフレンドが、”新聞社に電話してあなたのストーリーを伝えたらどう?”と言ったのです。私は”ストーリーってどんな?”と聞きました。すると彼女は、”起業したストーリーよ”と言いました。私は、そのとおりに新聞社に電話をかけ、”面白いストーリーがあります”と伝えたところ、彼らが興味を持ってくれたのです。

ブライアン:

フランチャイズにするというアイデアはどこから生まれたのですか?

ブライアン:

またマクドナルドの話に戻りますが、私はマクドナルドのファンなのです。それはハンバーガーについてではなく、レイクロックが作ったビジネスモデルについてですが。これは「はじめの一歩を踏み出そう」に書かれている通りです。

”もしレイクロックがハンバーで出来たならば、ゴミ回収で出来ない理由があるだろうか”と考えたのです。そして今では、フランチャイジーも大変成功しています。

 

全社員解雇からの復活

聞き手:

最初は友人を雇って、その後成長していくと、社員を組織化する必要が出てきますね。起業家と言うよりもマネージャーの役割が増えると思います。どのようにして優れたマネージャーになったのでしょうか?

ブライアン:

25年経って、より優れたマネージャーになるための一番の方法は、管理を止めることだとわかりました。私はADDで、いつも新しいことに目が行きがちです。私にとっては集中し続けることがとても難しいのです。

うちの会社には、エリックという社長であり、COOがいます。彼は元軍隊で、どのようにして人をリードするか、どのようにして目の前の仕事に集中させるか、そして、それらの仕事をどのようにして大きな青写真とつなげるかを知っています。

そこで私たちは、”ふたつでひとつ”というリーダーシップの方法を取っています。私がビジョナリーであり、彼が実行者です。これがうまく行っています。

もちろん、最初はいろいろなことを自分でやる必要があります。社員が10人、または50人のときでさえも。その過程で、リーダーシップについてたくさんのことを学びましたが、それは私の強みではありませんでした。

私の強みはビジョンを描くこと、文化を創ること、革新すること、新しいブランドを創ることです。すべての起業家は、”私は何が一番得意なのか?”を知るべきだと思います。

「はじめの一歩を踏み出そう」を読んで、現場を離れていったお陰で、自分が起業家として何に集中すべきかが分かったのです。

聞き手:

マネージャー的な役割を担っていた時、何か失敗したことはありますか?

ブライアン:

1994年、11人の社員がいたのですが、彼らを全員解雇しました。これは彼らの問題ではなく、私のミスでした。

11人のうち、9人は良い社員だったのですが、2人はそうではありませんでした。私は”一つの腐ったリンゴがすべてのリンゴをダメにしている”と考えてしまい、全員を一度に解雇してしまいました。

完全にスタートし直しです。当時はトラックが4台ありましたが、1台になり、コールセンターもなくなり、私がトラックの中で電話に出るというありさまでした。当時の私は人をどう扱うかを知らなかったのです。私は、自分に合わない人を再訓練するというスキルは持ち合わせていませんでした。

 

リーダーとして最も大事なスキルは?

聞き手:

リーダーとしての最も重要なスキルは何だと思いますか?

ブライアン:

透明性を持つことです。ビジネスがどんな状況にあるのかをオープンに話すことです。これは人の信頼を得る鍵です。会社は軍隊ではないので、命令されたいと思っている人はいません。リーダーシップとは聞くことであり、透明性と正直さを常に持つことです。

聞き手:

あなたは推薦図書のリストのトップに「はじめの一歩を踏み出そう」を挙げていますが、どのように活用したのですか?

ブライアン:

この本から学んだ一番大事なことは、人が失敗するのではなく、システムが失敗するという哲学です。

ビジネスがうまく行かないときには、何かのシステムが欠けているのです。11人を解雇したとき、私には採用システムがありませんでした。トレーニングシステムもありませんでした。

だからそこからビジネスをシステム化し始めたのです。どのようにトラックを停めるか、どのように電話に応えるか。

たとえば、私たちの新しいブランド、You Move Meでは、最初問い合わせの電話があったとき、相手に安心感を与え、引っ越しの準備が出来ているかどうかをチェックするようなシステムがあります。本を読んで、すべての業務をプロセス志向に変えました。

すべてのシステムは1ページにまとめてあります。システムはシンプルであるべきと考えているからです。そして、もっと良い方法が見つかれば、それを改善します。

プロセスは文書化され、それによって、人をトレーニングします。社内の人、フランチャイズのパートナーの人たちもです。それぞれのブランドが、それぞれのユニークな方法になっています。

また、数値化に関しては、経営において重要な数字を3つ決め、毎朝の朝礼で全スタッフで確認をしています。

聞き手:

システムはどのように改善をしていますか?

ブライアン:

私たちは、継続的な改善の文化があります。ですから、各人が新しいことを試し、フィードバックを集めています。つまり、プロセスに従いながらも、新しいことで、もっと上手く機能することが無いかどうか試すことを奨励しているのです。もちろん、失敗することもありますが、そこから学ぶのです。

 

仕組み化とフランチャイズによって可能になった急成長

聞き手:

いま、Wow 1 Day PaintingとYou Move Meという新事業を行っていますが、それはなぜ始めたのですか?

ブライアン:

私たちには多くのフランチャイズパートナーがいます。彼らは既に成功していて新しい何かを探しています。そうなると、我々は、一夜にして全国的なブランドを立ち上げることが出来るのです。YouMoveMeには34のフランチャイズパートナーがいて、初年度に17ミリオンドルを売り上げました。

引っ越し、ゴミ収集、壁の塗り替え、これらは一見、ばらばらのようにみえて、関連しています。つまり、住宅向けサービスであるという点です。引っ越しすればゴミが出ますし、壁の塗り替えもします。

とてもうまくすべてがフィットしているのです。私たちはフランチャイズの仕組みを理解していて、フランチャイズパートナーをどのようにして成功させるかを知っています。それがすべて活きているのです。

新しいカテゴリーに参入する時には、市場で目立つような名前をつけることが重要です。壁の塗り替えは、その他のサービスと差別化しており、1日で完了することが名前から見てもわかります。そのようにすれば、市場において先制権が得られます。

– インタビュー終わり

 

フランチャイズの仕組みづくりで大成功した理由のまとめ

以上、ブライアン氏のインタビューをお届けしました。最後にキーポイントをまとめておきましょう。

 

1.フランチャイズプロトタイプ

ブライアンは、ガーバーが書籍の中でフランチャイズプロトタイプ(事業の試作モデル)と呼んでいるコンセプトをそのまま活用しています。まず1台のトラックでスタートして、それで2年かけて運用し、2台、3台と増やしていきました。

最初はトラック一台一台が彼にとってのフランチャイズプロトタイプでした。彼が偉大だったところは、その後、1-800-got-junk?というひとつのブランドをフランチャイズプロトタイプと見立てたということです。

インタビューにあった通り、このブランド自体をプロトタイプとみなせば、次々に複数のブランドを同じように展開できます。いまはトラックを使った住宅サービスのブランドを10個作ることを目標としているそうです。

 

2.システムが失敗する

彼が書籍から学んだ一番のコンセプトが「人が失敗するのではなく、システムが失敗する」というものでした。彼が11人の社員を一気に解雇したとき、通常の経営者であれば、そのまま零細企業に戻ってしまいます。しかし、彼は解雇せざるを得なくなったのは、システムが不在だったためだと気が付いたのです。(彼が書籍を読んだのは、全社員を解雇した直後)

その後、彼の価値観に合う人だけを採用して、訓練するための仕組みを創り、優れた企業文化の構築にも成功しています。

 

3.3つの人格

インタビューにあるとおり、彼の会社にはCOO(最高業務責任者)がいて、日々のオペレーションを行っています。インタビューの内容で勘違いをしていただきたくないことは、「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格は、どんな人にも存在するという点です。ブライアンは、それを理解したうえで、起業家の人格により集中するため、「マネージャー」の人格が強い人を雇ったのです(COOを探して採用するまでに何年もかけたそうです)。

 

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