フランチャイズ化するには?本部構築と展開方法を徹底解説



清水直樹
今日はフランチャイズ化について、そのメリット、デメリットや本部構築方法、展開方法をご紹介していきます。

 

動画でも解説しています。

 

目次

フランチャイズ化とは

ビジネスを運営する企業がフランチャイズ本部を構築し、フランチャイズ展開していくことを「フランチャイズ化」と言います。本部は加盟店にブランド名や商品、サービスを取り扱う権利、また経営ノウハウやビジネスモデルを提供し、加盟店は本部に加盟金やロイヤリティを支払います。

フランチャイズの恩恵を受けていない人はほとんどいない

皆さんの周りでもコンビニエンスストアやファストフード店をはじめ、カー用品やベーカリー、清掃や学習塾などフランチャイズ化されたビジネスは多岐にわたりますので、フランチャイズビジネスの恩恵を受けていない人はほとんどいないはずです。ちなみに、日本での市場規模は約25兆円、アメリカでは約70兆円に及ぶと言われています。

皆さんのビジネスを全てフランチャイズ化する必要はないのですが、フランチャイズビジネスというのは非常に成功の確率が高いビジネスですから、そのやり方を学んで、皆さんのビジネスに取り入れることは非常に有益になります。

フランチャイズ化のメリット、デメリット

まずフランチャイズ化のメリット、デメリットを見ていきましょう。

フランチャイズ化のメリット

ビジネスをフランチャイズ化するメリットには次のようなものが挙げられます。

少資本でのスピーディな事業拡大が可能

通常の店舗展開をする場合、自分たちが資金を用意して店舗を展開していかなければいけません。しかし、フランチャイズ化すれば加盟店の人たちの資本金、資金を活用して店舗展開ができるようになります。このため、事業の拡大が非常にスピーディにできるという大きなメリットがあります。

短期間での多店舗化、ブランド認知、マーケットシェア獲得

前述したように、短期間で店舗展開できるため、一気にブランドが認知されることが可能になります。

スケールメリットの享受

商品の共同仕入れなどのボリュームディスカウントによって、スケールメリットを享受できるようになります。

業務の仕組み化・標準化による経営力向上

フランチャイズビジネスにしていくためには、業務の仕組み化や標準化を進めていかなくてはいけません。その過程において、本部の経営力が非常に高まっていきます。

社内人材の活躍場増加による組織活性化

フランチャイズ化するに当たって、全て外部からの加盟店を集めるのではなく、自社の中で独立を望む人たちにオーナーになってもらうやり方があります。つまり、社員のキャリアパスの1つとして、フランチャイズビジネスを活用できるという側面もあるのです。

安定収入の確保

本部の収益としては加盟金とロイヤリティというものがありますが、より大切なのはロイヤリティです。加盟店を支援することによってロイヤリティが増え、安定的な経営ができるようになります。

フランチャイズ化のデメリット

一方、次のようなデメリットも存在します。

FC本部構築と加盟者獲得による先行費用発生

本部構築のために様々な準備が必要になります。時間や人件費もかかりますし、コンサルティング会社へ依頼する費用が発生する場合もあります。

加盟店との協調や関係構築への労力が必要

あくまでも加盟店は外部の独立した事業者なので、ビジネスパートナーが増えていくことによって価値観や文化の相違が生まれ、これによるコミュニケーションのコストが発生する可能性があります。

ノウハウ流出やブランド毀損のリスク

加盟店の中には、ノウハウを流用して自分の看板でビジネスを始めるところもあったりします。もちろんこれは契約でカバーすべき部分なのですが、加盟店の選び方というのも大切になります。また、加盟店が何かトラブルを引き起こすことにより、そのブランドやフランチャイズシステム全体が悪影響を受ける危険性もあります。

フランチャイズ本部構築の原則

実際のフランチャイズ本部構築の方法をご説明する前に、前提となる原則をご紹介します。

充分な収益を上げ得るようなフランチャイズ・ユニットの確立

これは当たり前の話なのですが、まず最初に充分な利益が上がるような店舗を作らなくてはいけません。繁盛店をフランチャイズ化するから意味があるわけで、儲かっていないビジネスを広げていっても、儲からないビジネスがどんどん増えるだけで悪循環にはまってしまいます。

フランチャイズ・ユニットの急速な増大を可能にする本部機能の整備

これがまさに本部の仕組みづくりの部分になります。

消費者ニーズの変化に対応したシステムの革新

フランチャイズ化にはビジネスが一気に広がる可能性がありますが、ビジネスの規模が拡大することで変化に弱くなるという、組織としての習性もあるわけです。それを防ぐために、柔軟にシステムを変えられる体制や文化をつくっていく必要があります。

小規模での成功事例をつくる

フランチャイズの基本的なルールとして、「3ショップ2イヤールール」というものがあります。要は「3店舗で2年」というルールですが、まず直営店舗を3店舗出し、それを2年継続してきちんと儲かる体制を作って、そこから加盟店を集めるというルールです。

なぜ3店舗かというと、1店舗目が繁盛したとしても、成功の理由が立地なのか、店長の人柄なのか、商圏が合っていたのかが明確ではないからです。そこで別々の場所に直営店舗を3店舗出してみるわけです。そこでも成功すれば、そのビジネスモデル自体に強みがあって差別化できているという根拠になるので、そこから他の加盟店を集めていくというのが原則になります。

3ショップ2イヤールールはもう古い?

しかし最近ではこの原則が当てはまらないケースが多くなっています。世の中のスピードが速くなったため、1店舗目で成功したビジネスモデルを、資本力のある会社が盗用して先にフランチャイズ展開するようなケースがあるからです。ですから、最近は0期生を募集して、その人たちと一緒にフランチャイズのシステムをつくっていくことが、成功させるために大切な考え方になってきています。

加盟店は同志である

かつては「フランチャイズ化して加盟金をもらって儲けよう」とだけ考える経営者もいて、結果的にフランチャイズビジネスに対するイメージが悪化したということもありました。しかし、本来は「自分たちが持っている素晴らしい商品やサービスを多くの人に広めて、人々の生活を豊かにしよう」という理念を加盟店と共有し、同志となることが大切なのです。

本部・加盟店間の情報はオープンにする

以前は本部が決めたことを加盟店が実行するだけという、いわゆるチェーンストアシステムが主流でした。しかし最近では、現場でお客様に接している人が一番情報を持っているということで、フラットな関係性を築いて、情報もオープンにして一緒にやっていくという考え方が大切になっています。加盟店の成功例やアイディアを本部がブラッシュアップして他の加盟店にも共有していくことで、継続的に発展できるシステムが生まれるわけです。

加盟店が成功してこそ本部が成功する、加盟金よりロイヤリティが重要

フランチャイズというビジネスモデルにおいては、本部はいかに加盟店からのロイヤリティを増やすかということに注力しなくてはいけません。加盟店が儲かれば本部も儲かるわけですから、加盟店を積極的に支援しないとそれは実現できないのです。ロイヤリティが自分たちの収入源だと考え、本部と加盟店が両方潤うモデルをつくっていくわけです。



フランチャイズ本部構築の方法

具体的なフランチャイズ本部構築の方法をステップでご紹介していきます。

1.ビジネスコンセプトの明確化

特にフランチャイズビジネスにおいては、加盟店という外部パートナーを巻き込まないといけないのでコンセプトづくりが非常に大事になりますし、そもそもこれが差別化できないとフランチャイズビジネス自体が成り立ちません。ですから、経営理念やビジョン、ユーザー層はもちろん、商品やサービス、立地や店舗のコンセプトを明確化していく必要があります。

2.フランチャイズプロトタイプの構築

先ほどの「3ショップ2イヤールール」の話ともつながるのですが、フランチャイズの1店舗目、テスト店舗の構築をしていくということです。そこで運営体制や収益モデルの設計、運営ノウハウの蓄積をしていきます。

運営体制の設計というのは、本部とスーパーバイザー、店長、店員の間での役割分担を明確にする組織づくりのことです。また、業務遂行のために必要な時間や人件費の計算も必要です。そして、収益モデルを明確にするためには、そのビジネスに加盟した時にどれくらいで投資が回収できるのか、どれくらいのお客さんが来てくれれば利益が上がるお店になるのかというシミュレーションをしなくてはいけません。それらを基に運営ノウハウを蓄積していくわけです。

3.プロトタイプ(パイロット)店舗での検証

フランチャイズプロトタイプを構築したら、実際に動かして検証します。うまくいかないところはどんどん改善していくわけですが、マイケル・ガーバー氏は「フランチャイズビジネスがこれまでに成功を収めた秘訣は、商品を販売する前に試作モデルを作るように、事業にも試作モデルを作るという考え方を取り入れたからである」と言っています。

4.加盟条件の設定

加盟金やロイヤリティー、広告費の分担、また契約期間や契約更新料など、加盟する時の条件を設計します。先ほどの加盟店の収益モデルも含め、試行錯誤しながら決めていくことになります。

5.フランチャイズ展開の計画

フランチャイジーの募集や、加盟後の人材教育の計画を立てていきます。また、集客方法や商品開発、収益や資金繰りなどの計画も立てる必要があります。

6.本部運営の仕組み

スーパーバイザーを置くなら、その教育の仕組みや研修の内容を決めなくてはいけません。また、フランチャイズビジネスをやる場合には、本部と加盟店それぞれで使うマニュアルが絶対に必要になります。そのフランチャイズビジネスを成功していくために、どういうマニュアルが必要なのかを体系化して考えていきます。

7.加盟店開発

ここで必要になるのが案内資料です。特にフランチャイズの場合には、中身はもちろん大事ですが、ブランドイメージの見せ方も非常に大切になってきます。加盟店に加わろうとする人はそのビジネスを買うわけなので、魅力的に見えるビジネスのパッケージにしないといけません。実際の加盟店開発はマーケティングと営業によって行うわけですが、例えばフランチャイズ・ショーなどの展示会への出展、マッチングサイトへの掲載、口コミや知り合いへの直接的な営業ということも考えられます。

フランチャイズ化の事例

フランチャイズ化のトレンドとしては非接触型、つまりオンラインで実施できるものやセルフ方式のビジネス、デリバリーやキッチンカー、ゴーストキッチンとなど無店舗型のビジネスが流行っています。また、サブスクモデルを活用したもの、遊休スペースを利用したものも目立ちます。それから最近では「ステルスフランチャイズ」と呼ばれる、フランチャイズとしての統一した看板を使わず、一見すると個人店舗のように見えるというパターンも増えてきています。

では、海外での成功事例を3つご紹介します。

フィットネスのフランチャイズ化事例①pure barre(Xponential Fitness)

フランチャイズ化を展開するxponentialフィットネス
同社訪問の様子(2019年10月)

これはフィットネス系のフランチャイズで、Xponential Fitnessという会社が本部となっています。Xponential Fitnessはアンソニー・ガイスラーさんという方が創業者なのですが、この方は自身が始めたフィットネスビジネスを売却した資金を元にこの事業を立ち上げました。現在、pure barreを含め9つのフィットネスブランドを展開しているのですが、ゼロからつくったわけではなく、成功しているブランドを買い取り、そこに自分たちの完成されたフランチャイズビジネスシステムを導入して拡大させていくというモデルになっています。

アンソニー・ガイスラーさんは「自分たちはフィットネスビジネスをやっているんじゃない。フランチャイズシステムのビジネスをやってるんだ」と明言していることからも分かるように、フランチャイズを展開するノウハウを突き詰めたビジネスを行っているわけです。

また、先ほどの加盟店開発で必要な案内資料の部分で言うと、Xponential Fitnessの案内資料は、店舗レイアウトや店舗イメージ、ブランドのポジショニングや広告戦略などがビジュアル的に非常に美しく、かつ明確に作られていて、加盟店への訴求力も高いものになっています。

Xponential Fitnessのフランチャイズ成功の秘訣

彼らは既に2000店舗近く持っていますが、そこで留まっている気は全くありません。まずは1万ほどの店舗拡大を目指しているそうです。話を聞く限り、海外展開も含めれば十分達成可能だと思いました。

ビジョンの大きい会社は、ビジョンの小さい会社を駆逐してしまう時代です。たとえば、いま米国の小売業はアマゾンにやられまくっています(アマゾンエフェクト)。この大きな理由は、アマゾンのほうが他の小売店よりもビジョンがデカいからです。

アマゾンは世界で一番の小売り業になるべく、オンライン、オフライン構わず投資をし、顧客にとって最適な仕組みを整え続けています。一方のほかの小売業は店舗にこだわるあまり、世の中の流れについていけませんでした。

現在規模が同じだったとしても、1万店舗を目指している会社と5店舗で満足している会社では、集まってくる資金や人材も違いますし、どこに投資をするか、どのような戦略を取るか、どのような仕組みを作るか、なども全く異なってきます。

急成長に追いつく仕組み

このような急成長をすると、

  • 人の育成は間に合っているの?
  • 顧客の満足度は?

というような要らぬ心配をしたくなりますね。

彼らの場合、非常に少人数で運営できる仕組みを持っていますし、もちろん、育成の仕組みもしっかりしているようです。また、顧客満足に関しては、人に依存させるのでなく、仕組みで解決しているので、非常に高いレベルになっているそうです。

私が訪問した際、話を伺った人はフィットネス業界の他社で25年やっている経験者なのですが、彼をもってして「こんなに会員の参加意欲が高いビジネスを見たことがない」と言うほどでした。それが出来るのも、インストラクターや先生に依存させない仕組みがあるからです。

ちなみにこの会社の創業者は低階級の出身で、最初の仕事はマクドナルドでした。そこで基本的な仕組みづくりを学んだのかも知れません。

 

ゴミ収集のフランチャイズ化事例②1-800-GOT-JUNK?社(現02E Brands)

1-800-GOT-JUNK?は、ブライアン・スカッダモアさんが自己資金わずか700ドルで創業したゴミ収集業ですが、一気に市場を支配する企業にまで成長させ、その後、Wow 1 Day Painting(壁の塗り替え)とYou Move Me(引っ越し)というブランドを立ち上げ、今や年商約330億円の企業となっています。

フランチャイズで大成功した始まりは7万円の中古トラック

ブライアン氏が起業家精神を発揮し始めたのは、実は子供のころ。近所の子供が1台2ドルで洗車し、小遣い稼ぎしているのを見たとき、アイデアを真似して、1台1.5ドルで洗車をし始めます。



大学に進み、彼は地元のバンクーバーで、チーズバーガーを買うために列に並んでいました。すると、店の近くにトラックがやってきて、ゴミを回収しているのが見えました。その瞬間、ブライアン氏の起業家精神が目覚めます。

『”大学の授業料を払うために、何かをしないといけないと思っていました。ゴミの回収車を見たとき、手持ちの700ドルで、このビジネスを始めるのは良いアイデアだと思いました。

そして、700ドルでピックアップトラックを買い、街中を走って、ゴミを有料で回収し始めたのです。実際には大学は1コース足らなくて卒業できませんでしたが、そんなことよりも、ビジネスを通じて学んだことのほうがはるかに大きかったです。”』

2年後、会社の売上は800,000ドル(1億弱)にもなっていました。社員を抱え、バンクーバーやビクトリア州で活躍していました。

仕組み化の発想に出会い、フランチャイズ化

彼はマイケル・ガーバー氏の著書『はじめの一歩を踏み出そう』を読み、ビジネスの全ての側面を複製可能なシステムにし、フランチャイズ化していくことを決意します。そして、まず1台のトラックをフランチャイズプロトタイプと見なしていくわけです。それを2年かけて運用し、徐々に台数を増やしていくことで1-800-GOT-JUNK?というブランドが1つのフランチャイズプロトタイプになっていきます。

その過程で彼はフランチャイズビジネスの仕組みづくりを理解し、加盟店をどのように成功させるかを知っていきます。そしてこの経験を基にして、ゴミ収集、壁の塗り替えというフランチャイズビジネスを展開していきます。引っ越しすればゴミが出ますし、壁の塗り替えもしますから、一見バラバラのように見える事業は全て住宅向けサービスという点で関連しているわけです。

では次に、ブライアン氏と、彼がバイブルとしていた「はじめの一歩を踏み出そう」著者のマイケルE.ガーバー氏との対談をご紹介していきます。

 

対談:マイケルE.ガーバー氏&ブランアン・スカッドモア氏

左:「はじめの一歩を踏み出そう」著者マイケルE.ガーバー氏、右:ブライアン氏
左:「はじめの一歩を踏み出そう」著者マイケルE.ガーバー氏、右:ブライアン氏

ガーバー氏:いまのビジネスのアイデアは18歳のときのマクドナルドのドライブスルーでの経験がきっかけと聞きましたが、どういう経験だったのでしょうか。

当時、私は将来を悩んでいました。単位が足らずに高校を卒業することも出来ませんでした。大学に行くための学費を稼ぐため、仕事を探していたのですが、なかなか見つからず、自分のビジネスをスタートさせるのはどうだろうか?と思ったのです。すると、私の前に古ぼけたピックアップトラックが止まっていました。私はそれを見て、”これを使おう”と考えたのです。そして、1週間以内に中古のトラックを700ドルで購入し、ゴミを有料で回収することにしました。

当時は、学費を稼ぐためにビジネスを始めただけだったのですが、こんな規模になるとは想像していませんでした。振り返れば、学校では起業家精神について学んだことは何もありませんでした。ビジネスを実際にやる中で学び、成長してきたのです。

玄関のドアをたたき、”私はブライアンと言います。お宅のガレージの横にあるごみを回収させてくれませんか”と言って回りました。そのようにして広告費を掛けずにスタートし、徐々に口コミで広がりました。また、トラックに1-800-GOT-JUNKと書いて宣伝していたので、見れば何番に電話をかければ良いのか一目瞭然でした。覚えやすい名前にしたのが良かったのです。

”一夜にして成功するには、長い時間がかかる”という言葉があります。私たちのビジネスを見て、”突然出てきた会社だな”と感じる人もいますが、私たちは25年もやってきているのです。

 

ガーバー氏:そのころからあなたの対応できる限界が来たのでは?

はい、友人を採用し始めました。1991年にプレス戦略を行いました。地元の新聞に電話をかけ、取材をしてもらったのです。彼らは私たちのビジネスのストーリーを書いてくれ、翌日、トップページに載りました。

またマクドナルドの話に戻りますが、私はマクドナルドのファンなのです。それはハンバーガーについてではなく、レイクロックが作ったビジネスモデルについてですが。これは「はじめの一歩を踏み出そう」に書かれている通りです。

”もしレイクロックがハンバーで出来たならば、ゴミ回収で出来ない理由があるだろうか”と考えたのです。そして今では、フランチャイジーも大変成功しています。

25年経って、より優れたマネージャーになるための一番の方法は、管理を止めることだとわかりました。私はADDで、いつも新しいことに目が行きがちです。私にとっては集中し続けることがとても難しいのです。

うちの会社には、エリックという社長であり、COOがいます。彼は元軍隊で、どのようにして人をリードするか、どのようにして目の前の仕事に集中させるか、そして、それらの仕事をどのようにして大きな青写真とつなげるかを知っています。

そこで私たちは、”ふたつでひとつ”というリーダーシップの方法を取っています。私がビジョナリーであり、彼が実行者です。これがうまく行っています。

もちろん、最初はいろいろなことを自分でやる必要があります。社員が10人、または50人のときでさえも。その過程で、リーダーシップについてたくさんのことを学びましたが、それは私の強みではありませんでした。

私の強みはビジョンを描くこと、文化を創ること、革新すること、新しいブランドを創ることです。すべての起業家は、”私は何が一番得意なのか?”を知るべきだと思います。「はじめの一歩を踏み出そう」を読んで、現場を離れていったお陰で、自分が起業家として何に集中すべきかが分かったのです。

ガーバー氏:自分で管理者的な役割を担っていた時、何か失敗したことはありますか?

1994年、11人の社員がいたのですが、彼らを全員解雇しました。これは彼らの問題ではなく、私のミスでした。11人のうち、9人は良い社員だったのですが、2人はそうではありませんでした。私は”一つの腐ったリンゴがすべてのリンゴをダメにしている”と考えてしまい、全員を一度に解雇してしまいました。

完全にスタートし直しです。当時はトラックが4台ありましたが、1台になり、コールセンターもなくなり、私がトラックの中で電話に出るというありさまでした。当時の私は人をどう扱うかを知らなかったのです。私は、自分に合わない人を再訓練するというスキルは持ち合わせていませんでした。

ガーバー氏:リーダーとしての最も重要なスキルは何だと思いますか?

透明性を持つことです。ビジネスがどんな状況にあるのかをオープンに話すことです。これは人の信頼を得る鍵です。会社は軍隊ではないので、命令されたいと思っている人はいません。リーダーシップとは聞くことであり、透明性と正直さを常に持つことです。

また、「はじめの一歩を踏み出そう」から学んだ一番大事なことは、人が失敗するのではなく、仕組みが失敗するという哲学です。ビジネスがうまく行かないときには、何かの仕組みが欠けているのです。11人を解雇したとき、私には採用の仕組みがありませんでした。トレーニングの仕組みもありませんでした。だからそこからビジネスを仕組み化し始めたのです。どのようにトラックを停めるか、どのように電話に応えるか。

たとえば、私たちの新しいブランド、You Move Meでは、最初問い合わせの電話があったとき、相手に安心感を与え、引っ越しの準備が出来ているかどうかをチェックするような仕組みがあります。本を読んで、すべての業務を仕組み志向に変えました。すべての仕組みは1ページにまとめてあります。仕組みはシンプルであるべきと考えているからです。そして、もっと良い方法が見つかれば、それを改善します。



仕組みは文書化され、それによって、人をトレーニングします。社内の人、フランチャイズのパートナーの人たちもです。それぞれのブランドが、それぞれのユニークな方法になっています。また、数値化に関しては、経営において重要な数字を3つ決め、毎朝の朝礼で全スタッフで確認をしています。

私たちは、継続的な改善の文化があります。ですから、各人が新しいことを試し、フィードバックを集めています。つまり、仕組みに従いながらも、新しいことで、もっと上手く機能することが無いかどうか試すことを奨励しているのです。もちろん、失敗することもありますが、そこから学ぶのです。

 

美容室のフランチャイズ化事例③:Super Cuts社

Super Cuts社は、1975年にサンフランシスコで生まれて以来、フランチャイズ展開により2000店舗超にまで店舗数を伸ばし続けてきました。創業者であるジムは、元々トラックの運転手でした。

彼は美容室創業前、ドラッグと酒に溺れる毎日を送っていました。そして37歳のある日、彼がいつものように酒場で人生に絶望している時、たまたま隣に座っていた男性が彼に話しかけたそうです。

「もし人生に絶望しているなら私の友達と同じようにやったらどうだろう。美容専門学校に行ったらどうだい?友達は美容専門学校に行って、素晴らしい職を手に入れてその仕事が気に入っているんだ」

普通だったらこんなアドバイスは聞き流してしまうところでしょう。しかし、どん底だったジムはその言葉で決心し、実際に美容専門学校に入学しました。美容学校に入学後、彼は必死に勉強しました。そして卒業が近づいたとき、美容専門学校のオーナーが気まぐれでジムの所に来てこう言いました。

「ちょっとドライブに付き合わないか。こいよ」

そして彼らはオーナーが所有する学校やサロンを車で巡ることに。オーナーは湾の向こう側にも美容専門学校を所有し、またブティックやサロンも経営していました。オーナーは自らのビジネスで作り上げた美容の「帝国」を見せながら自分の過去についてこう語ったと言います。

「私がどのように始めたかは絶対に信じられないだろう。私は機械工だった。ある日私の所にある人が来て言った。『美容専門学校に行こうと思ったことはないか?』そして私は学校に行った。この業界のビジネスチャンスは信じられないくらいだ。どんな間抜けでもできるんだよ」

その瞬間、ジムはフランチャイズ美容室経営をひらめいたのです。これがSuper Cutsの始まりでした。

経験がない人でも成果を出せる仕組み

ジムが考えついたSuper Cutsの経営モデルは、単に自分の技術を頼りに美容室を開くのではありません経験がない者に髪の切り方を教えることで、顧客に低料金でサービスを提供し、一方でオーナーは高い利益を得るビジネスモデルこそがSuper Cutsの成長の源泉です。

具体的にジムが行ったのは、まずシステムに沿って髪を切る方法を生み出すことです。要するにヘアカットをマニュアル化することで誰でも簡単に髪が切れるようになるのです。

この方法ならば、初心者にもヘアカットができるようになるため、技術を持った美容師を雇う必要がなく、コストを大幅に抑えることができます。ジムはこのような美容室経営モデルのアイデアで成功し、創業わずか4年半後に、株を売って600万ドル以上(約7.2億円)を手に入れたのです。

Super Cutsのフランチャイズの特徴

Super Cutsのフランチャイズ経営には2つの特徴があります。

フランチャイズのオーナーは美容師ではない

会計士や元ビジネスマンなど美容関連の仕事についたことのない人々がフランチャイズ美容室を購入していきました。その理由は、まったく無経験の素人の手でも機能するよう、完璧な仕組みが整備された経営モデルが出来上がっていたことです。低コスト、高インパクト、完全にプロフェッショナルで予測可能な散髪が男でも女でもたったの7ドル。

元々は、予測不能なのに18ドルか20ドルが相場の業界でこのようなモデルはまさに”破壊的”でした。しかも正確に15分間でヘアカットが終了するそうです。

ジムは一度も顧客の髪を切っていない

2つ目の特徴が、Super Cutsの創業者ジムは創業してからほとんど1度も自分で顧客の髪を切っていないことです。美容室経営を始めてから1度も自らヘアカットをしていないのにも関わらず、ここまで事業を拡大できたのは下記2つの理由からに他なりません。

  1. 誰でも髪を切れる
  2. 誰でも簡単に経営できる

ジムは自ら髪を切るのではなく、誰でもできる髪の切り方を編み出したことで誰でも簡単に美容室経営ができる仕組みを整えることができました。フランチャイズ展開の鉄則は、誰でも簡単に経営ができるビジネスであることです。これは、世界最大のフランチャイズビジネスであるマクドナルドでも実践されています。そして、誰でもできるビジネスは経営を人ではなく、仕組みに依存させることで実現します。

 

まとめ:フランチャイズ化のためには仕組み化が必須

1-800-GOT-JUNK?を成功に導いたブライアン・スカッダモア氏は「もし、私が仕組み化の発想に出会っていなかったら、私のビジネスは今の半分にもなっていなかったでしょう」と語っています。

皆さんのビジネスをフランチャイズ化していくためには、本部運営の構築やフランチャイズプロトタイプの確立、各種マニュアルや契約書などの仕組み化が必要になってきます。仕組み化する過程でビジネスシステム全体を見直す必要が生まれ、そのことが結果的に本部の経営力向上につながっていきます。今すぐにフランチャイズ化を考えていない経営者にとっても、フランチャイズプロトタイプを想定し、ビジネスを仕組み化していくことは、事業の継続化にとっても有益なものになるでしょう。

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