社長が現場に出るのを止めても回る仕組み

社長が現場に出るのを止めても回る仕組み



清水直樹
今日は「社長が現場に出るのを止めても回る仕組み」というテーマで解説します。社長の仕事は現場に出て、口出ししたり、現場仕事に介入することではありません。現場を離れても回る仕組みを創り、その仕組みを改善していくことで社員の成長につながり、社長の経営する時間も確保できるようになります。

社長が現場に出るは止めたほうが良い理由

私たちは日頃、経営を仕組み化し、社長が本来の仕事に集中できるためのご支援をしてます。そんな中で、ほとんどの中小企業において課題となるのが、「社長が現場を出るのを止められない(離れられない)」ということです。

社長が最前線にたって現場の仕事をする、というのは日本的価値観では良いことだと思われがちです。しかし問題は、社長が現場仕事をしている間、経営の仕事が出来ない、ということです。経営の仕事とは世の中の時流や環境の変化を読み、それに合わせて自社のビジョンや戦略を練り、実行に移すことです。

会社が社会の公器とするならば、社会からのニーズに適応していくことこそが、そもそも会社という存在の意義と言えます。社長が毎日、現場仕事で忙しく、帰社(帰宅)したころには疲れて先のことを考える余裕もない、ということでは社長としての責務を果たしているとは言えません。

そこで、会社を仕組み化していくにあたって、最初に目標とすべきは、社長が現場に出ない(現場から離れる)ための仕組みを作る、ということになります。

社長が出るべき「現場」とは?

ではまず、”現場”とは何でしょうか?

これにはいろんな定義があると思います。たとえば、孫泰蔵氏は、「イノベーションは現場と本場から生まれる」と言っています。ここで言う現場とは、課題の最前線のこと。問題が起こっている場所のことを指しています。本場とはその課題、問題の解決策が眠っているであろう場所のことです。この考えによれば、一般企業において課題や問題があるのはお客様のところ、ということになりますので、お客様対応全般が現場、ということになります。

もう少し、一般的に見てみましょう。私たちは”現場”という言葉を別の言い方で捉えています。以下の図をご覧ください。これは仕組み経営で定義している、社長が会社を運営するにあたって注視すべきことを7つにわけたものです。7つの経営力学と呼んでいます。

この図のうち、下の3つ、集客、セールス、価値提供というのは、”会社内で毎日実行すべき活動”です。一方、リーダーシップを含めた他の4つは、”会社内で毎日磨き上げるべき項目”です。

このうち、下の三つ、”会社内で毎日実行すべき活動”を”現場の仕事”と捉えてます。

  • 集客・・・見込み顧客を集める
  • セールス・・・見込み顧客を顧客に変える
  • 価値提供・・・商品を作ったり、サービスを提供する

の3つです。

全てのビジネスにはこの3つの活動があります。そして、会社が小さい頃には、他の4つの項目については考慮されず、この3つだけでビジネスが成り立っていることがほとんどです。少なくとも、会社がそれほど大きくない時点においては、この3つのシステムをいかに効果的に回すか?という点が会社成長のカギとなります。

したがって、社長が現場に出ないようにするには、まずはこの3つの活動を自分でやるのではなく、他の人でも出来るようにする仕組みを作ることです。

社長が現場に出ないために、どこから手を付けるべきか?

では、この3つのうち、どこから仕組み化に取り組むべきでしょうか?

いま、多くのコンサルタントは”集客の仕組み化”をしましょう、というような提案をしています。自動的にお客さんがやってきたらそれほど良いことはありませんね。実際に、その言葉につられて一生懸命集客に取り組んでいる社長もいるかもしれません。

この集客の仕組み化というのは簡単にいえば、

  • 広告やSEOでリード(潜在顧客)を獲得し、
  • ステップメールなどで潜在顧客を見込み顧客へと転換し、
  • セールスレターやウェブセミナーで顧客へと転換する、

ということです。これらは一回セットアップすれば、ほとんど手間をかけることなく運営できるため、集客が自動化できる、というのが彼らの理論です。

この理論は基本中の基本であり、ウェブマーケティングを少し知っている人ならば、誰でも知っている話です。要は教科書に載っているようなことなのです。教科書を見たところで難関校に入れないのと同じで、この理論を知ったところでほとんどの人は集客の自動化など実現不可能です。

そもそも広告やSEOを専門にしたコンサルティング会社もあれば、セールスレター制作専門の会社などもあったりします。上記の一つ一つの項目が非常に細分化、専門化されているほどなので、基本的な理論を学んだだけの素人が太刀打ちできるものではありません。

社長が現場から離れるためにはこの仕組み

現場を離れたい社長が真っ先に取り組むべき分野は、”価値提供”です。

より具体的にいうと、

  • 物販ならば、商品開発やお客様が購入された商品を工場や倉庫から発送し、お客様の手元まで届けるまでのプロセス
  • 整骨院ならば、いわゆる「施術」
  • 美容室ならば、「カット」や「シャンプ-」
  • コンサルティングならば、「コンテンツ開発」や「クライアントへの価値提供」
  • 宿泊施設ならば、「お客様が来館されてから退館されるまでの一連の流れ」

が当てはまります。

なぜこの価値提供が最初なのか?

それは第一に、

この価値提供の仕組みの完成度こそが、顧客の満足度のカギを握るからです。価値提供の仕組みの完成度が高くなければ、いくら集客しようが、成約しようが、リピートもされず、ブランドも作れず、会社の評判は落ちるばかりです。



そして第二に、

価値提供を仕組み化し、社長がその仕事に時間を費やさなくても良くなれば、集客やセールスに時間を投入でき、会社を成長軌道に乗せることが出来るからです。

私たちが経営のバイブルとしてお勧めしている「はじめの一歩を踏み出そう」著者のマイケルE.ガーバー氏は、1977年にビジネスコーチング会社を創りました。そこで彼は最初に価値提供を仕組み化しました。コーチング会社なので、ここでいう価値提供とは、実際にクライアントにコーチングを提供する仕事のことを指しています。

その仕組み化が上手くいった結果、ガーバー氏自身は、わずか2年でコーチングの現場から離れることが出来ました。その結果、彼は本を執筆したり、講演活動をしたり、世界各国にフランチャイズ展開したりする時間ができ、会社のブランドを世界に広めることが出来たのです。

普通の人はコーチングを仕組み化できるなんて考えもしないので、さっき言った通り、なんとかして集客を仕組み化、自動化しようとするものです。しかし、それでは、たとえ上手くいったとしても超多忙な”職人社長”になるにすぎません。

社長の仕事は、まず第一に、社長が社長の仕事を出来るように仕組みを整えることです。そのためにもまずは価値提供の仕組み化が必要になります。

「そこの仕組み化が一番難しいんですよ」

という声も聞こえてきそうですが、とはいえ、そこが仕組み化できなければ、決して拡張可能なビジネスにはなり得ません。

業界内の誰もが「それは無理だよね」ということをやる人こそが起業家なのです。自社の価値提供をいかに仕組み化するか?そしていかにその完成度を高めるか?ということをぜひ考えてみてください。

 

社長が現場の仕事を任せられない理由と対策

社長が現場から離れるためには、価値提供を仕組み化する必要があると申し上げました。

でも実際には、多くの社長がその業務にこだわりを持っているために、なかなか社員に任せることができずにいます。

そういった社長に欠けているのは、以下の二つです。

  1. 自社としての基準を明確にすること
  2. 基準に沿って人を教育すること

多くの社長には、「うちとしての品質とはこういうものだ」「うちの顧客サービスはこのように行うものだ」というこだわりがあるはずです。これは社長の個人的な経験から形作られた哲学と言えます。

このような哲学があるのは非常に素晴らしいことですが、一方で問題点としては、その哲学が他の社員から理解できる形になっていないということです。社員が社長の哲学(こだわり)を理解できないために、社長が思うように社員が行動出来ないのです。

これを変えるには、まず社長が頭の中に持っている哲学や基準を文書化し、他の社員でも理解できるようにしてあげる必要があります。

そのうえで、その文書化された基準や哲学に基づいて社員教育を行うのです。多くの会社では、哲学やこだわり、基準が文書化されていないために、社長が社員教育をしようとしても精神論や曖昧な指示で終わってしまいます。言い方を変えれば、多くの会社では、教えるテキストがないまま、教育をしているのです。これでは教育の効果はほとんどありません。

そこで、社員教育のテキストとなる文書を作成することが必要になるのです。最初はそのテキスト元に社長が教育を行います。しかし、テキストがあれば、そのうち、社長じゃなくても教え手になることができ、人材育成がどんどん加速していきます。

 

社長が現場に出ないで経営をするには?

私たちは、いま申し上げたようなことを実践するために、会社の仕組みづくりをご支援しています。社長が現場に出ないで回る仕組みづくりはもちろん、そのあとの成長軌道に乗せるための仕組みや、理念を実現していくための仕組み、さらに会社を承継していくための仕組みまで一貫してご支援していますので、ぜひ以下の仕組み化ガイドブックから詳細をご覧ください。

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