視座、視野、視点

視座を高める方法。社長と社員の視座を高め、未来志向の会社になる。



清水直樹
今日は、社長と社員の視座を高める方法という話をしたいと思います。結論から言うと、社長と社員の視座を高めることで、会社全体が未来志向になり、現在や過去に縛られるのではなくて、未来に向けて考えることができるようになります。それによって、戦略と戦術の打ち手が増え、会社が良い方向に進みます。

動画でも解説しています。

視座の意味とは?

まず、視座の意味についてご紹介したいと思います。ネットで調べていただくといろいろな定義が出てくるのですが、図にして分かりやすくすると、こんな感じです。

視座、視野、視点

視座、視野、視点

ここでは、視座という言葉と視野と視点という似たような言葉なので合わせて説明したいと思います。

視座

まず、視座というのは、自分が物事を見ている立ち位置のことを指しているということです。中央に人の絵がありますが、この人が、要はどれだけ高い位置から物事を見ているか?というのが視座ということです。

視野

視野というのは、一方で、そこから見える景色の広さということになりますので、この円の部分が視野ということになります。

視点

視点というのは、その中でどこを自分が見ているかということです。

図でわかる通り、視座が高ければ、視野が広がって、その中から見ることも出来る視点の選択肢が増えるということになるかと思います。なので、視野を広げようと思ったら、視座を高めた方が良いし、いろいろな視点を持ちたかったら、視座を高めた方が良いということです。

ということで、視座が高いと未来志向になり、自社の選択肢が増えるということです。選択肢が増えるということは、世の中に変化が起きても、それに対して柔軟に対応し、変化していける会社になるということです。

 

役職による視座の差

もう少しこの視座の話を進めたいのですが、役職による視座の高さの違いというのがあります。会社の中では、視座の違いを理解するのに、役職によって考えてみると分かりやすいと思います。

一般社員、社長、そして中間管理職、これによって、それぞれ視座の高さが違うということです。

一般社員の視座

まず、一般社員。もちろん人に寄りますが、一般的に会社の中では視座が一番低いです。一般社員の人の焦点としては、目の前の仕事に集中すること。そして自分自身の個人的な未来のことに焦点を当てていると。そして自分の仕事をいかにこなすかという自分最適が彼らにとっての焦点なわけです。

中間管理職の視座

一方、一段階、視座が高まると、中間管理職ということになります。

中間管理職が持つべき視座というのは、目の前の仕事、今日とか明日の仕事ではなくて、今期どうやって仕事をやっていくかという、一年とか半年くらいのスパンの未来を考えながら仕事をするというのが中間管理職になります。そして、自分自身だけの未来ではなくて、部署全体の未来をどうしていくかという責任をもって仕事をすることになるということです。そして、自分の仕事をいかにやるかということだけではなくて、部門の中でいかに適切に人員を配置して、リソースを配置して、仕事をこなしていくかという部門最適という考え方が必要になってきます。

なので、一般社員から中間管理職に上がる人はこのような視座を持たなければいけないということです。

社長の視座

さらにもう一個上に上がると社長になるのですが、社長はさらに未来を見て、さらに全体図を見るということになります。社長は、将来の仕事ということで、半年や一年ではなくて、10年先20年先、まあ5年先ぐらい、そういったより長期的な、より未来のことを考えながら仕事をするのが社長になってくるということです。

社長は、1つの部門だけではなく、会社全体の未来を見なければいけないということになります。そして同時に部門だけではなく、各部門を合わせて、全社的な最適化をしていかなければならないということです。部門間の調整であったり、部門間のリソースの配分であったりとか、全社最適をしていくのが社長の役割ということです。

このように役職が上がるにつれて、視座の高さが上がっていかなければいけないということになります。

 

経営者の人格による視座の差

次に、人格による視座の高さの違いです。これは、私たちがいつもお薦めしている『はじめの一歩を踏み出そう』という本を読んだ方向けのお話になるのですが、

その中で、職人・マネージャー・起業家という3つの人格を経営者は担わなければならないという話が出てきます。この話は、まさに今言ったことにぴったり当てはまるということです。

職人の人格はまさに目の前の仕事をやる人格、マネージャーの仕事は今期の仕事を計画立ててやるという人格、起業家はより将来のことを見据えて会社を設計していくという役割になりますので、この職人・マネージャー・起業家という3つの人格においても視座の高さが変わってくるということです。

 

視座を高めるには

次に、視座を高めるにはという話をしていきたいと思います。ここでは、社長自身の視座を高めるにはどうすればいいかという話と、次に社員の人の視座を高めるためにはという話をしていきます。

 

社長として視座を高める

おそらくこの記事をご覧の方はほとんどが社長だと思うので、まずは、社長自身がご自身の視座を高めるにはどうすれば良いかという話をしていきたいと思います。

過去を振り返る

1つ目は、「過去を振り返ること」ということです。これはどういうことか?視座が高いと未来を見通すことができるのですが、そのために過去を振り返りなさいという話です。



図にしてみると分かりやすいのでご覧いただきたいのですけれども、この図を見ていただくと、この笑顔マークがついたところが視座の高さということになります。

この分だけ先の未来が見えるという図になっています。ここまではいいと思うのですが、次に、横軸を展開してみましょう。

先ほどは未来だけを見ていたのですが、今度は、過去から→現在→未来という風に時間の流れで拡張してみます。そうすると、笑顔マークがあるところの人は未来がこれだけ見えるのだけれども、一方で過去もこれだけ振り返られるということです。

視座の高さの分だけ未来も見えるし、過去も振り返ることができるということになるわけです。ということは、先の未来を見ようと思ったらどうすれば良いかという話です。

未来を見ようと思って、視座を高めようと思っても、未来ってまだきていないので分からないわけです。だったら、先にこちら側の過去を振り返って、自分の視座を高めれば良いということです。

よく過去は繰り返すと言われますけれど、まさにその通りで、過去に起こった出来事は、ちょっと形を変えて同じパターンが繰り返されます。視座を高めたかったら、まず、過去をより長いスパンで振り返ることです。そうすると自然と視座が高まるわけです。

そうすると、この図を見ていただく通り、自然と、未来もより長いスパンで見通すことができるようになるということです。

田坂広志さんという方がいらっしゃいますけれども、彼が、「螺旋的発展の法則」というのを提唱していまして、物事は螺旋的に発展していくとのことです。過去にあった懐かしい物が、形を変えて将来にまた出てくるという考え方です。

そう考えたら、やはり過去を振り返ることで、未来にどういうパターンがまた繰り返されるのかが分かるので、過去を振り返ることで視座を高めて、それによって未来を見通すことができる。この概念図はある程度確からしいのではないかと思います。

 

2つ上の目線で考える

2つ目が、「2つ上の目線で考える」ということです。これは、私が会社員時代に何かの本で読んで、心掛けていたことです。

会社の組織がこのようにあったとします。例えば、一般社員の1番下のレベルがあります。一般社員は2つ上の目線で考えるということなので、社長の立場で物事を考えなさいという、そういう教えです。

先ほど、一般社員は普通は目の前の仕事で自分自身のことしか考えないのですが、2つ上の目線で考えれば、社長の視座になりますので、全社的なことを考えたりとか、会社のより長期的な未来を考える、そういう習慣を身につけなさいというお話です。

社長の場合、上がいないので、2つ上の目線で考えるとはどういうことになるでしょうか。自分の会社だけのことを考えるのが普通の人がやっていることです。そうではなくて、もう1個上の目線となると、例えば、その業界全体の今後がどうなるかという目線で物事を考えるということです。さらにもう1個上にいったら、その業界だけではなくて、他業界のことも含めて、これからの産業がどうなっていくのかと視線を上げて考えるということです。

エリアの話でもいいです。自分が経営している会社のエリアがありますね。その地域だけのことを考えるのではなくて、もう少し、地方全体のことを考えることで2つ上の目線に上げることができるので、そのような感じで、自社だけのことではなくて、もう少し1歩枠組みを広げて考えるということ。これが2つ上の目線で考えるということになるかと思います。

 

他業界の社長と話し、時代の流れを探る

3つ目が、「他業界の社長と話し、時代の流れを探る」ということです。

いま、業界の境目がどんどんなくなっていると言われています。これは何も今始まったばかりのことではなくて、昔からあったんです。昔は、八百屋さん・魚屋さん・肉屋さんみたいに食料品でも、お店が分かれていたわけです。

でも、何十年前からスーパーマーケットが出てきて、業界問わず、食料品を扱うお店が出てきたんです。そうすると、肉屋さんは肉屋さんと交流しても、業界の流れが分からないわけです。

同じ業界の人たちと話すだけではなくて、他の業界の人たちと話すことで、この業界でこういう動きになっているんだと、だとしたら、これは自分たちの業界にも影響を与えるかもしれないな、と未来のことを考えることができるわけです。

 

社員の視座を高める

次に、社員の視座を高めるにはという話です。これも同じように考えることができます。

会社や業界の歴史を教える

過去のパターンを理解するために、会社や業界の歴史を教えるのも一つの手です。

経営陣と交流させる

社員の人も2つ上の目線で考えて欲しいのですけれども、そのためには、一般社員同士だけで交流させていては、そういう視点は身につかないので、2つ上の人たちと交流させるということです。

先ほどの図でいうと、一般社員と経営陣を積極的に交流させることで、社長ってこういう考えをするんだという風にだんだん理解できるようになる。なので、「経営陣と交流させる」というのが、目線を高めるということに繋がるかと思います。

他業界、他部門の社員と交流させる

先ほどの話と同じで、部門や自分のチームだけでやっていると、自分たちの部門の最適化のことしか考えないので、視座を高めることができません、



というわけで、「他業界、他部門の社員と交流させる」というのが3つ目になります。

 

社員の視座を高める仕組み

以上、社長と社員の視座を高める方法という話をしました。仕組み経営では、会社の仕組みづくりを通じて、社員や経営幹部の視座を高めるご支援をしています。詳しくは以下からご覧ください。

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