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起業家・経営者はストーリー(ヒーローズジャーニー)を語れ – 「キングダム」

優れたストーリーの原則

映画も漫画も大人気のキングダム。先日全巻一気読みしました。せっかくなのでこのキングダムから学べる経営やリーダーシップに関するヒントをメモっておきたいと思います。その6のテーマは「起業家・経営者はストーリー(ヒーローズジャーニー)を語れ」です。

キングダムとは?

原泰久によるマンガ。青年マンガ誌「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で2006年9号より連載中。13年4月現在、単行本は30巻まで刊行されている。争乱が続く春秋戦国時代の中国を舞台に、大将軍を目指す少年・信と、後に始皇帝となる秦王・政の活躍を史実とフィクションを織り交ぜて描く。12年6月よりNHK(総合・BS)でテレビアニメが放送開始。13年、手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞した。(コトバンクより引用)

 

いきなり話が飛びますが、先日、スターウォーズシリーズを見ていたところ、キングダムに似たようなシーンが出てきたことを思い出しました。

考えてみたら、それもそのはず。

実は映画や小説、漫画など、ヒットするストーリーには”型”があるのです。

それが「英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)」です。

神話の研究家として知られるジョセフ・キャンベル氏は、世界中の神話を研究した結果、ある結論に達します。

それは、神話の中には英雄が登場する。英雄の姿は、神話によって様々であるが、彼らにはほぼ共通のストーリーがある、というものです。

そして著書「千の顔をもつ英雄」の中で、その原則を明らかにします。

ジョセフ氏が明らかにした、英雄達のストーリーは、「ヒーローズ・ジャーニー」として定義されました。

ハリウッドなどで制作される映画の脚本の基礎としても利用されていたり、マーケター達が企業のストーリーを伝えるときに使われたりしています。

スターウォーズもターミネーターも、このヒーローズジャーニーをベースにしてストーリーが作られています。そして、意識しているかどうかは知りませんが、キングダムのストーリーもヒーローズジャーニーになっています。

優れた起業家・経営者はストーリーを語り継ぐ

起業家・経営者の大きな役割は、ストーリーを語り継ぐことで、会社の哲学や理念といった、いわばDNAを残し続けることです。

たとえば、創業ストーリーや商品の開発ストーリー、顧客や社員の成功物語、こういったストーリーは人々の心に残りやすく会社を際立たせる役割があります。

近年、消費者は彼らが購入する物のストーリーを知りたがっている。誰が売っているのか、どんな社会的使命があるのか。ビジネスの成功は、顧客や投資家との個人的なつながりを構築することと深いつながりがある。そんな状況の中、About us ページは、企業ウェブサイトの中で、一等地になっていると言える。 – 米Entrepreneur誌

たとえば、世界のホンダ。まだ小さな町工場だったときから、創業者の本田宗一郎氏が、ミカン箱の上に立って、世界一になるんだ、と叫んでいた逸話はあまりにも有名です。

ホンダのファンは、創業時から脈々と受け継がれている物語に引寄せられています。

また、ガレージ発のベンチャー企業として有名なのが、ヒューレット・パッカード(HP)社です。

ヒューレットパッカードのガレージ伝説。

HP社も、その当時の物語が、自社内に受け継がれ、いまなお、彼らのビジネスにとって欠かせないDNAになっています。

優れたストーリーは、優れたブランドを作り、ビジネスにより多くの人たちが引寄せられるようになります。

そこで今回は、ヒーローズジャーニーに沿ってキングダムのストーリーを俯瞰して見たいと思います。自社のストーリー作りの参考にしていただければと思います。

英雄の旅(ヒーローズジャーニー)のフォーマット

まず英雄の旅(ヒーローズジャーニー)のフォーマットをご紹介しておきます。

ヒーローズジャーニーの基本フォーマット

1. 日常の世界主人公が日常の世界に登場する場面の描写。主人公の人生に何かが欠けているが、その欠けているものが何なのか、気が付くことができない。

 

2. 天命

主人公を旅へと駆り立てる何かに出会う。予期せぬ何かとの出会いが、旅へと導いていく。

 

3. 賭け/決断

天命によって旅に導かれるが、主人公は、果たしてその道に進むべきなのかどうかを葛藤する。自分は日常の世界に留まるべきなのか、それとも新しい世界へと足を踏み入れるべきなのか。

 

4. 探索

「新しい世界」に足を踏み入れ、主人公が新しいことを体験し始める。

 

5. 困難

冒険の中で、困難に突き当たる。ライバルや敵との対立によって、主人公が叩きのめられそうになることで、ストーリーに引き込む力が生まれる。

 

6. 変革

主人公が困難に遭遇し、それを乗り越える過程で、英雄として成長していく。読み手は、その姿を自分と重ね合わせることによって、感動したり、勇気をもらったりする。

 

7. ひらめき

日常の世界で常識として考え、行動してきたことが、新しい世界、新しい世界では、通用しないことに気が付き、ひらめきの瞬間がやってくる。いままで自分が経験してきたことが全て統合され、ひとつの結論に至る。

 

8. 挑戦

これまでのシーンを統合させ、より大きなものに挑戦していくことを描写。挑戦がまだ道半ばでも良い。

たとえば、これをターミネーター2のストーリーに合わせてみるとこんな感じになります。
1. 日常の世界
ジョン・コナーがゲームセンターで遊んでいる。2. 天命自分の将来を知る。3. 賭け/決断
スカイネットの開発を防ぐ決断。 

4. 探索
T1000と争う。

 

5. 困難
殺されかける。

 

6. 変革
英雄として成長。

 

7. ひらめき
過去の自分との訣別。

 

8. 挑戦
新しい未来を創るための挑戦。

キングダムのヒーローズジャーニー

さらにキングダムに合わせてみるとこんな感じになりそうです。
1. 日常の世界
戦災孤児の信と漂は大将軍になるという夢を持ちながらも、日々、家の手伝いをしながら貧しい生活を送っています。

 

2. 天命
そんな中、たまたま通りかかった昌文君(秦の国王、政の部下)は、国王に似ている漂を影武者にすべく連れていきます。しかし、やがて漂は反乱軍に殺されてしまいます。そんな中、信は漂からのメッセージで政と出会います。

 

3. 賭け/決断
信は政と出会い、最初は政に敵意を持ちます。大親友だった漂は、政の身代わりになって死んだからです。一方で、政から決断を求められます。このまま村で暮らすか、自分を助けて大将軍になるか?信は政に付いていき、大将軍を目指すことにしました。

 

4. 探索
秦の部隊に入った信は、大将軍である王騎と出会います。目標とする代大将軍と出会ったことでますます目標への決意を強めます。

 

5. 困難
戦いの中でどんどん出世していく信の前には、様々な敵将が登場します。そのたびに信は成長します。また、同世代のライバルである蒙恬や王賁らと出会い、切磋琢磨しながら勝利を続けていきます。

 

6. 変革
信はついに王騎から譲り受けた矛を使い始めます。憧れの大将軍から意思を託され、信の成長は加速していきます。

ひとまずヒーローズジャーニーの6つ目のステップまでです。キングダムは100巻くらいまで続くという話があるので、「7. ひらめき」「8.挑戦」については信が将軍、大将軍になっていくシーンで描写されるような気がします。

ストーリーテリングの用途

さて、いまヒーローズジャーニーの基本型に沿って、キングダムのストーリーを見てみました。同じように、あなた自身やあなたの会社のストーリーを作ることで、人を魅了するブランドになっていきます。
ビジネスの場合、たとえば、次のようなストーリーが作れます。
  • 創業ストーリー
創業したきっかけや創業してからの苦労話。先ほどのヒューレットパッカードなどもそうです。創業ストーリーを社員に語り継ぐことで起業家精神を醸成したり、自社への愛着が湧く効果もあります。
  • コアバリューストーリー

自社のコアバリューを象徴するようなストーリーを語り継ぐことで、コアバリューの共有を強化できます。ザッポスでは新入社員トレーニングにおいて、先輩社員がコアバリューを体現したストーリーを共有するそうです。それによっていかにコアバリューがザッポスにとって大事なのかを知ることが出来ます。

  • 商品開発ストーリー

なぜその商品が出来たのか、どんな苦労があったのかを語り継ぐことで顧客を魅了することが出来ます。

  • ビジョンストーリー

自社の目指すビジョン。それが実現されたときにどんな世界になるのかをストーリーとして描写することでビジョンがより現実感を持って感じられるようになります。

  • 顧客ストーリー

顧客の成功事例をストーリーにします。社員はいかに自社の商品やサービスが世の中のために立っているかを実感できますし、他の顧客を魅了するツールにもなります。

 

こんな感じで、ヒーローズジャーニーの型を利用したストーリーは、様々な用途があります。ぜひ自社のストーリーを作り、語り継ぐことで人々を魅了するブランドづくり、会社作りに役立ててください。