集客自動化とは?
集客自動化とは、デジタルツールやソフトウェアを活用して、見込み客の発見から獲得、育成までのプロセスを自動的に行う仕組みです。これにより、人的リソースを最小限に抑えながら、効率的に顧客を獲得し、ビジネスの成長を加速させることができます。
具体的には以下のような活動が自動化されます:
- ウェブサイト訪問者の行動分析
- リードの獲得とスコアリング
- パーソナライズされたコンテンツ配信
- メールマーケティングキャンペーンの実行
- ソーシャルメディアの投稿管理
- 顧客データの分析とレポート作成
集客自動化のメリットとデメリット
集客の自動化はメリットしかないと思われがちですが、意外とデメリットもあります。
メリット
- 業務効率の向上:反復的なタスクが自動化され、戦略的な活動に集中できます。
- 一貫性:人的要因による変動がなくなり、ブランドメッセージの一貫性が保たれます。
- スケーラビリティ:ビジネスの成長に合わせて、集客活動を容易に拡大できます。
- データに基づく意思決定:詳細な分析により、より精度の高い戦略立案が可能になります。
デメリット
- 初期投資:適切なツールやシステムの導入には、一定の投資が必要です。
- 学習コスト:新しいシステムの習得に時間とリソースがかかる場合があります。
- 過度の自動化リスク:人間的な要素が失われ、顧客との関係が希薄化する可能性があります。
- カスタマイズの限界:完全にユニークなニーズに対応できない場合があります。
リード獲得の自動化の例
リード獲得とは、見込み顧客となり得る人たちの情報(メールアドレスや名前など)を獲得することを意味します。従来であれば、対面での名刺交換や展示会などが主な手段でしたが、いまではオンラインで自社の情報を発信したり、広告を出すことによってより効果的にリード獲得できるようになりました。
当社の場合、リード獲得についてはかなり自動化しています以下に具体的に見ていきましょう。
SEOで自動的にアクセスを集める
Search Engine Optimization(SEO)は、検索エンジンの結果ページで上位に表示されるようにウェブサイトを最適化する方法です。当社では、新規顧客(リード)の大半がこのSEOを通じて獲得されています。
SEOの実践には、まず顧客が興味を持ちそうなトピックについて、情報価値の高い記事を定期的に書くことが重要です。その際、記事内でキーワードを適切に使用し、検索エンジンに「この記事は○○について書かれている」と理解させます。また、見出し(H1, H2など)を効果的に使い、記事の構造を明確にすることも大切です。
SEOは一朝一夕では効果が出ないため、長期的な視点で継続的に記事を書き続けることが求められます。しかし、一度書いた記事は、1年後、2年後も検索結果に表示され続け、新たな読者を引き付けます。これにより、24時間365日、「自動的に」新規顧客を獲得できる仕組みが構築されるのです。
ただし、記事の執筆自体は人間が行う必要があるため、完全な自動化とは言えません。しかし、一度作成したコンテンツが長期的に効果を発揮する点で、非常に効率的な集客方法だと言えるでしょう。
ランディングページに誘導してメールアドレスを登録してもらう
ウェブサイトへの訪問者を顧客に変えるには、単にブログにアクセスを集めるだけでは不十分です。そこで重要になるのが「ランディングページ」の活用です。
ランディングページの活用方法として、まずブログ記事の適切な箇所に、ランディングページへのリンクを設置します。例えば、「このトピックについてもっと詳しく知りたい方はこちら」といった誘導文を使用するのが効果的です。
次に、訪問者に価値を提供することでメールアドレスを獲得します。具体的には、無料の電子書籍(Eブック)やウェビナー(オンラインセミナー)への参加権など、訪問者にとって価値あるものを提供し、これらの特典と引き換えにメールアドレスの登録を依頼します。
また、提供する特典の内容を工夫することで、自社の製品やサービスに興味を持ちそうな顧客層を絞り込むことができます。このプロセスにより、単なるウェブサイト訪問者を、将来的な顧客候補(リード)に変換することが可能になります。
広告でランディングページに誘導する
SEOだけでなく、広告も効果的な集客ツールとして活用できます。広告の大きな利点は、一度出稿すれば昼夜を問わず潜在顧客にアプローチできる点です。予算と期間を設定すれば、人手をかけずに運用できるため、これも自動化の一種と言えるでしょう。
広告を活用する際は、ブログからの訪問者用と広告からの訪問者用で、別々のランディングページを用意することをお勧めします。この区別により、どの集客方法(SEOか広告か)がより効果的かを正確に分析できます。
リードの教育を自動化する例
次に、リードを教育し、自社商品に興味を持ってもらう活動を自動します。
獲得したリード(見込み客)を実際の顧客に変えていくプロセスは、ビジネスの成功に不可欠です。このプロセスは一般的に「リードナーチャリング」と呼ばれますが、名称よりもその内容が重要です。
ステップメールで興味付けを自動化
多くの場合、メールアドレスを登録した時点では、潜在顧客は自社の商品やサービスについてほとんど、あるいは全く知識がありません。単に興味を引かれたからメールアドレスを登録した、という程度の関心度であることが多いのです。そのため、この段階から実際の問い合わせや商談につなげるには、戦略的なアプローチが必要となります。
その核心となるのが、継続的な情報配信です。これにより、潜在顧客の興味や関心を徐々に高めていきます。この情報配信を効果的に行うための最も信頼性の高い方法が「ステップメール」です。
ステップメールとは、メールアドレスを登録した人に対して、あらかじめ設定したスケジュールに従って自動的にメールを配信するシステムです。例えば、登録直後、3日後、1週間後、2週間後というように、段階的にメールを送ることで、受信者の興味を徐々に深めていきます。
当社では、Convertkitというツールを使用してこのステップメールを実施しています。このようなツールを利用することで、一度設定すれば後は自動的にメールが配信されるため、効率的にリードナーチャリングを行うことができます。ちなみに当社では、登録後、約100日間にわたって自動的にメールが配信されるようになっています。
ステップメールの目的は、ビジネスモデルによって異なります。BtoC(企業対個人)ビジネスの場合、ステップメールを通じて直接的に商品購入を促すこともあります。つまり、メール配信だけで自動的に商品が売れる可能性があるのです。
一方、当社のようなBtoB(企業対企業)ビジネスの場合、ステップメールの主な目的は即座の商品購入ではありません。むしろ、問い合わせや商談の機会を創出することに重点を置いています。つまり、ステップメールを通じて自社の専門性や提供価値を段階的に伝え、相手企業に「この会社と話をしてみたい」と思わせることが狙いです。
ステップメールの内容
具体的なステップメールの内容としては、以下のようなものが考えられます:
- 初回メール:登録のお礼と、今後のメール配信についての案内
- 2通目:業界の課題や最新トレンドに関する情報提供
- 3通目:その課題に対する自社のアプローチや解決策の概要
- 4通目:実際の成功事例の紹介
- 5通目以降:より詳細な情報や、無料相談の案内など
このように、徐々に具体的かつ深い情報を提供していくことで、受信者の興味を段階的に高めていきます。そして最終的に、「もっと詳しく話を聞きたい」という気持ちを喚起し、問い合わせや商談の機会を生み出すのです。
ステップメールの大きな利点は、一度システムを構築してしまえば、新規のリードが獲得されるたびに自動的に実行されることです。これにより、営業担当者が個別に初期のフォローアップを行う必要がなくなり、より価値の高い活動に時間を割くことができます。
ただし、効果的なステップメールを作成するには、顧客の関心事や課題を深く理解し、それに合わせたコンテンツを用意する必要があります。また、定期的に開封率やクリック率などの指標を分析し、必要に応じてコンテンツを改善していくことも重要です。
このように、ステップメールを中心としたリードナーチャリングを自動化することで、効率的かつ効果的に見込み客を育成し、最終的な成約につなげることが可能となります。これは単なる省力化ではなく、ビジネスの成長を加速させる重要な戦略の一つと言えるでしょう。
ウェビナーを自動化
メールマガジン(メルマガ)の読者を実際の商談へと導く手法として、ウェビナーが広く活用されています。ウェビナーとは、簡単に言えばオンラインで行うセミナーのことです。特にBtoB(企業間)ビジネスにおいては、非常に効果的な手法として定着しています。
従来の対面式セミナーと比較すると、ウェビナーには多くの利点があります。開催頻度を大幅に増やすことができ、また会場費などのコストもほとんどかからないため、積極的に活用する価値は十分にあります。
意外と面倒なウェビナー
しかし、通常のウェビナーにも課題があります。それは毎回の集客に労力を要するという点です。ウェビナーの開催が決まれば、それに向けて以下のような準備が必要になります:
- ウェビナー登録ページの作成
- 内容の企画と資料の準備
- 開催直前のリマインダーメールの送信
- 当日の運営と進行
これらの作業は、対面式セミナーよりは簡略化できるものの、それでもかなりの労力を要します。そして、もし参加者が極端に少なければ、投資に見合う効果が得られない可能性もあります。
自動ウェビナーツール
そこで当社では、この課題を解決するために「自動ウェビナー」を導入しています。これは「オートマチックウェビナー」とも呼ばれ、特に海外では広く普及している手法です。
自動ウェビナーの仕組みは以下の通りです:
- ウェビナーの内容を事前に収録します。
- 収録した内容を、あたかもリアルタイムで話しているかのように配信します。
- 参加者は通常のウェビナーと同じように視聴し、学習します。
この方法には、いくつかの大きな利点があります:
- 一度作成すれば、何度でも使い回すことができます。
- 参加者の都合に合わせて、複数の日時で「開催」することができます。
- 内容の質を一定に保つことができます。失言や説明の漏れなどのリスクが減ります。
- 運営側の負担が大幅に軽減されます。
一方で、自動ウェビナーにも制限はあります。最大の制約は、参加者からのリアルタイムの質問に直接答えることができない点です。しかし、この問題に対しては以下のような対策が可能です:
- よくある質問とその回答を事前に用意し、ウェビナー内で紹介する。
- チャット機能を活用し、運営スタッフが書面で質問に回答する。
- ウェビナー後のフォローアップで個別に質問に対応する。
また、単なる動画配信と異なり、自動ウェビナーは「今まさに行われているセミナー」という臨場感を演出することができます。これにより、参加者の集中力や参加意欲を高めることが可能です。
商談の設定を自動化する
BtoBビジネスの場合、大抵は商談をした後に契約ということになると思います。そこで、いかに効果的に商談を設定するかが大切になります。通常はホームページの問い合わせ欄から問い合わせをしてもらい、それから日程調整ということになります。しかし、これだとメールのやり取りをなんどもしないといけないことがあり、相手にとっても、こちらにとっても面倒です。そこで、Timerexやeeasyなどの日程調整ツールを活用します。これらのツールはグーグルカレンダーと連携させることで、自分の空き日程を来訪者に表示させることが出来ます。来訪者はそこで自分の都合の良い日時を選びます。するとこちらのカレンダーに自動的に予定が入ります。些細な自動化かもしれませんが、日程調整のストレスが減るのは意外と効果が大きいものです。
商品のデリバリーを自動化する
当社のメインサービスは経営陣向けの仕組み化コーチングです。このサービスの提供はもちろん自動化できず、人がアナログ的に対応しています。一方、サブ的な商品として教材なども販売しています。教材は基本的にはオンラインでのコンテンツ提供となっており、この提供は自動化しています。
shopifyとconvertkitを連携
具体的には、ショッピングカートとして使っているShopifyとメール配信システムのconvertkitを連携させることによって、購入者に対して自動的に会員サイトが案内されるようになっています。
自動化した集客業務の効果測定と改善
さて、以上のように当社では集客の自動化を進めているわけですが、かといって、完全に放ったらかしで回っているわけではありません。なぜならば、ステップメールやウェビナーは確かに一度セットアップすれば自動的に機能するわけですが、その内容が効果的とは限らないからです。自動化できても、ステップメールの開封率が低ければなんの意味もないのです。
数字を基に効果測定と改善
そこで効果測定と改善が必要になります。たとえば、
- ランディングページのアクセス数
- ランディングページの成約率
- ステップメールの開封率とクリック率
- ウェビナーへの登録率
- ウェビナーの視聴率(最後までみた人の率)
- 商談への誘導数
などがどうなっているのかを定期的に確認するのです。そして、好ましい水準になければ、内容を改善する必要があります。
実際のところ、最初から思った通りになることは少なく、改善を前提として考える必要があります。そのため、集客の自動化といっても、それなりに手間はかかります。では例に出したような自動化ツールなどは意味がないかというとそうではありません。そういったツールを導入することで、何が効果があり、何が効果が無かったかが把握できるからです。
集客自動化の実践
以上、当社の例を基に集客の自動化について見てきました。汎用的に考えますと、自動化を進めるステップは以下のようになります。
1.集客の全体像を設計する
まず自社の事業モデルに合った集客の全体像を設計しましょう。当社の場合、オンラインでリード獲得⇒リード教育⇒商談という流れでしたが、これはあくまで一例です。扱う商品によって全体像は変わります。
2.必要なツールを選定する
大抵の場合に必要なのは、ステップメールの配信が出来るツール(マーケティングオートメーションツール、メルマガ配信ツールなど)です。LINEを使う場合には、LINEでステップメールを配信できるものもあります。
3.ツールをセットアップする
ツールをセットアップします。ここが一番大変かもしれません。ただ、これも完璧を求める必要はありません。先述したように、どうせ改善が必要になりますので、仮で良いのでセットアップしてみましょう。
4.運用してみる
実際に運用してみます。やってみると、メールが届いていなかったり、設定がoffになっていたり、など色々と手直し事項が発生するものです。
5.改善の仕組みを創る
何度も言いますが、集客の自動化は改善が前提です。そして、その改善を仕組み化する必要があります。つまり、その指標を、どのタイミングで測定し、どんな数字だったら、改善するのか?などの基準を創るのです。この基準は最初は分かりません。一度運用してみて、平均的な値や基準となる数値を知ることが大切です。ツールによっては、この数字は業界標準と比べて低いですよ、高いですよ、などの表示をしてくれるものもあります。基準となる数字が決まったら、それを上回るように改善します。改善した結果、数字がなることもあります。その場合には元に戻してやり直しです。
こういった、意外にも地道な作業を通じて集客の効果が改善されていきます。
ぜひあなたの会社でも実践してみてくださいね。
なお、仕組み経営では、こういった集客活動の設計から仕組み化までもご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。