会社経営が辛い、大変と思ったら

「会社経営が辛い、大変だ」と思った時に読むべき経営の原則



清水直樹
「会社経営が辛い、大変だ」と思ったことはありませんか?そんな社長に向けて、世界一の中小企業アドバイザーが教えてくれた会社経営の原則「起業家の視点」をご紹介します。

会社経営をしていれば辛いときや大変な時があるものです。またいつか良くなる、とわかってはいるものの、社長を辞めたいと思うようなこともあるでしょう。

そんな方に向けて、世界一の中小企業アドバイザー、マイケルE.ガーバー氏(「はじめの一歩を踏み出そう」著者)が教えてくれた会社経営の原則「起業家の視点」をご紹介させていただきます。

ぜひ現状を打破するヒントにされてください。以下、マイケルE.ガーバー氏の言葉+私のコメント、という形式で続きます。

 

1.経営者としての情熱はまだあるか?

気乗りしない経営者は、スタートしたときの情熱を失ってしまっている。情熱はとても繊細なものだ。何百ものプロジェクトを思いついても、2日後、3か月後には忘れてしまう。大半の人の人生では、やりかけのプロジェクトが山積みになっている。

満たされていない夢、雑然とした想い。壊れかけた店の看板。こういったもので世の中は溢れている。私たちは容易に興味を失ってしまうのである。時々、私たちの中にいる誰かが、情熱を起こしに来るが、また新しい誰かがやってきて、それを眠らせてしまう。

私は誰にでも繁栄する才能を持っていると信じている。そして、情熱がその才能に燃料を与えるのだ。気乗りしない起業家は、情熱を失ったまま、いまいる居心地の良い場所を離れることなく、痛みだけを取り除こうとする。

しかし、それではだめなのだ。あなたには決意をしてほしい。仕事をして、仕事をして、仕事をして、という状況をはるかに超えたところに到達するという決意を。

私の共著者は、20年も前にその決意をした。彼は弁護士だったが、法律業務をシステム化したおかげで、業務を拡張可能にすることができた。彼はかつて私に言った。

”私はもう弁護士ではありません。起業家です。”

その後、彼らのビジネスは米国中に広がり、136倍になっている。そして、いまでは、彼らが作ったシステムを米国中の弁護士に提供している。だからあなたにも、いまいる居心地の良い場所を超えて、いまあなたを押さえつけている知識や能力を超えて、決意をしてほしい。いまよりも飛躍的に成長するという決意、人を招き入れ、彼らとともにビジネスを拡張可能にするという決意を。

そのためには、情熱がカギとなる。自分の中で、情熱がどのように動いているのかを感じてほしい。それがあなたの起業家的な機会を見つけるヒントになるだろう。

 

【コメント】辛い、大変な時こそ最初を思い出す

創業した時、または社長になったときを思い出してみましょう。その時はどんな情熱を持っていましたか?まだその情熱はありますか?すべての経営者は最初のお客様がお金を払ってくれた時、未来への”光”を見るものです。ただ、仕事にも慣れてくると、それが単なる作業になり、”光”を失っていくのです。辛いとき、大変なときこそ、原点を思い出してみましょう。

 

2.鏡の中の自分を見る

  • あなたは会社に対して、どれだけの情熱を持っているだろうか?
  • スタートしたときに燃え盛っていた炎はまだあるだろうか?
  • あなたはリーダーとして優れているだろうか?
  • あなたはリーダーとしての器を持っているだろうか?

このように鏡の中の自分を見ること、自分を客観的に評価することは、必ずしも心地よく感じないかも知れない。しかし、それでも良いのだ。なぜなら、自分が認識していないことは変えようがない。

まずは、ありのままの姿を見ることからはじめるべきである。その一歩とは、自分やビジネスの好きではない部分、苦手な部分に目を向けることであり、そのことが、変わろうとする情熱に火をつけてくれるのである。

ビジネスオーナーのほとんどは、我流で経営をしているため、苦手な部分を改善する方法を体系的に教えられたことがない。だからこそ、正しい経営方法を学ぶための一歩を踏み出す必要がある。

 

【コメント】辛さや大変さを隠す必要はない

子供は親がお金持ちであるかどうか、すべてのことについて完璧であるかどうかなどは気にしません。親がいかに自分に対して正直であるか、オープンであるかを気にしているのです。会社のメンバーも同じで、あなたのリーダーとしての能力はあなたが誠実であり、オープンであるかによって決まります。

 

3.会社経営におけるすべての責任を受け入れる

現在のビジネスや人生の状況は、過去の選択や決定の成果物である。それを受け入れない限り、あなた自身やビジネスを変えることはできないだろう。あなたのビジネスが抱える問題のほとんどは、あなたの選択や決定の方法で大きく変化する。

例えば、あなたが気まぐれでなかったとしたら、ひとつのことに集中するのに困ることは無かっただろう。正しいビジョンの掲げ方を知っていたら、それをやり遂げることに苦労していなかっただろう。自分が目立ちたいという欲求を抑えることができていたら、仕事を委任するのにこんなに苦労することは無かったであろう。

責任感のあるリーダーは、良くも悪くも、誰も助けに来てはくれないということを知っている。そして、成長するために、自身の強みと同時に、弱みを受け入れることができる。

事業は好況時も不況時も成長できる。ビジネスのオーナーがよく言うのが、資本に問題を抱えている、十分な資本がない、もっと資本があればできるのに、ということだ。あいつが自分の部下でなかったら、もっといい人を見つけられたら、でもそんな人を雇う金はない、だから無理だ、と。あいつが自分のパートナーでなかったなら、それだけですべては変わるはずだと言うのだ。

人々は自分の外側に原因を見つける。自分の外側にビジネスが抱える問題の原因を見つけようとする。しかし、真実は、ビジネスがうまくいかない理由は自分の外にはありはしないということだ。あなたの国で、世界中のビジネスがいつも失敗する理由、ビジネスが持つ真の可能性に到達する前に失敗する理由は、1つしかない。ビジネスのあらゆる問題、失敗の原因は、ビジネスのオーナーであるあなた自身なのだ。

まずお伝えしたいのは、自分が直面するあらゆる問題の責任を受け入れるということだ。シチリア人の友人が、シチリア語の言い回しを教えてくれた。

「魚は頭から悪臭を放つ」。

意味がわかるだろうか?

これは、ビジネスで問題にぶつかれば、それは自分が問題を作ったということだ。人間関係の問題にぶつかったなら、それはあなたが人の扱い方をわかっていないからである。経済的な問題なら、お金について何も知らないからである。マーケティングの問題なら、マーケティングを理解していないからである。顧客の問題なら、顧客を理解していないからである。製品の問題なら、製品を理解していないからである。外の世界とは全く無関係なのだ。

会社のトップである、あなたに問題があるのだ。



どういう場面でも、これは真実だと私は感じている。今、経済はぼろぼろだが、このぼろぼろの経済の中でも、素晴らしい業績を上げているビジネスを見つることが出来る。また、産業もぼろぼろだが、このぼろぼろの産業の中、急成長するビジネスを見つけられる。「カナダでは消費税のせいで、あるいはこれのせいで、あれのせいで、みんな国境を越えてアメリカに買い物に行くので小売りではお金が稼げないのです」と言う小売店がある。しかし、同じ小売業でも、できないと愚痴をこぼしている小売店のすぐとなりで、急成長する小売店も存在するのだ。

このような現象はどう説明すれば良いだろうか?普通ではないくらいの成長をしていた会社が、廃業に追い込まれるということが実際起こっている。そういう会社を見ると疑問に思わないだろうか。一体彼らの何が悪いんだろうと。

ビジネスの失敗は、外部環境とは無関係なのだ。問題は私たちの中にある。そしてこれは最も大事なことだが、私たちが学ばなければならないと思っている、どの技術とも関係がないのだ。それよりも「ビジネスとはどういうものであり、どういうものでないのか。私は誰であり、誰でないのか。ビジネスと私との関係はどうあるべきか。自分が達成したいのは何なのか」という私たちの考え方と深い関係があるのだ。

 

【コメント】辛いとき、大変な時こそ、すべての責任を自分で持つ

すべての変化は今の状況の責任をすべて自分が受け入れることから始まります。869年、貞観地震といわれる大震災が発生しました。当時の天皇、清和天皇は、”憮然としてはぢ懼れ、責め深く余に在り。(呆然として、この災害の罪は私にある)”として自然災害の責任を受け入れ、国民の無事を祈ったそうです。あなたは辛いときにも大変な時にも、すべての責任を受け入れていますか?

 

4. 意義に基づいた経営をする

あなたやあなたの会社の社員が、人生の意義や目的を仕事で表現することができれば、ビジネスはより効率的になり、より好ましい成果を生み出すことができる。意義・目的に基づいた経営が行われている会社は、外部からでも感じることができる。

顧客はあなたの会社が自分の感性や価値観に合っているかどうかを即座に感じ取る。意義・目的に基づいた経営が行われていない会社は、価格競争に陥らざるを得なくなる。これは社員にとっても同じである。彼らは歯車になるのではなく、自分が関心のある環境で働きたいと思っている。当然、意義や目的を感じる職場では、より努力し、より長くとどまり、責任感を持って働くのである。

意義ある会社をつくること、そこで働くことは、その人の人生にとって、欠かせない存在になることを意味する。そうなったとき、リーダーは、ビジネスが社員にもたらす影響、商品やサービスが市場やコミュニティにもたらす影響の大きさを感じることができる。リーダーがそのような革新的な環境を作り上げたとき、ビジネスはあなたの情熱を世界に届ける乗り物へと進化するのである。

 

【コメント】辛いとき、大変な時は貢献心を思い出す

人は誰でも何か大きなことに貢献したいと思っているものであり、自分の力を活かせる居場所を求めているものです。あなたの会社ではそのような意義と居場所を提供できていますか?

 

5.オーナーシップの企業文化を作る

オーナーシップとは、資本や役職以上のものである。それは人々が卓越さを追求しながら働ける環境を作ることである。オーナーシップの企業文化は、社員とリーダーの信頼関係によって築かれる。

オーナーシップの文化とは、全員が、なぜそのビジネスが存在するのかを理解し、自分がそのビジョン(目指すべき姿)に向かう中で、どのような役割を担えばよいのかを理解していることである。

これは人々の内面から生まれるものであり、ニンジンをぶら下げてできるものではない。

「自分と同じくらいビジネスについて考えてくれる人がいない」と嘆く経営者は多い。しかし、それは実際のところ、リーダーシップとマネジメントの問題なのである。あなたが過去と現在に責任を持つことができれば、彼らもビジネスの結果を気にかけてくれ、望む未来を創るための方法を見つける努力をするだろう。

 

【コメント】辛いとき、大変なときは人の力を活かす

自分の目的やストーリー、なぜあなたがそのビジネスを始めたのか。なぜ顧客が自分たちの会社を選んでいるのか。あなたはこれらのことを十分に社員に伝え、彼らの役割を与えていますか?

 

6.会社経営の メタ(問題の根源)を捉える

メタとは、ビジネスで発生する“症状”ではなく、問題のより深い根源を探ることを意味する。ある問題を独立した現象として捉えるのではなく、根底に流れる共通したパターンの一部だと捉えることを意味する。問題それ自体よりも、本来直すべき、その前後関係を捉えることを意味する。

この考え方で問題に取り組むとき、あなたはビジネスをひとつのシステムとして捉えることになる。この考え方なしでは、いつまでたっても、症状を一時的に緩和しているに過ぎない。メタ(問題の根源)を考えることによって、システム的な解決が可能になる。

この視点を持つことは、時に第三者、ビジネスの外部から問題を見る必要があり、それがあなたにコーチが必要な理由でもある。

 

【コメント】辛い状況、大変な状況が起こった根本原因を見つけ出す

いまの辛い状況、大変な状況はなぜ起こっているのでしょうか?安易な答え探しに焦るのではなく、会社の問題の根源をさかのぼりましょう。時にそれはあなた自身の価値観に起因するものかもしれません。

 

7.不快感は社長の仕事の一部である

誰もが快適さを望むが、真のリーダーは見たくない真実を探し、ビジネスが停滞している理由を発見する。例えば、身体的な強さは、苦痛を選択することによって実現する。ワークアウト(身体的なトレーニング)には、マッサージのような快適さはなく、文字通りワーク(仕事)である。仕事についてもそれと同じであることを忘れていないだろうか。

「会社が思い通りに進まない」、「仕事を任せる人材が育たない」などの心配、フラストレーション、ストレス、悲しさ、これらはすべて、ビジネスリーダーの仕事の一部である。優れた体を作るためにワークアウト(身体的なトレーニング)に行くのと同じである。ワークアウトにいけば苦痛を感じるが、長期的には、それによってしか効果を得ることができない。

これは偉大なリーダーになるのとなんら変わりが無い。リーダーが商品、品質、スタッフ、顧客と真摯に向き合い、その改善を正しい視点で長期的な覚悟をもって取り組んだとき、ビジネスは偉大な存在へと革新を遂げるのである。

 

【コメント】辛さ、大変さが無ければ成長できない

「3歩進むために2歩下がることを恐れてはならない」これは有名な著者ジグジグラーの言葉です。いまの状況は一見、下がっているように思うかも知れませんが、より高く飛ぶために必要なステップだと考えましょう。

 

8.仕事をするのではなく導く

あなたは、時に職人の仕事をし、時にマネジャーの仕事をし、時に起業家の仕事をする。これら3種類の仕事が入る余地を残しておくことが欠かせない。つい手を出したくなるような、目の前の仕事に迷い込んではいけない。

職人的仕事をしているときには、ほかのスタッフがあなたの背中を見て、学び、成長できる。マネジャー的仕事をしているときには、ほかのスタッフにあなたの理論を説明することで、彼らは効果的なマネジャーになることができる。起業家的仕事をしているときには、彼らはインスピレーションを受ける。

あなたのやるべきことは、単に仕事を終わらせるのではなく、導くことなのだ。社内で枯れない井戸となり、そこから価値観を生み出し、浸透させ続けていることを忘れてはならない。

組織図の上に行くにしたがって、あなたは何をしているか?よりも、どんな人物であるか?が大切になる。これはリーダーの大きな責任でもあり、チャンスでもある。あなたは意識しているかどうかにかかわらず、常に、周りの人たちをトレーニングしているのである。

 

【コメント】辛さ、大変さを乗り越えて成長する

リーダーになるためには能力が必要ですが、リーダーであり続けるためには人格が必要です。そのためにはこれまでと違ったことを学び、成長することが大切です。

▶参考:将の将たるものは



 

9.追求するのに値する夢はあるか?

起業家にとっての崇高な目的とは、購買意欲を刺激することではない。顧客が現在いるところから、いける可能性があるところまで連れて行くことで、結果を提供することである。

もし、その結果が見られたり、理解されたり、価値を感じてもらったりすれば、販売は既に達成されたと同じである。しかし、その結果は達成可能なものでなければならない。大多数の消費者がそれを買ったときと同じ場所に留まり続けることは、新しい起業家にとって、受け入れがたいものである。

あなたの顧客を引き下げる商品やサービスは何だろうか?タバコ、アルコール、ドラッグなどである。彼らを引き上げる商品やサービスは何だろうか?教育やインスピレーション、負債の返済などである。モハメド・ユヌスは、人々にお金について、そしてそれをどのように使うのかを教えた。しかし、彼はさらにコミュニティについても教えた。母親として娘として、妻としての役割、責任ある人間としての役割を教えた。それをきつい言葉で教えるのではなく、力で教えるのではなく、にんじんをぶら下げて教えるわけでもなかった。代わりに、彼らと同じ立場に立ち、彼らと向き合って教えた。

これが崇高な目的である。これが新しい時代の起業家を駆り立てるものである。理解しただろうか?ここでしている会話は、私たちが出来るもっとも偉大な会話である。あなたは自分の中に存在する創造者を呼び起こし、運命を全うせよと言われている。コンフォートゾーンを越え、生計のために生きることを越え、これまでのような小さな満足を得るために働くことを越えるために呼び起こされている。

 

【コメント】夢が無い人は辛さも、大変さも感じない

あなたが今、会社経営をするうえで悩んだり、苦しんだり、辛い、大変だと思っているのは、あなたに高い志があるからです。高い志があるから現実とのギャップに苦しむのです。高い志を持たない人は会社経営など辞めてしまって他の仕事を探します。あなたが今やっていることが、不可能だと思えること、自分の存在より大きいと思えること、あなたが恐怖を感じることでなければ、それはあなたがやるに値しません。あなたにここで言う崇高な目的があれば、いま抱えている問題はそこに至るための些細なハードルであると考えられるでしょう。

 

会社経営は春夏秋冬。辛さ、大変さの後には喜びが来る。

以上、いかがでしたでしょうか。すべての物事には春夏秋冬があるものです。いまは辛い、大変な冬だったとしてもいずれ春が来ます。ぜひ今回の記事をご参考に前に進まれてください。

なお、このサイト「仕組み経営」では、今回ご紹介したマイケルE.ガーバー氏の考え方をベースに中小企業のご支援をしています。詳しくは以下に記載しましたのでぜひご覧ください。

 

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