【完全解説】自律型組織とは?階層型との違いや種類や作り方

【完全解説】自律型組織とは?階層型との違いや種類や作り方



ティール組織ホラクラシーといった新しい形態の組織を総称して自律型組織(Self-Organization)と言います。

本記事では自律型組織について、自律型組織とは何か、メリットとデメリット、従来型組織との違いや自律型組織への移行方法等を詳しく解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

自律型組織とは

自律型組織の組織構造

(Zappos’ CEO says this is the biggest misconception people have about his company’s self-management system, Richard Feloni, Business insider)

自律型組織とは、上記図のように権力が組織の一部に集中せず、分散されている組織です。

部長や課長といった上下関係の発生する役職がなく、社員は皆権限を委任されているため、上層部に全ての指示を仰がずとも意思決定が可能です。

逆に言えば、自律型組織は社長や管理職に頼らずともビジネスが動いていく組織形態であり、私たち仕組み経営の提唱する社長がいなくてもビジネスが成長していく仕組みづくりに非常に近いものがあります。

自律型組織と階層型組織の違い

自律型組織と階層型組織の大きな違いとして、以下の項目が挙げられます。

  • ヒエラルキーの有無
  • 役職の有無
  • 社員それぞれの裁量権・権力の大きさ
  • 組織構造
  • リーダーの有無
  • 人事の有無

自律型組織に対するよくある誤解

自律型組織は確かに階層型組織と真逆ですが、事はそう単純ではありません。

ここでは自律型組織に対してよく抱かれる誤解をいくつか解消していきます。

自律型組織とは単純に階層のないフラットな組織を指すのではありません。これはよく誤解されるのですが、課長や部長といった役職、組織図をなくして全員が自分の好きなように物事を決める組織は、自律型組織とは呼べず、単なるカオス状態です。

真の自律型組織では独自の組織構造がしっかりと設計され、意思決定の規範がルールとして明確に定義されています。

例えば、ホラクラシー組織では組織内に複数のサークル状のチームを作り、それぞれに役割と権限を与え、さらに”Generative Decision Making”という意思決定のプロセス(社員の同意を基礎としたプロセス)を採用しています。

このように、自律型組織にも階層的ではありませんが、確立した構造やルールがあり、社員全員があちこちに散らばってやりたい放題できる環境ではないということです。

また、自律型組織では完全に平等でリーダーシップがないと考えるのも誤解です。

ティール組織の著者であるフレデリック・ラルーは、「自律型組織は全員が平等に力を持つことではなく、全員が自分にとって十分な力を持つことを目指している」と語っています。

つまり、それぞれが多様な価値観を持つ組織の中では、異なる役割や異なるレベルの貢献度があるのが当然であり、全員に平等を押し付けてしまうと不満やストレス、見えないヒエラルキーが生まれてしまうのです。

そのため、自律型組織ではリーダーシップを発揮することも、リーダーが生まれることも全く悪いことではありません。むしろ複数の人が集まる組織の中では非常に自然なことなのであり、自然と皆んなに選ばれたリーダーは組織に非常に良い影響をもたらします。

以上のように、自律型組織とは階層型組織と反対にフラットで、社員それぞれに権限や責任が与えられている一方で、独自の組織構造と明確なルールと意思決定プロセスを定義した組織です。

また、平等という名の一様性を求めず、社員の多様性を尊重し、それぞれが”自分に一番合った”頑張り方やリーダーシップを発揮できる、社員が自分らしくいられる組織文化を持つことも重要な特徴です。

自律型組織のメリット・デメリット

自律型組織のメリットとデメリットをみていきましょう。

自律型組織のメリット

自律型組織のメリットとして、下記項目が挙げられます。

・意思決定のスピードの向上

自律型組織では、チーム単位や個人で意思決定が出来るので物事の決まるスピードとビジネスの進むスピードが非常に向上します。



・自分らしさを仕事で発揮できる

従来の階層型組織では、上下関係によって自分の意見を上司に言いづらかったり、100%自分らしくいることが精神的に難しいことが課題でした。

一方、自律型組織では個人の裁量が大きく、上下関係による圧力がないため自分の個性を仕事に活かすことが容易です。もちろん自律型組織にも多くのルールや意思決定の規範は存在しますが、ヒエラルキーの欠如は個人の価値をより高めてくれます。

・チーム単位で採用が可能

これはもちろん組織の中で採用をどのように運用するかどうかにも寄りますが、採用もチーム単位に任せる場合、チームのメンバーがどんな人材がマッチするか定義し、最適な人材を選ぶことができます。

チームの雰囲気に合った採用ができるので、採用後のミスマッチを防ぐことに繋がります。

自律型組織のデメリット

一方、自律型組織のデメリットとしては下記項目が挙げられます。

・リーダーシップの欠如

自律型組織では、上司が存在しないため、時にリーダーシップが欠如した状態に陥ってしまうことがあります。自律したチームメンバーはリーダー=ヒエラルキーの存続と考え、リーダーシップを拒否してしまうのです。

しかし、自律型組織のリーダーとは従業員に権限を与え、一人一人が意思決定を行えるよう導く存在です。

そのため、自律型組織を築く際には、従来のリーダー像を壊し、自律型組織におけるリーダーシップのあり方や必要性について十分社員に理解してもらうことが重要になるでしょう。

・情報が散乱

自律型組織では個人やチームが並行して仕事や意思決定を行うため、情報の一元化が難しくなります。

情報の分散を防ぎ、より組織として効率を上げるためには、情報を集約するデジタルツールなどを活用すると良いでしょう。

・人事制度

自律型組織ではチーム単位で人事評価や賃金の決定法が異なるため、組織の中でかなりばらつきが生まれてしまいます。

人事制度も組織が変わるにつれてシステムを見直す必要があるでしょう。

自律型組織について注意すべきことについては、下記記事も参考にしてみましょう。

【自律型組織の闇】ティールやホラクラシーを目指す前に知るべきこと

自律型組織の種類

自律型組織の中でも、いくつか種類があるので紹介します。

アジャイル型組織

アジャイル型組織は、組織を小さくフラットなチームの集合体と捉え、権限をそれぞれに分散させることで、迅速な意思決定や素早い開発サイクルを可能にした自律型組織です。

詳しくは、下記記事をご覧ください。

アジャイル型組織とは?100年続く組織の5つの特徴



ティール組織

ティール組織とは、フレデリック・ラルーによって定義されている自律型組織の1つです。

ティール組織では、生き物のように捉えて組織の成長を5段階にわけています。第一段階である衝動型組織では恐怖による支配、そして第五段階である進化型組織をティール組織とし、「自主経営・全体性・存在目的」で成り立つ自律型組織と考えています。

詳しくは下記記事をご覧ください。

ティール組織の要約と実践へのステップ完全ガイド

ホラクラシー組織

ホラクラシー組織は、ホラクラシー憲法と呼ばれる組織運営のためのルールブックを元に社員がそれぞれ意思決定を行う自律型組織です。

権力を人ではなくルールやプロセスに持たせていることが最大の特徴でしょう。

アメリカの通販会社ザッポスがホラクラシーを導入し、一気に広まりました。

詳しくは下記ザッポスのホラクラシーに関する記事をご参照ください。

ザッポスについて完全解説(コアバリューから採用、ホラクラシーまで)

自律型組織の作り方

自律型組織の作り方には、一概にこうすればできる!という型はありません。上記で紹介した自律型組織の種類によってもやり方は大きく変わります。

しかし、自律型組織を作る上で最も重要になるのが会社のミッション・ビジョン・コアバリューです。というのも、マネージャーなしで社員に権力を分散する場合、意思決定の根源となるものが必要になるためです。

ホラクラシーで有名なザッポスでも、コアバリューを最も重視し、コアバリューに沿って全ての意思決定を行うよう社員は教育され、採用や解雇・評価は全てバリューを元に決まります。

自律型組織への第一歩は会社として何を目指すのか、重視するのかを明確にし、全員で共有することです。更にミッション・ビジョン・コアバリューは会社の力強い組織文化を形成し、組織文化は社員の行動規範をより強固にします。ここが上手くいけば、自律型組織の土台はほぼ完成と言っても過言ではないでしょう。

参考記事:「ミッション・ビジョン・バリューとは?作り方や違いを完全解説

もちろん、その後にも組織構成を設計したり、ルールづくりをしたり、意思決定の規範を整えたり、自律型組織へ移行するプロセスを考えたりとやることは沢山あります。

社員からは突然の変化に反発する声も沢山上がるでしょう。

移行する中で重要なのは、一気に変えようとしないことです。試験的に1チームだけを自律型チームとしたり、試験導入から始めて、改善点を見つけ、実験する。このような実験と改善のサイクルを繰り返しながら少しずつ自律型へ移行していくのがいいでしょう。

自律型組織は計画してすぐに出来るものではありません。また、トップダウン式に一気に行うものでもありません。社員とコミュニケーションを十分に取りながら、何が自社にとってベストなのかを話し合い、全員で作っていくことを意識してみましょう。

下記記事で、より詳しく自律型組織の作り方を解説しているので参考にしてみてください。

自律型組織の作り方(29歳女性リーダーが実現した事例)

最後に

自律型組織について解説してきました。

ティールやホラクラシーなど、多くの自律型組織が存在するので、是非ともそれぞれの特徴なども確認してみてくださいね。

アジャイル型組織とは?100年続く組織の5つの特徴



ティール組織の要約と実践へのステップ完全ガイド

ザッポスについて完全解説(ザッポスのコアバリューから採用、ホラクラシーまで)

私たち仕組み経営でも、会社の仕組み化を通じて自律型組織への移行支援を行なっています。

気になる方は是非下記リンクより詳細をご覧下さい。

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