動画でも要約をご紹介しています。
シナリオプランニングとは?
シナリオプランニングとは、起こりうる可能性のある複数の未来(シナリオ)を想定することにより、不確実性の高い環境の中で適切な意思決定を行うことを可能にする戦略策定手法のことです。
いまのような世の中では将来を予測するのが難しくなっています。専門家でさえ、コロナ禍がいつ収束するのか、また収束後の経済(アフター/withコロナ)がどうなるのかを正確には予測できません。
私たちのような経営者は、そんな中で、経営のかじ取りをしていなかければならないのです。
そんなときに使えるのがこのシナリオプランニングです。シナリオプランニングは、未来を予測するのではなく、起こりうる複数のシナリオを想定し、行動の戦略を立てることが大きな目的です。
シナリオプランニングで新型コロナ対策をする
シナリオプランニングには細かい手法がありますが、単純化し、ごく簡単に活用する方法をご紹介します。
新型コロナに関係する変動要素を挙げる
まず、自社のビジネスに影響を与えそうな変動要素を挙げてみましょう。この変動要素は自分ではコントロールできないものを挙げます。
通常は経済状況や政治などのマクロ的要素からスタートすることが多いですが、中小企業の経営に使えるようにするにはもっと具体的な要素のほうが良いでしょう。
たとえば今現在、中小企業の経営に影響がありそうな要素は次のようなものがあるでしょう。
- 新型コロナの収束時期
- アフターコロナで消費者の購買活動が変わるかどうか
- 株価
- 原油価格
- 社員の働き方(リモートor社内)
- 緊急事態宣言の終了時期(本日4月30日時点では不明)
- 政府による給付金、助成金などの実施状況
- アフターコロナでグローバル化が進むか、反グローバル化になるか?
これらはあくまで一例です。あなたのビジネスに当てはめて変動要素を考えてみてください。
変動要素でマトリックスを創る
上記で挙げた変動要素のうち、2つをピックアップしてみましょう。そして、以下のようなマトリックスを書きます。
これは横軸にコロナの感染がいつ終わるかという変動要素、縦軸にアフターコロナ時代にビジネスが元通りになるかどうかという変動要素を使っています。
このようなマトリックスを創ると、①~④まで、すでに4つの未来のシナリオが存在することになります。
各シナリオに対応する方策を考える
上記マトリックスで出てきた各シナリオに対して、自社が取りうる方策を練ります。これで既に4つのシナリオに対応できる準備が出来ることになります。
違う変動要素を使ってシナリオを考える
いまの例では、横軸にコロナの感染がいつ終わるかという変動要素、縦軸にアフターコロナ時代にビジネスが元通りになるかどうかという変動要素を使いました。
今度は別の変動要素についても考えてみましょう。
社員の働き方がリモートにシフトしていく場合にはどうなるのか?
消費者の購買マインドがこれまでと変わるのか、変わらないのか?
などなど、いろいろと変動要素を変えながらシナリオを考えてみましょう。こうすると非常に多くの未来が考えられるようになります。
社内の力を結集し、アフターコロナに備えよう。
繰り返しになりますが、シナリオプランニングの目的は、未来を予測することではありません。不確実な未来に自社がどう行動するか?を考えることが目的です。社長ひとりで考えてもいいですが、ぜひ自社のメンバーとともに取り組み、このコロナ禍を乗り切る方法、アフターコロナに備える方法を考えてみてください。
シナリオプランニングの事例:シェル
シナリオプランニングの先駆者といえば、ロイヤルダッチシェルが有名です。同社は1960年代から今に至るまで、シナリオプランニングに取り組んでいます。そのおかげでオイルショックの影響からいち早く立ち直ったと言われています。
こちらはシェルのHPに載っているシナリオプランニングに関する動画です。
動画の要約
私たちは皆、不確実性に直面していると思いませんか?しかし、私たちは、重要な結果をもたらす可能性のある大きな決定をしなければなりません。過去50年間、シェルはシナリオを通じて不確実性を調査し、将来を検討するために、”もし●●だったら?”という自問をしてきました。いくつかのシナリオでは、ユーロ圏やBrexitの課題、南シナ海での進展など、短期間の非常に具体的かつ緊急の状況に着目しています。また、何十年にもわたる、世界のエネルギーシステムの開発とその環境への影響に着目することもあります。大きく考えることから始めます。私たちは、人口動態の変化、政治、技術の進歩、気候変動など、私たちの手に負えない主要なトレンドについて考えています。そして、経済、都市化、交通、医療などの人々の行動や態度に対する潜在的な影響について考えます。次に、これらがもたらす可能性のある潜在的な影響を調べます。シェルシナリオは、私たちが将来に備えるのに役立ちます。このアプローチが、将来直面する可能性のある課題や不確実性に備えるのにも役立つことを願っています。
シェルは1960年からコンピューターを使った予測システムを使い始めました。しかしその予測システムは間違うことが多く、70年代に入ることには中止されました。
シェルがシナリオプランニングに取り組み始めたのは、ジミー・ダビットソンという人物が1965年に「長期研究」という活動を始めたことがきっかけでした。最初のシナリオは、2000年時点での事業環境を予測することでした。
以降、同社はシナリオプランニングに取り組み続けています。
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