組織の発達段階
以下の図は、「ティール組織」で紹介されている組織の発達段階を図にしたものです。本書では組織の発達は人の意識の発達に伴って起こるものとされているため、この図は人の意識の発達段階を表したものでもあります。大切なのは、5つの段階はすべて、前段階の階層を内包しているということです。つまり、アンバー組織はレッド組織の特徴も持ち合わせており、ティール組織はすべての組織の特徴を持ち合わせています。ですから、ティール組織を目指すのであれば、すべての組織段階を理解しておくことが大切です。
アンバー(順応型)組織とは?
アンバー組織は、上意下達で厳格な社会的な階級に基づくヒエラルキーによって成り立つ組織です。比喩としては、「軍隊」であり、現代でも多く見られる組織です。リーダーへの依存度を階層構造による役割分担によって減らしているため、レッド組織よりも多くのメンバーを統率することが出来ます。
アンバー組織の文化
- 規則と契約を順守する
- 従業員には規則正しく公正かつ巧みに仕事や課題を実行することを期待している
- 柔軟性に欠けており、社内で求める職種の人材が入ることだけを常に歓迎している
- 作業プロセスを最適化
- 適切な場に人材とリソースを展開
- 会社へのリスクは最小限に抑える
- 常時、規則とガイドラインを重視する
- 上記によって、会社への信頼性の向上に努めている
- 構造においても時には官僚的であり、柔軟性に欠けている
アンバー組織の業務
組織構造
階層的な組織図が明示されています。また、それは指揮命令系統を示すものでもあります。決定は階層の上位レベルで行われ、下位レベルは指示に従います。
採用
アンバー組織では、社会の中での立場や階層が採用の基準です。出身や家系によっても就ける仕事が決まっていています。特定の学歴を持っていないと途中までしか昇進できないという日本の公務員なんかもアンバー型かもしれません。
オンボーディング
アンバー組織では、新メンバーの役割や立場が明確に決まっています。そのためオンボーディングでは、役割で必要とされる要件をいち早く学ぶことに重点が置かれます。新メンバーの個人的なニーズや感情よりも、組織の都合が優先されます。
トレーニング
アンバー組織では、役割が明確に分かれているため、役割に合わせて専門的な職業訓練が行われます。
役割や役職
誰が何をすることができるかを明確に規定しています。職務内容と肩書きがリーダー層によってきめられています。現在でも多くの学校、教会、および公務員などはこのやり方で運営されています。このようなアンバー組織の運営方法の利点は、組織が大規模になっても対応できることです。役割と昇進は、正式なプロセスに基づいていて行われます。その際の基準は次の通りです。
- 上司の個人的な意見
- 勤続年数、役職、資格など
- 特定の社会的グループまたはカースト、民族グループまたは性別
解雇
多くのアンバー型組織は、生涯雇用が一般的であり、解雇は主にメンバーが規則違反をしたときにのみ行われます。
ミーティング
ミーティングは組織内で情報を循環させるために行われます。ミーティングでは基本的にリーダー層が決定事項を伝達します。また下位層が準備した情報を報告することも求められます。
意思決定
意思決定はリーダー層や中間管理層が行います。通常は下位層が意見をしたり、意思決定を行うことはありません。
チームワーク
ほとんどのアンバー組織では、メンバーは組織に忠誠を誓い、帰属意識を感じています。階層をまたいでのチームワークはほとんどありませんが、同じ階層のメンバー同士による交流が行われいます。
戦略
アンバー組織は、世の中が予測可能であるという前提に基づいて戦略を作っています。戦略は組織の最上部で開発され、決定事項が最下部のメンバーに伝えられ、必要な場合にのみ情報が共有されます。
情報の流れ
情報は、組織階層を介して制御および伝達されます。権限がある人の決定と意見が最重要視されます。
対立の解消
対立は権限を持つ人によって制御されます。多くのアンバー組織では、従業員と雇用主の間の紛争と苦情を管理するためのプロセス(日本で言う労使交渉)があります。
変化への対応
世界は本質的に不変である(またはそうあるべきである)と考えています。したがって、整然とした構造と安定したプロセスを中心に構築されています。外部の力によって、変化への対応が求められた場合には、ほとんどトップダウンで変更が行われます。変更への抵抗が考慮されることはほとんどなく、メンバーへの配慮がされることはありません。