レッド(衝動型)組織とは?



清水直樹
この記事では「ティール組織」で紹介されているレッド(衝動型)組織について解説します。

▶ティール組織実践へ向けてのまとめ記事はこちら

レッド組織の発達段階はどこ?

以下の図は、「ティール組織」で紹介されている組織の発達段階を図にしたものです。本書では組織の発達は人の意識の発達に伴って起こるものとされているため、この図は人の意識の発達段階を表したものでもあります。大切なのは、5つの段階はすべて、前段階の階層を内包しているということです。つまり、アンバー組織はレッド組織の特徴も持ち合わせており、ティール組織はすべての組織の特徴を持ち合わせています。ですから、ティール組織を目指すのであれば、すべての組織段階を理解しておくことが大切です。

レッド(衝動型)組織とは?

レッド組織は約1万年前に生まれたとされています。レッド組織の特徴を簡単に言えば、「力」が支配する組織であり、短絡的思考であることです。比喩としては、「オカミの群れ」であり、現代で見られるレッド組織としては、マフィア、ギャング、犯罪組織等が挙げられます。基本的に小規模集団であり、力を持つリーダーが恐怖で支配する組織です。日本の一般企業社会では見られない組織と思われますが、意外と恐怖政治で運営されている会社というのは、昭和くらいまでは存在していた気もします。

レッド組織の文化

  • 出来る限り早く行動を開始する
  • 状況を確認した後、迅速に利益が得られる計画を実行する
  • 即興で状況を把握し対応する
  • 上司は躊躇することなくその場で決定を下す
  • 対応力が評価の向上に関わる
  • その日に合わせた問題の対応に沿って仕事を遂行する
  • 組織と環境を注意深く監視
  • 上層部は常に利益に還元される結果を期待している
  • 曖昧さや厳しい規則を嫌う(曖昧さは従業員の態度や結果も含まれる)
  • 各商品の購買率等の分析データに対する興味がない
  • 尊敬を得るためには決断と力を備え合わせていることが必要

 

レッド組織の業務

組織構造

リーダー中心の組織であり、正式な階層はほとんどありません。オオカミの群れのように、リーダー(アルファ・メイル)がいかに他のメンバーを力で束ねられるかによって組織の強さが決まってきます。

採用

レッド組織はボスとメンバーとの信頼関係が重視されます。ボスはメンバーを守り、世話をする代わりに、メンバーに対して強い忠誠心を求めます。そのため新しいメンバーの加入に関しては、ボスへの忠誠心を示すための儀式などがあったりします。

オンボーディング

レッド組織はボスの力支配で成り立っているため、新メンバーに対しては、ボスの力や支配力が示されます。中核メンバーから新メンバーにボスの力、実績、そして恐ろしさなどが伝えられます。

トレーニング

レッド組織はオフィシャルなトレーニングはないと言っていいでしょう。組織に入ると兄貴分みたいな人に付き、あれこれ見て学び、成長していくことになります。

役割や役職

正式な構造化された階層はなく、役職や職務記述書などはありません。しかし、各メンバーはリーダーの裁量で決められた役割が明確になっていることが多いです。リーダーは他のメンバーの意思や思いは無視して、力で彼らを定位置に押し込めようとします。また、組織の安定性を確保するために、リーダーはファミリーと言える忠誠心の高いメンバーで自分の周りを固めます。他のメンバーは自分の戦利品を提供することで自分の忠誠心を示し、ファミリーになろうとします。

解雇

組織からの解雇は、完全にリーダーの独断で行われ、正式なプロセスはありません。抜け駆けしたり、組織から出ようとすれば、それは裏切り行為とみなされます。

ミーティング

ミーティングは、リーダーが必要性を感じた時に開催されます。リーダーが何かを発表したり、決断したり、儀式を行うために開催されます。また、ファミリーからの情報を求めるためにミーティングが開催されることもあります。

意思決定

意思決定はすべてリーダーを介して行われます。各メンバーが勝手に意思決定を行えば処罰を受けることがあります。

チームワーク

レッド組織においてチームが保たれているのは、外の世界の力や恐怖から自分たちを守るためです。チームワークの強さはリーダーのカリスマ性や力の強さ、または目標に対するエネルギーによって決まります。

戦略

基本的に戦略は存在しません。生き残ることこそが長期的な目標であり、何か外部からの脅威や機会があったときには、短期的な利益のために行動します。

情報の流れ

情報はリーダーによってコントロールされています。意図的に情報を制御し、組織を保とうとします。

対立の解消

メンバー間での対立が発生すると、リーダーが制御します。リーダーは力と恐怖で対立を止めます。

取締役会の機能

取締役会のような機能はレッド組織にありません。ファミリーメンバーが近い役割を担うこともありますが、最終的にはリーダーの独断ですべてが決まります。

変化への対応

リーダーは必要に応じて即断、即行動を起こすことができるため、カオス的な環境においては迅速に適応することができます。ただし、通常の環境においては(長期的な目標がないため)ほとんど変化が起こりません。



>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG