リーダーシップとマネジメントの違いを完全解説(スキル診断付)

リーダーシップとマネジメントの違いを完全解説(スキル診断付)



清水直樹
リーダーシップとマネジメント、いったい何が違うのでしょうか?その違いを知り、自分を成長させていくことでより優れた経営者になることが出来ます。そこでこの記事では、リーダーシップとマネジメントの違いについて詳しく解説していきます。

 

リーダーシップとマネジメントの違いは、リーダーシップは未来を形作り、やるべき結果を定義し、そこまでの道を決めることであり、マネジメントとは、実際にそれをやることを指します。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

内容の信頼性

この記事は世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」の内容をベースにしています。世界700万部のベストセラーの内容を日本の会社に当てはめてご紹介していきます。執筆者である私はマイケルE.ガーバー氏のメッセージをおそらく日本で最も多く翻訳したり、代理となって発信してきましたので、本記事の内容も信頼いただける内容かと思います。

 

リーダーシップとマネジメントの違い

リーダーシップとマネジメントの違いは、リーダーシップは未来を形作り、やるべき結果を定義し、そこまでの道を決めることであり、マネジメントとは、実際にそれをやることを指します。

マネジメントは人とシステムを通じて物事をやり遂げることである。システムがビジネスを動かし、人がシステムを動かす。 - マイケルE.ガーバー

管理職になったからといって、必ずしもリーダーになったとは言えません。残念ながら、世の中の大半の管理職(社長も含む)は、優れたリーダーだとは言えないでしょう。

優れた管理職になるには、まずはマネジメントとリーダーシップの違いをより詳細に理解し、その上で適切なリーダーシップ能力とマネジメント能力を身につける必要があります。

特に、管理職だけでなく経営者はリーダーシップとマネジメント能力を両方持ち合わせている必要があります。

ただ、両方に優れている人はまれなので、ビジネスはリーダーシップとマネジメントのバランスが必要です。リーダーシップとマネジメント能力をバランス良く発揮している管理職は意思決定も出来れば、ルールにとらわれない自由な発想の意思決定も出来る。部下を感情的に鼓舞することも出来れば、理論的な説明も出来る。線形的な思考も出来れば、非線形的な思考も出来る。

こんな会社が出来たら理想ですよね。ここでのポイントは、リーダーシップ能力とマネジメント能力は異なる能力であり、会社が繁栄するためには、2つの能力をバランス良く発展させることが大切であると理解しておきましょう。

リでは、まずはーダーシップとマネジメントの違いをより深く理解するために、リーダーシップ論で有名なドラッカーとコッターの考え方を紹介します。

ドラッカーによるリーダーシップとマネジメント

ドラッカーによると、リーダーシップとマネジメントはそれぞれ以下のように定義されています。

リーダーシップとは、目標達成のために何が必要なのかを決定するツールです。ドラッカーによると、「影響のある選択肢の中で、何が一番自分にとって正しいのか?」という問いかけが成功するリーダーシップには重要だと語られています。そして正しいこととは、会社のミッションを考慮し、実現するような選択肢を指し、リーダーは必ずミッションやビジョンにアラインした明確なゴール設定と、ゴール達成の過程にあるパフォーマンスのチェックが求められます。

一方、ドラッカーによるとマネジメントとは、リーダーの定めたことを正しく実行する役割です。マネジメントは人的リソースに強く関連しており、社員に協力して動くことを教え、各人の強みを発揮させます。また、マネージャーは、リーダーが定めたゴールの目的やメインゴール達成のために必要なマイルストーンを全レベルで定め、効果的に社員に伝える必要があるため、社員全員が同じゴールを目指して動けるかどうかは、マネージャーの責任となります。また、マネージャー自身も会社のミッションやバリューを体現することを求められます。

コッターによるリーダーシップとマネジメント

続いて、コッターによるリーダーシップとマネジメントの定義を紹介します。

コッターによるとリーダーシップとは、組織の未来のためにビジネスチャンスを早く見つけ出し、しっかりと掴み取ることです。リーダーシップはビジョンやサービスを購入する人、エンパワーメントに関わり、そして何よりも変革を生み出すことに深く関連します。リーダーとは組織の上層部にいる人だけが持つのではなく、リーダーの行動を取る人全員が持つものなのです。

一方、マネジメントは、プロセスの管理や計画、予算作りや業務の割り当て、成果の評価、問題解決など、組織がやるべきことをしっかり実行できるよう支援します。マネジメントは、約束された成果物を一定のクオリティと予算で日々生産することを助けます。

重要な5つのリーダーシップ能力

では、リーダーシップを身につけるためにはどうすればいいのか?リーダーシップの能力は、より理解しやすい要素へと分解することができます。

  1. 何をやるかを知り
  2. それをどうやるかを知り
  3. それをやり遂げるために人に影響を与える

の3つの要素で成り立っていると言えます。

リーダーシップのスタイルは人それぞれであり、静かなリーダーもいれば、アグレッシブでカリスマ的なリーダーもいます。それぞれ効果的であるときもあれば、そうでないときもあります。このような、リーダーシップのスタイルは他の人は真似できないし、する必要もありません。

しかし、いずれにしろ、リーダーシップが上手く機能するかどうかは、先に挙げた三つの要素を如何に上手く行うかにかかっているわけです。これら3つの要素は仕組み化(複製)でき、人に教えることができます。

1.ビジョン形成力

ビジネスについてのアイデアを形作る能力であり、変化の必要性や機会を理解する能力。

2.判別力

何が大切かを見極め、利用できる選択肢を見極める能力。ルールや過去の経験がない状況であっても、何を自問すれば良いのか?を考えられる能力。



3.戦略的思考力

大きな青写真を描き、それをどのようにすれば達成できるか、道を作ることが出来る能力。“ゲームのルール”を作り、会社の哲学やポリシーを作る能力。

4.コミットメント

障害や反対、不確かさやリスクを感じても、ビジョン達成に向けて、進む決意やエネルギー

5.インスピレーション

心に訴えるコミュニケーション能力。ビジョンや戦略を上手く伝え、組織に情熱や魂を吹き込む能力。

 

5つのマネジメント能力

一方のマネジメントに関しても、以下の5つの能力に分けることが出来ます。

1.スーパーバイジング能力

人やシステムを通じて、物事をやり遂げる能力。成果と結果を観察・測定し、改善のために人をコーチングする。ガイドラインに沿って、運営上の決断を下し、結果に責任を持つ。

2.システム開発

システムを作り、改善する能力。リソースを上手く活用し、効率的に物事を行う方法を計画する能力。

3.計画と予算策定

戦略を現実的な運営計画や戦術に落とし込む能力。また、それに必要なコストやリソースを理解する能力。

4.数値化

ビジネス運営において鍵となる数字を見極め、数値化/改善する能力。

5.理論的なコミュニケーション能力

仕事のやり方や会社のポリシー、戦略、そのほか、仕事に必要な情報をわかりやすく、理論的に伝える能力。

 

リーダーシップ能力とマネジメント能力で分ける5つのタイプ

リーダーシップとマネジメント、それぞれの能力レベルの組み合わせによって、管理職を5つのカテゴリーに分けることが出来ます。

マスター

非凡な結果を出す能力を持った、ビジョナリー的な人物。強力な目的意識やコミットメントを持っており、さらにそれを組織や周りの人へと伝播させることが出来る。仕事は効率的に行われ、システムは急速に改善していく。皆がそれぞれの役割を自覚しており、なぜそれが大切なのかも理解している。

プロフェッショナル

一貫性があり、信頼のおける人物。大抵のことを効率的、効果的にこなすことができ、リーダーとして、マネージャーとしてバランスが取れている。

管理人

効率的に物事を早く終わらせることが出来る。細部に気が利き、システムを作ったり、文書化に長けている一方、目的意識やビジョンの提示に欠けることがある。チームメンバーは忙しく働いているが、淡々としており、鼓舞されていない。

チアリーダー

ビジョナリーであり、戦略家であり、優れたコミュニケーション能力を持つ。しかし、優れたアイデアや情熱を、実際の行動計画に落とし込むことが苦手である。組織や情熱や熱気に溢れているが、実際の物事が進まない。

官僚

リーダーシップとマネジメント能力を磨き始めたばかりであり、ルールに従い、自分の目の前の仕事はこなすが、ビジョン、チームワーク、目的意識に欠け、物事が進みにくい。

リーダーシップとマネジメントの能力のアセスメント

リーダーシップとマネジメントの能力を組織に浸透させたいのであれば、それら能力を評価する方法を持っていたほうが良いでしょう。そして、同時に、足りない能力を伸ばす計画も必要でになります

最初のステップは能力の評価ですが、あなた自身や管理職個人個人の能力に加え、組織全体としての評価もすると良いかも知れません。

能力の評価は、客観的であるべきだが、どうしても主観的な影響も入ってきます。そこで、お勧めなのは、2重評価です。まず自分自身で自己評価を行い、その後、他者(主には上司)が評価を行います。それによって、お互いの理解のもと、能力の開発や仕事の協調関係が可能になるでしょう。

それぞれの項目について、評価してみましょう。各項目1から10のスケールで数値化してみてもいいかも知れません。ここでは正直に評価することが何より大切です。自分を偽るのは簡単ですが、それではやるだけ時間の無駄です。

リーダーシップ

ビジョン形成力

  • 「箱の外」から物事を捉え、新しい視点をもたらす能力。常識や他人からの期待に惑わされない。
  • 未来図を具体的に描き、形作る能力。
  • 機会や可能性、代替案を常に探求する習慣。
  • 個人的な経験から知識や既存のアイデアを超えようとする習慣。
  • 自分で考え、ほかとは異なることや違いをもたらそうとする習慣。

 

判別力

  • 機会や可能性、代替案を正しく見極める能力。
  • 何が大切で、何が大切でないのかを判別する能力。
  • 議論や問題をあらゆる側面から見る能力。
  • ビジネスのレバレッジポイント(大きな影響をもたらすポイント)を見極める能力。
  • 決定したことや行動の結果を予期する能力。
  • 数値化したり、数値の裏にある意味合いを理解する能力。
  • 感情やほかの人の意見に簡単に流されない能力。

 

戦略的思考

  • 市場や競合、経済、トレンド、法律などの知識。
  • ビジョン達成までの道筋を描く能力。
  • 戦略や決断のすべての要素を考慮し、全体像を捉える能力。
  • 原則やポリシー、哲学などを作り、それを実行する能力。
  • 大きな青写真を心に持ちながらも、細部にこだわる能力。
  • 長期視点を持ちながらも、目の前の仕事に集中する能力。
  • 数値を見てビジネスの状況や動向、流れを感じる能力。

 

コミットメント

  • ビジョンを達成しようとする意欲。
  • プロジェクトや大仕事を最後までやり遂げる能力。
  • 反抗や反対、批判にあっても、前に進む能力。
  • 不確定さや疑問が残る状態であっても、効果的に決定を行う能力。
  • 障害を見極め、理解し、乗り越える能力。
  • リスクに気がつき、あらかじめ対処できる能力。
  • 自分の個人的な人生の目的に対する意欲。

 

心に訴えるコミュニケーション

  • 真摯さ:ビジョンや戦略に対して、一貫性を持ち、コミットしている。
  • ビジョンと戦略を理解し、理論的にコミュニケーションできる。
  • ビジョンと戦略を感情を込めてコミュニケーションし、情熱を伝播さえることが出来る。
  • あなたの視点を他人を説得する能力。
  • 自分やり方をほかのメンバーにも真似してほしいと思っているかどうか。
  • 事ある毎にビジョンや戦略をコミュニケーションできるかどうか。
  • 他人の創造力を引き出す能力。

 

マネジメント

スーパーバイジング

  • 作業することではなく、結果を出すことにこだわっているかどうか。
  • 困難や問題の兆候を見出し、解決策を見つける能力。
  • 細部にこだわる力。
  • 社員と敵対せず、生産的で協力的な関係を持って働き、お互いの合意による仕事を行う能力。
  • 会社のポリシーやプロセスに関する総合的な知識を持っていて、“ゲームのルール”を知っている。ルールに沿って、意思決定を行うことが出来る。
  • 問題が起こったとき、人を非難するのではなく、システム指向のアプローチで解決できる。
  • 社員のビジネススキルを開発できる有能なトレーナーである。
  • 人の評価ができ、採用や解雇の正しい判断が出来る。
  • 仕事や商品、サービスの品質が何かを理解し、高い品質を守ることが出来る。

 

システム開発

  • ビジネスの状況や問題、フラストレーションに対して、システム的な解決策を見出せる。
  • 目標を達成するために必要なベンチマークを見極める事ができ、運営のルールや基準を定義できる。
  • システムのパフォーマンスや生産性を評価できる。
  • システムを的確に文書に出来る。
  • 運用を改善するために、変更が必要なシステムを見極め、処理できる。
  • 仕事やスタッフに負荷をかけずに、システムを導入し、必要な変更を行う。
  • システム設計の細部に注意が行くかどうか。
  • システムを運用する際に、リソースを最適化できるかどうか。

 

計画と予算計画

  • 売上や収益の規模を予測できる。
  • 的確な目標設定が出来、そこまでの道筋(ベンチマーク)も的確に設定できる。
  • 全社の戦略に基づいて、効果的な計画や活動を見通すことが出来る。
  • プロジェクトや計画に必要なコスト、リソースを見積もることが出来る。
  • コストやリソースを上手くコントロールしながら、物事を達成できる。
  • 財務情報を理解し、それに基づいて的確な意思決定が出来る。
  • 考えなしに行動したり、分析麻痺に陥ることなく、行動と計画のバランスが取れている。

 

数値化

  • 会社の目的達成のためには数値化が必要であることを知っている。
  • 何が大切であるかを理解し、しかるべき指標を選び、数値化の方法を検討することが出来る。
  • 数字が何を意味するかを理解し、分析、改善へと生かすことが出来る。
  • 数字情報を継続的に測定し、評価し、ビジネスの状態を理解できる。

 

理論的なコミュニケーション

  • 部下と綿密なコミュニケーションが出来、そのことに高い優先順位を置いている。
  • 会社のビジョンや戦略について明確に理解し、大きな青写真とともに、細部まで理解している。
  • 自分の考えを明確に口頭で述べる能力がある。
  • 自分の考えを文章で伝える能力がある。
  •  マニュアルや職務契約書などの必要書類を作成できる。
  • 適切なエネルギーとトーンでコミュニケーションできる。
  • コミュニケーションの誤解が起こったことに気がつき、修正できる。

 

リーダーシップとマネジメントのバランスで会社を成長させる

アセスメントの結果はいかがだったでしょうか?点数を集計してみて、自分が5つのタイプのうち、どこに当てはまるかを見てみてください。

アセスメントは能力開発の第一歩目に過ぎません。足りないところを補うためにどのような成長が必要かをぜひ考えてみてください。

なお、仕組み経営ではリーダーシップとマネジメントのバランスを取りながら、会社の仕組みづくりをしていきます。社長不在で回る会社を創ると同時に、管理職や後継者、社長の右腕の育成も可能になっていますので、ぜひ以下のガイドブックから詳細をご覧ください。

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