凡事徹底の意味と仕事に活かす方法



凡事徹底は会社を経営するうえで非常に大切な考え方です。今日は凡事徹底の意味と経営における活用などをご紹介します。

 

凡事徹底の意味

凡事徹底とは、「すべてのことについて丁寧に、完璧にこなすこと」という意味です。

会社は様々な業務で成り立っていますが、それぞれの業務へのこだわりが大切です。私の師匠でもあるマイケルE.ガーバー氏は世界的ベストセラー「はじめの一歩を踏み出そう」の中で以下のように書いています。

高みを目指す経営者とは、きわめて現実的な性格の持ち主であり、日常生活にありふれた細やかなことにまでこだわりを持っていた。

これは凡事徹底と同じ考え方です。

たとえば、飲食店に食事に行くことを想定してみましょう。食事に行くわけですから、料理がおいしいというのは絶対条件です。でも、顧客が全体的な満足感を得るためには、それだけでは不十分です。お店の清潔さやスタッフの対応、値段、食器の質、提供スピード、椅子の座りやすさ、等々、様々な要素が顧客の満足度に影響を与えます。料理が100点であっても、他の要素のどれかがゼロ点であれば、リピートしてくれることはないでしょう。

凡事徹底の読み方

凡事徹底は、「ぼんじてってい」と読みます。凡事とは、ありきたりなこと。 あたりまえのことであり、それを徹底して行うということになります。

凡事徹底の使い方

凡事徹底は、日常生活やビジネスの場で、品質やサービスの向上を目指す際に、よく使われます。

凡事徹底の例文

  1. 「私たちは、このプロジェクトにおいては凡事徹底の姿勢で取り組んでいます。
  2. ホテルのサービス向上のため、スタッフに「凡事徹底」を求めた。
  3. 新商品の開発にあたり、細かな部分まで凡事徹底して検討した。
  4. プレゼンテーションの資料作成にあたり、細かい点まで凡事徹底してデザインを調整した。
  5. 日常生活においても、家事や勉強においても、凡事徹底することで成果を出せると思う。

 

有名人の凡事徹底

様々な有名人が凡事徹底を実践しています。彼らは必ずしも凡事徹底という言葉を使っているわけではありませんが、その言い伝えられる習慣を知れば、まさに凡事徹底の精神で自分の専門分野に取り組んでいることが分かります。

イチローの凡事徹底

日本一有名な野球選手と言ってもいいイチロー選手はメジャーリーグで大活躍しましたが、その陰には、凡事徹底があったとされています。

彼はこんな言葉を残しています。

小さいことを重ねることが、とんでもない所に行くただ一つの道だ。

これはまさに凡事徹底を言い換えた言葉と言えます。

また、

高校の3年間、1日たった10分だけど寝る前に必ず素振りをしました。

とインタビューで答えたとされています。素振りといえば野球選手にとっては当たり前、ごくありふれた練習と言えます。ただ、それを徹底してやり抜いたところに他の選手との違いがあるわけですね。

 

松下幸之助の凡事徹底

松下幸之助氏は、実際に「凡事徹底」を実践することで、Panasonic(パナソニック)を世界的な企業に成長させました。彼は以下のようなことを言われています。

  1. 細部にも注意を払う: 松下幸之助氏は、製品の設計から製造、販売まで細部にも注意を払うことを提唱しています。これにより、高品質な製品を製造することができます。
  2. 常に改善を心がける: 松下幸之助氏は、常に改善を心がけ、新しい技術や方法を採用することを強調しています。これにより、顧客ニーズに応じた製品を提供することができます。
  3. 品質を最優先にする: 松下幸之助氏は、製品の品質を最優先にすることを提唱しています。これにより、顧客満足度を高めることができます。
  4. 努力と誠実さ: 松下幸之助氏は、努力と誠実さを重視することを提唱しています。これにより、顧客信頼を得ることができます。

 

鍵山秀三郎の凡事徹底

イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏は、「そうじ」というまさに凡事を徹底したことで会社を成長させてきました。鍵山氏は創業当初から、自ら一人で掃除をはじめました。普通なら、社長が指示して社員に掃除をさせますが、彼は社員が全く協力してくれないときから一人で掃除をつづけたのです。その結果、それまで縁のなかった女性客なども来店されるようになったり、取引先が勝手に増えてきたりなど、様々なきっかけを引き寄せ、会社が成長していったと言います。

鍵山氏は、凡事を徹底することで、非凡になるとも言っています。ただし、そのためには、凡事を毎日同じように繰り返すのではなく、日々工夫しながら効果や効率を向上させていくことが大切だとも言っています。たとえば、トレイ掃除をするにしても、毎日同じ時間を使って、同じようにやっていては向上がありません。より少ない時間でよりキレイにするにはどうすればいいかを考えながら凡事を繰り返すことで非凡になっていきます。

また、鍵山氏の掃除は、は単なる家事ではなく、人生哲学に基づくものであるという考えに基づいています。鍵山氏は、「掃除をすることで心の中もきれいになる」という考えを提唱し、掃除を通じて自分自身や周囲の環境を整えることで、心身ともに健康で豊かな人生を送ることができると考えました。

もともと仕事というのは、単純で単調です。退屈で、見ばえのしない、やりがいのないものだと思います。ところが、それに耐えられなくて、単純、単調ではない、もっと派手な、やればすぐに成果のつながる、すぐに儲かる、あるいは、人にすぐ認められ、すぐに評価されることやりたくてしようがなくて、結果的には、一つもいい評価につながらないという人が多いのです。

詳しくは以下の書籍に書いてありますので、ぜひご参照ください。

 

スティーブジョブズの凡事徹底

スティーブ・ジョブズは完璧主義者であり、仕事において「細部へのこだわり」を実践していたことで広く知られています。彼の姿勢は凡事徹底に通じるところがあります。彼は、とくにデザインに強烈なこだわりを持ち、アップルの製品やサービスのあらゆる面で卓越性を追求したことで知られています。ジョブズは、自分自身と自分のチームに対して高い要求を持ち、最終製品が彼の厳格な基準を満たすまで何度も繰り返し、修正を加えることがよくありました。このような細部へのこだわりと卓越性の追求が、Appleの成功と、革新的で高品質な製品を生み出すという評判の大きな要因であると考えられています。

 

会社における凡事を徹底する

会社における当たり前のこと(凡事)には、以下のようなことが挙げられます。



業務全般の凡事徹底

  1. オフィスの清掃や整理整頓:社員が働くオフィスの清潔さを維持することは、健康管理や快適な職場環境の維持につながります。
  2. 遅刻や欠勤の連絡:社員が出勤できない場合は、必ず事前に連絡をすることが当たり前です。特に、顧客やパートナーとの打ち合わせなど予定がある場合は、事前にキャンセルの連絡をすることが重要です。
  3. 報告・連絡・相談の徹底 社内の連絡や情報共有を円滑にするため、報告・連絡・相談(BCC)を徹底することが重要です。情報を共有し、チーム全体で業務を進めることができます。
  4. ミスの報告:ミスが発生した場合は、速やかに報告し、再発防止策を検討します。隠してしまうことは、その後の業務に悪影響を及ぼす可能性があるため、当たり前のことです。
  5. 挨拶をする:出勤時や退勤時、会議や打ち合わせの際に挨拶をすることは、ビジネスマナーの基本です。
  6. メールの返信をする:業務でメールを受け取った場合は、できるだけ早く返信することが求められます。
  7. 情報の共有をする:チームメンバー間で情報を共有することは、業務の円滑な進行に欠かせません。
  8. 納期や細かい条件を確認する:業務において、取引先とのやり取りや納品に関する条件を確認し、ミスやトラブルを未然に防ぐことが大切です。
  9. 文書作成のフォーマットを統一する:報告書やプレゼンテーション資料など、文書作成においては、フォーマットを統一することで読みやすさや印象を良くすることができます。

 

営業職の凡事徹底

  1. 見積もりの迅速な提出:取引先からの見積もり依頼に対して、できるだけ迅速に正確な見積もりを提出することが求められます。
  2. 定期的な顧客:フォローアップ 顧客に対して、定期的にフォローアップを行い、信頼関係を築くことが大切です。
  3. 商品やサービスに関する情報の把握と共有:自社の商品やサービスに関する情報を常に把握し、チーム内で共有することで、より効果的な営業活動を行うことができます。
  4. 報告書やプレゼンテーション資料の作成:営業活動において、報告書やプレゼンテーション資料を作成することが求められます。
  5. 取引先への挨拶や訪問の徹底:顧客に対して、訪問や挨拶などのコミュニケーションを徹底することで、顧客満足度を高めることができます。

 

管理職の凡事徹底

  1. 目標の設定と進捗管理:部署やチームの目標を設定し、進捗状況を常に把握することで、適切なアクションを取ることができます。
  2. スタッフの育成と指導:スタッフの能力や成長状況を把握し、適切な指導や育成を行うことが求められます。
  3. 情報の共有とコミュニケーション:部署やチーム内での情報共有やコミュニケーションを徹底することで、業務の効率化やチームの結束力を高めることができます。
  4. 業務プロセスの改善:業務プロセスについて定期的にレビューし、改善点を把握することで、業務の効率化や品質向上を実現することができます。
  5. スケジュール管理:スケジュール管理を徹底し、業務の優先順位を決定することで、スムーズな業務遂行が可能になります。

 

これらの凡事に気を配り、改善しながら取り組んでいくことが大切です。

 

凡事を非凡にする

先ほど挙げた鍵山氏は、凡事徹底を続けること非凡になるとおっしゃっています。ただし、毎日同じことを同じようにやっていたのではダメです。日々、少しずつ改善しながら凡事を徹底することです。凡事を工夫しながら改善するには、次のような心構えが重要です。

  1. 常に改善の余地があることを認識する
  2. 現状に満足しないで、常に問題点を見つけることを心がける
  3. 改善案を考えるときには、関係者と話し合いをする
  4. 試行錯誤を繰り返し、失敗から学ぶことが大切である
  5. 改善したことをアピールすることで、モチベーションを高める
  6. 目標を明確にし、達成するための計画を立てる
  7. 変化を恐れず、新しいことに挑戦する姿勢を持つ

これらの心構えを意識して、凡事を工夫しながら改善していくことが大切です。

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