利益を上げるなら、「お金は後からついてくる」は嘘だと知ろう。



清水直樹
このコロナ禍で多くの社長が嫌でも痛感したのが利益、お金の重要さでしょう。お金が大事、というのはもちろん理解していても、平常時で利益がそこそこ立っていれば、あまりお金の心配をしなくてもいい社長も多かったと思います。

 

今回のコロナ禍で、最悪いつまで資金が持つか?いくら借り入れるのか?などなどお金について考える機会が増えたと思います。

逆に言うと、財務の仕組みを強化するいいタイミングだとも言えます。

実は私たちの師匠でもあるマイケルE.ガーバー氏も、過去にはお金について失敗したことがあったそうです。

失敗した原因は、彼がお金を管理する仕組みを人任せにしていたこと、また、人それぞれお金に関する価値観が違うことを理解していなかったことだったそうです。

そのような失敗経験を踏まえ、会社の財務に関して、次のような文章を残しています。

ここには財務、お金に関する基本的な考え方が書かれていますので、ぜひご参考にされてみてください。

 

 

利益を上げるなら、財務(お金)に対する正しい認識を持つこと

あなたの仕事は、ビジョンと現在のギャップを埋めることであり、それには、意識的に会社を成長させる必要がある。成長とは、単に大きくなることではなく、ビジョンに向けて、より良い会社になることである。

一方、“成長するためには資金が必要だが、成長するまでは資金が無い”というジレンマが、常に経営者の悩みの種となる。

そこで、ビジョン達成のために、いま存在する、または獲得できる資金を効果的に活用する力が求められる。ここでは、財務について正しく取り組むための基本となる考え方をご紹介していく。

会社のオーナーならばいつもお金について考えるだろう。いつも心配の種だ。儲かったら儲かったで、その資金で次に何をするか計画を立てなければならない。会社の財務諸表についてはどうだろう。実際に何度それを見つめなおし、現実のお金と同じくらい大切なものとしてそれを感じ取っているだろうか。

数量化されたものには関心を向けたくないという人もいる。ただ、それは、自分の姿を鏡で見たくないというのと同じだ。勇気のいることだが、あなたの会社が出した数字にこそ、本当の姿が見つけられるのだ。数値化されたものから逃げたければ逃げることができる。でもお金に関しては逃げてはならない。税務署も、会計士も、ちゃんと向き合いなさいというではないか。そうしよう。

損益計算書も貸借対照表もその裏には物語がある。どれも、あなたがリーダーとして考え、選んできた結果なのだ。ビジネスの様々な状況であなたがやってきた仮定、信条、姿勢や方法が正しかったかどうかが如実に表れる。現実にうまく適合していたか? 思うとおりに動いたか?

ビジネスとはいわば実験室だ。まず、新製品や新たな販売手法、新しい配送方法といった仮説を頭で考える。そして実際に試してみる。そうして出てきた利益が、初めの仮説が正しかったかどうかを物語り、知らせてくれる。さらに、こうした発見に基づいて、いつ、これらの結果を事業の拡大に利用すべきかも教えてくれるのだ。

さて、お金について考えるというのは、決してレジを開けて札束を数えるという意味ではない。会計諸表を分析的にみるという話なのだ。事業に成功しているビジネス・オーナーたちは定期的に会計報告に目を通しているのに対し、大多数の人たちはこれを見ないようにしている。難しくて見てもわからないんだ、退屈だし、だいたいわが社では、会計士にすべて任せてあるし、というのが彼らの言い訳である。

でももしビジネスの本当の姿を知りたいのであれば、数字を見るときの挫折感やスキルのなさ、知識の不足があっても構わずに、真実と向き合わなければならない。日々のビジネスで起こっている真実を本当に知りたいのであれば、数字に表れた真実こそ、あなたが見つめなければならないものなのだ。自分の仮説が否定されるかもしれないと思うと確かに恐ろしい。しかし、真実を知りたければ、会計諸表を紐解くしかないのだ。定期的に会社の財務状況を管理しないような経営者がビジネスで成功することなどありえない。

お金は価値を象徴する。価値がある人から別の人に移るとき、我々はお金を交換することで、その動きを示し、利益を残す。

世間ではお金や利益について話すことは避けられていることもある。しかし、それはお金自体に不快を感じることが理由なのではなく、「私は実際のところどんな価値を創りだしているのか?」と鏡を見て、自らに勇敢に問いかけることへの恐怖心が理由なのである。

ここでクリアにしておかないといけないことは、お金は我々の人間としての価値の目安なのではないと言うことだ。1ドルしか持っていない、または100万ドル持っているとしても人間としての価値は同じなのである。

しかしながら、あなたが世界にもたらす物事の価値はお金で測ることができる。違いが判るだろうか?

お金はあなたの価値感や考え、決定、行動を反映するものであるが、人間としてのあなた自身の価値を反映するものではない。

 

利益とお金に対するスタイル

我々とお金との関係を表す3の基本的なスタイルがある。それは、「修道士、浪費家、貯蓄する人」である。

修道士は、お金とは離れて関わりたくないと思っている。多くのお金を持っているかもしれないが、必要最低限の方法で生活をする。

浪費家はポケットにお金を入れておくことができない。お金を得るとすぐ使ってしまうのだ。貯蓄よりも消費することを好む。

貯蓄する人は十分な消費をしない。消費をするぐらいなら所有していたいと思っている。



職場にはこれらのスタイルの人が混じり合っているのが普通である。お金に関するトラブルが人間関係に影響を与えるのは、人によってお金に対するスタイルが異なるからである。

あなたや社員がどのようにお金と関わっているか、時間をかけて見てみよう。上記の3スタイルについて考えてみよう。あなたは社員とは異なり、経営者として毎日、お金を取り扱い、お金から目を背けて生きていくことができない。ビジネス全体にあなたとお金の関係が拡大されているのである。

ある経営者は事業を財務面からのみ見るだろう。このアプローチはうまくいくかも知れないが、経営者であることの喜びを感じることができないため、経営は限界を迎える。

財務的な側面に怖気づいてしまい、財務管理を避ける人もいる。こうした人たちは「請求額さえ払えれば財務に関しては心配しない」と主張する。

このアプローチは一時的には成功するかもしれないが、経営の大きな可能性を無視しているため、同じく限定的であると言える。どちらのアプローチも近視眼的であり、ビジョンを達成する機会を減らすのである。

あなたは請求書の金を支払うためだけに事業経営を始めたのではないだろう。あなたは、ビジョンに到達し、ビジネスの大きな可能性に気付くために会社を始めたのだ。あなたの事業が生み出すお金はそこに到達するための燃料であると同時に、目標までの進歩を測る物差しでもある。

 

利益とは何か?

次のことを念頭においてほしい:利益とは、あなたのビジネスの、“価値を創出する能力”を表したものなのだ。ビジネスとは資源を使い、知性やシステムを利用して顧客のために、その資源により大きな価値を付加することである。

ドライ・クリーニング屋は汚れた衣類をシステムを通じて綺麗にし、汚れた衣類の価値以上の価値でそのサービスを売るのである。ドライ・クリーニング屋は価値を創造するのである。顧客は価値を受け取るためにお金を費やす。これが、世界で真の富が生み出される方法である。

すなわち、金儲けは事業の第1の目的ではなく、金は価値についてくるのである。価値を生産することで金がついてくる。一方で、価値を追い求めれば、顧客を尊重し付加価値を高め、より良く顧客の役に立つ方法を探すであろう。良くある過ちは、お金を過大評価しすぎて顧客を無視してしまうこと、または逆に、顧客向けのサービスに注力しすぎて、金が必ずついてくると信じてしまうことだ。

最上のアプローチは、顧客のための価値を最大限にするため、バランスのとれた、持続可能なモデルを創出することである。成功する事業とはあなたのビジョンに向けてあなたを動かすものであると覚えておいてほしい。また、成功するためには事業が利益を計上しなければならない。


以上、基本的な考え方ですが、ご紹介させていただきました。

財務も、”会社の仕組み”のうちのひとつです。

他の仕組みと同様に、財務の仕組みが壊れていれば、経営に支障をきたします。

ぜひ自社の財務の仕組みについて考えてみてください。

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