ティール組織やホラクラシーといった新しい形態の組織を総称して自律型組織(Self-Organization)と言います。
自律型組織は色んなところで語られているように沢山のメリットがあります。
しかし、その裏側に潜む苦難はあまり言及されていません。
そこで今回は、自律型組織を目指す前に是非とも知っていただきたい7つの苦労と挑戦をご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください!
(ソース:DISCOVERING THE DARK SIDE OF SELF-ORGANISATION: 7 COMMON CHALLENGES)
1. 自律型組織へのマインドセット
私達のほとんどは人生の中でヒエラルキー構造を持った環境に触れてきました。
例えば、日本の一般的な家庭環境で育てば両親が子供達に対してパワーを持っています。
こういった環境で育った私たちは階層構造や目上の人への敬意が身に染み込んでいるのです。
一方、ティール組織やホラクラシーといった自律型組織では、従業員のパワーは平等に分散され、無条件の信頼や未知へ挑戦する勇気、率直さなどが求められます。
この2つの相容れない性質に慣れるのに多くの人が苦労します。
解決には?
自律型組織に特化したコンサルタントやコーチにトレーニングを依頼するのが良いでしょう!
自己に内在する習慣を変えるには社会心理学的なアプローチが必要になるため、自分自身で解決するのはかなり苦労します。
お金はかかりますが、将来の自社への投資と考えれば、コーチングを頼む方が最終的により良い結果を得られます。
2. リーダーシップの維持
自立型組織の職場では、社長や部長といったマネージャーポジションが強い決定権を持たなくなります。
このように支持を出す人間がいなくなると、職場は時に明確なリーダーシップが欠如した状態に陥ってしまいます。
リーダーシップが欠如してしまう理由は、自律化されたチームがリーダーを嫌うためです。
自律型組織においてリーダーとは、強い権限を持って部下に支持を出す上司ではなく、従業員に権限を与え、一人一人が意思決定を行えるよう導く存在です。
しかし、チームは時折”上司ではない”リーダーという自律組織特有のリーダーのあり方に混乱してしまいます。
というのも、自律化する前の職場でマネジメントを行なっていた上司と、自律化した後のリーダー職を担う人材が同じである場合が多いためです。
逆のことが元上司にも当てはまります。
元マネジメントを行なっていた彼らはチームに上司と思われるのを恐れて、積極的なリーダーシップを取るのを躊躇うことがあります。
解決には?
たとえ自立型組織であっても特定の個人に導かれることは問題ありません。
なので、チームに「自律型組織はリーダーシップのない状態ではない」と教えることがとても大切です。
そして、向いている人材を積極的にリーダーポジションに適応しましょう。
リーダーには、他者に支持を出す必要なくチームを導き、企画を手伝い、示唆を与えられるような経験豊富な人材が適任です。
3. 意思決定
階層構造型の組織では、意思決定のプロセスや最終決定権のある人物が明確に決まっていました。
しかし、権限が分散された自律型組織では誰が最終的な意思決定を持つのでしょうか?
どうやって組織全体の戦略を練るのでしょうか?
このような不安は多くの経営者や自律組織に興味を持つマネージャーが持っており、彼らはよく組織の意思決定が多数決型になってしまうのではないかと考えています。
解決には?
意思決定モデルは、階層型や多数決型以外にもたくさん存在します。
こちらの本やサービスは英語になりますが、多様な意思決定モデルを知る良いきっかけとなるので是非利用してみてください。
・ Mikael Krogerus’ Decision Book
4. 自律型変革の辛抱
ティールやホラクラシーといった自律型組織へ進化するには長い時間がかかります。
そのため、変革の途中で待っていられなくな理、離職してしまう従業員が現れる場合があります。
解決には?
従業員の期待値を適切にコントロールすることが大切です。
“自律型組織になる”ということは、常に変化し続けるということです。
社会や人間が進化し続けているように、組織の進化に終わりはありません。
なので、従業員には自律型組織を目指すと伝えると同時に、その変革はより良い組織を目指すための一歩にすぎず、会社はいつまでも進化し続けるということをしっかりと伝えてください。
5. 情報の管理
自律型組織では、仕事は各チーム/個人で並行して行われ、意思決定は自動的に成されます。
この性質のために、多くの情報が一箇所に集まる場所が組織内に存在しにくくなります。
更に、自律型組織では各人が完了した仕事や決定した事柄がオープンに共有されることが求められます。
そうなると、組織内に情報が溢れすぎて整理が追いつかない状態に陥る場合があります。
解決には?
クラウドストレージといったデジタルシステムを導入して情報を整理しましょう。
しかし、情報をどのように整理するか、どのように利用可能にするかどうかはチーム毎に任せる方が良いです。
というのも、一番大切なのは必要な情報をそれを一番必要としている人に届けることだからです。
6. 人材
組織内の人材は、会社の重要なオペレーション(報酬や人事評価、採用、組織文化の維持)を支えています。
これらのオペレーションは通常、標準化され、人事部に業務が集中化されています。
しかし自律型組織では、採用や報酬決定といったこれらのオペレーションに関する決定権も分散されるため、システムの見直しが必要となります。
解決には?
他の自律型組織がどのようにこの点についてアプローチしているのかを学ぶのが一番良いです。
複数の先進事例を参照し、組み合わせて自分の組織文化にあったオリジナル方法を構築しましょう。
7. 組織デザイン
多くの企業にとって、自律型組織を目指すことは自社がどのように成り立っているのか、明確に考える初めての機会となると思います。
組織デザインはとても複雑で多くの疑問が生まれることでしょう。
例えば、
「誰によって・どうやって責任者や役割は決められるのか?」
「どうやったら組織や組織論に詳しくない人達に簡単に理解してもらえるのか?」
などなど組織デザインに関する不安や疑問は底を尽きることはないでしょう。
そして何より、多くの人は「組織デザインが日々の業務をどのように向上させてくれるのか?」と考えています。
解決には?
以下のデジタルツールは、各人の役割や責任を明確化し、チームを形成することに役立ちます。
・ Peerdom Map,
・ holaSpirit,
・Maptio,
また、組織デザインコーチやコンサルタントに助けを依頼するのも非常に良い手段です。
組織変革は一筋縄ではいきませんし、経験のない人が挑戦するには大変な苦労を伴います。
プロに頼むことによってより体系的に、計画的に変革を進められることでしょう。
ティールマップを元にした組織診断と自律型組織へのコーチングはこちら
いかがだったでしょうか?
ティール組織やホラクラシーは非常に魅力的な組織形態ですが、組織を進化させることは様々な挑戦が必要になります。
しかし、自律型組織は変化の激しい現代における今後の会社の成長に欠かせない組織モデルなので、是非検討してみてください!
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