仕組み経営の導入事例として、豊清工業株式会社石原社長の発表をご紹介します。本動画は、2023年12月に行われたイベント「仕組み経営サミット」にて発表いただいたものです。発表内容の数字は当時のものであることをご了承ください。

仕組み化に取り組んで業績につながった話、また困難だったことなど実体験に基づきお話しいただいています。ぜひご参考にされてください。

※動画の下に要約があります。

事業概要

私は小学校3年生から高校まで10年間野球を続け、計14年間体育会系で過ごしました。新卒で工場に配属され7年間、体育会系の価値観で仕事に取り組みました。2007年に義理の父が病に倒れ、豊清工業を継ぎ、2011年に代表就任。以来、経営に携わっています。

当社は1970年創業、今年で54年目。売上は7億4千万(9月末)、社員は正社員27名(うち新卒5名)、契約・パート社員100名。本社は千葉県成田市、営業所は佐倉市です。昨年10月、DX認定を取得(千葉県内14社中7番目)。イオンや千葉銀行と並ぶ認定を受け、光栄に思います。

事業内容は建設業の中でもニッチな分野を手掛け、モルタルやコンクリートの試験、施設管理・修繕、橋やコンクリートの点検・補修工事などを行っています。

仕組み化を始めたきっかけ

2011年に社長に就任し、最初は一生懸命に働いていました。しかし、その結果として社員たちは楽しく働いている様子もなく、自発的に動こうとはしませんでした。売上は伸びるものの限界を感じ、どこか物足りなさを抱えていました。そこで、社員との関係を見直し、応援文化を取り入れ、仕組み化に取り組むことを決意しました。

まず、応援文化の土台を作るために浦上さんと出会い、ペップトークという手法を取り入れました。

※浦上さん・・・一般財団法人日本ペップトーク普及協会専務理事、仕組み経営コーチ

社員全員を集めて研修を行い、ネガティブな言葉をポジティブに変え、励ます言葉を使うことを学びました。この取り組みは現在も続いており、2023年9月に15回目の研修を終え、16回目が来月に予定されています。

応援文化の導入後、社員が楽しそうに働くようになり、自ら提案をするようになりました。しかし、2年前には、会社の雰囲気は非常に良くなったものの、業績があまり伸びないというジレンマに直面しました。私が何でもやってしまっていたため、社員との価値観にズレが生じ、仕事が人についていたことで仕組み化が進んでいなかったことが課題でした。

実際に何をしたか?

そこで、仕組み化の推進を本格化させました。特に効果的だったのが、最初に行ったVPP(価値観・情熱・目的)のワークで、私の考えや思いをメンバーにしっかり伝えることができ、本気度が伝わったと感じています。

さらに、全24回にわたる研修を通じて、メンバーとの絆が深まり、成長を感じることができました。研修の一環として行ったコアバリュー作成合宿では、案を出すだけでなく優先順位をつけて決定する方式を採用し、メンバーの主体性を引き出しました。

業績向上と困難

こうした取り組みの結果、業績にも変化が現れました。応援文化の導入当初は業績が伸び悩みましたが、2023年度には前年比約15%の成長を達成し、売上は7億3千万円を超えました。

しかし、仕組み経営の進行には困難も伴いました。10ヶ月目の時点で、一人のメンバーが過労気味になり、会社を休むことになりました。この経験を受け、やりすぎだと感じた私は浦上さんに相談し、仕組み化を一時停止する決断をしました。

社員の成長

その際、ナンバー2である堀さんをはじめとするメンバーが「ここまでやったので、最後までやりたい」と言ってくれたことが大きな励みとなり、メンバーの主体性の成長を実感しました。

現在では、業務がマニュアル化され、幹部は平日5日の休暇を必ず取得するルールが定められています。また、土日祝日を含めた9日間の連休取得が義務付けられ、全員がしっかり休める環境を整えました。2022年からは大学卒業生の新卒採用も始め、若い社員も加わっています。

仕組みの定着に向けて

価値観を浸透させるために毎朝の朝礼を実施し、コアバリューやブランドを読み上げる習慣を作りました。また、早朝勉強会では、経営計画書や豊清マインドをもとに価値観を伝えています。たとえば、、「忙しい」という言葉の意味を深掘りし、思考停止を防ぐ取り組みを行っています。

GoogleのLooker Studioを活用して仕組み化の進行状況を管理する仕組みを構築しました。こうしたシステム化により、社員の自主性を育みながら、業績の向上も実現しています。

このように、応援文化と仕組み化を組み合わせることで、社員が主体的に動き、成長する環境が整いました。今後も、これらの取り組みを継続し、さらに発展させていきたいと考えています。

豊清工業様の仕組み化の取り組みは、単なる業務のマニュアル化にとどまらず、社員一人ひとりの意識を変え、主体的に動く文化を築くことに成功した事例です。その鍵となったのが、リーダーである石原社長が自らの想いを明確にし、それをメンバーに伝えたこと、そして全員が共有するコアバリュー(会社の価値観)を創り上げたことです。

仕組み化の取り組みにおいては、仕組みを作るだけでは本当の意味での会社の成長にはつながりません。大切なのは、その仕組みが社員の心に響き、行動の指針となることです。

そのためには、経営者自身が「何のためにこの会社を経営するのか」「どんな価値を提供したいのか」を明確にし、それを社員とともに共有するプロセスが不可欠です。

豊清工業様が仕組み経営のプログラムを通じて社員との信頼関係を深め、コアバリューを策定したように、会社の価値観を明確にし、それをもとに仕組みを創り上げていくことが、組織の一体感を生み出し、業績向上へとつながるのです。

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