清水直樹プロフィール
一般財団法人日本アントレプレナー学会 代表理事
仕組み経営株式会社 取締役
大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。2010年、世界No.1(米INC誌による)の起業・経営の権威、マイケルE.ガーバーと出会い、10年以上にわたり学びを受け続ける。現在は、日本企業をワールドクラスカンパニー®にするための支援活動に力を注いでいる。
2度の起業失敗、知識、人脈、資金すべてゼロに
私の最初の起業は26歳の時。
IT関連だった会社員時代とは全く無関係の海外プライベートアイランドの紹介業をスタートさせました。
プライベートアイランドとは、個人所有の島。超高額の不動産です。昔から自分の島が欲しいな、と漠然と考えいてた私は、起業するにあたって、自分で島を買う前に島を売買するビジネスをやろう、と思い立ったのです。
当時の富裕層ブームのおかげでいくつかの雑誌に掲載させてもらったりしながら、まさに夢のような仕事をしていました。しかし、インターネットが今ほど発達していない当時、視察や海外業者との交渉に思いのほかお金がかかり、想定以上のスピードで資金がショートしてきました。
お金が無くなり、どうしようもなくなってきた頃、元々IT業界にいたこともあり、モバイルベンチャーのスタートアップに参画することになりました。ベンチャーキャピタルから億単位の資金調達をして、社員数も20名弱になりました。このままいけば20代で上場企業の役員になれるはずだったのです。
30歳にしてアルバイトの日々
しかし、しばらくして今度は、経営陣のビジョンの違いから組織が崩壊することになりました。一人、また一人とリーダークラスが会社に来なくなり、そのまま会社は解散になってしまったのです。
結果として30歳くらいで実質フリーターになってしまいました。毎日何もやることが無くなり、生活費を稼ぐためにアルバイトをして食つなぐことになりました。
ホテルのウエイター、パソコン教室の教師、バーの店員など学生に混じってアルバイトをしながら、どうやって生きて行こうかと悩む日々でした。
3度目の起業 – 3か月働いて報酬1500円
アルバイトを続ける中、インターネットを使って収入を得ようと思い立ちます。当時流行っていたアフィリエイトビジネス(インターネット上で他社の商品を紹介して報酬を得る仕事)を始めました。アルバイトは全部やめて、すべての時間をウェブサイトの制作やリサーチに費やしました。お金がなかったので、見様見真似でウェブサイトも全部自分で作りました。
これで稼げなかった先がない、と思っていたので本当に寝る間を惜しんでパソコン作業を続けたのです。
そして3か月が経ちます。
アフィリエイトビジネスで得られた報酬はたったの1500円でした。
当時、ほとんどのASP(アフィリエイトビジネスを仲介する会社)は、最低支払額が5000円でした。報酬が5000円以上行かないと支払われないのです。つまり、3か月間の努力はすべてタダ働きになってしまったのです。
アルバイトも辞めていたので、この時はキャッシングに手を出し、借金生活。さすがにマズいと思いました。
一番惨めだった瞬間を今でも覚えています。
友人から食事に誘われ、外出する際、ふと財布の中を見たら数十円しかなかったのです。銀行口座ももちろん残高はゼロ。キャッシングも限界までいっていたので友人と食事に行くお金すらなかったのです。幸い、カバンの中に何かでもらった商品券が入っていたのを思い出し、それを換金してギリギリのところで食事は行くことが出来ました。
海外のビジネスノウハウを買いあさる日々
再びお金が無くなった私は、もう一度アルバイト生活に戻らざるを得ませんでした。しかし今度は、明確な目的がありました。ITは海外のほうが進んでいることが分かったので、アルバイトでお金を貯めて、海外の教材を購入し、勉強しようと思ったのです。
そして、実際に海外の経営教材を買いまくりました。今度は教材の中身に書いてあることをそのまま実践しました。学んだノウハウを使って、簡単なブログを作り、新しく商品を販売しました。
すると、今度は以前とは全然違う結果が出ます。
ブログ開設から1週間程度で、1万円以上の収益を得ることが出来ました。その後も1日数十分の作業でアルバイトをするよりも多くの報酬を得ることが出来るようになったのです。収益は月50万円程度まで成長しました。
この結果から、何ごとも本場から情報を得ることの大切さを学んだのです。
しかし、月に50万円入ってくると言っても、この状況がいつ終わるかもわかりませんし、これではビジネスとは言えない、お小遣い程度だと思っていました。
そこで、もっと海外からビジネスを学ぼうと思いました。海外の教材は平均するとひとつ5万~20万円くらい。海外セミナーに行くとなると渡航費含めて50万円~100万円はかかります。それだけかけても学ぶ価値はあると思い、得た収益のほとんどを教材の購入、さらには海外セミナーへの参加費に投資をし始めました。
海外ノウハウを使い、24時間で3000万円
海外に目を向けてから半年くらい経った頃、海外のセミナーで出会った日本人の人と共同でプロジェクトを行いました。“投資の教材をプロダクトローンチで売る“というプロジェクトです。
プロダクトローンチというのは、新商品を販売する際、数週間かけて顧客の感情を暖め、一気に販売するという海外発のプロモーション手法です。今ではインターネットマーケターの間で結構使われていますが、当時の日本ではほとんど使っている人はいませんでした。
このプロジェクトでは24時間で1000万円、10日で3000万円。トータルで1億円弱の売上になりました。この成功によって、私はようやく数年間にわたる“暗黒時代”から抜け出せると確信できました。
初めてのコンサルティングビジネス
その後、私はさらに海外情報の仕入れにのめりこみました。ようやくまとまったお金が得られたので、前から欲しかった教材や行きたかったセミナーに参加しまくりました。同時に、自分のウェブサイトを作り、海外ノウハウを日本の起業家や経営者に提供するという仕事を始めました。
会員制サービスもスタートさせ、ようやく収益が安定してきたのです。この頃からコンサルティングをして欲しい、という依頼が来るようになりました。ちょっと前までフリーターだった自分が、人様に物を教えるなんて出来るのかな、と思いましたが、依頼がどんどん増えたので引き受け始めたのです。
同業のインターネットビジネス関連はもちろん、化粧品の通販や伝統芸能のプロモーションなど、様々な分野のマーケティングに携わりました。化粧品のプロモーションでは海外映画祭のレッドカーペットも歩かせてもらいました。
いまから振り返ると全くレベルの低い内容ではあったと思いますが、知識や考え方を求める人はたくさんいるんだ、ということを知りました。
と同時に、“自分で起業を成功させ、将来は起業家にアドバイスする仕事する”という学生時代に考えていた夢を思い出しました。
ちょっと過程は変わってしまったけど、昔から思い描いていた仕事をしているな~と実感したのです。
世界No.1の起業・経営アドバイザー、マイケルE.ガーバー氏との出会い
海外情報を色々と調べている中で、マイケルE.ガーバー氏の考え方に出会いました。「はじめの一歩を踏み出そう」は実は会社員時代に読んでいましたが、さっぱり印象に残っていませんでした。自分でビジネスを始めてみて、ようやくあの本に書いてあることの重要性に気が付いたのです。
また、海外情報をくまなく調べていた私にとって、マイケルE.ガーバー氏の思想が、他の大勢のコンサルタントやアドバイザー達のノウハウの原点になっていることも気が付きました。
そして、2010年11月にマイケルE.ガーバー氏の講座に初めて参加をし、彼のプログラムを日本で広めるという仕事をするようになりました。その出会いがあってから、それまでにやっていた仕事は徐々に収束させていき、今に至ります。
経営者の人生を変える仕事
もちろん、どんな仕事でも他者の支援をすることが出来ます。しかし、私はいまの仕事をはじめたおかげで目の前で人の人生や会社が劇的に変わっていくのを見てきました。
実際に、経営者の方から、”人生が変わりました”と言われたことは一度や二度ではありません。それは感動的でもありますし、そのたびにずっとこの仕事をしていきたい、と思えるのです。