『どんな事業を始めればいいのだろうか?』これが本当に起業家的な質問なんだ。」マイケル・E・ガーバー語録 vol.2

こんにちは。今日はマイケル・E・ガーバー氏の語録をご紹介します。

「どんな事業を始めればいいのだろうか? これが本当に起業家的な質問なんだ。」

この言葉は、彼の著書『はじめの一歩を踏み出そう』の「3つの人格」という章に記されています。

世の中の多くのビジネスは、私が「受動的選択」と呼ぶ方法で生まれます。例えば、以前の職場で美容師として働いていた人が、スキルや経験を積んで顧客を獲得し、独立して美容室を開業するケース。あるいは、料理人がレストランを開業する、工務店で働いていた人が工務店を開業する、といったパターンです。

私はこのような独立の仕方を「受動的選択」と呼んでいます。なぜなら、これらの人々は「どんな事業を始めようか」という質問をせずに、自動的に事業を選択しているからです。美容師なら美容室、料理人ならレストランを開業するのが当たり前、というように、事業選択について深く考えることなく起業してしまうのです。

もちろん、この方法が悪いわけではありません。世の中の多くの会社はこのようにして作られていますし、現在成功している企業も、元々は社長の職人的なスキルをベースに、前職と同じような事業を始めて成長してきたというケースが多いのです。

しかし、受動的選択で起業すると、失敗しやすいという事実もあります。実際、そのような方法で開業した会社の9割は10年以内に倒産すると言われています。

ガーバー氏は、この失敗の原因を「致命的な仮定」として説明しています。

致命的な仮定

「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっている」

これは、一見もっともらしく聞こえますが、間違いです。

例えば、美容師であれば美容師としてのスキル、料理人であれば料理のスキル、大工であれば大工としてのスキルがあれば、独立開業してうまくいくはずだ、というのは致命的な間違いだとガーバー氏は言います。

実際に独立開業してみると、美容師であれば顧客対応以外にも、店舗デザイン、清掃、経理、人材雇用など、様々な業務をこなさなければなりません。これらの業務は、以前の職場で経験したことのないものが多く、対応できずに会社が倒産してしまうのです。

しかし、世の中の多くの会社は、受動的選択によって作られ、創業者の職人的な能力をベースにしています。では、成功している会社とそうでない会社の違いは何なのでしょうか?

ガーバー氏は、その要因の一つとして「3つの人格」を挙げています。

3つの人格

経営者は「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格を持っています。これらの人格は相反するものであり、バランスをうまくコントロールしなければなりません。

受動的選択で設立された事業のオーナーは、「職人」の人格が強すぎることが多いと言います。職人的な人格とは、文字通り職人的な仕事をする人格のことです。料理人として独立したなら料理を作る、エンジニアならプログラミングをする、といった仕事がこれに当たります。

経営者としては、職人、マネージャー、起業家という3つの人格をバランス良くコントロールする必要がありますが、多くの企業ではオーナーが職人の人格で働きすぎているのです。マネージャーや起業家の人格がおろそかになっていることが問題なのです。

特に多くの人に欠けているのが、この「起業家」的な人格です。

起業家の人格

起業家の人格の仕事は、まず「どんな事業を始めるべきか」という質問を自分自身に問いかけることです。

起業家的な人格が機能している経営者は、事業を能動的に選択します。

能動的選択とは、積極的に「どんな事業を始めるべきか」を考えて起業することです。

例えば、自分の人生の目的を達成できるような事業を考えたり、事業の収益性を考慮したり、技術革新や社会の変化を予測して事業を選択したりします。

これは当たり前のことのように思えるかもしれませんが、実際には世の中の多くの事業はこのようにして作られていません。やはり受動的選択で作られるケースが圧倒的に多いと思います。

受動的選択で作った事業と能動的選択で作った事業、どちらが成功しやすいかを考えれば、能動的に考えた方が成功しやすいのは明らかです。受動的選択の場合、事業の収益性や社会の変化などを考えずに起業してしまうため、後々問題が生じる可能性があるのです。

既存事業がある場合

これから起業するという場合は良いのですが、すでに受動的選択で事業を始めてしまっている場合はどうすればいいのでしょうか?

ガーバー氏は、経営者は2つの事業を経営すべきだと言っています。それが「オールド・コー」と「ニュー・コー」です。

オールド・コーは、皆さんが現在行っている事業のことです。一方、ニュー・コーは、起業家的な視点で新たに作る会社のことを指します。

ガーバー氏は、この2つを念頭に置いて経営すべきだと言っています。

最近、「両利きの経営」というコンセプトが流行していますが、ガーバー氏は昔から似たようなことを言っていたのです。

受動的選択で事業を始めてしまった場合は、起業家的な視点で新しい事業を作っていくべきだということです。

この場合、2つのパターンが考えられます。

1つは、現在の事業が自分の職人技にどっぷり依存している場合です。この場合は、次の事業ではそうならないように、初めから自分が介在しなくても良いような事業を作ることを考えるべきでしょう。

もう1つは、現在の事業が軌道に乗って収益も上がっているものの、満たされないものがある場合です。この場合は、現在の事業を仕組み化して自分の時間と能力を不要な形にし、空いた時間で本当にやりたい事業を作ることを考えるべきでしょう。

私の例

恥ずかしながら、私の例をご紹介します。

私は以前、海外のインターネットマーケティングやビジネス情報を会員向けに配信する事業を行っていました。

当時、私はインターネットマーケティングの方法を学び、自分の職人的な能力をベースにサービスを作りました。英語を読むことができたため、海外の情報を収集し、会員制にして提供しようと考えたのです。

しかし、このサービスは提供が自分に依存するという問題がありました。海外の情報を収集する視点や方法が自分にしかできず、まとめるのも自分にしかできないと思ったのです。

そこで、次の手を打たなければと思い、徐々にニュー・コーを考え始めました。そして、誰かのコンテンツをプロデュースすれば、自分に依存しないですぐに事業化できると考えたのです。

最終的にたどり着いたのが、マイケル・E・ガーバー氏のコンテンツでした。

最初は以前のサービスと並行して行っていましたが、徐々にガーバー氏の事業が大きくなってきたため、以前のサービスはやめて1つに絞りました。

このように、オールド・コーとニュー・コーを両方行い、それを繰り返していくことが大切だと思います。

起業家の仕事

起業家の仕事は、疑問を持ち、想像し、夢を見ること、そしてあらゆる可能性を追求することです。

この考え方で、「どんな事業を始めるべきか」ということを考えてみてください。

これから事業を作る方はもちろん、すでに何年も事業を行っている方も、初心に帰って事業を見直してみてはいかがでしょうか。

ガーバー氏は常に初心者の心で考えることの大切さを説いています。

初心者の心とは、自分のアイデンティティをすべて取り払い、本当に自分は何者なのかを考えることです。

そうすることで、本当にやるべき事業が見えてくるはずです。

ぜひ、今日の質問を参考に、ご自身の事業について深く考えてみてください。

今日は以上となります。


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