「偉大な事業とは非凡な人々によってつくられたものではない。」マイケル・E・ガーバー語録 vol.3

世間一般的には、素晴らしい事業、つまり成長していて皆から知られているような事業は、とても優秀な人たちが会社にいるからそうなったと思われています。会社を経営している社長も、「ぜひうちの会社にもそのような優秀な人たちが欲しい」ということで、採用に大金をかけたり、教育に力を入れたりといった活動をします。しかし、中小企業の場合には、そこまで良い学校を出た人や素晴らしい経験を持っている人はなかなか来ません。そのため、社長が持っている理想と現実のギャップに悩むということがあるのではないでしょうか。

■偉大な企業は、世の中は普通の人で成り立っていることを知っている

ガーバー氏が言っているのは、「それは違う」ということです。偉大な事業というのは、皆さんが思っているように非凡な人たちがいるからそうなっているのではないということです。普通の人が普通に働いてすごい成果を出しているから素晴らしい、と言っています。そして、偉大な企業は世の中は普通の人で成り立っていることを知っているということです。

世の中全体で見ると、やはり普通の人が多いわけですね。そこまで優秀な人ばかりではありません。統計を見ても、偏差値を考えれば分かると思いますが、正規分布は中央が膨らんでいます。中ぐらいの人たちがたくさんいて、ごく一部の人が例えば偏差値70だったりするわけですね。そもそも世の中には非凡な人って少ないのです。

会社が大きくなっていくということは、それだけ多くの人を雇わないといけません。会社が大きくなればなるほど、その平凡な人たちを探すのは難しくなっていくわけですよね。一般のイメージでは、すごいごく一部の優れた人たちがいて、その優れた人たちが仲間内で会社を作って、同じように素晴らしい人たちを雇っていくことで、すごい会社ができていくと思われています。でも本当はそうじゃないのでしょうということです。中身は普通の人で成り立っているのだから、その普通の人たちを雇って彼らが活躍できるようにしていかないといけないということを企業は知っている、と言っているわけです。

■マクドナルドは、どこにでもいる普通の人たちが普通に働いて利益を出せるような仕組みにしている

マイケル・ガーバー氏はよく本の中でマクドナルドの話を引用します。マクドナルドはものすごく仕組み化されていて、ガーバー氏の中では偉大な会社の一つとして認識しているわけですね。もちろんマクドナルドに対して、色々なイメージを皆さんお持ちだと思いますが、とはいえあの業界、ファストフードの業界で世界一であることは間違いないわけで、そういう意味では偉大な企業と言えます。

マクドナルドは典型的な例ですが、彼らは世界中のありとあらゆる場所で展開しています。そうなると、世界中のありとあらゆる場所で非凡な人を採用して、お店で働いてもらうって難しいわけですよ。そもそもその地域にそのような人がいないかもしれないので。なので彼らの考え方は、どこにでもいる普通の人たちが普通に働いて、ちゃんとマクドナルドという店舗が利益を出せるような仕組みにしているということなんですね。だからすごいんだという話をしているわけです。

■日本のマクドナルドの店員は優秀すぎる?

日本のマクドナルドを見ていると、あまりイメージが湧かないかもしれません。なぜかというと、日本のマクドナルドって、なんか店員さんめちゃくちゃ優秀っぽいんですよね。すごいテキパキ働いていて、注文もあっという間にさばいて、対応も良いしその間違いもないしということで、日本のマクドナルドの店員さんってめちゃくちゃ優秀みたいなイメージがあると思うんですけど、世界の他の国に行くとそんなことはなくてですね。正直言うと、普通の人だなっていう人たちが働いて、お店で利益を出しているということが分かるかなと思います。

■どうやったら普通の人を採用して成果が出せるような仕組みを作れるか

今日の動画でぜひ皆さんに考えていただきたいのは、社長であれば「なんでうちの会社にはいい人は来ないんだろう」とか「優秀な人が集まんないんだろう」っていう風に思ってるかもしれませんけども、そういう発想じゃなくて「どうやったら普通の人を採用して成果が出せるような仕組みを作れるか」という、そういう視点で経営を考えていただくと、また新しい機会が出てくるんじゃないかなと思います。

では、どうやって普通の人が非凡な結果を出せるような会社にしていくかということなんですけども、今日はシンプルに3つのステップで見ていきたいなと思います。結果を決める、探索する、仕組みを作る、という3つですね。

■ステップ1:結果を決める

まず「結果を決める」ということなんですけども、これは何かというと、例えば皆さんが社員の人にやってもらいたい仕事があるとしますよね。その仕事で出すべき結果、どういう状態になったらその仕事って成功したと言えるのかという、その結果を決めるということです。

マクドナルドを例に出すと、マクドナルドを最初に作ったのはマクドナルド兄弟という兄弟なんですけど、その1店舗目がものすごい効率的なオペレーションをしていて、他のハンバーガー屋さんとは全然違ったということがあります。マクドナルド兄弟はまずそのようなハンバーガーショップを作ろうという風に決めていたんです。これが結果を決めるということですね。どんなお店にしようかなっていう風に結果をまず決めたんですね。なので、社員の方に任せる仕事だったりとか、会社そのものでもそうですけど、どういう状態になりたいのかっていうその理想を決めるということです。これが最初のステップかなと思います。

■ステップ2:探索する

次のステップは、その結果に向けてうまくいく方法を探索するということです。とある業務があって、それを任せたいとしますよね。その時にまずその業務の結果を最初のステップで決めて、じゃあどうやればその業務がうまくいくのかという、そこのやり方を探索するということですね。

これもマクドナルドの例を挙げたいんですけども、マクドナルド兄弟が最初にそういうハンバーガー店を作りたいと決めた時に、次にやったことはいきなり店舗を作るんじゃなくて、店舗のオペレーションの仕方をまず実験で色々試したんですね。どういう機材の配置にすれば最も効率が良いかとか、どういう人の配置にすれば効率動けるかとかね、そういうことを探索したんですね。実際にうまくいくやり方をシミュレーションして、その後でお店を出して、実際にそれがうまく機能するかを試したということです。これはプロトタイプっていうね、事業の試作モデルっていう風にガーバーさんが呼んでるやり方なんですけども、そういう形で探索したと。

■ステップ3:仕組みを作る

3番目として「仕組みを作る」ということで、これは誰でもできるようにするということです。探索してうまくいく方法を見つけたら、それを誰でもできるようにするということですね。2番目の探索するというのは、おそらくベテランの人がいろんなこうやり方を苦労して試行錯誤して見つけて、うまくいくやり方を見つけるわけですね。次に、じゃあその新しい人が入ってきた時に「じゃああなたも私と同じように苦労してやりなさいよ」というのでは全く進化がないわけじゃないですか、組織としての進展がないですよね。

そうすると、そこで仕組みを作って誰でもできるようにしてあげると、それによって新しく入ってきた人はゼロから覚えなくていいわけですね。そのベテランの人が10年かかってできるようになったことを、仕組みがあることによって、例えば5年とか4年ぐらいでできるようになると。それこそがですね、要するに人材育成であると、こういうことなわけですね。同じように10年かかってね、やってくださいっていうのだと、人材育成とは言えないわけですよね。

振り返ってみると、人類の歴史も昔の人が苦労して頑張って成果を出してくれたことを、今私たちはいろんなこうツールとかね、仕組みがあるから簡単にできるわけじゃないですか。なので人類の進歩って元々そういう風になってきてるわけですね。皆さんの会社の中でもそのように会社全体がこう、成長していくというか、会社全体のレベルが上がっていくように仕組みを作んといけないということですね。なので、その業務を行うのに必要な能力とその新人さんが入ってきた時に、その人が持ってる現在の能力、このギャップがありますよね。このギャップを埋めるのが仕組みであるという風に言えるわけです。

マクドナルドとかの場合には、これはマクドナルドに限らずね、こういうチェーン店の場合には必ずオペレーションマニュアルってのがあって、その他の店舗でうまくいってるやり方をマニュアルにしたやつがあるわけですね。で、新しい店舗作る時に新人スタッフが入ってきてそれを見れば、他の店舗がうまくいってるのと同じやり方でその店舗も運営できるので、だから利益が上がるということなんですね。

■3つのステップは様々なレイヤーで考えることができる

今申し上げた3つのステップですね。「結果を決める」「やり方を探索する」「そして仕組みを作る」というこの3つのステップは、いろんなレイヤーで考えることができます。マクドナルドみたいに、その1つの法の理想を決めて、今の説法を減るということもできますし、なんか1つのね業務考えていただいて、それの理想的な結果を定義して今の3つぽやるっていうこともできますし。そのような考えていただくと、普通の人が本な結果を出す仕組みができる。

■仕組みは他の会社には真似できない自社独自の知的財産になる

この仕組みは他の会社には真似できない、自社独自の知的財産になるんですね。人ってですね、いくら優秀な人が皆さんの会社に入ってきても、場合によって辞めてしまうことがありますよね。そうすると、その人ってこう自社の資産とは言えないわけじゃないですか。でも1回作った仕組みって、自社の完全なあの独自の知的財産になるので、それが会社としての強みになって、未来の利益を生み出していくということになると思います。

というわけで今日はですね、普通の人が非凡な結果を出す仕組みを作るという話をさせていただきました。

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