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リーダーシップスタイル完全解説

清水直樹
清水直樹
リーダーシップスタイルとは、リーダーがどのように組織やチームをリードするかというアプローチ方法のことを指しています。リーダーシップスタイルにはいくつかの種類があり、状況によって使い分けることが有効だとされています。

中小企業の社長は、”俺流”で経営していることが多いものです。”俺流”での経営は、会社の規模がある程度まではうまくいきますが、社員が一定数を超えると機能しなくなります。多くの場合、俺流についてこれるのは、会社の初期メンバーだけであり、社長の目が届かない人が増える規模になってくると、途端に組織がまとまらなくなり、成長が止まります。

そこで、必要になってくるのがリーダーシップスタイルという概念の理解です。

リーダーシップスタイルは各メンバーの行動や思考に影響を与え、さらには会社の風土に影響を与えます。そのため、リーダーが効果的なスタイルを体現しなければ組織全体のパフォーマンスにも影響を与えます。

この記事ではまず、代表的なリーダーシップスタイルの種類分け、次にリーダーシップスタイルに関するジレンマ、ジレンマの解決方法について解説していきます。

 

6つのリーダーシップスタイル by ダニエルゴールドマン

世界的ベストセラー『EQ こころの知能指数』の著者であり、心理学者のダニエル・ゴールマン氏は、リーダーシップスタイルとして6つのタイプを提唱しています。

 

最高の成果を出しているリーダーは、特定のリーダーシップ・スタイル(emotion style)に依存しているわけではなく、状況の変化に応じてたえずリーダーシップのスタイルを変えていることが判明した。

1.ビジョン型(Vision Leadership)

ビジョン型はリーダーが共通の夢や目標に向けてメンバーを動かすスタイルです。リーダーが夢を持ち、その夢に向かって周囲を動かすというスタイル。このスタイルのリーダーは自信があり、他の人を共感させることが出来ます。主には会社の変革期、新しいビジョンを必要とする状況において有効なスタイルとされています。

2.コーチング型(Coaching Leadership)

コーチング型はメンバーの可能性を引き出し、成長させることに焦点を当てます。自分のやり方を押し付けるのではなく、各メンバーの性格や能力に基づき、彼らが目標を達成できるように支援します。このスタイルは長期的に人を育成したり、強みを強化したりする必要がある状況において有効とされます。

3.民主主義型(Democratic Leadership)

常にメンバーの同意を得ながら意思決定を行うスタイルです。各メンバーがどうしたいかを確認し、合意形成をしていきます。合意を得なければ仕事を進まないときや、アイデアを幅広く集める必要がある状況において有効とされます。

4.親和型(Affiliative Leadership)

親和型はメンバーと調和し、感情的なつながりを作ることに焦点を当てます。このスタイルでは人が第一に大事であり、友好関係を築きながら物事を進めていきます。メンバーにやる気を起こさせ、自立して仕事を進めたい状況において有効とされます。

5.ペースセッター型(Pacesetting Leadership)

自らやって見せるスタイルです。リーダーが行動で高い基準を示し、その基準をメンバーに求めます。私たちが言う職人型ビジネスに多いスタイルといえるかもしれません。高い成果を出したいとき、高い基準が求められる状況において有効とされます。

6.指示命令型(Commanding Leadership)

リーダーが細部まで指示命令し、メンバーはそれに従います。メンバーの自立を促すことにはつながりませんが、危機的状況や問題発生時など、リーダーにしか即座に判断できないことがある状況において有効とされています。

 

以上、6つのリーダーシップスタイルを見てきました。どのスタイルも一長一短であり、状況によって使い分けることが求められます。

 

リーダーシップスタイルのパラドックス

ダニエルゴールドマンによる6つのリーダーシップスタイルをご紹介しましたが、リーダーシップスタイルは各リーダーに固有のものです。各リーダーがそれぞれのスタイルを使い分けながら、自分独自のリーダー像を作り上げています。ですから、一般的にリーダーシップスタイルは、「人それぞれなんだから良い悪いはない」とされています。

しかし一方で、どう見てもリーダーとして適していない人、リーダーとしての責務を果たせない人というのもいるわけです。

ここでパラドックスが存在します。リーダーシップスタイルは人それぞれで良い、という意見もわかりますが、明らかにリーダーとして優れていないスタイルをとっている人もいるのです。

そこで、今度は別の観点から考察してみます。

ビジョナリーカンパニー著者のジムコリンズ氏が、前著「Beyond Entrepreneurship(未翻訳)」の中でリーダーシップスタイルについて言及していますので、それについて見てみましょう。

 

リーダーシップ:機能とスタイル

ジムコリンズ氏は、優れたリーダーになるために「機能」と「スタイル」を分けて説明しています。ちなみに、この説明の仕方は私たちがこの「仕組み経営」でお伝えしている方法と同じになります。

リーダーシップの機能というのは、ビジョンを掲げ、方向性を示し、ビジョン達成に向けてやり抜くというリーダーとしての基本的な責務のことです。スタイルに関わらず、リーダー的ポジションにある人はすべてこの機能を担う必要があります。

一方でリーダーシップのスタイルは、さらに2つに分けられます。ひとつが「優れたリーダーが共通して持つ要素」と「その人固有の特徴」です。

これを図にして、優れたリーダーの全体像を示すと次のようになります。

 

リーダーシップスタイルと機能

Beyond Entrepreneurshipを参考に独自で制作

 

まず、リーダーシップスタイルの中の「その人固有の特徴」についてですが、こちらはたとえば、カリスマ的であるとか、シャイであるとか、雄弁であるとか、無口であるとか、その人がもともと持っている性格などを指しています。

比較で分かりやすいのが、アップルのスティーブジョブズ氏と、マイクロソフトのビルゲイツ氏です。両者は全く性格が異なりますが、いずれも優れたリーダーです。なぜならば、両者は効果的なリーダーがもつ7つの要素を兼ね備えているからです。

 

効果的なリーダーシップスタイルの7つの要素

では次に7つの要素について見てみましょう。ジムコリンズは優れたリーダーは次の7つの要素を共通して持っていると言っています。

  • 信頼できること(Authenticity)
  • 決断力(Decisiveness)
  • 集中力(Focus)
  • 触れ合い(Personal Touch)
  • ハードスキル/ソフトスキル(Hard/Soft People Skill)
  • コミュニケーション(Communication)
  • たゆまぬ前進(Ever Foward)

 

信頼できること(Authenticity)

Authenticityはもともとは本物である、と訳せます。要するにリーダーが発する言葉が心の底から、魂の中心から出ている本心である、ということです。結果として、それがメンバーとの信頼関係につながります。言ってることとやっていることが違う人には誰もついていきませんが、それは彼らにAuthenticityが無いからです。

  • 自分の信念を表現すること
  • 社内で最高のロールモデルとなること
  • 言葉だけではなく行動で示すこと

 

決断力(Decisiveness)

完璧な情報が集まらなくても(集まることは決してない)決断を下せること。優柔不断は偉大な会社を創るうえで大きな妨げになります。頭の良い(IQが高い)リーダーほど分析麻痺に陥りがちですが、分析をすればするほど、判断が出来なくなってきます。

  • 分析しすぎて麻痺に陥らないこと
  • 直感を大事にすること
  • 悪い決断は時として何も決断をしないよりかはマシ
  • 決断力と猪突猛進を混同しないこと(必要であれば決断を変えること)
  • 衆知を集めて決断すること
  • 決断の責任を受け入れること

 

集中力(Focus)

優れたリーダーは一番大切なことに集中する力があります。有名な例はジャックウェルチやスティーブジョブズです。彼らはリーダーの座に就くと、それまでやっていた多くのプロジェクトを止め、大切なことにのみ社内のエネルギーを集中させました。

  • 一度にひとつのことをやること
  • 仕事ではなく時間を管理すること
  • 重要なことを選ぶ決断をすること

 

触れ合い(Personal Touch)

これはメンバーやプロジェクト、業務に深くかかわり続ける、ということです。逃げたり、距離を置いたり、放ったらかしにしないことです。

  • 各利害関係者と良好な人間関係を築くこと
  • インフォーマル(非公式)な場でのコミュニケーションを取ること
  • 近づきやすい、話しやすい存在であること
  • ビジネスの現場で何が起こっているのかを常に理解しておくこと
  • 価値観を深く注入すること
  • マイクロマネジメント(リーダーにとって悲劇的な行動)と混同しないこと

 

ハードスキル/ソフトスキル(Hard/Soft People Skill)

優れたリーダーはメンバーに高い基準を要求すること(ハード)と、メンバーを思いやり、良い心地にすること(ソフト)という2つの矛盾を両立させます。

  • 仕事の結果に対してフィードバックを与えること
  • 教師となって正しいやり方を教えること
  • 高い基準のロールモデルになること

 

コミュニケーション(Communication)

優れたリーダーは様々な方法(一対一、全社的、文章、言葉、公式、非公式)でコミュニケーションを取る方法を知って居ます。ほとんどのリーダーはコミュニケーションが欠けています。これは彼らがコミュニケーションが出来ないから、ではなく、重要度を理解していないのでしていないだけです。

  • ビジョンと戦略をコミュニケーションする
  • たとえ話やイメージ(写真や図など)を使う
  • 公式のコミュニケーションの場でも人間臭さを入れる
  • 隠し事をしない
  • トップダウン以外のコミュニケーションを奨励する

 

たゆまぬ前進(Ever Foward)

優れたリーダーはビジネス面、個人面の両面で成長し、前に進むことを怠りません。それによって組織全体を高いエネルギーレベルに保つことが出来ます。

  • ハードワークする
  • 毎日改善する
  • 健康的である
  • 楽観的である
  • 人々の琴線に触れる

 

リーダーシップの目的を忘れない

以上、リーダーシップスタイルについてご紹介をしてきました。ぜひあなたが優れたリーダーになるためのヒントにしていただければ幸いです。最後に大切なことをひとつだけ付け加えておきます。

リーダーシップについて学んでいる人は、

  • 良いリーダーになろう
  • リーダーらしくあるにはどうすればいいだろうか
  • 自分らしいリーダーになろう
  • 慕われるリーダーになろう

というところに焦点が行きがちです。

しかし、こういった点に焦点を当てるのは、そもそも目的を外しています。リーダーが存在する理由、必要な理由は一つしかありません。

それは、会社や組織、チームの目的を達成することです。

それが出来なければ、どんなに慕われるリーダーになったところでなんの意味もありません。

リーダーシップスタイルを学ぶのも、目的を達成するという最大の責務を果たすためなのです。その点をぜひ忘れないようにしましょう。

 

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