今回のテーマは「自由と束縛」です。
多くの社長(特に創業社長)は、最初、自分の「自由」を求めて起業・独立すると思います。
自由、というのは時間や経済的な自由もありますし、自分のこだわりや考えでやりたい、という精神的、心理的な自由もあるでしょう。
経営者の自由がもたらす不安
そして、実際に独立すると、最初のうちは自由を満喫できます。
私もそうでした。
無理に出勤する必要もなければ、出社時間も帰る時間も自由。
ただ、そのうち、あまりに一般の人とかけ離れた生活になるので、本当にこれでいいのかな?と不安になってきます。
その不安も乗り越えて先に進むと、今度は自由ではなく、束縛が待っています。
自由を求めたはずなのに束縛が待っている
どういうことかというと、当初想定した以上に、やらなくてはいけない仕事に時間を束縛されたり、資金的な面でやれることに限りが出てきたり、本当にやりたい仕事が出来なかったり、、、
何年もその状態が続くと、その状態が当たり前になり、経営するってこんなものだろうと思ってしまうのです。
つまり、、、多くの社長は、元々自由を求めて起業・独立したはずなのに、いつの間にか自分が築き上げたものに時間的にも、精神的にも束縛されているのです。
しかもその状態に気が付いていないことがほとんど。
それが原因で、大きなビジョンが描けなかったり、社員のいいアイデアを採用出来なかったりします。
このような状況に関して、「サーカスの像」等の有名なたとえ話があります。
サーカスの像は子供の頃から鎖につなげておけば、自分の動ける限界はその鎖の範囲だけなんだと思い込み、大人になっても逃げることがない。
という話です。
私も含めてですが、意外と社長はサーカスの像になってしまっているケースがあるかもしれません。
マイケルE.ガーバー氏によれば、会社の会社の活力は社長の活力に比例します。
社長が束縛されていれば、社員も束縛されていると感じます。
では、そんな状態から抜け出すには?
経営者が自由を取り戻すために
情熱を取り戻す
第一に、自分が本当に情熱を持てる事業をやるということ。
社長が幸せになる方法は3つあります。
一つ目は、好きじゃなくても儲かるビジネスを作って、そこからの利益で豊かな生活を送ること。
二つ目は、儲からなくても自分が情熱を持てる仕事をやり続けること。
三つ目は、その両者を両立させること。
いまは三つ目の生き方をしている社長に顧客も社員も集まりますね。
創業時を思い出す
第二に、たまには本当は自分は何がしたいのか?と内省すること。
マイケルE.ガーバー氏の講座で一番最初に言われるのが、
Blank Pieace of Paper and Biginner’s Mind
(初心者の心と真っ白な紙)
です。
自分は何者か、どんな技術があるのか、どんな経験があるのか、そういったことを置いておいて、本当の自分と向き合い、創業前の自分に戻って、何がやりたいのかと問うことです。
人生と会社のビジョンの整合性
第三に、自分の人生のビジョンと会社のビジョンの整合性を確認すること
会社の推進力となる優れたビジョンは、経営者(特に創業者)の人生のビジョンと一致していることが多いです。
いま日本の大企業がどんどん衰退しているのは、サラリーマン社長が形式的にビジョンを創っているから。
一方、ベンチャーやスタートアップが急成長するのは、まず創業者の人生のビジョンがあり、それを表現する、実現するための手段としてビジネスがあるから。
彼らはまだ束縛されていないので、大きなビジョンを描けるのです。
世の中は何を求めているのか
第四に、人のための夢を見ること
人のための夢、これをImpersonal Dream(インパーソナル・ドリーム)と呼んでいます。
逆はパーソナルドリームで、あれやこれやが欲しい、といったような個人的な欲求です。
人のための夢を見ることで、自分には何が求められているのかがわかります。
この地球上で自分しか気が付いていない人々の課題は何か?
ユダヤ人強制収容所から生きて帰ってきた、ビクターフランクルという人は、「夜と露」という名著の中で、自分を含む生存者たちが生きて帰ってこれた理由を書いていました。
曰く、何より生きて帰るという意思を支えているのは、何かが自分を待っているという責任感、だったと言います。
それは仕事であったり、人であったりします。
世界で唯一無二、自分にしかその責任を果たせないと自覚した人間は、”生きることから降りられない”と言います。
マイケルE.ガーバー氏は、この話と起業家精神を結びつけました。
自分にしかその問題を解決できない、自分しか気が付いていない世の中の問題がある、そう気が付いた瞬間に起業家精神が目覚め、本当のスタートが始まるということです。
以上4点、ぜひ考えてみてください。
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