こんにちは、一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。
さて、これまで経営計画についてお話をしてきました。
軽く復習しますと、、、
・経営計画は、社長の暗黙知を形式知化したものであり、社長に依存せず、持続的に成長していくために欠かせないものです。
・一方で、経営計画の作成に際して、犯しがちな間違いもあります。
・1つ目の間違いは、計画に夢や理想が欠けていること。経営者の思い描く理想的な絵からスタートし、計画を立てることが重要です。
・2つ目の間違いは、経営計画を作成する際に間違った”意図”で取り組んでしまうこと。正しい意図がないと、逆効果になる可能性があります。この例として前回のメールでは秦の始皇帝とビッグモーター社の話をしました。
今日は3つ目の良くある間違いをご紹介します。
それが、”フォローアップやバックアッププランの欠如”です。
多くの会社では、時間をかけて毎年一回、経営計画(書)を作成します。
問題は、それが”静的な文書”になることです。
つまり、一回作ったら、それで完成。変化はしない文書になってしまうということです。
とくに冊子などの紙で経営計画(書)を配布した場合、1年間変化しないものになりがちです。
しかしご存知の通り、ビジネス環境は非常に変化しやすく、動的な対応が求められます。
そこで必要なのが、フォローアップやバックアッププランの仕組みです。
■フォローアップ
フォローアップとは、作成した戦略、方針、計画が今でも有効なものかどうかをチェックする仕組みです。
経営計画含め、すべての計画には無意識に想定されている前提条件があります。
その前提が崩れた時、戦略、方針、計画は無意味になります。
無意識に想定しがちな前提条件としては以下のようなものがあります。
・大手は自分たちのフィールド(市場)には参入して来ないだろうという前提
・自分たちの仕事は機械やテクノロジーでは代替されないだろうという前提
・お客さんは自社の強みを気に入ってくれているだろうという前提
特に三つ目は要注意です。
私たちはお客様の満足度を上げるため、どんどん付加価値を高めようとします。
より丁寧な説明、より手厚いサービス、より高機能な商品、などなどです。
そうすることによって、自社の強みを作り、他社と差別化しようとするわけです。
しかし、実際にはお客さんはそんなものは求めていない可能性があります。
他社がもっとシンプルで安い商品・サービスを投入してくると、お客さんは、”これでいいや”とそっちに簡単に移ってしまうことがあります。
ですから、自社が強みだと認識している強みが、本当にお客様にとって必要なものであるかを疑うことが大切になります。
経営計画策定にあたっては、自社が想定している前提にはどんなものがあるかを知り、その前提が今でも有効かどうかをフォローする仕組みが求められます。
■バックアッププラン
バックアッププランは、今申し上げたような前提条件が崩れた時の対応策を練っておくことです。
また、数値計画が思い通りにいかなかったときの対応策も必要になります。
ある程度の規模の会社であれば、全体の方向性は社長が立てるものの、個別の数値計画の立案については現場に任せることがあると思います。
ただ、それら数値計画はあくまで仮説であり、立てた社員も、社長ほどの真剣さをもって数字を積み上げているわけではないでしょう。
従って、社長としては社員が立てた計画が予定通りにいかないことを想定し、準備をしておくことが大切になります。
要は、任せて任さず、ということです。
■というわけで、今日は、経営計画に良くある間違い3つ目として、
”フォローアップやバックアッププランの欠如”
という話でした。
フォローアップやバックアッププランの仕組みを組み込むと、経営計画が”生きた文書”になり、全社員の行動の指針となります。
その状態になれば、社長個人に依存することなく運営できる会社になります。
ぜひあなたの会社のフォローアップやバックアッププランについて考えてみてください。
では本日は以上となります。
引き続きよろしくお願いいたします。