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「御社の人事が弱い理由」2024年8月12日号


お世話になります。
一般財団法人日本アントレプレナー学会の清水です。

さて、以前のメルマガで、ブラックボックス化しやすい業務は、経理や人事、労務管理などの仕事であるとお伝えしました。


こういった業務は社長が”自分でやりたくない”と嫌厭しがちです。

そのため、経験者に任せっきりで属人化しやすいのです。

今日はそういった業務の中でも、”人事”の仕組みに焦点を当ててみたいと思います。

”企業は人なり”、”人こそが最大の資産”といわれていますが、意外と、その要となる人事機能が弱い会社は多いものです。

当方でも人事制度のご支援などをしていますが、そんな中で、人事機能が弱くなってしまう理由がわかってきました。



■人事担当者を雇う

まず、会社がある程度成長してきますと、労務管理や入退社手続きなどをスムーズに進めるために、人事を担当するスタッフが必要になります。

そこで、その分野で経験がある人を雇うことになります。場合によってはパートでお願いすることもあるでしょう。


■社長の不満が募る

人事スタッフを雇うと、人事の日常業務は社長の手を離れることになります。

しかし、しばらくすると、社長は人事スタッフの働きぶりに満足できなくなります

なぜならば、採用計画や人の評価、強みを生かした配置転換など、人事スタッフにやってほしいと思っていたことが、相変わらず自分の仕事になってしまっているからです。

まして、さらに組織が大きくなってくると、それらの重要性が増してきます。

雇った人事スタッフは真面目にやってくれているようだが、自分は相変わらず人の問題に悩まされている、といった状況になります。

そのため、社長は人事の仕事に大きく時間を取られることになります。

とはいえ、営業など売上を上げる業務も忙しいのです。そのため、人事機能がどうしても弱くなります。

これが良くある”人事が弱い”会社のパターンではないでしょうか。


■2種類の人事

この問題の原因はどこにあるのかというと、一口に人事といっても、2パターンあるということに気が付いていないことにあります。

まず、労務管理や入退社は、日常的に発生することに対処する手続き的人事です。

一方、社長が人事に期待する機能は、会社の成長に合わせた採用計画、評価の基準、昇格、昇進の基準、社員満足度を高める施策、といったことを考えることです。

こっちは戦略人事などといわれています。

人事と名はついていても、この二つは別物です。スタッフに求められる経験や知識も違います。

なのに、社長は手続き的人事のスタッフに、戦略人事の仕事を期待してしまっているのです。

これがストレスが溜まる原因です。

このままだと、社長の暗黙知で戦略人事の仕事をやり続けるしかありません。



■解決策

そこで解決策は二つあります。

一つは、戦略人事が出来る人を新しく雇うことです。

これは結構大変です。あまりそういった人材はいませんし、いたとしても高くつきます。

もう一つの方法は、社長の暗黙知を形式知し、それをもとにスタッフを育てることです。

中小企業の場合、こっちの方が現実的ですし、お金もかからないと思います。

そのうち、会社がもっと成長して来たら、それなりの規模の会社で戦略人事をやってきた人を入れればいいのです。



■社長の暗黙知とは?

人事領域における社長の暗黙知には、以下のようなものがあります。

  • どんな人材がいつ必要か
  • どう育てるか
  • 昇格させるべき人材の見極め
  • 帰属意識の高め方


これらを明確にし、仕組みとして運用するわけです。

具体的には、

  • 会社の文化の明確化
  • 採用の仕組み
  • 入社後の仕組み
  • 人事制度(等級、評価、賃金)
  • 育成の仕組み


などの仕組みを創り上げるわけです。

そして、これらの仕組みを運用できる人を育てます。


次に、誰を担当にするか?ですが、これは最も会社の理念を体現している人にすると良いでしょう。


なぜならば、会社としてやりたいのは、理念に共感できる人を採用し、登用していくことのはずだからです。


その活動をけん引する人は、最も理念を体現している人でなければなりません。


人事の経験があるかどうかはあんまり関係ありません。知識は学べばいいですからね。



■まとめると。。。


1.人事機能が弱くなる理由は、手続き的人事と戦略人事の区分けが出来ていないこと。

2.社長が力を入れたいのは戦略人事のほう。

3.戦略人事を実践するには、経験者を雇う(高くつくのでお勧めできない)か、社長の暗黙知を形式知化する(お勧め)。

4.戦略人事の仕組みを自社なりに作って、運用できる人を育てる。

となります。

人事機能を強化するためにぜひご参考にされてください。


なおこれらの先に挙げた仕組みを個別にコンサルに依頼して作ろうとすると、どれも数百万円単位でかかりますが、仕組み経営では、理念から逆算した人事機能を一気通貫で作ることが出来ます。

詳しくは、仕組み化検討会をご活用ください。



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