起業家精神とは何か

起業家精神とは何か? – 中小企業の成功への道 –


清水直樹

「起業家精神」と聞くと、多くの方は「一部の天才的な才能を持つ人が、ゼロから画期的なビジネスを生み出す特別な力」といったイメージを持たれるのではないでしょうか。あるいは、リスクを恐れず果敢に挑戦する、特別な資質を持った人物像を思い浮かべるかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?

実は、この「起業家精神」は、会社の規模に関わらず、すべての中小企業の経営者、そしてそこで働く一人ひとりが理解し、日々の仕事の中で発揮していくことが、会社の持続的な成長と、働く人の「納得して関わる」やりがいを高める上で、非常に重要な鍵となるのです。

この記事では、「起業家精神(アントレプレナーシップ)」という言葉が持つ一般的な意味合いから、私たちが考える中小企業社長に求められる、より本質的で実践的な「起業家精神」まで、段階を追って分かりやすく解説していきます。

特に、「仕組み」を通じて、特別な才能に頼らずとも誰もが起業家精神を発揮できる状態を作るという考え方は、多くの中小企業が直面する「人に依存した経営」からの脱却や、「言われたことしかやらない」組織風土を変えるための、有効な処方箋となり得ます。

この記事を通じて、中小企業の経営リーダーが、なぜ起業家精神を自社に取り入れるべきなのか、そしてそれが会社と従業員にどのような具体的なメリット(再現性のある成長、従業員の主体性向上、顧客満足度の向上など)をもたらすのかをご理解いただければ幸いです。

1. 一般的な「起業家精神(アントレプレナーシップ)」とは?

まず、一般的に言われる「起業家精神」とはどのようなものでしょうか。これは、単に新しい事業を立ち上げる人だけが持つものではありません。

一般的な起業家精神は、以下のような要素を含む概念として捉えられています。

創造性とイノベーション

新しいアイデアを生み出し、それを形にする力。既存の枠にとらわれず、革新的な発想で価値を創造しようとする姿勢です。

リスクテイク

不確実性の高い状況でも、成功の可能性を信じて挑戦する勇気。失敗を恐れずに一歩踏み出す行動力です。

機会の発見と追求

変化を敏感に察知し、そこにビジネスチャンスを見出す力。そして、その機会を最大限に活かそうと積極的に行動することです。

リーダーシップと実行力

目標達成に向けて他者を巻き込み、具体的な行動計画を立て、実行に移す力。困難に立ち向かい、粘り強く物事を進める力も含まれます。

自己成長への意欲

常に新しい知識やスキルを学び、自分自身を成長させ続けようとする向上心。変化に適応し、自己をアップデートしていく柔軟性も重要です。

これらの要素は、新規事業の立ち上げだけでなく、既存企業の中での新しいプロジェクトの推進や、業務改善など、様々な場面で求められる資質と言えます。

しかし、多くの中小企業では、「言われたことを正確にこなすこと」が重視されがちです。もちろん、それも組織運営においては必要な要素ですが、これだけでは従業員一人ひとりが持つ本来の創造性や問題解決能力が十分に引き出されません。

2. 中小企業が取り入れるべき「起業家精神」とは?一般との違い

私たちが考える「起業家精神」は、いま述べてきた一般的な定義とは少し視点が異なります。一般的な起業家精神が個人の資質や能力に焦点を当てがちなのに対し、私たちは「仕組み」によって誰でも起業家精神を発揮できる状態を作ることを重視します。以下にその考え方を見ていきましょう。

1.すべての人に「起業家精神」が眠っていると信じる

私たちは、「すべての人の中に起業家精神が眠っている」と強く信じています。会社の経営不振や、ひいては地域経済や国全体の停滞といった問題の根底には、この内なる力が十分に発揮されていないことがあると考えています。多くの人は、日々の業務や既存の枠組みにとらわれ、自らが持つ創造性や変革の可能性に気づいていません。

しかし、見方を変えれば、社長自身、そして社員一人ひとりが、この眠れる力を目覚めさせることができれば、会社は活力を取り戻し、新たな成長軌道に乗ることが可能です。それは、単に新規事業を立ち上げることだけを指すのではありません。現状をより良くしようと問いかけ、問題を解決するための新しい方法を考え出し、主体的に行動すること、そのすべてが起業家精神の表れなのです。この力を解放することが、個人、組織、そして社会全体の活性化につながる鍵となります。

社員の起業家精神を目覚めさせる

では、どうすれば社員一人ひとりの起業家精神を引き出し、会社の成長へと繋げられるのでしょうか?精神論だけでは不十分であり、具体的に以下の二つの要素が不可欠です。

  1. 会社の使命感を明確にする: まず、会社全体が進むべき方向を示す羅針盤として、「会社の使命感(ミッション)」を明確に定義し、組織全体で共有することです。
  2. 人が成果を出せる仕組みを創る: 次に、その使命達成に向けて、特別な才能を持つ人だけでなく、「普通の人が輝けるような仕組み(システム)」を構築することです。これにより、個々の従業員の主体性と創造性が引き出され、組織全体として一貫した結果を生み出すことが可能になります。

2.「高い目的」を持つ

ここで重要になるのが、「高い目的」を持つことです。私が仕組み化を学んだマイケルE.ガーバー氏は、明確な「夢(Dream)」「ビジョン(Vision)」「目的(Purpose)」「ミッション(Mission)」を持つことの重要性を繰り返し説いています。これらは単なる利益追求を超えた、ビジネスが存在する根源的な「理由(Why)」です。

「夢」とは、将来創り上げる会社が顧客に対して行う「約束」を意味します。この「高い目的」は、ビジネスに進むべき方向を示し、情熱を燃え上がらせ、共感する従業員や顧客を引き寄せます。

さらに、「高い目的」はビジネスを人生を豊かにするための「乗り物」と捉え、仕事に人生を捧げるのではなく、ビジネスが人生に貢献する関係性を築くための基盤となります。究極的には、次世代に価値あるものを遺す「伝説(Legacy)」を築くことにも繋がります。

この「高い目的」を持つことは、「起業家」の人格と本質的に結びついています。「職人」が仕事のやり方(How)に、「マネージャー」が仕事の整理(Organizing)に集中するのに対し、「起業家」だけが、より大きな文脈の中でその仕事がなぜ重要なのか(Why)、そしてそれがどのような未来を創り出すのか(What)を問うからです。

職人、マネージャー、起業家の人格については以下の記事からをご覧ください。

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明確に言語化された「高い目的」は、強力な競争優位性ともなり得ます。特に、単なる取引関係を超えて優秀な人材を引きつけ、顧客ロイヤルティを構築する上でその力は絶大です。価格や機能だけでは実現できない方法で、ビジネスを差別化できるのです。現代の従業員や消費者は、単なる仕事や製品ではなく、意味や価値観との一致をますます求めるようになっています。説得力のある目的は、感情的な繋がりを生み出し、ロイヤルティとエンゲージメントを育みます。したがって、この目的を定義し、伝え続けることに時間を投資することは、単なる哲学的な営みではなく、長期的な成功と差別化のための戦略的な必須事項なのです。

3.顧客中心主義を根付かせる

顧客中心主義はビジネスが存在するまさに「理由」そのものです。ビジネスとは、根本的に顧客に対する「約束」を果たすために存在するのです。もしあなたの社員全員が、あなたの指示に従うために働く、のではなく、”顧客の夢をかなえるために働く”ようになれば、自然と彼らは主体性を発揮し、業績にも良い影響が出ることは間違いありません。

商品販売からの脱却

重要なのは、単に製品やサービスを「売る」ことではなく、顧客が抱える「問題」を理解し解決すること、あるいは彼らの「願望」を満たすことに焦点を移すことです。

顧客への深い理解

成功のためには、顧客に対する徹底的な理解が不可欠です。「顧客は一体誰なのか?」「彼らは何に不満(フラストレーション)を感じているのか?」「彼らが本当に価値を置いているものは何か?」。

カナダのオーデジー・グループのブランドン・ドーソン氏の事例は、この点を明確に示しています。おーでじーグループは、顧客である聴覚訓練士が「診察以外の業務に煩わされている」という具体的なフラストレーションを深く理解しました。そして、彼らが本来の専門業務に集中できるよう、その他の業務をサポートする「システム」を構築することで、大きな成功を収めたのです。これは、顧客の問題解決を中心にビジネスを設計した、まさに顧客中心主義の実践例です。ガーバー氏が言うように、まるで顧客に関する博士論文を書くかのように、徹底的に顧客を理解することが求められます。

「情報」ではなく「結果」を提供する

もう一つの重要な洞察は、顧客は製品の機能や情報そのものではなく、それによってもたらされる「結果(Results)」を購入しているという点です。フェニックス大学の例がこれをよく表しています。学生たちが求めていたのは、伝統的な教育プロセスそのものではなく、「学位」という具体的な結果でした。フェニックス大学は、その結果を効率的に提供することに特化したビジネスモデルを構築し、成功しました。あなたのビジネスにおいて、「顧客が本当に求めている『結果』は何ですか?」と問いかけることが重要です。

顧客中心主義と仕組みの連携

顧客が求める「結果」を理解することは、仕組みを設計するための出発点となります。仕組みは、その特定の結果を一貫して確実に提供するために構築されるべきなのです。

会社の上から働く

「会社の上から働く」とは、自分が現場で手を動かすのではなく、会社全体をどう動かすかを考え、仕組みや方針をつくって経営することです。つまり、「自分が働く」のではなく「会社が働くようにする」のが仕事、という考え方です。「会社の上から働く」の逆が、「会社の中で働く」です。両者の違いは以下の動画でご紹介しています。

顧客中心主義を根付かせるには、「会社の上から働く」という視点を必然的に要求します。「会社の中で」日々の業務に集中する「職人的経営者」は、顧客とのやり取りを場当たり的、あるいは自身のスキルベースで捉えがちです。一方、「会社の上から」働く「起業家」は、顧客の根本的な問題を解決し、望ましい結果を提供するために、顧客体験全体を仕組みとして設計します。顧客を深く理解するには、日々の業務から一歩引いて観察し、調査し、分析する時間が必要です。

トレンドや分析よりも顧客

このように顧客への深い理解を徹底することは、イノベーションや意思決定における強力なフィルターとしても機能します。市場のトレンドや競合の動きに右往左往するのではなく、「これは『私たちの』特定の顧客に、望ましい結果をより効果的に提供するのに役立つか?」という問いが、常に戦略の中心となります。これにより、戦略的な選択が簡素化され、組織全体が顧客価値の創造に向けて一貫してリソースを投入できるようになるのです。

4.成長のためのエンジン:仕組みを構築する

顧客を理解したら、顧客への約束を果たし続けるために仕組みを作ることが大事です。社員は仕組みに沿うことで、顧客の夢を叶える続けることができ、それが彼らの内発的動機付けになります。

仕組み化とは? 

仕組み化とは、ビジネスで行われる全ての活動について、文書化され、再現可能なプロセスを創り上げることです。それは、単にビジネスが販売する製品やサービスについてではなく、ビジネス「そのもの」を製品として構築することを意味します。目標は、誰が作業を担当しても、予測可能で一貫した結果を生み出すビジネスを創ることです。これは、成功のための「ここでは、こうやる」という運営マニュアルを作成するようなものです。

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なぜ仕組みが重要なのか?

仕組み化がもたらすメリットは計り知れません。

  • 一貫性 (Consistency): 常に信頼できる品質と顧客体験を提供できます。
  • 拡張性 (Scalability): 社長の存在や超人的な努力だけに頼らずに、ビジネスを成長させることが可能になります。
  • 効率性 (Efficiency): ミスや無駄を減らし、個人の記憶への依存をなくします。
  • 社長の解放 (Owner Liberation): 社長を日々の運営業務から解放し、戦略的な仕事(オン・ビジネス)に集中したり、他の関心事を追求したりする時間を与えます。
  • 資産価値 (Asset Value): 社長個人から独立した価値を持つビジネスを創り出し、売却や事業承継を容易にします。

マクドナルドの事例 (The McDonald’s Example)

仕組み化の重要性を最もよく示す古典的な例が、レイ・クロックとマクドナルドの話です。マクドナルドが提供していた製品(ハンバーガー、ポテト)はごく普通のものでした。しかし、それを世界中で一貫した品質で提供するための「システム」は並外れていました。レイ・クロックはハンバーガーを発明したのではなく、それを効率的に提供する「事業の試作モデル」を完成させたのです。これは、ガーバー氏の「ごく普通のビジネスを偉大な方法で行うことによって、偉大なビジネスになる」という言葉をまさに体現しています。

才能の仕組み化 

「私のビジネスは、特別な才能やスキルに依存しているから仕組み化は難しい」という反論はよく聞かれます。しかし、ガーバー氏は、たとえユニークなスキルであっても、それをプロセスやシステムに分解し、他の人が学び実行できるようにすることが可能であり、また成長のためには不可欠であると主張します。ビジネスは、創業者個人の才能を反映するだけでなく、ビジネス「自体」が持つ才能を反映すべきなのです。これは、単なる「個人事業」を超えて、拡張可能な「ビジネス」へと移行するために極めて重要です。

フランチャイズプロトタイプの考え方 

これは、たとえフランチャイズ展開するつもりがなくても、あたかもフランチャイズ化するかのようにビジネスを設計するという考え方です。この思考法は、全ての業務プロセスを文書化し、標準化し、誰でも運営できるようなターンキーオペレーション(すぐに事業を開始できる状態)を創り出すことを強制します。

仕組みを設計し、文書化し、改善していくことこそが、「起業家」の中核的な仕事であり、「職人」が会社の中で行う仕事とは明確に区別されます。マクドナルド(レイ・クロック)のような例は、単にハンバーガーを作るのではなく、「運営モデル」そのものを構築することに焦点を当てていたことを示しています。

5.起業家のマインドセット:想像力、願望、そして行動を身に付ける

ビジネスをシステムとして構築し、成功へと導くためには、経営者自身の内面的な変革、すなわち「起業家のマインドセット」を育むことが不可欠です。このマインドセットは、以下の要素から構成されます。

  • 自己認識 (Self-Awareness): まず、自分が現在どの「帽子」(職人、マネージャー、起業家)をかぶっているかを客観的に認識することから始まります。「職人の罠」から抜け出す第一歩は、自分がその罠にはまっていることを認めることです。そのためには、一歩引いて自身の行動や思考の焦点を観察する必要があります。
  • 想像力 (Imagination): ガーバー氏は、ビジネスにおける限界の多くは、実は「想像力の限界」であると喝破します。ウォルト・ディズニーが一匹のネズミから世界的な帝国を築き上げた例は、想像力の持つ絶大な力を示しています。社長は常に「もし〜だったら?」と問いかけ、現状の制約を超えた可能性を思い描くことが奨励されます。税理士ヤシンの例のように、集中力の欠如といった問題を克服するためにも、会社の未来に対する想像力を強化することが求められます。
  • 願望 (Desire): これは、先に述べた「夢」や「ビジョン」、「高い目的」と深く結びついています。真の起業家の推進力は、特定の成果に対する深く、抑えがたいほどの願望から生まれます。この願望こそが、困難を乗り越えるための粘り強さを与えるのです。それは、常に語り続けるべき「ストーリーのハート」なのです。
  • 行動 (Action): ビジョンや願望がいかに素晴らしくても、行動が伴わなければ何の意味もありません。ただし、それは単なる忙しい作業ではなく、戦略的な行動、すなわち仕組みの構築や計画策定でなければなりません。単に「実行して、実行して、実行して、ということを止める」ことが重要です。行動とは、システムを導入し、時には厳しい決断を下し、ビジョンと顧客からのフィードバックに基づいてビジネスモデルを継続的に改善していくことを意味します。そして、時間は有限であることを忘れてはなりません。今、行動を起こすことが求められています。

要素間の相互作用と挑戦

想像力、願望、そして行動は、互いに依存し合う関係にあります。強い願望(ビジョン)は、可能性を見るための想像力を刺激し、その両方が、ビジョンを実現するためのシステムを構築する戦略的な行動を動機付けます。どれか一つが欠けても、起業家の推進力は損なわれます。願望なき想像力は行動に結びつかず、想像力なき願望は現状の壁の前で立ち往生し、行動なき願望と想像力は空想に終わります。そして、願望と想像力を欠いた行動は、目的のない多忙さに繋がります。したがって、起業家のマインドセットを育成するには、これら3つの要素を好循環させながら、バランスよく育む必要があるのです。

しかし、これを実際に行うことは、時間に追われる中小企業の社長にとって、おそらく最も困難な挑戦でしょう。それは、最も貴重な資源である「時間」を、意識的に、そして困難を伴いながら再配分することを要求します。これは、緊急性の高い日々の業務から、重要性の高い戦略的な仕事へと焦点を移すことを意味します。多くの中小企業の社長は、緊急の課題に圧倒されています。「会社の上から働く」時間を確保するには、「会社の中」の仕事の一部に「ノー」と言う必要があり、これは当初、リスクが高い、あるいは直感に反するように感じられるかもしれません。この時間配分の変革を促すために、外部からの支援も有効です。

実践例:徳島県上勝町「いろどり」~おばあちゃんの起業家精神が開花した奇跡~

「すべての人に起業家精神が眠っている」という考え、そして「普通の人が輝ける仕組み」の可能性を鮮やかに証明しているのが、徳島県上勝町の株式会社いろどりの事例です。人口約1400人、高齢化率50%を超えるこの小さな町で、主役となっているのは地元の「おばあちゃん」たちです。

無価値だと思われたものを売る

きっかけは1980年代、町の基幹産業だったみかんが寒波で全滅したことでした。当時、農協職員だった横石知二氏(現・株式会社いろどり代表取締役)は、代替産業を模索する中で、料理の「つまもの」(添え物の葉や花)にビジネスチャンスを見出します。山に自生するモミジや南天といった、これまで価値がないと思われていた葉っぱを商品化し、「彩(いろどり)」ブランドとして販売することを思いついたのです。

当初、「葉っぱがお金になるわけがない」「恥ずかしい」といった声もありましたが、横石氏は料亭に通い詰めて市場ニーズを研究し、粘り強くおばあちゃんたちを説得しました。そして、この「葉っぱビジネス」は年間売上2億6千万円に達するほどの成功を収めました。

おばあちゃんが起業家精神を発揮

この成功の鍵は、単に葉っぱを売ったことではありません。おばあちゃんたちの中に眠っていた「起業家精神」が、仕組みによって引き出されたことにあります。彼女たちは、パソコンやタブレット端末を駆使し、市場の価格や需要動向をリアルタイムで把握します。そして、どの葉を、いつ、どれだけ出荷すれば最も高く売れるかを自ら考え、判断し、行動するのです。毎朝の注文取りは早い者勝ちの競争で、おばあちゃんたちはゲーム感覚で楽しみながら参加しています。売上ランキングも公開され、それが更なる意欲向上につながっています。



「忙しゅうて、病気になっとれんわ!」、「死ぬまで(この仕事を)する」と語るおばあちゃんたちの姿は、年齢や経験に関係なく、誰もが目的意識と主体性を持って輝けることを示しています。株式会社いろどりの事例は、内に秘めた起業家精神を目覚めさせること、そしてそれを支える「仕組み」を構築することが、個人の生きがい、会社の成長、そして地域全体の活性化にいかに貢献するかを力強く物語っているのです。

結論:起業家精神の発揮で、普通の人が非凡な成果を生み出す

以上、本記事では、一般的に語られる「起業家精神」とは一線を画す、私たちの考える起業家精神についてお伝えしてきました。

多くの人が考える起業家精神とは、「リスクを取って事業を興すこと」「他人に頼らず自分の腕で稼ぐこと」といった、いわば“現場に立ち続ける強い個人”の姿かもしれません。

しかし、私たちが重視するのは、その先にある“仕組みを通じて、会社を自律的に成長させる力”です。

社長が現場で働き続けるのではなく、自分の代わりに働いてくれる“仕組み”を持った会社を創るべきだということです。

これによって、「普通の人が輝ける会社」、そして「社長自身の人生の目標にも貢献できるビジネス」を創ることができます。

こうした考え方を日本の中小企業経営に落とし込み、実践の道筋として整理したのが、私たちが提唱する「仕組み経営」です。

仕組み経営とは、ガーバー氏の原理原則を出発点としつつも、日本人の価値観や文化に根ざした、より実践的で持続可能な経営思想と方法論です。

理念・組織図・職務定義・人事制度・理念・数値指標・マニュアル・改善プロセスといった構成要素を通じて、会社を“社長がいなくても働く存在”に変えていきます。

あなたがもし今、「忙しいのに売上が伸びない」「人が育たない」「自分ばかりが働いている」と感じているなら、それは社長が“会社の中で働いている”状態です。そうではなく、“会社の上から働く”状態、つまり、会社という仕組みによって価値を生み出す仕組みを整えることが、次のステージへの鍵となります。

私たちは、その道のりを「仕組み経営」という考え方で支援しています。自分の代わりに働く会社をつくりたい、自社の社員がもっと主体的に動く組織をつくりたい、そう願う方は、ぜひ以下から「仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

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