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時を告げるのではなく、時計をつくる(自己診断付)

清水直樹
清水直樹
「時を告げるのではなく、時計をつくる」。これは「ビジョナリーカンパニー ~ 時代を超える生存の原則」に登場する大切なコンセプトの一つです。本記事では「時を告げるのではなく、時計をつくる」とはどういうことか?自社は時計をつくっているのかを診断するための質問などをご紹介していきます。また、私たちがと提供している「仕組み経営」を学んでいただいている方のために、仕組み経営と本コンセプトの関連性についても解説しています。

「時を告げる」と「時計をつくる」の違い

まず「時を告げる」と「時計をつくる」の違いを見てみましょう。書籍を基に違いを表にしてみました。ビジョナリーカンパニーは、「時を告げる」のではなく、「時計をつくる」ことに力を注いでいることが特徴です。

時を告げる 時計をつくる
リーダー カリスマ 第五水準
商品 商品 会社そのもの
スタート 素晴らしいアイデア 誰とやるか
成長 ウサギ カメ

ビジョナリーカンパニーのリーダー

まず、ビジョナリーカンパニーを率いるリーダーは、必ずしもカリスマ的で有名なリーダーとは言えません。ビジョナリーカンパニーを創ることと、カリスマリーダーであることは全く相関がなく、むしろ逆相関でさえあります。

カリスマ型リーダーは確かに現役時代には業績を伸ばすかも知れませんが、彼らが引退した後はその業績も落ちていってしまうのです。

一方、ビジョナリーカンパニーのリーダーは、本書の続編で解説されている「第五水準のリーダー」です。第五水準のリーダーは非常に志が高い人物であるものの、その志は組織の目的や意義に向けられており、自分がカリスマになったり有名になったりすることには興味がありません。

たとえば、本書中でビジョナリーカンパニーとして紹介されている3M社のかつてのCEO、ウィリアム・マックナイト氏は、「穏やかな口調の紳士」であり、「聞き上手」「謙虚」「控え目」「慎み深い」など、カリスマリーダーとは相反する評価を受けています。

 

仕組み経営との関連性

仕組み経営の中では、カリスマ社長のワナという原則をご紹介しています。これは会社経営がカリスマ社長に依存する危険性を示すものですが、ここで話していることと近いでしょう。

カリスマ社長の罠【仕組み化の原則】

また、仕組み経営ではリーダーシップを「リーダーシップスタイル」と「リーダーシップスキル」と「リーダーシップシステム」の3つに分けています。

リーダーシップスタイルとは、雄弁である、物静かである、話好きである、聞き上手である、等々、人それぞれのスタイルです。どんなスタイルであろうと会社を成長させることはできます。大切なのは、自分がどんなスタイルかを理解し、それを日々の仕事で偽りなく体現することです。

 

ビジョナリーカンパニーにとっての商品とは?

一般的な会社では、ヒット商品、売れる商品創りをすることが大切だと考えています。一方のビジョナリーカンパニーでは、素晴らしい製品やサービスを次々に生み出せるような組織を作ることに力を注いでいます。これは似てるようですが、完全に異なる考え方です。

例として、ビジョナリーカンパニーとして紹介されているHP(ヒューレット・パッカード)社の創業者の一人、ビル・ヒューレット氏の言葉を紹介します。

(ちなみにIT系以外の人はあまりご存じないかも知れまんせんが、ヒューレット・パッカード社は、ビル・ヒューレット氏とデーブ・パッカード氏の二人がガレージで始めたシリコンバレーでは伝説的な会社)

製品開発のプロセスは、当社にとって特に重要な製品であり・・・

このように、社内のプロセスを製品とみなしています。

また、デーブ・パッカード氏は、この概念をさらに明確に言葉にしています。

ビル・ヒューレットとデーブ・パッカードの究極の作品は、音響用オシロスコープでも電卓でもない。ヒューレット・パッカード社と、HPウェイである。

 

仕組み経営との関連性

会社そのものが商品である、というのはマイケルE.ガーバー氏が常々言っていることと同じです。なので、この概念は完全に共通していると言えるでしょう。

起業家にとっての最大の作品は素晴らしく成長する会社そのものである – マイケルE.ガーバー

その作品は起業家が去った後も世の中に価値を提供し続けます。

 

ビジョナリーカンパニーはいかにスタートしたか?

世の中では最初に素晴らしいアイデアがあり、それをもとにして会社が成長していく、と考えられています。

しかし、これも本書の続編で詳しく解説されていますが、ビジョナリーカンパニーは、素晴らしい商品アイデアを持ってスタートしたわけではありません。むしろ、アイデアよりも、誰と一緒にやるか?(誰をバスに乗せるか?)からスタートしています。

先ほどのHP社はその典型であり、二人で試行錯誤しながら様々な商品を開発し、徐々に成長していきました。

また、ソニーの例も紹介されており、創業した当初は、何を開発するか決まっておらず、数週間にわたって、”どんな商売を始めるかを何週間か協議した”と盛田氏が回顧しています。

一方で、素晴らしいアイデアからスタートした会社は、一時的に繁栄するものの、商品ライフサイクルが一巡するとともに、業績が落ち込んでしまいます。いわゆる一発屋というやつですね。

これは私の意見ですが、この点から考えるに、ビジョナリーカンパニーが永らく繁栄する理由は、業初期のころに色々と実験し、試行錯誤を繰り返してきたことで、成長してからもそのような文化が残り、世の中の変化に対して柔軟性があることではないかと思います。

また、これも私自身の起業経験からの意見ですが、素晴らしいアイデアからスタートした場合、そこに集まってくるのは、アイデアが当たって儲かりそう、という金儲け主義の人が多いと思います。彼らはアイデアが当初思っていたより上手く行かないと、次々と離散していきます。

 

ビジョナリーカンパニーが目指す成長

一般的な会社はウサギのように成長しようとし、過度な投資を行います。一方でビジョナリーカンパニーはカメの歩みで継続的な実験や改善を繰り返し、長期にわたって繁栄します。

ビジョナリーカンパニーとして紹介されているウォールマートの創業者、サム・ウォルトン氏は、

ほとんどのサクセスストーリーと同じように、成功するまでに20年かかった。

と言っています。サム・ウォルトン氏の自伝を読むとわかるのですが、彼はいまのようなスーパーマーケットの業態で成功する前に、いくつかの業態を試してきました。また、同社はいまでは世界最大のリアル小売業とされていますが、創業当初は、巨人ともいえる他社が存在していたのです。その巨人に負けまいと、地道に積み重ねた結果がいまのウォールマートなのです。

 

仕組み経営との関連性

仕組み経営の中で、ここでの話に近いのは、ビジネス開発プロセスという概念です。これは「文書化(組織化)」⇒「数値化」⇒「イノベーション(改善)」⇒「文書化(組織化)」・・・というプロセスを絶え間なく繰り返していくことを推奨しています。これはマイケルE.ガーバー氏の「どんな仕組みにも改善の余地がある」という信念から来るものです。

 

自社は時計をつくっているか?自己診断のための質問。

では最後に、自社は時を告げているのか?時計をつくっているのか?自己半診断をするためのいくつかの質問を挙げておきます。(ジムコリンズ氏のウェブサイトを参照しました)

  • 自社のリーダーたちは、自分の存在を超えた”時計作り”に力を注いでいる。
  • 自社のリーダーたちは、自分が100人力としてあらゆる仕事を抱え込むのではなく、偉大なチーム作りに力を注いでいる。
  • 自社のリーダーたちの誰かが明日いなくなっても、組織は規律を持って同じように運営できる。
  • 自社のリーダーたちには、後継者を育て、彼らを成功させることに責任を負わせている。
  • 私たちは、継続的な改善を促すための仕組みがあります。
  • 私たちの仕組みは、社内で権力を持つ人でも簡単に覆せないように設計しています。
  • 私たちは短期的な業績向上に追われることなく、長期的(25年)な視点を持って運営しています。

いかがでしょうか。ぜひ参考にしてみてくださいね。

【補足】ジェフベゾスはなぜ巨大時計をつくっているのか?

本記事に少し関連するので補足情報です。世界最大の小売業、アマゾンの創業者ジェフベゾス氏は、42億円をかけて1万年時計という巨大な時計をつくっています。

ウェブサイトはこちら:http://www.10000yearclock.net/

(ビジョナリーカンパニーの条件のひとつは、”CEOが交代していること”ですので、アマゾンがビジョナリーカンパニーに入るかどうかわかるには、まだ時間がかかるでしょう)

彼がこの時計をつくっている理由は、人類の時間に対する考え方を変え、遠くの子孫が私たちよりも長い視野を持つように促すことだそうです。

アマゾンは元々長期的視点を持った会社として有名ですが、ベゾス氏は文字通り時計をつくっているわけですね。

 

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