動画でも解説しています。
※書き起こしは以下からご覧ください。
パレートの法則(80対20の法則)とは?
まずパレートの法則そのもののご紹介ですが、Wikipediaによると経済において全体の大部分は全体を構成するうちの一部の要素が生み出している。
この法則をイタリアの経済学者のパレートさんという方が発見しました。この人の名前を取って、パレートの法則と言われています。別名80:20の法則といいます。
元々は経済の様々な統計に偏りがあることが最初のきっかけなんですが、その後この法則は経済だけでなくてあらゆることに当てはまるということが明らかになってきて、今に至るまで様々な法則の中でも最も有名な法則として知られています。
例としては
- 売上の8割は、全顧客の2割が生み出している。
- 売上の8割は、全商品のうちの2割で生み出している。
- 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
- 仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
- 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
- 世界の富の8割は、2割の富裕層が担っている。
など、当てはまる例が色々あります。
パレートの法則は勝手に成り立つ
今日は会社経営者の方に向けてお話をしますので、いかに会社の経営に使っていくかに焦点を絞って話していきたいと思います。私たちの運営しているウェブサイトがあるんですが、その一つのウェブサイトのアクセス数のデータを見てみました。
ページ数とPVを比較した時にパレートの法則が成り立っているのか比べてみようと思い、実際の数字を出してみたんです。ページ数が479、PVが9万7565あるので比較したら、ページ数の20%、96ページが全体の PVの88%を生み出しているという結果が出たんです。
これはパレートの法則を使ってこうしたというわけではなく、普通にウェブサイトを運営していたら結果が出たので、パレートの法則は放っておいても成り立ってしまうのが面白い所です。
もう一つうちの事例で言うとメールマガジンを発行しているんですが、毎回開封率が20%ぐらいです。うちみたいな業種で20%はそこそこ高い方なんですが、これも全体の読者のうちいつも見てくれているのが20%ぐらい。様々な所で80:20の法則が成り立っていますので、ビジネスのどの側面をこのパレートの法則でよくするか、どこから始めるかがポイントになってきます。
パレートの法則をどこに活用するか?
顧客に対してパレートの法則を活用する
おすすめなのは、まず顧客に対してパレートの法則を活用するのがよく、80%の利益を上げてくれている20%顧客の特定、そして20%の顧客のニーズを満たす商品を開発することです。
これが取っ掛かりに良く、皆さんの会社でも売り上げや利益のデータがあれば、80%の利益を上げてくれている20%の顧客を特定するのはそんなに難しくありません。
顧客のリストが出てくるので、その人たちのことを想像して彼らのニーズを満たす商品の開発、今ある商品の20%の人たちに向けての改善が手っ取り早く始められます。そしてさらにもう一歩進めると、顧客で80:20の法則を撥ねると、その後にもう一度それを活用します。
20%の顧客が生み出している利益のうち、全体利益の80%を生み出している20%の商品があります。ここを強化して改善することもできます。パレートの法則を二段階で活用することで、さらに絞り込まれたマーケティングや商品開発ができます。
顧客を絞り込むメリットは色々あって、私たちは会社の仕組み化をお手伝いしていますが、ビジネスの構造がシンプルであればあるほどやりやすくなります。仕組み化して経営者の手を煩わせることなく会社を運営して行けます。
シンプルにするには顧客の絞り込みから始めるといいですね。そのためにパレートの法則を使いましょうという話になっていきます。これはすぐできることだと思います。
時間の使い方にパレートの法則を活用する
次に時間です。経営者の時間の使い方に対してパレートの法則を活用しようということです。
中小企業の社長だと様々な業務に携わっています。もちろん社長もやらなければいけませんが、自分で営業に行ったり、開発会社であれば自分自身で開発することもあるでしょうし、中小企業にはそんなにマンパワーがあるわけではないので、社長があらゆることを手を突っ込んでやっています。
いかに社長として価値の高い仕事をしていくかが会社の成長に大きく関わってきます。その時にパレートの法則を思い出していただくと、最も価値の高い仕事に集中するにはどうすればいいかが分かります。
やり方としてはこの表を見ていただくと分かりやすいのですが、色んな業務があります。所要時間が短時間で終わる物と長時間かかる物があります。動画を撮る仕事は10分、20分ぐらいで撮れますが、企画書や資料を作ることは使用時間が長い。
仕事ごとにかかる時間があり、それが横軸になっています。縦軸は生み出す価値です。生み出す価値と所要時間のマトリックスで自分の仕事を振り分けてみましょうということです。生み出す価値は会社によってどういう仕事が価値が変わってくるので一概には言えません。
私が話しているのが価値の高い時間なのか、企画書を作るのが価値の高い仕事なのかは会社の状況によって変わるので一概には言えませんが、縦軸には生み出す価値を取るということです。社長がやるべき本来の仕事は色が付いている部分です。
ピカソワークと呼んでいますが、所要時間が短くて生み出す価値が高い仕事をやれということです。マトリックスにすると分かりやすくなります。ピカソワークに当てはまらないこの空白の部分はどんどん他の人に委任して、会社の人ができるようにしてあげるということです。
今日は委任の仕方はやりませんが、色がついている部分に集中するための仕組みを作っていくということで、時間にパレートの法則を当てはめるためのやり方になります。
商品開発にパレートの法則を活用する
次は商品開発をする時のステップの話です。パレートの法則というよりも、リーンスタートアップの創業プロセスがあるんですが、そこからヒントを得てここでご紹介します。商品を開発する時に、いきなり10割の完成品を作ろうとしないということです。
ユーザーが求めている8割の効果を生み出す2割の機能を実装することです。まず商品を出してみて、実際にユーザーさんがそれを求めているのかどうか検証します。従来型の商品開発は最初から完璧な物を作って、マーケティングコストをかけてプロモーションする。
売れなかったらこれまでにかけてきた商品開発にかかった時間とお金が無駄になります。プロモーションも無駄になります。新規事業や起業に失敗する大きな理由になってしまいます。ユーザーが求めている8割の効果を生み出す2割の機能を実装すればいい。
それでテストをしてやって行きましょうという話ですこの図に出ているのはリーンスタートアップという考え方の一部です。MVPという商品開発プロセスの一部です。5番目の車が完成品で、これを作りたいと思っているとします。従来型の商品開発では全部完成させてからユーザーに提案するやり方です。
でもリーンスタートアップやMVPの考え方では、まずお客さんが求めている機能は何なのかを突き詰めていきます。車は移動手段なので、移動するために車じゃなくていいのでスケートボードを作ってみましょう。
人が移動するということにニーズあるかどうかを確かめましょうというのが図に出てきます。一番目のような簡易的な商品を作ります。スケートボードはシンプルな機能しかありませんが、お客様が望んでいる移動はこれで叶えられます。
エンジンもいらないので、車輪が付いていて人が乗る所があればいい、最低限の機能を持っていて移動できればいい。お客様に出してみて反応があれば、スケートボートにどんどん追加的な機能を付加していく。
移動することにニーズがあることを確かめた上でハンドルやエンジン、屋根をつけたりと機能を追加していくことで、最小限のリスクで商品開発ができます。
パレートの法則は商品開発にも使えて、ユーザーが求めている8割の効果は何なのか、それを満たすための2割の機能は何なのか考えると、リスクのない商品開発ができるんじゃないかと思います。
仕組み作りにパレートの法則を活用する
仕組み作りにもパレートの法則を活用することができます。8割の効果を生み出す2倍の仕組みは何なのか、この辺りは私の専業なのですが、皆さんの会社は色んな仕組みで成り立っています。
営業の仕組み、採用の仕組み、色々ありますが、その中でどういう仕組み作りから取り組むか考えた時に、この質問が大事になってきます。自分たちのビジネスにとって、8割の効果を生み出す2割の仕組みは何なのかということです。
そこに優先順位をつけてやっていくことで、この仕組み作りは非常に手間がかかると思いがちですが、2割の仕組みを特定すればそこから手を付けていけばいいので、いきな大仕事にならずに仕組み化が進む体制が取れます。
社員に対してパレートの法則を活用する
最後に、社員に対してパレートの法則を活用するということです。
パレートの法則をさらに一歩進めて、2:6:2の法則という物があります。会社の組織はよく蟻の集団で例えられるのですが、蟻100匹のうち2割はめちゃくちゃ働く蟻で、6割はそこそこ働く蟻、2割の蟻は全然働かないと言われています。
会社の組織も人の集団で成り立っている以上、2:6:2の法則が当てはまると言われています。社長としては2:6:2に分かれている人たちのうち、どの層の人たちを中心的にフォローしていけばいいかという話なんです。
社長も時間に限りがありますので、全ての社員を平等にフォローすることが難しいので、パレートの法則を使って考えていきましょう。これに関してはいろんな考え方があります。ヒントとしては、一番上の20%の人たちは放っていても活躍します。
パレートの法則は「放っていてもこうなります」という物なので、100人いたら20%は何もしなくても会社に貢献してくれます。この人たちは自走的なマインドがありますのでそんなにフォローはいらず、自由にしておけばいいです。
その下の6割は、60をさらに上の30と下の30に分けることができるんですが、私の個人的な意見では最もフォローすべきなのは、上の30%の人たちです。
この人たちは大放っておいても平均以上のパフォーマンスを上げていますが、フォローしてあげればもっと貢献、活躍できる能力はや考えを持っている人たちなので、この人たちを中心的にフォローしてあげます。
一番下の20%の人たちは放っておいても常に存在している人たちなので、フォローしてもなかなか変わっていかないんです。会社に与えている影響が少ないので、フォローしてもそこまで全体には影響しないので、この人たちを切れというわけではありませんが、がっつりフォローしてもそんなに変わりません。
社員の場合は扱いが難しいですが、私個人の意見としては真ん中の上位30%の人たちがフォローすべき対象です。パレートの法則をビジネスに活用する方法についてご紹介しました。
なぜパレートの法則を知っていても使えないのか?
パレートの法則は有名ですが、活用できている会社は少ないです。最後に、知っていても活用できない理由をご紹介します。 ご自身の価値観が邪魔をしているということです。
今日のタイトルは楽して成功するというテーマですか、楽して成功する、儲かることは夢物語というか、罪悪感を感じてしまう日本人は多いです。知っていても価値観が邪魔して実行できません。全ての顧客に同じように対応しなくてはいけないと思い込んでいます。
時間の使い方に大きく関わってきますが、社長たるものやれることは自分でやるべき、自分が先頭に立ってやるべきだと思っていると、あらゆることに首を突っ込みますのでピカソワークはなかなか難しくなります。
「完璧な物を市場に出さなくてはいけない」という思い込みです。特にソフトウェア業界を見てみるとそうですが、最初は「バグがあって当然」と市場に出すわけです。
「ユーザーに使ってもらってバグを発見してもらう」みたいな考え方があって、マイクロソフトなんかはそのやり方で成長してきたということがあります。
適当な商品を出していいということではなく、ユーザーが求めている8割の効果を生み出す機能は何なのかを絞り込んでいくということです。そしてプロトタイプを出して、徐々に完璧な物に仕上げていくという考え方です。
というわけで、パレートの法則を知っていても活用できない原因となっている価値観についてご紹介しました。前半部分でご紹介した所はやろうと思えば誰でもできます。売上のデータを見れば顧客の特定はできるし、自分の働き方を見れば時間の絞り込みはできます。
やることは簡単ですが、やるのは難しいのがパレートの法則です。その原因として価値観があるので、一度皆さんもご自身がどういう考え方を持って与えているか、思い出してみるといいと思います。
パレートの法則を活用して会社の仕組みづくりをするなら
というわけで、今日はパレートの法則についてご紹介しました。仕組み経営では、パレートの法則を活用し、楽して会社を運営するための仕組みづくりをご支援しています。詳しくは以下からご覧ください。