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リーダーシップ完全ガイド(定義や意味、発揮する方法まで)

清水直樹
清水直樹
リーダーシップとは、各メンバーの考え方や行動に影響を与え、彼らがチームや全体の目標に向けて貢献をしたいと思うようにするためのプロセスです。この記事では、リーダーシップについてその定義や種類、実際にリーダーシップをとるにはどうすればよいかを解説していきます。

 

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この記事の信頼性

この記事は世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」の内容をベースにしています。世界700万部のベストセラーの内容を日本の会社に当てはめてご紹介していきます。執筆者である私はマイケルE.ガーバー氏のメッセージをおそらく日本で最も多く翻訳したり、代理となって発信してきましたので、本記事の内容も信頼いただける内容かと思います。

 

リーダーシップ完全ガイド全体像

本記事の全体構成を図にすると次のようになっています。

 

目次

優れたリーダーとは?

最初に結論、というか、私の見解として、優れたリーダーとはどういう人か?という話をしたいと思います。

優れたリーダーは、自分が去った後にも結果を出す人

これが私が考える最高のリーダー像です。

一般には、

あなたがいなくなったらやっていけない

あなたに付いていきたい

と思われることが優れたリーダーの条件だと思われていますね。でもチームや組織というのは、人的なリスクを可能な限り抑えつつ、結果や目的を達成するために存在するものだと言えます。

そう考えれば、そのリーダーがいなくなった途端に成り立たなくなってしまうのでは、リーダーとしての仕事を半分くらいしかやっていないと言えるのではないでしょうか。

カリスマ的なリーダーは、その個人的な能力によって現役時代に結果を出すことが出来ます。しかし、その人が去ってしまったら、チームや組織の成果が下がってしまう、というのでは本当に優れたリーダーとは言えません。

本当に優れたリーダーは、自分がいなくなっても、それまでと同じように、またはそれ以上に成長していけるような仕組みをチームや組織に残します。

たとえば、アップル社の業績推移をご覧ください。

このグラフのポイントをかいつまんでお伝えすると、

  • スティーブ・ジョブズがアップル社に復帰したのは1997年
  • 同氏が引退したのは2011年
  • iPod発表は2001年
  • iPhone発表は2007年

ということになります。

スティーブ・ジョブズは、確かにカリスマ的なリーダーで、現役時代に卓越した実績を残しました。しかしこのグラフを見ると、彼のすごさはそれだけでは語れません。彼がいなくなった後も、会社が成長しています。

彼がいなくても成長していけるように後継者や経営チーム、市場でのブランド価値、競争優位性、これらの仕組みを遺産として残しました。

言い方を変えれば、彼が作った最大の作品は、iPhoneでも、iMacでもなく、アップルという会社そのものだったのです。これはホンダを創った本田宗一郎氏、パナソニックを創った松下幸之助氏にも同じことが言えると思います。

あなたが経営者なのか、管理職なのかわかりませんが、いずれにしろ、優れたリーダーというのは、あなたが離れた後にもチームや組織が成長していける仕組みを創る人だと言えるでしょう。

では、そのうえで、リーダーシップについてより深く見ていきましょう。

 

リーダーシップとは?

まずは入門編として、リーダーシップとは何かという概論を解説していきます。

1.リーダーシップの意味

リーダーシップの意味や定義についてインターネットで検索すると、非常にたくさんの結果が出てきます。これだけたくさんの結果、かつ異なる理論や考え方が出てくるということは、リーダーシップとは何か?ということについて、世間一般的な合意は得られていないとみるのが良いでしょう。

多くの経営者と接してきた私たちの経験からしても、それぞれの社長ごとにリーダーシップのとり方は違いますし、リーダーとしての哲学や能力もまちまちになっています。

そこで、最初に、

  • リーダーシップとは?
  • リードするとは?
  • リーダーとは?

という3つについて解説したいと思います。

リーダーシップとは?

本記事では

リーダーシップとは、各メンバーの考え方や行動に影響を与え、彼らがチームや全体の目標に向けて貢献をしたいと思うようにするためのプロセス

と定義しておきたいと思います。

かつては、リーダーと他のメンバーの間に情報の格差があり、確からしい情報を持っているリーダーが一人いて、リーダーがその情報に基づき意思決定をする。そして、他のメンバーはリーダーの言うことに従う、というのが一般的な組織でした。(いまもあるかも知れませんが)

しかし、いまでは情報はグループや組織内で等しく共有されているため、リーダー1人が意思決定をするのではなく、他のメンバーも自分で意志決定をし、グループや組織に貢献したい、という想いを持つようになりました。

そのため、各メンバーが自ら目標に貢献したい、と思うようにすることがリーダーシップの大きな役割になるのです。

ちょっと話がややこしくなりましたが、まとめると、

  • 旧来型のリーダーシップは、メンバーに「あなたの決定についていきます」と言わせれば成功だったのに対し、
  • いまのリーダーシップは、メンバーに「この目標(目的)を達成したいです」と言わせること

だと思います。

リーダーシップについてより理解するために、ご自身の経験を振り返ってみると良いでしょう。「あなたが他の人にリーダーシップを感じた経験は?」というテーマで以下の質問を考えてみましょう。

  • どんな状況でしたか?
  • その状況でリーダーは何をしましたか?
  • そのことがあなたの考えや感情、行動にどう影響を与えましたか?
  • あなたはどう反応しましたか?
  • あなたの反応はリーダーにどのような影響を与えましたか?
  • リーダーはあなたをどう扱いましたか?

 

リードするとは?

チームをリードするとは、チームが意思決定をし、行動することに対する責任を持つこと

です。なので、チームが意思決定をせずに停滞したり、必要な行動を起こさないのはリーダーの責任と言えます。

リーダーは必ずしもすべての事柄について自分で意志決定をする必要はありませんし、自分で全てことを行う必要はありません。しかし、チームメンバーが必要な意思決定をし、確実に行動できるようにしてあげる必要があります。

チームをリードするときには、自分がリーダーであると見られていることも意識する必要があります。他のメンバーは、あなたが何に注意を払い、何を無視しているかをしっかりチェックしています。

例えば、いくら仕事でミスを犯すな、と伝えても、実際にミスが起こってもそれを指摘しなかったら、メンバーはあなたの言動に一貫性がないと無意識のうちに判断し、仕事でミスを犯すことを気にしなくなってしまいます。

リーダーは他のメンバーを監視しているように見えて、実は逆なのです。他のメンバーこそがリーダーを監視しているのです。言動一致が見られなければ、リーダーは信頼を失い、あなたと一緒に働くことの意義を失ってしまうでしょう。

そのため、リーダーは常に基準を高く持ち、それをまず自分で守る必要があります。

 

リーダーとは?

リーダーという言葉は、「役割」の意味でつかわれることもありますし、「役職」を意味することもあります。

たとえば、私自身、会社員時代に初めて名刺にリーダーという肩書がついたときのことを覚えています。とはいえ、その時には部下がおらず、単に役職としてのリーダーだったにすぎません。リーダーとしての役割はなかったわけですね。

一方、子供のころから、グループになると自然とリーダーの役割を担う人というのがいましたね。彼らは役職上のリーダーではありませんが、グループ内でリーダーの役割を担っていたと言えます。

そういう意味で、グループや組織の中では、リーダーとしての「役職」は無くても誰でもリーダーの「役割」を担う機会があると言えます。

たとえば、会議中に議論が停滞した場合、あなたが前に出て議論を先に進めることが出来れば、その時点ではリーダーとしての「役割」を果たしていると言えるでしょう。

優れたリーダーになりたいと思ったら、そのような「自分がリーダーになれる機会」が生じたときに、それに気づき、行動できるようにしましょう。そうすれば、リーダーになる練習をしてリーダーシップの能力を高めることが出来るはずです。

 

2.リーダーシップ論

次に代表的なリーダーシップの理論をご紹介しておきましょう。リーダーシップは昔から研究の対象となっていて、すでに様々な理論があります。これらを理解するだけでも、リーダーシップのとり方は変わってくるでしょう。

代表的なリーダーシップ論については、すでに他の記事で書いていますので、こちらをご参照ください。

4つのリーダーシップ論から読み解く経営者の真のリーダーシップ

また、リーダーシップ論の中でも良く引用されるSL理論については別途記事をまとめていますので、合わせてご覧ください。

SL理論とは?4つのリーダーシップスタイルを徹底解説

 

3.リーダーシップの種類

次に、リーダーシップの種類について解説します。

こちらの記事で、代表的な種類分けであるダニエルゴールドマンの理論をご紹介しています。

6つのリーダーシップの種類とは?リーダーシップスタイルについて完全解説

 

4.リーダーシップとマネジメント(スキル診断)

次に、よく話題になるリーダーシップとマネジメントの違いを解説します。これもこちらの記事で詳しく書いています。こちらの記事ではスキルの診断項目も付けていますので、ぜひご参考にされて下さい。

リーダーシップとマネジメントの違いを完全解説(スキル診断付)

 

リーダーシップをとる【0. まず自分を導こう】

リーダーシップの基本を理解したうえで、ここからは実践編です。

より良いリーダーになるためには、まず自分自身を知り、自分の人生を導く必要があります。

自分の内側を知れば知るほど、あなたが一緒に働く人々にどのような影響を与えているかを考えることができます。例えば、あなたの好み、強み、弱み、信念、価値観などです。このアプローチの仕方をインサイドアウト(内側から外側へ)と言いますね。

そこで、ここでは、自分自身の内面を見つめ、まず自分を導くための方法をご紹介します。これは一見、遠回りのように思えるかもしれませんが、実は近道なのです。

 

オーセンティック(本物の)リーダーシップを身に付ける

優れたリーダーになるために理解しておきたいのが、オーセンティックリーダーシップという概念です。これは海外を中心に、良く知られてきている概念です。

オーセンティックというのは、あまり日本ではなじみがない言葉ですが、本物であるとか、信頼すべき、などの意味があります。たとえば、「オーセンティックなバー」と言えば、伝統的で、いかにもバーらしい本格的なバーのことを指していますね。

オーセンティックリーダーの特徴としては以下の点が挙げられます。

  • ܂自分自身を良く知っている

オーセンティックリーダーは、自分が何者であるかを問いかけ、明確にすることに時間を割いています。

私にとって重要なことは何か?私の価値観とは何か?何が私を幸せにするのか?こんなことについて考えてみましょう。

  • 偽りのなさ

オーセンティックリーダーは、自分を偽らず、いつも本物の自分でいます。そのため、他の人から見ると、あの人はいつも言動に一貫性がある、と思われます。この逆パターンは相手や状況に応じて、自分の行動をコロコロ変えることです。こういう人は”表面的”であるとみなされ、リーダーとしての信頼性を欠くことがあります。

常に自分の価値観に沿って行動しているか?私は、人が私のために何をしてくれるかだけでなく、人が誰であるかを本当に評価しているか?自分に何をしてくれるか?で相手を判断するのではなく、その人がどういう人であるか?を大事にしているか?自分の長所だけでなく、自分の弱点も認めているか?こんなことを自問してみましょう。

  • オープンで正直である

ほとんどの人は、自分の意見を述べることで恥をかくかも知れないと思うと、自分の意見を述べることに抵抗を感じます。一方、オーセンティックリーダーは、自分の信念に勇気を持っています。他と違うことを恐れず、自分の考えていることを伝えることが出来ます。その分、他の人の意見に対しても、オープンであったり、受容的であったりします。

 

自分を知るために – ジョハリの窓

自分自身を知るためのツールは世の中にいくつもありますが、ここではジョハリの窓を挙げておきましょう。

簡単に言うと、以下の4つのマトリックスで本当の自分を知る方法です。

① 自分も他人も知っている自分の性質(解放)
② 自分は気付いていないが他人は知っている性質(盲点)
③ 他人は知らないが自分は知っている性質(秘密)
④ 自分も他人も知らない性質(未知)

詳しいことは調べていただければ情報がたくさん出てきますので、ここでは詳述しませんが、ぜひ試してみてください。

 

リーダーになるために人との違いを感じよう

オーセンティックリーダーになるためには、自分自身を良く知り、一貫性を持った言動をすること、そして同時に、他者の意見や行動への受容も必要になります。

リーダーに独自の価値観があるように、他の人にも価値観があるわけですから、それを受容し、対応することが大切です。

そこで、人との違いを感じるために、次のようなことを考えてみましょう。

  1. 友人や同僚と共有した出来事や経験を選んでください。たとえば、読んだ本、観た映画、参加した講演、あるいは仕事の中での会議などでも良いでしょう。
  2. あなたの友人や同僚に、彼らの解釈を説明してもらいましょう。その後に、自分の解釈も共有しましょう。
  3. 友人や同僚が話している間は彼らの意見や話に注意を払います。あれやこれやと判断したり、口をはさんだりしないようにします。意見に賛成か反対かを述べる必要もありません。

このようなことをやってみると、人それぞれ、物事に対する見方や解釈が違うことがわかると思います。それを理解することは、あなたが多様なメンバーをリードするのに役立つはずです。

ここで注意しておきたいのは、大事なのは、「和して同ぜず」です。他の人の意見に安易に同調して、あなたの意見を変えろと言っているのではありません。他の意見を受け入れろと言っているだけです。

他の人の意見にオープンになると、その意見が自分の意見よりも意味のあるものであることに気づくことがあります。その結果、新しいアイデアが生まれることもあるわけです。

 

 リーダーとしてのミッション、ビジョン、バリューを知る

オーセンティックリーダーになるために重要なステップが、自分のミッション、ビジョン、バリューを知る、ということです。

  • ミッション・・・使命感、志、人生の目的
  • ビジョン・・・どんな人物になるか?どんな人生を送るか?
  • バリュー(価値観)・・・何を大切にするか?

実は、私たちの提供している経営の仕組み化プログラムの中でも、最初にやってもらうのが経営者の個人的なミッション、ビジョン、バリューを発見するというものなのです。これらとビジネスが何の関係があるんだ?と思うかもしれませんが、めちゃくちゃ関係があります。

結論からいえば、経営者のミッション、ビジョン、バリュー無しに組織作りはできません。これらが相まって、会社の理念になるからです。この辺の話に関しては別途記事を書いていますので、そちらをご参照いただければと思います。

ミッション、ビジョン、バリューの作り方から違いまで完全解説

 

リーダーのミッション ~ 志はあるか?

ミッション、すなわち志です。

リーダーにとっての志とは、自分の代で実現できなかったとしても実現したいことです。

逆に、自分の代で実現したいことというのは、自分のエゴや野心から出ている欲求になる可能性があります。エゴや野心から出てくる欲求も、それを持っていること自体は問題ないのですが、リーダーとしてはそれだけではチームや組織を導いていくことは難しいのです。

自分の代で実現できなかったとしても、世のため、人のためにこれは実現しなくてはいけない、と考えることではじめて、志が明確になっていきます。

ちなみに海外にはあまり志(ambition)という言葉はビジネスシーンでは使われないようです。しかし、私たちの師匠であるマイケルE.ガーバー氏は、インパーソナルドリーム(他の人のための夢)という言葉で似たような概念を提唱しています。詳しくは以下のインタビュー記事で話していますので、ぜひご参照ください。

経営理念の作り方、考え方。

 

リーダーのビジョン ~どんな人生を送るか?

あなたには人生計画はありますか?ほとんどの社長(リーダー)は、事業計画は作っていますが、人生計画を創っている人はあまりいません。

ビジネスは関わる人達の人生を豊かにするための乗り物です。そう考えれば、まずは事業計画の前に、人生計画を立てることが大切です。そして、人生計画を実現するための事業計画を立てます。

この辺についても別の記事で解説していますので、ご参照ください。

社長の人生計画から逆算して事業を創ろう

 

リーダーのバリュー(価値観) ~ 何を大切にするか?

価値観とは、自分が何を大切にしているか?何を正しいとし、何を間違っているとしているか?を意味しています。ほぼ全ての人は自分なりの価値観を持っていて、それによって日々の意思決定を行っています。ほとんどの人の価値観は、頭の中に無意識にあるだけですが、リーダーとしての役割を果たすためには、価値観を書き出すことをお勧めています。

リーダーが自分の価値観に沿った行動をすればするほど、オーセンティックであるとみなされるようになります。それが信頼へと繋がり、リーダーシップへと繋がり、最終的な成果へと繋がっていきます。

また、リーダーの価値観はチームや組織の文化に直結します。これに関しては以下のスライドで解説していますので、合わせてご覧ください。

 

リーダーとしての影響力を高める

リーダーシップとは影響力である、と定義している人もいます。リーダーは他のメンバーに何かしらの影響を与え、組織やチームを動かしていく、ということですね。本記事ではこの定義だけでは不十分と考え、別の定義づけをしていますが、影響力という言葉はリーダーにとって非常に大切です。

影響力が高まれば、あなたがやりたいことを実現できる可能性は高まります。そこで、どうすれば、影響力を高めていけるのか?を考えてみましょう。

ここで役立つのが以下の図です。

人は誰しも、「自分がコントロールできること」、「自分が影響を及ぼせること」、「自分のコントロールできないこと」という3つの事柄を持っています。

たとえば、あなたが社長であれば、会社の戦略や組織編制については自分のコントロール内と言えるでしょう。一方、社長であっても、業界のルールや法的規制は自分のコントロール外のはずです。

では、社員の働きぶりについてはどうでしょうか?社員は他人なので、自分のコントロール内ではありません。しかし、完全なコントロール外でもなく、会社のルールや仕組みを変えれば、社員の働きぶりに影響を及ぼすことが出来ます。

成果を出せないリーダーは、自分の影響範囲を広げることなく、コントロールできないことに愚痴ばかりを言っています。

一方、優れたリーダーは、自分が影響力を及ぼせる範囲、つまり真ん中の輪を自ら広げていくことで、チームや組織の目標達成を実現させていきます。

あなたの目的や目標に向けて、何か障害になっていることを挙げてみましょう。それらについて、自分がコントロール出来るか、出来ないか、または影響を及ぼせるかを考えてみましょう。

一見、コントロールできないことであっても、影響は及ぼせるかも知れません。そのためにはもしかしたら、いつもよりも勇気がいる行動を取る必要があるかも知れませんが、それを繰り返し練習していくことで自分の心地よい領域(いわゆるコンフォートゾーン)が広がり、影響力を高めていけるはずです。

 

【補足】リーダーシップに自信がない、苦手、リーダーをやりたくない人へ

意外なことに、会社の社長であっても、自分はリーダーに向いていない、リーダーとしての自信がない、リーダーシップを取るのは苦手だ、という方がいます。しかも、結構な割合で存在します。一般的には「社長=自分でガツガツ攻める根っからのリーダータイプ」と思われているかも知れません。もちろん、そういう人もいます。

しかし、そうではない社長も多いのです。たとえば、元々、自分の職人技や専門知識で独立された社長に多かったりします。そのような社長は専門能力が高いために、独立するとお客さんがどんどん増えていきます。

そのうち、自分だけでは対応できなくなり、社員やスタッフを雇うことになります。そのようにして人数が増えていくと、自分が組織のリーダーである、という自覚がないまま、いつの間にかリーダーとして振舞わなくてはいけない状況になっているのです。

最初、1人や2人メンバーが増えたくらいであれば、まだ自分の心地よい空間でいられます。しかし、さらに人が増え、自分がコントロールできないようになると、急に居心地の悪さを感じ始めます。

自分は自分の専門スキルを活かして仕事をしたかっただけなのに、いつの間にか”社長業”をやらされることになってしまった、というわけです。これは私たちが言う職人型ビジネスの典型的な状態です。

こうなると方向性が限られてきます。

一つ目は、人数を減らして、自分の居心地の良いレベルに落とすこと。これは目の前のことだけ考えれば有効な解決策ですが、そのうち、自分の体力の限界とともにビジネスも限界を迎えます。

二つ目は、居心地の悪いまま、仕事を続けていくこと。これは一番きつい選択肢です。中には、会社に行きたくなくなって、メンタルをやられる社長もいます。

三つ目は、リーダーとしての自覚をもち、リーダーシップ能力を高め、組織をリードしていくことを決めること。この選択肢が上手く行くと、会社は成長し、より多くの人に自社の価値を提供できるようになります。

どれを選ぶかは、その人次第です。ちなみに私たちとしてのスタンスとしては、三つ目の選択肢を選んだ方々のご支援を中心に行っています。

 

リーダーシップをとる【1. 絆を深める】

自分でリーダーとしての自覚を持ち、自己認識力を高めたら、最初に行うことは、メンバーとの絆を深める、ということです。

最近では、エンゲージメントなんていう言葉も使われるようになりましたね。これは”関り”や”思い入れ”を表す言葉ですが、絆と言い換えたほうがわかりやすいでしょう。

リーダーとメンバー、またはメンバー間の絆を深めることが出来なければ、良い文化が生まれず、実行力を欠くことがあります。

リーダーとメンバーの人間関係の築き方

人間関係というのは社員が会社を辞めたがる大きな理由のひとつです。意外なことに、社長も社員との人間関係が原因でメンタルを病んでしまう人もいます。社長の場合には会社を辞めることが出来ませんから、社員と良好な人間関係を築くことは大切です。そこで、ここではリーダーとメンバーの人間関係の築き方のヒントに考え方をご紹介していきます。

「皆のためにやってあげる」をリーダーの仕事と勘違いしない

過剰な責任感や皆から好かれたいという想いから、みんなのためにいろいろやってあげるリーダーがいます。

  • たとえば、部下が言いたいことを代わりに言ってあげる
  • たとえば、その人がやるべき仕事を代わりにやってあげる

一見、これは良いリーダーになる方法のように思えますが、実はそうではありません。リーダーがこのような行動を繰り返すと、結果的には次のようになります。

  • メンバーは自分で仕事をやる自信を無くす
  • メンバーが育つ機会を奪う
  • リーダーはいつまでもメンバーの面倒を見ないといけなくなる

メンバーとうまく働くためには、以下のような基本的前提に立つ必要があります。

  • 各メンバーは自分の担当する業務を自分で行う責任を持っている。
  • 各メンバーは自分の意見やアイデアを自分で言う権利を持っている。

これはメンバーを突き放すことではなく、逆に彼ら個人を人として尊重することにつながります。

 

他の人に関心を寄せる

多くのリーダーは、目的や目標達成に集中するあまり、その人個人への関心を失いがちです。前に述べた通り、メンバーはリーダーの行動を監視し、それを真似しようとします。そのため、リーダーが人に関心を持たなければ、メンバーも他の人への関心を無くし、自分の個人的な目標だけをおいがちになります。

こうなると、いわゆるサイロ化(部門や個人が孤立化すること)し、チームの生産性は落ちてしまいます。

以下のように自問してみましょう。

  • 私は一人一人の人を本当に理解しているのか?
  • 彼らの個人的な状況、興味や関心、趣味、希望を言うことができるか?
  • 彼らの仕事に対する不安などはないか?
  • 何が彼らを動かしているのか知っているか?
  • スケジュールや計画、To Doリストを確認してみましょう。この1ヶ月間、どのくらいの時間、どのくらいの活動を「人」に焦点を当てていましたか?

人間関係を可視化する

白紙を用意し、真ん中に円を描き、あなたの名前を入れてみましょう。普段、一緒に仕事をしている人を思い浮かべ、その人が自分からどれくらいの位置にいるかを想像しながら、円を描いてみましょう。

繋がりが弱いな、と思う人は自分の円より遠くへ、繋がりが強いと思う人は自分の円の近くへ描きます。

人間関係が描写できたら、各メンバーについて次のように考えてみましょう。

  • なぜその位置になったか?
  • その人にどのように接しているか?
  • その人とどのくらいの時間を過ごしているか?
  • つながりを築くために何が出来るか?

 

諫言を聞き入れる

リーダーにとって、諫言(部下からのいさめ)は聞きたくないものですが、一方で、優れたリーダーは諫言を積極的に受け入れる器を持っています。過去の歴史を振り返ってみれば、部下の諫言を聞き入れずに失敗したリーダーは枚挙にいとまがありません。

これについては、以下の動画で解説していますので、ぜひご覧ください。

 

心理的安全性を生み出し、本音で話せる環境を作る

心理的安全性(サイコロジカルセーフティ)とは、グーグルが突き止めた、チームの生産性向上の要因です。

グーグルの調査(プロジェクトアリストテレス)について書かれた記事を引用すると次の通りです。

「プロジェクト・アリストテレスの結果から浮かび上がってきた新たな問題は、個々の人間が仕事とプライベートの顔を使い分けることの是非であったという。

もちろん公私混同はよくないが、ここで言っているのはそういう意味ではなく、同じ一人の人間が会社では「本来の自分」を押し殺して、「仕事用の別の人格」を作り出すことの是非である。

多くの人にとって、仕事は人生の時間の大半を占める。そこで仮面を被って生きねばならないとすれば、それはあまり幸せな人生とは言えないだろう。

社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを受け入れるための「心理的安全性」、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成することが、間接的にではあるが、チームの生産性を高めることにつながる。」

ベストセラー書籍「ティール組織」の著者、フレデリックラルー氏はほとんどの人は、職場に行くときに「仮面」を被って出かける、と表現しています。その「仮面」こそがチームの生産性を妨げてしまうのです。

 

心理的安全性を実現するには?

では自分の会社で心理的安全性を実現するにはどうすればよいのでしょうか?

これもすべてはリーダーからスタートします。個人的にお勧めで私たち自身も実践しているのは、「個人的な物語」です。私たちの場合、新しいチームメンバーが参加するときには、”人生のアップダウンチャート”というのを話してもらうようにしています。

人生のアップダウンチャート
人生のアップダウンチャート

 

見ての通り、これは人生における感情などのアップダウンを図にしたものです。仮面をかぶった自己紹介をされるよりも、このように自分のストーリーを赤裸々に語ってもらうことでお互いのことをよく知ることが出来ます。

これも最初はリーダーから共有します。そうすることで、他のメンバーも”あ、こんなことまで話しても良い場所なんだ”と感じてもらえるわけです。

 

成功循環モデルを作る

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が、提唱してのが「成功循環モデル」です。これは、組織に成功をもたらす基本的な考え方です。

上図の通り、Good Cycleは、「関係の質」を高めるところから始めます。相互理解を深め、お互いを尊重します。そうすると、メンバーは気づきが生まれ、「思考の質」が高まります。そうなると、自主的に行動するようになり、「行動の質」が高まります。そして、「結果の質」が高まり、組織内での信頼が高まり、「関係の質」がさらに向上します。

一方のBad Cycleは、「結果の質」を高めようとすることから始めます。成果が上がらず「結果の質」が低下すると、擦り付け合いが生まれ、「関係の質」が低下します。そうなると、メンバーは仕事がつまらなくなり、「思考の質」が低下します。当然、「行動の質」も低下して成果が上がらなくなり、「結果の質」がさらに低下します。

このモデルからもわかる通り、ここまで述べてきたようなメンバーとの関係性を高めることがリーダーシップを発揮するために大切なのです。

 

リーダーシップをとる【2. 目的意識を醸成する】

さて、メンバーとリーダーとの絆が生まれたとしても、彼らが仕事をする目的や理由を理解していなければ、仕事を最大限にこなすことは期待できません。リーダーはチームに求められている目的や結果をコミュニケーションすることが大切です。

 

リーダーが自分に求められている成果を明確にする

まずはリーダー自身が自分に求められている成果を明確に理解しなくてはなりません。

もしあなたが社員ならば、上司や会社から求められている成果があるかも知れません。

もしあなたが社長ならば、自分自身で、自分に求められている成果を定義する必要があります。

以下の質問について考えてみましょう。

1. あなたの仕事の中で、重要な仕事をリストアップしてください。最大でも5~6個。

2. それぞれで求められている成果は何でしょうか?また、その成果をどのように測定できますか?。

もしあなたが社員ならば、上司と上記の内容を共有してみましょう。もしかすると、上司とあなたでは考えていた成果が違うかもしれません。そうなると、いくら頑張っても、”忙しいバカ”になってしまいます。

もしあなたが社長ならば、管理職にも同じようにやってもらい、彼らと結果を共有しましょう。あなたは管理職の考えを把握できますし、管理職もあなたの考えを把握できるので、より効果的、効率的に働けるようになるはずです。

 

メンバーは仕事の目的を理解しているか?

ある程度の規模の会社であれば、それぞれの仕事に職務記述書があると思います。その中には、仕事の内容は書かれているわけですが、一方で、その仕事をなぜ行うか?という目的が書かれていることは稀でしょう。

本当は、メンバーにとっては、仕事内容よりも、仕事の目的のほうが大切なのです。なぜならば、仕事の内容というのは、(特に成長期の会社では)頻繁に変更されるからです。

仕事の内容だけを伝えていると、”それは私の仕事ではありません。”というメンバーが出てきがちです。そうならないためには、仕事の目的から伝える必要があるのです。

  • 仕事の内容だけを伝えた場合・・・仕事の内容は固定される
  • 仕事の目的と内容を伝えた場合・・・仕事の内容は柔軟に変更される。

ちなみに私たちの「仕組み経営」の中では、職務契約書というコンセプトを提案しています。これは従来型の職務記述書とは異なり、各役職の仕事の目的を明確にしていくためのものです。詳しくは以前ポッドキャストで話していますので、ぜひご参考にされてください。

 

リーダーは忙しいバカになるな【効果と効率】

リーダーはチームが成果を出せるように導かなければいけないわけですが、チームメンバーが忙しく働いているけど、なかなか成果が出ない、という経験は多くの人が感じたことがあると思います。

そのような場合には、いったん立ち止まって、効果と効率をよく考えることが大切です。

効果的であるということは、自分がしなければならない最も価値のある重要なタスクや活動を集中して実行し、完了させることを意味します。

効率的であるということは、最低限の時間とリソースを使って、作業を行うことを意味します。

あなたのチームの仕事の仕方は以下のうち、どこに当てはまるか考えてみましょう。

世の中の生産性向上の話は、効率の話だけに終始しがちなので、忙しいバカにならないように注意が必要です。

もし、チームの活動が効果的でないならば、もう一度、チームに求められている目的や成果を明確にし、共有することが大切です。

もし、チームの活動が効率的でないならば、業務の仕組みを変えることが大切です。リーダーの仕事はメンバーを忙しくさせることではありません。なるべく少ない労力で、より多くの成果を出させることこそが優れたリーダーシップと言えます。

効率化については、以下の仕事の仕組み化に関する記事が参考になると思います。

仕事の仕組み化は誰でも出来る。

 

組織と個人の目的、目標を一致させる

ほとんどの人は、価値のある何かに貢献したいと思っています。優秀な人ほど、その傾向が高いと言えます。そのため、リーダー自身が価値あることを目指していない限り、優秀な人たちがあなたに協力してくれることはないのです。

あなたが価値あることをしていなければ、価値ある人にそれをやらせることはできない。 – サイモン・シネック

チームや組織の理想の状態とは、組織と個人の目的、目標が一致している状態です。もちろん、完璧に一致することなどは難しいですが、可能な限り、一致する部分が多ければよいわけです。

そのためには、まずリーダー自らが旗を掲げる必要があります。組織の方向性とその理由、そしてそこに至るまでの道のりを共有することです。口に出しては言わないかもしれませんが、実はメンバーが最初に求めていることはそれなのです。

目的や目標を強要することはできませんし、やるべきでもありません。理想は、メンバーがあなたが提唱した目的や目標を聞いて、

あ、それだったら、自分はこういう役割で貢献できそうだな

と自ら動機付けされることです。

なお、リーダーが旗を掲げるためのビジョンの創り方については以下の記事で解説していますのでご参照ください。

経営ビジョン策定完全ガイド

リーダーシップをとる【3. 問題を解決する】

リーダーとしてチームや組織の人と絆を深め、目的意識を共有したら、次は目的に向けて実行するわけなのですが、そのあいだには、多くの問題が生じます。その問題解決の先頭に立つのがリーダーの役目です。

リーダーシップは、平時というよりも、有事のときにこそ重要だとされています。絆と目的意識さえ共有出来ていれば、平時の際には特に問題なく業務が進むものです。一方、有事の際には、メンバーだけだと責任の擦り付け合いが起きたり、問題が放っておかれたり、問題に気が付かなかったりします。

そこでリーダーシップが問われることになります。ここでは、問題解決につながる考え方をいくつかご紹介していきます。

 

人ではなく仕組みで問題を解決する

チームや組織に問題が起こったとき、やってはいけないのは、誰かのせいにする、ということです。メンバー同士で責任の擦り付け合いが起こるのは仕方ないときもありますが、リーダーがそれをやってはいけません。

リーダーは、問題の原因を人ではなく、仕組みに求め、仕組みを変えることで問題を解決します。

問題が起こるのは、メンバーが悪いのではなく、リーダーが問題が起こるような仕組みを創ってしまったから、つまり、自分自身の問題だと捉えることが何より大切です。

“ガーバーが言っているとおり、「人が失敗をするのではなく、システムが失敗をする」のです。システム化したことによって、私たちの会社には、人を非難する文化がなくなりました。”
by ブライアン・スカッドモア(1-800-GOT JUNK?創業者)

 

症状ではなく、原因を解決する

問題解決は、目に見えている“症状”ではなく、より深い問題の根源を探ることが大切です。この考え方は、システム思考と呼ばれます。会社はシステムで出来ており、単純に原因と結果に分けることが出来ません。

私たちの身体もシステムです。咳が出たら咳止めを使うかもしれませんが、それでは症状に対処しているにすぎません。咳が出ている原因を探る必要があります。また、咳止めを飲んだことで、別の副作用が出るかも知れません。

会社もこれと同じです。複数の問題が絡み合い、全体として動いているのです。

 

意思決定をする

意思決定はリーダーにとって重要な仕事の一つです。問題をどう解決するか?を最終的に決めたり、複数の方向性からひとつを選ぶのもリーダーの仕事です。

意思決定に関しては、大切なことを2つお伝えしておきます。

価値観に従う

「リーダーシップをとる【自らを導く】」のところでリーダーの価値観を明確にすることが大切である、とお伝えしました。

意思決定はその自分たちの価値観に沿って行いましょう。常に自分たちの価値観に沿って行うことで、組織には良い文化が形成され、リーダーは信頼を得ることが出来ます。

価値観に照らし合わせれば、「NO」なのに、儲かりそうだから、という理由で「YES」と言ってしまえば、メンバーからの信頼は一気に崩れます。

 

戻れるか、戻れないか?

次に、その意思決定が、後戻りできる決定なのか、出来ない決定なのかを考えましょう。アマゾン創業者のジェフベゾス氏は、後戻り出来る意思決定は積極的にメンバーに委任し、後戻り出来ない決定はじっくり検討するという習慣を持っているそうです。それによって、意思決定のスピードを上げ、ビジネス全体のスピードもあげているのです。

 

リーダーシップを承継する

あなたが社長であろうが、管理職であろうが、リーダーはいつか自分のチームや組織を離れなくてはいけないときが来ます。リーダーとしての最後の仕事は、その時に向けた準備、リーダーシップの承継をすることです。

本記事の最初にお伝えした通り、私は優れたリーダーとは、その人が去った後もチームや組織が成果を生み出し続けるような仕組みを創った人のことを指すと思っています。

そこで、ここでは二つの側面からリーダーシップの承継についてお伝えしたいと思います。

 

リーダーが代わっても、上手く行く仕組みを創る

これはまさにこのサイト「仕組み経営」がテーマとしていることなのですが、チームや組織の運営がリーダーの属人的な能力に依存せず、仕組みで運営されることが大切です。

あなたはこれまで、リーダーとして様々なことを試行錯誤し、成功体験、失敗経験を積み重ねてきたと思います。

今度は、その経験を仕組みにし、あなたが培ってきた経験をチームや組織が生かせるようにしてあげることです。

仕組み化については、長くなるので詳しくは述べません。以下に別記事をご紹介しますので、そこからご覧いただければと思います。

 

後継者育成塾が役に立たない理由とその対処法

仕組み化で社長不在で成長する会社を実現

 

リーダーのメンタル面に対応する

リーダーの承継にあたって、意外と難しいのが、リーダー本人のメンタル面に対処するということです。

これはどういうことか?

リーダーというのは、現役時代にはメンバーから信頼され、求められることが自分のやりがい、生きがいになっているはずです。では、そのリーダーというポジションを失ったらどうなるのでしょうか?

多くの人は寂しさや喪失感を感じるはずです。誰から求められていない、というのは人にとって、非常につらいことなのです。

その恐怖から逃れるために、なかなかリーダーとしてのポジションを手放せない人がいます。そのためにマイクロマネジメントしてしまったり、余計な口出しをしてしまったりして、次世代のリーダーの出現を阻んでいます。

「ティール組織」を書いたフレデリックラルー氏は、リーダーが管理を手放すことによる精神的な痛みについて解説し、対処法のヒントを紹介してくれています。

もし、管理を手放せない、という人がいたらぜひ参考にしてみてください。

苦痛には二タイプあって、一つはエゴからくる苦しみです。人や事態を管理できる特権は染みついたもので、できれば手放したくないものです。事態を収拾したヒーロー的な感覚は気分の良いものです。それが、新しいシステムでは自分だけでなく他の者もこういう立場に立つのですから、自分の存在が危ぶまれた気になります。覚えていて欲しいのは、リーダーは変わらずイニシアティブを取れる存在であって、それは介入する役ではなく、システムが解決するための手助けをする役になるということです。

二つ目の痛みはいわゆる錯覚的な痛み(phantom pain)です。リーダーにとってこれまで決断を下すのは容易いことでしたが、新しいシステムではアドバイスプロセスといった違うやり方があるので慣れるのに苦労を要します。新しいやり方が依然と同じように有効であると実感できるまでには時間がかかるわけです。しかしその苦労のあとには大きな喜びが待っています。あなたは自分の肩の荷が下りたことと、組織が自然と機能していることに大きな安堵感と喜びを感じるでしょう。いろいろなリーダーが嬉しそうに「二ヶ月も職場を離れたのに誰からも電話もなく、戻ってみたら全て滞りなく物事が進んでいました」と私に話してくれました。

組織のリーダーと話していて面白いことに気づいたのですが、リーダーたちは何もコントロールしたいエゴだけで新しいやり方を躊躇していたわけではなく、直感的に自分の介入をここで止めるのは危険だと感じていたのです。とある組織と話した時も、彼らはヒエラルキー的なやり方を止めて構造を変える必要があったが、トップはそれに踏み切れなかった。トップの者と話したところ、「まだ自分の管理下においておかないと組織が機能せず危険だと判断している」ということでした。実際、大きな移行を実施するにはそれができる状態になっている必要があり、それを見計らいながら移行する必要があるでしょう。

リーダーが管理する権力を手放すことを躊躇する時、それがどういった理由からくる感情なのか、自己分析したり、信頼できる人に相談したりしながらよく考えてみることをお勧めします。エゴかもしれないし、新しいプロセスに移行することによる学びの痛みかもしれないし、あるいはどこか危険を察知してことからくる不安感なのかもしれません。そしてその痛みのあとには喜びや安堵が訪れることも忘れないでください。

元記事

出口戦略を持つこと

ここで述べたことを要約すると、リーダーは出口戦略を持たなくてはならない、ということです。

出口戦略とは、文字通り、自分が出口を迎えるための戦略です。会社売却や事業承継の際に使われることがでもあります。

これに関しては、姉妹サイト「EXIT CLUB」のほうで解説していますので、合わせてご参照ください。

出口戦略(イグジットプラン)関連記事

 

リーダ一シップの承継事例(社長から会長へ)

最後に、リーダーシップの承継事例をご紹介しておきます。以下の記事では、社長になった人が、どのようにして会長職へ勇退したか?をご紹介しています。ぜひご参考にされてください。

自律型組織の作り方(29歳女性リーダーが実現した事例)

 

リーダーシップを身に付けるには?

以上、リーダーシップについて解説をしてきました。仕組み経営では、経営者、経営陣のリーダーシップ能力を向上させながら、会社を仕組み化し、最終的に会社を売却可能、承継可能にするためのご支援をしています。詳しくは以下からご覧ください。

▶Eブック「社長不在で成長する会社の創り方」

▶社長不在で成長する会社を個別支援で実現

▶仕組み経営プログラム一覧

 

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