なお、パレートの法則を使うと、こちらでご紹介している仕組み化で勝手に成長する会社づくりに役立ちます。
動画でも解説しています。
「なぜ、こんなに忙しいのに利益が残らないのだろう?」
「重要な仕事に集中したいのに、日々の雑務に追われて一日が終わってしまう…」
中小企業の経営者であれば、一度ならずこう感じたことがあるのではないでしょうか。限られたリソース(ヒト、モノ、カネ、時間)の中で、最大の結果を出すこと。それは、経営における永遠のテーマです。
しかし、もし「あなたの会社の売上の8割は、たった2割の顧客が生み出している」としたら?
あるいは、「あなたの仕事の成果の8割は、費やした時間のわずか2割から生まれている」としたら?
この「偏り」の存在を示唆するのが、今回ご紹介するパレートの法則です。別名「80:20の法則」とも呼ばれるこの経験則は、ビジネスの非効率性を暴き出し、最小の努力で最大の結果を生み出すための、極めて強力なツールなのです。
この記事では、「パレートの法則という言葉は知っているが、ビジネスでどう活かせばいいかわからない」と感じているあなたのために、以下の内容を徹底的に解説していきます。
- パレートの法則の基本:なぜこの法則が成り立つのか、その本質に迫ります。
- ビジネスでの具体的な活用法:マーケティング、営業、組織開発、そして社長自身の時間管理まで、明日から使える実践的なアイデアを提供します。
- 多くの人が陥る罠と注意点:なぜ知っていても使えないのか?その深層心理と、法則を誤用しないための注意点を明らかにします。
1. パレートの法則とは?「知っている」から「使える」へ
まずは基本の確認から始めましょう。パレートの法則を単なる知識としてではなく、ビジネスの現場で使える「武器」にするためには、その本質を正確に理解することが不可欠です。
1.1. 80:20の法則の正体 – 全ては「偏り」から始まる
パレートの法則とは、一言で言えば**「結果の80%は、全体の20%の要素によって生み出される」**という経験則です。
- 売上の8割は、全顧客の2割が生み出している。
- 仕事の成果の8割は、費やした時間の2割が生み出している。
- Webサイトのアクセスの8割は、全ページの2割に集中する。
重要なのは、「80」と「20」という数字そのものではありません。これが「70:30」になることもあれば、「90:10」になることもあります。本質は、**「投入した資源(努力、時間、コスト)と、そこから得られる成果(売上、利益、結果)の間には、著しい不均衡、つまり『偏り』が存在する」**という事実にあります。
この法則は、私たちの「努力は平等に報われるべきだ」という直感や、「全ての顧客を平等に大切にすべきだ」という道徳観とは真っ向から対立します。しかし、ビジネスの現実は、残念ながら(あるいは幸いなことに)不平等で、偏りに満ちているのです。
1.2. 発見者は経済学者パレート – 富の偏りから見えた真実
この法則は、19世紀のイタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートによって発見されました。 彼は、当時のイタリアの富の分布を調査し、「富の約80%が、人口の約20%によって所有されている」ことに気づきました。
当初は単なる経済統計の偏りに過ぎませんでしたが、のちに品質管理の権威であるジョセフ・M・ジュランなどがこの法則を「パレートの法則」と名付け、品質管理や経営の分野に応用したことで、広く知られるようになりました。
経済だけでなく、自然現象から社会現象まで、あらゆる事象にこの「偏り」が見られることが分かってきています。 まるで、物事の重要な要素はごく一部であり、残りの多くはそれに付随する「その他」である、とでも言うかのようです。
1.3. あなたの日常にも潜むパレートの法則
ビジネスの話に入る前に、少し身の回りを見渡してみましょう。実は、パレートの法則は私たちの日常生活の至る所に潜んでいます。
- クローゼットの中:よく着る服は、持っている服全体の2割程度ではないでしょうか?残りの8割は、ほとんど袖を通さないまま眠っていませんか?
- スマートフォンのアプリ:毎日使うアプリは、インストールされているアプリ全体の2割にも満たないかもしれません。
- 会話の内容:友人との会話で、盛り上がる話題の8割は、話している時間全体の2割の特定のトピックに集中していませんか?
このように、私たちの生活は意識せずとも「重要な2割」と「その他大勢の8割」に支配されています。この感覚を掴むことが、ビジネスに応用するための第一歩となります。
2. なぜ経営者はパレートの法則を学ぶべきなのか?ビジネスにおける具体例
日常に潜む法則を理解したところで、いよいよ本題であるビジネスの世界に目を向けてみましょう。パレートの法則は、中小企業の経営者が直面する様々な課題に対して明確な示唆を与えてくれます。
2.1. 売上と顧客:「優良顧客」と「その他大勢」の残酷な真実
ビジネスにおいて最も典型的で、かつインパクトの大きいパレートの法則の現れ方がこれです。
- 売上の8割は、2割の優良顧客が生み出す
- 売上の8割は、2割の人気商品(サービス)が占める
もちろん、全ての顧客を大切に思う気持ちは尊いものです。しかし、ビジネスを持続的に成長させるためには、**あなたの会社を本当に支えてくれているのは誰なのか(どの商品なのか)**を冷静に特定し、その2割に対して集中的にアプローチすることが極めて重要になります。
2.2. 業務と従業員:成果を生み出す「2割のエース」と「8割の仕事」
組織内部にも、パレートの法則は反映されます。
- 会社の成果の8割は、2割のエース社員が生み出している
- 仕事の成果の8割は、全業務時間の2割の「価値ある時間」で生み出される
パレートの法則に従えば、その時間はきっと2割にも満たないはずです。残りの8割は、誰かに任せられる、あるいはやめてもいい、価値の低い仕事かもしれません。
2.3. 問題と原因:「真犯人」はいつも少数派
ビジネスは問題解決の連続です。ここでもパレートの法則は有効なメスとなります。
- クレームやトラブルの8割は、2割の製品や顧客から発生する
- 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある
何か問題が起きた時、私たちはつい場当たり的な対応をしてしまいがちです。しかし、根本的な原因は、ごく少数の特定の要因に集中しているケースがほとんどです。その「2割の原因」を特定し、集中的に対策を打つことができれば、問題の8割は自然と解消に向かうのです。
【実例】Webサイトのアクセス解析から見えた法則
これは私たちが実際に運営しているWebサイトのデータです。このサイトがパレートの法則に従っているのか、試しに分析してみました。
- 総ページ数: 479ページ
- 総PV数: 97,565 PV

- 上位20%のページ(96ページ)が、全体のPV数の88%(85,928 PV)を生み出していた
3. パレートの法則をビジネスに活用する3つの絶大なメリット
パレートの法則を単なる「あるある話」で終わらせず、経営戦略に組み込むことで、企業は計り知れないメリットを享受できます。
3.1. 【効率化】最小の努力で最大の結果を出す「一点突破」
最大のメリットは、経営資源の集中による圧倒的な効率化です。中小企業にとって、リソースは常に限られています。全方位に満遍なく力を注ぐ「絨毯爆撃」のような戦略は、体力を消耗するだけで、決定的な成果には結びつきにくいものです。
パレートの法則は、どこに力を集中すべきか、その「一点」を教えてくれます。最も利益をもたらす2割の顧客、最も成果を上げる2割の業務、最も売上に貢献する2割の商品。その「クリティカルな2割」を見つけ出し、そこにヒト、モノ、カネ、時間を集中投下する。これが、少ない労力で大きな成果を出す「一点突破」の極意です。
3.2. 【売上向上】LTV最大化への最短ルート
優良顧客(2割)にリソースを集中することは、短期的な売上だけでなく、長期的な利益の最大化にも繋がります。LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という概念をご存知でしょうか。一人の顧客が生涯にわたって自社にもたらしてくれる利益の総額です。
あなたの会社を最も愛し、最も多くのお金を払ってくれる2割の優良顧客。彼らへのアプローチを手厚くし、満足度をさらに高めることで、彼らはより長く、より多くの利益を会社にもたらしてくれます。新規顧客の獲得コストが高騰する現代において、既存の優良顧客との関係を深めることは、最も確実で効率的な売上向上策なのです。
3.3. 【経営最適化】「やらないこと」を決める勇気
スティーブ・ジョブズは言いました。「何をするかを決めるのが重要なように、何をしないかを決めることも重要だ」と。パレートの法則は、まさにこの「やらないこと」を決めるための強力な根拠となります。
- 利益を生まない8割の顧客への過剰なサービス
- 成果に繋がらない8割の業務
- 売上の足を引っ張る8割の「死に筋商品」
これらを特定し、勇気を持って「やめる」「減らす」「他者に任せる」という決断を下す。そうして生まれた時間やコストという余白こそが、あなたの会社が本当に注力すべき「2割」を育む土壌となるのです。
4.【実践編】あなたの会社を今日から変える5つの活用シーン
さて、ここからは、パレートの法則をあなたのビジネスに具体的にどう落とし込んでいくのか、5つの実践的なシーンに分けて解説します。
4.1. マーケティング戦略:その他大勢へのラブレターをやめる
多くの企業が、「できるだけ多くの人に情報を届けたい」という罠に陥っています。しかし、パレートの法則に従えば、そのアプローチは非効率の極みです。
実践方法:
- 顧客データの分析: まずは、顧客管理システム(CRM)や販売データを確認し、売上や利益の上位20%を占める顧客層を特定します。
- ペルソナの深掘り: 特定した2割の優良顧客は、どのような属性(年齢、性別、地域)で、どのようなニーズや課題を抱えているのか。彼らの解像度を徹底的に高めます。
- メッセージとチャネルの集中: その「2割」にだけ響くような、鋭く尖ったメッセージを開発します。そして、彼らが最も利用するであろう広告チャネル(SNS、Web広告、業界誌など)に、プロモーション費用を集中投下するのです。
「その他大勢の8割」に嫌われることを恐れてはいけません。あなたの会社を本当に支えている2割のファンに、熱烈なラブレターを送り続けること。それが、最も費用対効果の高いマーケティング戦略です。
4.2. 営業戦略:非効率な「どぶ板営業」からの脱却
営業部門においても、全ての顧客に平等に訪問し、同じ提案をするのは賢明ではありません。
実践方法:
- 重点顧客のリストアップ: マーケティング戦略と同様に、売上・利益貢献度の高い上位20%の顧客をリストアップします。
- リソース配分の見直し: 営業担当者の訪問頻度や提案にかける時間を、この上位2割の顧客に傾斜配分します。例えば、「Aランク顧客(上位2割)には月2回訪問、Bランク顧客(その他8割)には3ヶ月に1回」といったルールを設けます。
- クロスセル・アップセルの徹底: 上位2割の顧客は、あなたの会社への信頼度が高い層です。彼らのニーズをさらに深掘りし、関連商品や上位プランを提案することで、顧客単価の向上を狙います。
営業担当者の時間は有限です。その貴重な時間を、最も実りの多い畑を耕すために使うべきなのです。
4.3. 社長の時間の使い方:「ピカソワーク」に集中せよ
経営者自身の時間の使い方は、会社の成長角度を決定づける最も重要な要素です。 ここでご紹介したいのが、私が**「ピカソワーク」**と呼んでいる概念です。
これは、あなたの仕事を「所要時間」と「生み出す価値」の2軸でマッピングし、社長が本当に集中すべき仕事は何かを可視化するフレームワークです。
- 横軸: 所要時間(短い ↔ 長い)
- 縦軸: 生み出す価値(低い ↔ 高い)
このマトリックスで、あなたの仕事を4つの象限に分類した時、社長が最も集中すべきなのは、左上の**「所要時間は短いが、生み出す価値が極めて高い」**領域です。これが「ピカソワーク」です。

ピカソが一瞬のひらめきで描いた線が、莫大な価値を生むように。社長のひと言、一瞬の決断が、会社の未来を大きく左右することがあります。
実践方法:
- 業務の棚卸し: まず、あなたが一週間で行っている業務を全て書き出します。
- マッピング: 書き出した業務を、上記の4象限マトリックスにプロットしていきます。
- 委任と仕組み化: 「ピカソワーク」以外の領域、特に「時間がかかる割に価値が低い」仕事から優先的に、社員に委任するか、誰でもできるように「仕組み化」を進めます。
あなたの仕事の成果の8割は、この「ピカソワーク」という2割の時間から生まれています。その時間を確保するために、残りの8割の仕事をいかに手放すか。経営者の腕の見せ所です。
4.4. 商品開発:完璧な失敗作より「8割満足のプロトタイプ」
新しい商品やサービスを開発する際、私たちはつい「完璧なもの」を目指してしまいます。しかし、その「完璧」は、本当に顧客が望んでいるものでしょうか?
ここで役立つのが、リーンスタートアップで言われるMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)の考え方です。 これもまた、パレートの法則の応用と言えます。

実践方法:
- 核となる価値の特定: 顧客がその商品に求めている価値の8割を満たす、核となる機能(2割)は何かを突き詰めます。
- MVPの開発: その核となる機能だけを実装した、シンプルなプロトタイプ(MVP)を開発します。移動手段という価値を提供したいなら、いきなり完璧な自動車を作るのではなく、まずはスケートボードから作ってみる、というイメージです。
- 市場での検証と改善: MVPを市場に投入し、実際の顧客の反応を見ながら、機能を追加・改善していきます。
この手法のメリットは、開発にかかる時間とコストを最小限に抑え、顧客の本当のニーズからズレるリスクを回避できることです。 ユーザーが使わない8割の機能のために開発リソースを浪費するのではなく、本当に価値のある2割の機能から作り始めるのです。
4.5. 仕組み作り:8割の成果を生む「2割の仕組み」とは?
会社は様々な「仕組み(システム)」の集合体です。営業、マーケティング、採用、開発、経理…。これら全てに仕組みがあります。 しかし、会社の仕組み化を進めようとする時、どこから手をつければいいか分からなくなりがちです。
ここでもパレートの法則が道標となります。自問すべきは、この問いです。
「私たちのビジネスにとって、8割の成果を生み出す2割の仕組みとは何か?」
例えば、新規顧客の獲得が最重要課題の会社であれば、「マーケティングからセールスへの連携の仕組み」がその2割に当たるかもしれません。顧客満足度の向上が課題であれば、「顧客サポートの仕組み」かもしれません。
実践方法:
- ボトルネックの特定: あなたの会社の成長を最も阻害しているボトルネックは何かを特定します。
- 最重要プロセスの定義: そのボトルネックを解消するために、最もインパクトの大きい業務プロセス(仕組み)を定義します。
- 集中的な仕組み化: まずは、その「2割の仕組み」の標準化、マニュアル化、システム化に集中的に取り組みます。
全ての業務を一度に仕組み化しようとすると、膨大な手間と時間で挫折してしまいます。最もクリティカルな2割の仕組みを特定し、そこから着手すること。それが、仕組み化を成功させるための鍵です。
5. 知っていても使えない最大の理由 – パレートの法則の罠と注意点
ここまでパレートの法則の有効性を説いてきましたが、冒頭で述べたように、この法則は「知っていても使えない法則No.1」でもあります。 なぜでしょうか?そこには、法則の特性と、私たちの心の中に潜む「価値観」という深い罠があります。
5.1. これは「法則」ではなく「経験則」である
まず大前提として、パレートの法則は物理法則のような絶対的なものではありません。あくまで多くの事象に見られる**「傾向」であり、「経験則」**です。
常にきっちり80:20に分かれるわけではありませんし、時には当てはまらないケースも当然あります。この法則を思考停止の万能薬として使うのではなく、自社の状況を分析し、仮説を立てるための「思考のフレームワーク」として捉えることが重要です。
5.2. 「その他8割」を切り捨ててはいけない理由
パレートの法則を学ぶと、「じゃあ、利益を生まない8割の顧客は切り捨てればいいのか?」という短絡的な結論に至る人がいます。これは非常に危険な考え方です。
- 将来の優良顧客の芽: 今は利益貢献が低い8割の顧客の中に、将来あなたの会社を支える優良顧客に育つ「金の卵」が隠れているかもしれません。
- イノベーションの源泉: ニッチなニーズを持つ8割の顧客の声が、新しい商品やサービスのヒントになることもあります。
- ロングテールの法則: Amazonのように、膨大な種類の商品を扱うビジネスでは、一つ一つの売上は小さくとも(8割のニッチ商品)、その総和が全体の売上を大きく押し上げる「ロングテールの法則」が成り立ちます。
重要なのは、8割を「切り捨てる」ことではありません。8割にかけるコストや時間を最小化し、効率的に対応する仕組みを考えることです。例えば、問い合わせ対応をチャットボットにしたり、FAQページを充実させたりといった工夫が考えられます。
5.3. あなたの「価値観」が最大のブレーキになっている
そして、これが最も根深く、やっかいな問題です。パレートの法則の実践を阻む最大の壁は、外部の環境ではなく、**経営者自身の心の中にある「価値観」や「思い込み」**なのです。
①「全員平等に」という呪い
「すべてのお客様を、同じように大切にしなければならない」 この考え方は、サービス業の基本として教え込まれてきた、非常に美しい価値観です。しかし、経営の観点から見れば、これはリソースの非効率な配分を正当化する「呪い」にもなり得ます。貢献度の違う顧客を、ビジネス上「区別」することに、多くの人は罪悪感を覚えてしまうのです。
②「楽して儲けることへの罪悪感」
今回の記事の裏テーマは「効率化して成功する」ですが、この言葉に抵抗を感じる日本人は少なくありません。 勤勉さを美徳とし、「汗水流して働くことこそが尊い」という価値観が根付いているため、効率化によって「楽をすること」に、どこか後ろめたさを感じてしまうのです。パレートの法則は、まさにこの価値観への挑戦とも言えます。
③「完璧主義」という名の自己満足
「市場に出すからには、完璧な商品でなければならない」 この完璧主義も、パレートの法則の活用を阻みます。MVPの考え方で述べたように、最初から100点を目指すのではなく、まずは顧客の8割の満足を得られる2割の機能で市場の反応を見ることが、現代のスピード感あるビジネスでは求められます。完璧主義は、時にスピードを犠牲にする自己満足になりかねません。
パレートの法則を実践するということは、これらの根深い価値観と向き合い、時にはそれを乗り越える覚悟を持つことでもあります。やるべきことを分析するのは簡単ですが、それを実行するのは難しい。 その原因が、自分自身の心の中にあるのかもしれないと、一度立ち止まって考えてみる価値はあります。
6. パレートの法則だけでは不十分?関連法則で視点を広げる
パレートの法則は強力ですが、万能ではありません。他の法則と組み合わせることで、より多角的でバランスの取れた意思決定が可能になります。
6.1. ロングテールの法則:無視された8割が主役になる世界
先ほども少し触れましたが、ロングテールの法則はパレートの法則と対照的な概念としてよく引き合いに出されます。これは、インターネットの普及によって生まれた比較的新しい考え方です。
- パレートの法則: 上位2割のヒット商品が売上の大半を占める。(リアル店舗など、棚のスペースに限りがあるビジネスモデル)
- ロングテールの法則: 売れ筋ではないニッチな商品(テール部分)の売上を合計すると、ヒット商品の売上を上回ることがある。(AmazonやNetflixなど、商品を無限に陳列できるECサイトやWebサービス)
あなたのビジネスがどちらの法則により近いのかを考えることは、戦略を立てる上で非常に重要です。多くの中小企業はパレートの法則が強く働くモデルですが、Webを活用することでロングテール戦略を取り入れることも可能になってきています。
6.2. 2:6:2の法則(働きアリの法則):人材マネジメントへの応用
社員のマネジメントにおいて、パレートの法則をさらに一歩進めた考え方が**「2:6:2の法則」**です。 これは、どんな組織も、
- 上位2割: 非常に優秀で、放っておいても成果を出す層
- 中位6割: ごく普通のパフォーマンスの層
- 下位2割: あまり働かず、パフォーマンスが低い層
に自然と分かれるという法則です。これは「働きアリの法則」とも言われ、面白いことに、上位2割の働きアリだけを集めても、その中でまた2:6:2の割合に分かれていくと言われています。
社長や管理職が限られた時間の中で誰をフォローすべきか、という問いに対して、この法則は示唆を与えてくれます。
- 上位2割: 自走できるので、過度な管理は不要。自由な環境を与えることが重要。
- 下位2割: フォローしてもパフォーマンスが劇的に改善する可能性は低い。
- 中位6割: フォローや育成によって、上位2割に成長する可能性を秘めた層。
私の個人的な意見としては、特に
中位6割の中でも上位にいる30%の人たち。

この層こそ、社長が時間を使って育成やフォローを行うべき、最も投資対効果の高い人材だと考えています。 全ての社員を平等にフォローするのは不可能です。どこに注力すべきか、冷静に見極める必要があります。
まとめ:重要な2割を見極め、「仕組み」で勝手に成長する会社へ
今回は、パレートの法則(80:20の法則)について、その本質から具体的なビジネスへの活用法、そして多くの人が陥る罠までを徹底的に解説してきました。
この記事で最も伝えたかったことは、パレートの法則が単なる効率化のテクニックではなく、経営における「選択と集中」を断行するための哲学であるということです。
あなたの会社の売上、利益、成果、そして問題。その大部分は、ごく一握りの要素によって決定づけられています。その「重要な2割」は何か?それを特定し、そこに経営資源を大胆に集中させる勇気を持つこと。そして、残りの「その他大勢の8割」を手放し、効率化し、仕組み化していくこと。
このプロセスは、単に業績を向上させるだけではありません。何より、**社長であるあなた自身を、日々の雑務から解放します。**本当に価値のある仕事、会社の未来を創る仕事、そしてあなた自身が心からやりたいと願う仕事に集中するための時間と心の余白を生み出してくれるのです。
あなたのビジネスにとって、最も重要な「2割」とは、一体何でしょうか?
もし、あなたが「頑張る経営」から卒業し、「仕組みで勝手に成長する会社」の実現に本気で取り組みたいとお考えなら、まずは以下のガイドブックをダウンロードしてみてください。パレートの法則を活用した仕組みづくりの具体的なヒントが、ここにあります。


