QSCとは?意味とQSC+V、飲食店のチェックシート項目



清水直樹
QSCはサービス業の基本的な成功方程式です。本記事では、QSCの基礎からチェック方法までご紹介します。

 

QSCとは?

QSCとは、店舗ビジネスを成功させるための3つの要素のことです。Q=クオリティ(品質)、S=サービス、C=クリンリネス(清潔さ)の頭文字を取った言葉で、マクドナルドの実質的な創業者であるレイ・クロックが体系化しました。

飲食店をはじめ、店舗ビジネスの経営者なら一度は聞いたことがあると思います。この3つがどれも欠けることなく高い水準で実現されて、初めて優れた顧客価値が提供できるという考え方です。

その後マクドナルドでは、QSCが高い水準で実現されたときにValue(価値)が生まれるとして、QSC+Vという言葉を使っています。「QSCV」と表記されることもありますが、指しているものは同じです。

この理論は多くの飲食業やサービス業で使われるようになりました。マクドナルドでは今でも、業績が落ちかけるとQSCに立ち戻って立て直しを図ると言われています。それだけ大切な考え方です。

まずはQSCが何を意味するのかを、マクドナルド社の言葉を借りてご紹介します。

 

マクドナルドが定義するQSC+V

Quality(品質)

マクドナルドにおけるベストの “おいしさ”はゴールドスタンダードとして全世界共通のグローバル基準に規定されています。創業以来、商品の品質を向上させるために原材料の改善や変更を重ね、オペレーションや機器の改善も進めてきました。日々お客様の満足度を高めるために取り組んでおります。また、生産地から店舗まで一貫した食品管理システムを通して、食の安全の確保と品質向上を図っております。

更に、定期的にマクドナルドのゴールドスタンダードと照らし合わせて、原材料の品質評価(Product Cutting)を行っています。こうした妥協を許さぬ品質管理の実践が、マクドナルドの確かな品質を支えているのです。

 Service(サービス)

マクドナルドは子供たちが選ぶ「連れていってほしいお店」のNo.1(マクドナルドによる市場調査)。その理由は、ハンバーガーの人気に加え、優しく応対してくれるクルーやお店の雰囲気にあるといわれています。真心のこもったサービスを実践し、お客様に心地よい空間をご提供することで、”Fun Place To Go”「マクドナルドに行けば何か楽しいことがある」と感じていただける、そんなお店づくりを行っています。

 Cleanliness(クリンリネス)

本来、食に関わるすべての人々が重視しなければならない、Cleanliness(清潔)の重要性を再認識したところからマクドナルドはスタートしました。創業者レイ・クロックは”Clean as you go”「行くところすべてきれいに」と指導。このように店舗・厨房の清潔さを徹底して追究するというクロックの精神は、マニュアルのひとつひとつの業務や厨房機器の設計にまで活かされ、実践されています。

Value(価値)

Q(品質)、S(サービス)、C(清潔)が最高の形で結びついたとき生まれるのが、さまざまなValue(価値)。それは、おいしいものをおいしく食べられるすてきな空間、家族の笑顔がこぼれるくつろぎの場、いつ行っても楽しい場所、車に乗ったままで買えるドライブスルー。お客様の「満足」につながるものすべてがValue(価値)なのです。本物のV(価値)を生み出すために、私たちは常に完成されたQ、S、Cの実践を心掛けています。

 

では次から各項目についてより詳しく見てみましょう。

 

QSCのQ(品質)

あなたは自社の品質の意味を理解していますか?品質が良いというのは、単に“良い商品“といわれるだけでは十分ではありません。品質とは人の能力と仕組みを高次元で統合させることができた時にのみ実現されます。

いうまでもありませんが、品質を保つことはビジネスを運営し続けることそのものであり、競争優位性そのものであり、成長するために欠かせないものとなります。

品質を考えるうえで大切なのは、他の誰よりも優れたものを、一貫性を持って、顧客に約束したものを約束したとおりに届けることであり、そのための仕組みを社内で運営することです。

品質を管理することは、社内の一人や一部門の仕事ではありません。社内のあらゆることが共同して動いた努力の成果として優れた品質が生まれます。

品質を管理するために、チェックリストを挙げてみましょう。

  • 顧客が求める品質とは何かを理解している?
  • 自社の品質の基準は何か?
  • 品質を社内でレビューする仕組みはあるか?
  • 品質に対して顧客からフィードバックを受ける仕組みはあるか?
  • 品質に影響を与える社内の仕組みを理解しているか?
  • 品質に影響を与える関係各社(サプライチェーン、バリューチェーン)と共同する仕組みはあるか?

 

QSCのS(サービス)

サービスの目的は、顧客がお店に入った瞬間から退店するまでのすべての接点において、顧客の期待を超えることです。あるリサーチによると、顧客がリピートしない原因の68%は、貧相な顧客サービスによるものというデータもあります。飲食店、美容室、診療所等あらゆる店舗ビジネスは競争が激しく、提供している商品の品質が良いだけではリピートにつながりません。スタッフによる卓越したサービスこそが顧客の心に残り、リピートにつながります。

顧客サービスを考えるときには、下記の 6 種類の要素を考慮しましょう。

態度

顧客は敬意と好意と礼儀をもって扱われること望んでいます(またそれを正当な権利として感じている)。彼らは歓迎されたいと望み、その取引が彼らにとってと同じぐらい、あなたにも重要であると信じています。態度は会社の理念に深くしみこんでいる必要があります。

たとえば、靴のオンライン通販ザッポス社では、顧客サービスをコストではなく投資として認識しています。そのため、コールセンターのスタッフには大きな権限が与えられ、顧客の要望に柔軟に、かつ素早く応えることができます。また、コールセンターのスタッフは、顧客と感情的、個人的なつながりを創ることが推奨されており、それが一般のマニュアル対応型のコールセンターと大きな違いを生み出しています。それらすべては、顧客に感動と驚きを届けるという彼らの会社に深く染みついた価値観から生まれているのです。

アシスト

顧客が購入した商品を正しく使えるようにアシストすることも顧客サービスです。商品を組み立てたり、包装したり、またはサイズが合わないときには交換するなどのアシストがあります。たとえば、スターバックスの店舗には、「飲み物が気に入らなければ作り直します」という約束が書かれています。これも彼らの完璧なコーヒーを提供するという理念から生まれている顧客サービスです。

情報

パンフレット、ニュースレターなど、顧客が商品・サービスを利用するのを助けるのが情報です。また、コールセンターやウェブサイトのヘルプページなどが充実していることで、顧客は商品への理解を深めることができます。アウトドア用品のパタゴニアでは、定期的に自社店舗でトークイベントを開催し、登山やスキー、サーフィンなどについての様々な情報を提供しています。

トレーニング

商品やサービスに対する講習、個別指導やコーチング、実演説明などを提供するのも顧客サービスです。たとえば、中小企業向けの CRM ソフトウェアを提供しているKEAP社では、顧客が自社のソフトウェアをうまく活用できるように、様々なトレーニング教材(E ブックや動画)をウェブサイトで公開しています。これは既存顧客への顧客サービスになると同時に、新規顧客を獲得するためのマーケティング活動にも役立っています。

メンテナンス

顧客が購入したものを効果的かつ正常に使用できるようにするのがメンテナンスです。覚えておかなくてはならないのは、もしメンテナンスに料金を請求するなら、その部分は顧客サービスではないということです。

財務サービス

一括現金支払いによるディスカウントや分割払いなど、経済面で購入のサポートを提供することも顧客サービスの一環といえます。


 

QSCのC(クリンリネス)

お客様は店舗が清潔であることを期待しています、汚染物質がないことはもちろん、異臭、見た目の汚れ等がなく、清潔なお店である必要があります。最近ではコロナ禍の影響で、顧客を呼ぶ上で衛生管理は極めて重要な要素と言えます。

以下にクリンリネスのチェックリストを挙げてみましょう。

※これから当然、サンプルなので、あなたのビジネスに即して考えてみてください。

 

店舗の外観のクリンリネス

  • ゴミ箱は壊れていないか。
  • ゴミ箱は1日に1 回清掃されているか。
  • ゴミ箱の周りに食べ物、こぼれたもの、破片、汚れがないか。
  • すべてのゴミ箱の蓋は常に閉じたままになっているか。
  • 店舗の近くのどこにも害虫がいる兆候がないか。

 

トイレのクリンリネス

  • トイレは、マネージャーと各シフトの監督者によって毎日に検査されているか。
  • 壁、床、天井が良好に修繕されているか。ひび割れなどの修理が必要な場合は、お客様に迷惑をかけずに迅速に修理を行う。
  • トイレットペーパーとペーパータオルを一定量維持しているか。
  • ハンドドライヤーの点検を行い、適切メンテナンスを行っているか。
  • 換気扇は定期的に清掃し、ほこりや汚れがないか?
  • ゴミは、トイレの定期点検時に必要に応じて除去しているか?

 

食事エリアのクリンリネス

  • すべてのドアは、すべてのドアの縁に沿って、ぴったりとフィットし、害虫の侵入を防げるか?
  • すべてのテーブルと椅子は定期的に点検し、清掃し、良好な修理状態を保っているか。
  • ゴミ箱のゴミは定期的に取り除き、消臭しているか。
  • 通気口は、定期的に清掃し、定期的に定められたスケジュールに沿って使用できるようにしているか。
  • 調味料エリアは清潔に保たれ、顧客がナイフ、フォーク、スプーン、ナプキン、ソースパッケージ等を確実に手に入れられるように、最適な在庫レベルに保たれているか。
  • すべてのフロアは、安全な状態に保たれ、清潔に保たれているか?

 

調理と料理のクリンリネス

  • すべての容器は、汚染物質に対応するために、カバーされ、キャビネット内で保管されているか。
  • カウンターや棚のエリアは整然としていて、掃除されていて、ゴミや不必要な材料がないか。
  • 氷すくいは、取り外し可能なブラケットに収納し、毎日清掃しているか。
  • すべての氷は、ドリンクカップではなく、金属製の氷すくいですくっているか。
  • 冷蔵庫に格納されているすべての食品は、カバーがかかっているか。
  • 危険な食品の温度はシフトごとに 2 回測定し、報告書に記録していているか。
  • ナイフ、スプーンなどのすべての器具、機器は、シフトごとに洗浄、消毒し、乾燥した場所に保管しているか。
  • グリルエリアは、良好な修理状態を維持し、定期的に清掃しているか。
  • ホットホールディングキャビネットは、温度を華氏140度以上に維持しているか。
  • 化学物質や洗浄液は、食品共に保管しているないか。
  • ヒートランプや調理タイマーは定期的に清掃し、最高の状態で維持しているか。
  • すべての調理用換気口やフードは毎日清掃し、最高の状態で維持しているか。
  • ライトは機能し、必要に応じて清掃し、交換しているか。
  • 調理エリアのすべての壁は、ひび割れや汚れがなく、定期的にメンテナンスされているか。

 

QSCチェックシートに入れる項目

自社でQSCチェックシートを作るとき、何を書けばいいのか。ここでは飲食店を例に、項目の作り方を示します。

チェックシートの3つの決まりごと

  • 「できている/できていない」で答えられる形にする……「清潔である」では人によって判断が変わります。「開店前にトイレの床を清掃した」なら誰が見ても同じ答えになります
  • 誰が、いつ確認するかを書いておく……項目だけあって担当と時間が決まっていないシートは使われません
  • 項目を増やしすぎない……各カテゴリ5〜8項目が上限の目安です。多いと形だけのチェックになります

Q(品質)の項目例

  • 提供前に温度を確認しているか
  • 盛り付けが写真どおりか
  • 食材の期限が管理されているか
  • 提供までの時間が基準内か

S(サービス)の項目例

  • 入店から何秒以内に声をかけているか
  • 注文を復唱しているか
  • お客様が探しているそぶりに気づいて先に声をかけているか
  • 会計時に次回の来店につながる一言を添えているか

C(クリンリネス)の項目例

  • 入口の看板と足元にゴミがないか
  • トイレの鏡と洗面台に水滴が残っていないか
  • 客席のテーブルの裏側と椅子の脚が拭かれているか
  • 調理場の床が乾いているか

クリンリネスの項目は「お客様の目に触れにくいところ」を入れるのが要点です。目に見えるところは誰でも気づきます。トイレの鏡や椅子の脚のように、意識しないと見ない場所が水準を分けます。

QSCをチェックシートにするだけでは不十分

以上、QSCについてみてきました。決してやってはいけないのは、店舗にQSCのチェックシートを配り、”あとはよろしく”と放ったらかしにすることです。今見てきた通り、QSCは会社全体の業務や仕組みに影響することです。店舗のスタッフだけでなんとかなるものではありません。

自社の理念に基づき、自社の品質とは何なのか、自社のサービスとは何か。自社のクリンリネスとは何か。そこをしっかり考えて共有し、改善を続けることを仕組みにしなくてはいけません。

店舗ビジネスをしているなら、店舗の運営マニュアルがあると思います。QSCはそこに組み込むべきものです。掛け声として「お店を綺麗にしよう」「接客をよくしよう」と言うだけでは、良くなっても短期で終わります。

QSCをもとに自社の仕組みとマニュアルを作り、それを使って人を教育する。最終的にはQSCの徹底を組織文化にしていくことが大切です。

なお、やり方を店舗ごとにバラバラにしないための進め方は業務標準化に、現場を預かる立場の役割は店長の役割にまとめています。

それと一点だけ添えておきます。サービスの水準を上げようとすると、多くの会社は「感動を足す」方向へ進みます。しかし調査では、お客様が離れるかどうかを決めているのは感動よりも「手間がかからなかったこと」でした。詳しくは顧客努力指標(CES)をご覧ください。

 

店舗ビジネス、サービス業の仕組みづくりなら仕組み経営

以上、QSCについてご紹介してきました。仕組み経営では、QSC等、店舗ビジネスやサービス業を繁盛させ、成長させていくための仕組みづくりをご支援しています。

詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

 

 


>仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

仕組み化ガイドブック:企業は人なりは嘘?

人依存の経営スタイルから脱却し、仕組みで勝手に成長する会社するための「仕組み化ガイドブック」をプレゼント中。

CTR IMG