業務フロー図とは、ある仕事が始まってから終わるまでの流れを、担当者と順番が分かる形で図にしたものです。読み方は「ぎょうむフローず」です。
多くの会社が「まずテンプレートを探そう」から始めます。ただ、テンプレートを手に入れても手が止まります。描く範囲が決まっていないからです。
この記事では、業務フローと業務フロー図の違い、書き方の5ステップ、使う記号、エクセルでの作り方、テンプレートに入れる項目までをご紹介します。あわせて、描いたあとに使われなくなる業務フロー図に共通する3つの理由もお伝えします。
1. 業務フローとは?業務フロー図との違い
まず言葉を整理します。この2つは似ていますが、指しているものが違います。
- 業務フロー……仕事が始まってから終わるまでの流れそのもの。図にしていなくても、会社には必ず存在している
- 業務フロー図……その流れを図に描いた書類。フローチャートとも呼ばれる
つまり業務フローは「実態」、業務フロー図は「それを写した書類」です。ここを分けて考えると、次のことがはっきりします。図を作っただけでは実態は何も変わりません。変わるのは、図を見て「ここは要らない」「ここは順番を入れ替えられる」と決めたときです。
図を描くことが目的になっている会社は少なくありません。きれいな図が壁に貼ってあるのに、現場は今までどおりのやり方で動いている。これは業務フロー図を作ったのであって、業務フローを変えたわけではないのです。
業務フロー・フローチャート・業務フロー図の使い分け
実務ではほぼ同じ意味で使われています。強いて分けるなら次のようになります。
- フローチャート……もともとは処理の手順を図にしたものを指す言葉。業務に限らず使う
- 業務フローチャート……会社の業務を対象にしたフローチャート
- 業務フロー図……上と同じもの。日本の会社ではこの呼び方がいちばん通りがよい
呼び方を統一することに時間を使う必要はありません。社内で通じる言い方を一つ決めれば十分です。
業務プロセスとの違い
業務プロセスは、業務フローよりも広い言葉です。仕事の流れに加えて、そこで使う道具、判断の基準、担当者の役割まで含めて指します。業務フロー図は、そのうち「流れ」の部分だけを切り出して図にしたものと考えてください。
だから業務フロー図を描いても、業務プロセスの全部が見えるわけではありません。図に描けない部分、つまり判断の基準や仕事のコツは、別に書き出す必要があります。ここを飛ばすと、図はあるのに引き継げないという状態になります。
業務フローの言い換え・類語
社内で使うときの言い換えを挙げます。
- 業務の流れ……もっとも伝わりやすい。社内文書ではこれで足りる
- 仕事の手順……一人の作業に絞って言うとき
- ワークフロー……申請と承認の流れを指すことが多い。システムの名称としても使われる
- 段取り……現場ではいちばん自然に通じる言葉
- 業務手順書……図ではなく文章で書いたもの
現場の人に説明するときは「うちの仕事の流れを、誰が何をするかが分かる形で紙に書き出したい」と言うほうが伝わります。「業務フローを可視化します」と言うと、監査や査定が始まるように受け取られることがあります。
業務フローは英語で何と言うか
英語では「business flow」「workflow」「business process flow」といった書き方をします。図のことは「flowchart」「business flow diagram」と呼びます。海外の資料を読むときは「workflow」がいちばんよく出てきます。
2. 業務フロー図を作る3つの目的
書き方に入る前に、何のために作るのかをはっきりさせます。ここが決まっていないと、描いている途中でどこまで細かく書けばよいのか分からなくなります。
目的1.その人しかできない仕事を見つける
図に描くと、一人の担当者のところで矢印が集まる箇所が出てきます。そこが止まると全体が止まる場所です。ふだんは回っているので誰も問題だと思っていませんが、その人が休んだ日に初めて表に出ます。図にすることは、こうした場所を先に見つけるための見える化でもあります。
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目的2.引き継げる形にする
担当者が代わっても同じ結果が出る状態にするためです。口頭で引き継ぐと、その人が覚えている順番でしか伝わりません。図があれば、全体のどこを担当しているのかが最初に分かります。
目的3.直す場所を特定する
時間がかかっている、ミスが出る、待ちが発生している。こうした問題は「どこで」起きているのかが分からないと直せません。図にすると、戻りの矢印や承認の回数がそのまま目に入ります。
業務フロー図だけでは足りない理由
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。会社の業務がどれくらい仕組みになっているかは、次の4段階で見ることができます。
- 段階1……その人しかできないブラックボックス状態
- 段階2……業務が可視化され、文章になっている(担当者の知識を書き出しただけの状態)
- 段階3……可視化され、しかも引き継げる(目的に沿って書かれ、コツや判断基準まで書いてある)
- 段階4……業務改善のための場が定期的に用意されている
業務フロー図を描いて到達できるのは、多くの場合、段階2までです。流れは見えるようになりましたが、その流れのなかで担当者が何を基準に判断しているのかは、まだ図に載っていません。
段階3に上げるために必要なものは一つです。分岐のところに「どちらを選ぶかの基準」を書くこと。ここが書かれていない業務フロー図は、担当者が変わった瞬間に役に立たなくなります。図は残っているのに「この場合はどうするんですか」と聞かれ続けるのは、そのためです。
線と箱がきれいに描けているかどうかで、業務フロー図の出来を判断しないでください。判断の基準が書いてあるかどうかで見てください。
3. 業務フロー図の書き方5ステップ
実際の手順です。エクセルでもホワイトボードでも、やることは同じです。
ステップ1.描く範囲を決める
最初に決めるのは、どこから始まって、どこで終わるかです。「受注業務」ではまだ広すぎます。「注文を受けてから、出荷指示を出すまで」まで絞ります。
範囲が決まらないまま描き始めると、途中で隣の業務につながって止まらなくなります。1枚に描き切れる範囲を最初に区切ってください。目安として、箱の数が20個を超えたら分けたほうがよいと考えています。
ステップ2.登場人物を洗い出す
その範囲に関わる人と部署を全部書き出します。社外の相手(顧客、仕入先)も入れてください。この登場人物が、あとでレーン(横の帯)になります。
ここで初めて「あれ、この人も関わっていたのか」と気づくことがよくあります。関わっている人が思っていたより多いなら、それ自体が改善の材料です。
▶会社の組織図の作り方|中小企業・小さな会社の例と5ステップ
ステップ3.今のやり方をそのまま描く
これがいちばん大事で、いちばん守られないステップです。多くの会社が、ここで「あるべき姿」を描いてしまいます。
本来はこうあるべき、という図を描くと、現場の実態と合わない書類ができます。実態と合っていない図は誰も見ないので、そのまま使われなくなります。まず今のとおりに描いてください。無駄が目に入っても、この段階では直さないことです。
現場に「どうやっていますか」と聞くと、多くの人は正しい手順を答えます。実際にやっている手順とは違うことがあります。可能であれば、隣に座って一度やってもらうところまでやると精度が上がります。
ステップ4.分岐に基準を書く
菱形(判断)を置いたら、その横に必ず一行足してください。「何がどうなっていたら、こちらへ進むのか」です。
- 悪い例……在庫確認 →(あり/なし)
- 良い例……在庫確認 →(引当可能数が注文数以上なら「あり」。1個でも足りなければ「なし」)
この一行があるかないかで、図の寿命が変わります。基準が書けない分岐が出てきたら、それは会社としてまだ決めていないということです。担当者が毎回その場で決めています。見つけたら、そこが最初に決めるべき場所です。
ステップ5.担当者に見せて直す
描いた図を本人に見せます。ほぼ確実に「ここは違う」「これが抜けている」と出てきます。それが正常です。
一人で完成させてから配ると、間違いを含んだ図が正解として流通します。描いた人が偉いのではなく、実際にやっている人が正しいという前提で進めてください。
4. 業務フロー図に使う記号と書き方のルール
記号の種類は多くありますが、実務で必要なのは5つだけです。

- 角の丸い四角……開始と終了
- 四角……処理(誰かが何かをする)
- 菱形……判断(分岐する)
- 下が波形の四角……書類やデータ
- 矢印……流れの向き
これ以上の記号を覚える必要はありません。大事なのは正しい記号を使うことではなく、社内の全員が同じ意味で読めることです。
凡例を1枚つける
図の隅に、どの形が何を意味するのかを小さく書いておいてください。これだけで、初めて見る人が読めるようになります。凡例のない業務フロー図は、描いた本人にしか読めません。
社内でいくつも図を作るなら、凡例は最初に一つ決めて全部の図で共通にします。図ごとに記号の意味が変わるのがいちばん困ります。
スイムレーンで担当者を分ける
スイムレーンとは、担当者や部署ごとに横の帯を作り、その中に作業を置いていく書き方です。プールのコースに似ているのでこう呼ばれます。
中小企業の業務フロー図では、この形をおすすめします。理由は、レーンをまたぐ矢印の数がそのまま「引き継ぎの回数」になるからです。矢印が何度も行ったり来たりしている業務は、待ち時間が発生している業務です。図を見るだけで、直すべき場所が分かります。
レーンは5本までに抑えてください。それ以上になると、1枚に収まらなくなります。
分岐の書き方
分岐は、必ず「はい/いいえ」で答えられる問いの形にします。「在庫は?」ではなく「在庫は足りているか?」です。問いの形にすると、答えが2つに絞られ、線が引きやすくなります。
3つ以上に分かれるときは、菱形を2つ並べて2回に分けてください。1つの菱形から3本出すと、読む人が条件を追えなくなります。
「BPMN」や「UML」は必要か
業務フロー図の書き方を調べると、「BPMN」(業務プロセスの記述法)や「UML」(システム設計の記述法)といった専門的な表記法が出てきます。どちらも決まりごとが細かく整理されたもので、大きな組織やシステム開発の現場では役に立ちます。
ただ中小企業が社内の業務を整理する目的なら、覚える必要はありません。表記法を学ぶ時間のほうが、業務を1本整理する時間より長くかかります。基本の5つの記号とスイムレーンで十分です。
システム開発を外部に依頼するときに先方から指定されたら、そのときに合わせれば足ります。
5. 業務フロー図の作り方|エクセル・パワポ・作成ツール
何で描くかの話です。結論から言うと、中小企業ならエクセルかパワーポイントで十分です。
エクセルで作る手順
エクセルは多くの会社に入っていて、全員が開けるという強みがあります。手順は次のとおりです。
- 行の高さと列の幅を揃えて、方眼のようにする(1列を2〜3文字分の幅にする)
- いちばん左の列に担当者名を縦に並べ、横に帯を作る(これがレーンになる)
- 「挿入」から図形を選び、四角と菱形を置いていく
- 図形どうしをコネクタ(線)でつなぐ。図形を動かしても線がついてくる
- 菱形の横にテキストボックスを置き、判断の基準を書く
- 印刷範囲を1ページに設定して、はみ出していないか確認する
最後の1ページ確認を忘れないでください。2ページにまたがった時点で、その図は読まれなくなります。
パワーポイントで作る
パワーポイントのほうが図形を並べやすく、見た目も整えやすいという利点があります。会議で映して説明するならこちらです。
一方で、あとから項目を差し替えたり、一覧として管理したりするのはエクセルのほうが向いています。説明に使うならパワーポイント、運用するならエクセルと考えてください。
作成ツールと生成系の道具
専用の作図ツールもあります。共同編集ができる、記号がそろっている、といった利点があるので、描く枚数が多い会社では検討する価値があります。
最近は、文章で手順を入力すると図の下書きを作ってくれる道具も出てきました。たたき台を作る時間は確かに短くなります。ただし出てきた図は「一般的な業務の流れ」であって、自社の流れではありません。自社の実態と突き合わせて直す工程は、結局のところ人がやることになります。
道具を先に決めても業務フロー図は完成しません。決まっていないのは道具ではなく、描く範囲と分岐の基準だからです。
6. 業務フロー図のテンプレートに入れる項目
テンプレートを探している方が多いテーマです。正直にお伝えすると、テンプレートを手に入れても、たいてい手が止まります。枠は埋まっても、自社の流れが入っていないからです。
ここでは配布用のファイルではなく、自分で1枚作るために必要な項目を挙げます。この6つが入っていれば、テンプレートとして成立します。
- 業務名……何の流れを描いた図か
- 範囲……どこから始まり、どこで終わるか(ステップ1で決めたもの)
- 担当者のレーン……関わる人と部署。社外も入れる
- 作業と分岐……図の本体
- 判断の基準……分岐ごとに一行
- 更新日と更新する人……ここが空欄の図は必ず古くなる
最後の項目を軽く見ないでください。更新する人と時期を図そのものに書いておくだけで、寿命が大きく変わります。「毎年の事業計画を立てるときに、各部門の責任者が見直す」と一行入れておけば十分です。
▶プロセスオーナーとは?業務改善を推進する役割と日本企業における実践
テンプレートを探して比較している時間で、たいてい1本は描けます。まず紙に手で描いてみて、形が決まってからきれいにするほうが早いです。
7. わかりやすい業務フロー図にする5つのコツ
読まれる図と読まれない図の差は、内容ではなく見た目で決まっている場合が多くあります。
- 1枚に収める……収まらないなら、業務の切り方が大きすぎる
- 向きを統一する……左から右、または上から下のどちらかに決める。混ぜない
- レーンは5本まで……6本以上になったら図を分ける
- 色は2色まで……色分けの意味が3つ以上あると、凡例を見ないと読めなくなる
- 社内の略語を書かない……新しく入った人が読めない図は、引き継ぎに使えない
とくに戻りの矢印には注意してください。右から左へ戻る線が多い図は、見にくいだけでなく、業務そのものに手戻りが多いというサインです。見た目の問題として片づけず、なぜ戻っているのかを確認してください。
8. 業務フロー図の例
実際にどんな単位で描くのか、3つ挙げます。いずれも「どこから始まり、どこで終わるか」を先に区切っています。
例1.受注から出荷指示まで(卸・小売)
顧客からの注文受付 → 内容の確認 → 在庫の引当(分岐:引当可能数が注文数以上か)→ 足りる場合は出荷指示、足りない場合は仕入担当へ連絡 → 顧客へ納期回答。
レーンは「顧客」「営業担当」「在庫管理」「仕入担当」の4本になります。この図を描くと、営業担当と在庫管理のあいだで何度も往復していることが見えてくる会社が多いです。
例2.製造の受注から出荷まで(製造業)
受注 → 図面と仕様の確認(分岐:既存品か特注品か)→ 特注なら設計へ、既存品なら生産計画へ → 材料手配 → 製造 → 検査(分岐:規格内か)→ 合格なら出荷、不合格なら手直し。
製造業では検査の分岐にどんな基準が書かれているかが、そのまま品質の安定度になります。「見た目に問題がないこと」としか書かれていないなら、判定は検査担当の経験に委ねられています。その人が抜けたときに基準が変わります。
例3.採用の応募から入社まで
応募受付 → 書類選考(分岐:面接に進めるか)→ 一次面接 → 二次面接 → 内定連絡 → 入社手続き → 初日の受け入れ。
この図を描くと、連絡が止まっている期間が見えます。書類選考から一次面接までに10日空いているといった実態は、図にすると誰の目にも入ります。
9. 業務フロー図が使われなくなる3つの理由
せっかく作ったのに、半年後には誰も見ていない。よくあることです。理由は3つに絞れます。
理由1.あるべき姿を描いた
ステップ3で書いたとおりです。実態と違う図は、現場から見ると「上が考えた理想」でしかありません。一度そう見なされると、修正しても読まれなくなります。
理由2.更新する人と時期が決まっていない
業務は変わります。図が変わらなければ、半年で実態とずれます。ずれた図は間違った情報を配っているのと同じなので、無いほうがましという状態になります。
作った人が更新し続ける形にすると、必ず追いつかなくなります。その業務を実際にやっている部門の責任者が見直す形にしてください。
理由3.分岐に基準が書かれていない
繰り返しになりますが、ここです。流れだけが描いてある図は、すでにその仕事を知っている人にしか役に立ちません。知らない人が読んで判断できないなら、引き継ぎには使えません。
この3つを見ていただくと分かるとおり、使われなくなる原因はどれも作図の技術ではありません。描く前に決めておくことが決まっていなかった、という一点に集約されます。
10. 業務フロー図を描いたあと|どこから改善するか
図ができたら、次は改善です。ただし全部を一度に直そうとすると、どれも中途半端に終わります。優先順位は次の順で考えてください。
- 火を消す……いまミスが多発している業務、現場のフラストレーションが溜まっている業務から着手する
- 火が起こらないようにする……いまは回っているが、担当者が抜けたら止まる業務。ブラックボックスになっている業務
- 顧客へのインパクト……直すとお客様への価値が上がる業務
- ビジネスへのインパクト……直すと収益や目標達成につながる業務
この順番には理由があります。1つ目を飛ばして3つ目や4つ目から始めると、現場が協力してくれません。いま困っていることが放置されたまま、新しい取り組みが降りてくる形になるからです。
改善案が固まったら、やり方を統一します。これが標準化です。そして、統一したやり方を文書に残すところまでやって、ようやく次の人に渡せる形になります。
▶マニュアルの作り方7ステップ。テンプレートと種類別の実例つき
どの業務から図にするか迷ったら
会社の業務は、大きく3つの箱に分けられます。
- マネジメントの流れ……経営会議、経営計画、財務など、会社全体を運営するもの
- 価値提供の流れ……マーケティング、営業、商品開発、納品など、お客様に価値を届けるもの
- サポートの流れ……総務、人事、経理など、価値提供を支えるもの
社長が現場から抜けたいのであれば、まず価値提供の流れから図にしてください。社長がいちばん手を動かしているのがここだからです。ここが引き継げる形になって初めて、社長の時間が空きます。
11. 業務フロー図に関するよくある質問
業務フロー図はどれくらいの細かさで書けばいいですか?
その業務を知らない人が読んで、次に何をすればよいか分かる細かさです。細かすぎると更新が追いつかず、粗すぎると引き継ぎに使えません。迷ったら「新しく入った人にこの図を渡して、一人でできるか」で判断してください。
業務フロー図とマニュアルはどう違いますか?
業務フロー図は流れ全体を1枚で見せるもの、マニュアルは各作業のやり方を詳しく書くものです。順番としては、先に業務フロー図を描いて全体を押さえ、そのあと重要な箱についてマニュアルを作ります。いきなりマニュアルから作ると、全体のどこの話なのか分からない文書ができます。
手書きでもいいですか?
最初は手書きを勧めています。紙とふせんで机の上に並べるやり方が、いちばん早く実態に近づきます。並べ替えができることが重要なので、ふせんが向いています。形が決まってから、エクセルなどで清書してください。
作ったあと、どこに置けばいいですか?
全員が見られる場所です。特定のフォルダの奥に置くと、存在自体が忘れられます。あわせて、その業務の担当が変わるときに必ず開く決まりにしておくと、更新の機会が自然に発生します。
業務フロー図を作る時間が取れません。どうすればいいですか?
全部を一度に描こうとしているからです。1本だけ選んでください。いちばんミスが多い業務か、いちばん社長が手を出している業務です。1本描くと、社内で「これは分かりやすい」という反応が出ます。そこから広げるほうが、全社一斉に取り組むより確実に進みます。
現場が協力してくれません
業務フロー図を作ると聞いた現場は、人を減らすための調査だと受け取ることがあります。先に目的を伝えてください。伝えるのは「効率化のため」ではなく、「担当者が休んでも回るようにするため」「引き継ぎのときに困らないようにするため」です。本人にとっての利益が見えれば、協力は得られます。
そもそも協力が得られないのは、現場の姿勢の問題ではありません。何のために描くのかが伝わっていないだけです。
12. まとめ
業務フロー図の書き方をご紹介してきました。要点を整理します。
- 業務フローは実態、業務フロー図はそれを写した書類。図を作っただけでは実態は変わらない
- 書き方は5ステップ。範囲を決める → 登場人物を洗い出す → 今のまま描く → 分岐に基準を書く → 本人に見せて直す
- 記号は5つで足りる。中小企業は基本の記号とスイムレーンで十分
- エクセルかパワーポイントで作れる。道具を決めても図は完成しない
- 使われなくなる原因は作図の技術ではなく、描く前に決めていなかったこと
そして、この記事でいちばんお伝えしたかったことをもう一度書きます。業務フロー図の出来は、線と箱のきれいさではなく、分岐に判断の基準が書いてあるかどうかで決まります。
流れだけを描いた図は、その仕事をすでに知っている人の確認用にしかなりません。判断の基準まで書いて初めて、知らない人に渡せる書類になります。会社の力が個人ではなく仕組みに積み上がっていくのは、この一線を越えたときからです。
仕組み経営では、業務の可視化から標準化、マニュアル化までを一緒に進めています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


