会社の組織図の作り方

会社の組織図の作り方|中小企業・小さな会社の例と5ステップ



執筆者:清水直樹
会社の組織図とは、会社の目標に向けて誰が何を担うのかを示した設計図です。中小企業が作るべきなのは、いまの姿を写した図ではありません。3年~5年後の「未来の組織図」を、人ではなく機能から描きます。”そろそろ会社の組織化が必要になってきた”、”役割分担が曖昧になってきた”、”組織図の作り方を知りたい”という方に向けて、5つのステップと社員数別の例をご紹介します。
執筆者プロフィール:一般財団法人日本アントレプレナー学会 代表理事 | 仕組み経営株式会社 取締役。2社の起業と挫折を経て、世界No.1の中小企業アドバイザー、マイケルE.ガーバー氏と出会い、その思想を日本に広める。2019年に会社を仕組みで成長させる方法論『仕組み経営』を開発し、日本企業の支援に取り組む。「仕組み化の経営術」著者
※動画でも解説しています。

 

 

内容の信頼性

この記事は世界No.1の中小企業アドバイザー(米INC誌による)、マイケルE.ガーバー氏著「はじめの一歩を踏み出そう」の内容をベースにしています。世界700万部のベストセラーの内容を日本の会社に当てはめてご紹介していきます。

なお、会社の組織図は、こちらでご紹介している仕組み化で勝手に成長する会社づくりの一部です。

会社の組織図とは?

会社の組織図とは、会社の目的(ビジョンや目標)に向けて、どう分業し、どう調整するかを表した設計図です。誰が何を担い、誰と誰が連携するのかを一枚で示したものだとお考えください。

そもそも組織とは何でしょうか?組織とは、二人以上の人が共通の目的に向かう時に必要な「分業」と「調整」の仕組みです。

組織とは分業と調整
組織とは分業と調整

分業とは?

分業というのは、ひとつの業務を複数人で分担することです。これだけでも仕事のスピードはアップします。しかし、さらに効果的に働くには調整が必要になります。

なお、分業は進めるほど良いというものでもありません。専門化が行き過ぎると部門間の断裂が起こります。詳しくは分業のデメリットと克服の考え方をご覧ください。

調整とは?

調整とは、分業を効果的に行うために行う人同士のコミュニケーションです。

例えば、野球チームで考えてみましょう。守備側のチームはゼロ点に抑えるという目的がありますね。そのために、Aさんがファーストを守り、Bさんがセカンドを守り、、、というように「分業」されています。さらにボールがきたら、それを誰が取るかを声を掛け合って「調整」します。「分業」と「調整」が上手く機能することでチームが動けるわけです。

センターとライトのちょうど中間にボールが落ちそうになった場面を想像してください。二人の間に明確な線がなければ、どちらが捕るべきか分かりません。落ちてから責任の押し付け合いが始まります。会社で噴き出す「なんで自分ばっかり」「あいつはいつも仕事をしていない」という不満も、これとまったく同じ構造から生まれています。

これと同じように、組織図とは、会社の目的(ビジョンやミッション)に向けて、どう分業し、どう調整するかを表した設計図といえます。

 

小さい会社にも組織図が必要なのか?

この記事をご覧のあなたは違うかも知れませんが、多くの会社経営者は、

うちの会社に組織図なんて必要なの?

と疑問に思っているものです。

しかし、「はじめの一歩を踏み出そう」著者のマイケルE.ガーバー氏によれば、

組織図こそ、ビジネスを発展させるための他のどんなステップよりも、会社に対して深い影響を持っている。

とのことです。

私自身、以前に創業メンバーとして参加したIT企業で、組織図を共有しなかったことが失敗の一因になりました。最初のうちは全員が新しい事業に没頭します。ところが軌道に乗って組織が大きくなり始めると、創業メンバーがそれぞれ自分のやりたいことを始めてしまったのです。明確な組織図がないため、各自の仕事内容も定義されていませんでした。資金の使い道がばらばらになりました。本業のサービスにも力が入らなくなり、最後はすべて崩壊しました。

スターバックスも、まだ一店舗しかなかった時代(当時の店名はイル・ジョルナーレ)から組織図づくりに取り組んでいます。実質的な創業者であるハワード・シュルツ氏は自著「スターバックス成功物語」で、一店舗の小さな会社には不釣り合いなほど綿密な組織図を作り、事業の全体像を正確に把握できるようにしたと述べています。組織図は、会社が大きくなってから作るものではありません。大きくするために先に作るものです。

実際のところ、本記事で紹介するやり方で組織図を作ると次のようなメリットがあります。

  • ビジョン達成のために、どんな人材が何人必要かが明らかになり、採用計画が立てられる。
  • 権限と責任が明確になり、社内のコミュニケーションが円滑になる。
  • 仕事を任せるのが簡単になる。
  • 自分の担う役割やキャリアパスが明確になる。

逆に、組織図がないまま人間関係のトラブルが増えている会社は、コミュニケーション研修を入れても解決しません。構造が変わらない限り同じ問題が繰り返される、というのが原理原則だからです。中にいる人を入れ替えても、組織構造が同じなら同じことが起こります。

 

会社経営に役に立つ組織図とは?

では会社の経営に役立つ組織図とはどんなものでしょうか?社長に御社の組織図を書いてください、というとこんな感じの組織図が出てくることがあります。

こんな組織図が経営のなんの役に立つのか?と思いますよね。私もそう思います。そうなんです、こんな組織図は役に立ちません。


この記事でご紹介する組織図は、一般に思われている組織図とは異なります。なので、まずは経営に役立つ組織図の特徴をご紹介しておきましょう。

 

会社経営に役立つ組織図とは「未来の組織図」である

中小企業の社長が作るべき組織図とは、今現在の組織図ではなく、”未来の組織図”です。”未来の組織図”と言われてもピンと来ないかも知れませんね。

未来の組織図とは、3年後や5年後、あなたの会社が成長していったときの組織図のことを指しています。その未来の組織図が出来たら、一歩ずつ現在の組織図を未来の組織図へと近づけていけば良い、ということになります。

いまの人数からすると身分不相応な、部門の多い組織図が出来上がるはずです。それで構いません。埋まっていない箱が、これから採用したり育てたりする対象を示してくれます。

 

経営に役立つ組織図とは「機能の組織図」である。

次に、あなたが作るべき組織図とは、”機能の組織図”です。多くの中小企業の社内を見渡してみると、山田君が営業をしていて、鈴木さんが経理と総務をやっていて、社長である私が営業と開発をしている、というような感じだと思います。

このような状態を、人に仕事が付いている、と言います。人に仕事が付いている状態というのは非常にリスクの大きい組織になります。その人が辞めてしまったら他の誰もその仕事をできない、というようなことが発生します。いわゆる仕事が属人化しているのです。

野球チームの例に戻ると、人に仕事が付いている状態とは、グラウンドにばらばらと人がいるものの、きっちりとした持ち場が決まっていない状態です。なので、ボールが来るとみんなでそれを取りに行ってしまう、というような非効率なことが起こります。

一方経営に役立つ組織図づくりというのは、まず、

あなたの会社のビジョンや目標を達成するためにどんな機能が必要か?を考え、

次に、

その機能を組織図にし、機能に人を付ける

という順序になります。

これも野球チームに例えればわかりやすいですね。野球というのはあらかじめポジション(機能)が決まっています。ファースト、セカンド、というように。これはゼロ点に抑えるという目標に対して、このような機能配置にすれば最も上手く守れるとわかっているからあのようになっているのです。そして、各チームの中で、最もそのポジションを上手く行える人がそのポジションに付くわけです。

会社組織もこれと全く同じです。会社のビジョンに向けて必要な機能(ポジション)があり、その機能を最も上手くこなせる人がそこに付くわけです。前提として、会社が向かう先が決まっている必要があります。まだ言葉になっていなければ、ミッションやビジョンの整理から先に行ってください。

 

あなたは組織図から抜けなくてはならない

大半の中小企業の社長は、ビジネスのオーナーでありながら、自ら営業や開発などの現場の仕事、または社員の管理というマネージャーの仕事で毎日の時間を使っています。

つまり、野球チームで例えれば、「オーナー」兼「監督」兼「選手」 という状態なのです。もちろん、会社が小さいときには、自分がすべてをやらなくてはいけません。

しかし、それ以上に成長していくためには、会社を組織化していく必要があり、ここで紹介する組織図が必要になってきます。

最終的な理想の姿は、社長業すら人に任せ、ビジネスオーナーとして「組織図から抜ける」ことです。したがって、組織図の一番上はオーナー(株主)になります。その下に一本、線を引いてください。この線は、会社の中で働いている人と、会社の外から働きかけている人を隔てる線です。自分がいまどちら側にいるのかを、図を見るたびに確認できるようになります。

現場から抜けられない状態が何年も続いているなら、オーナーズトラップの記事もあわせてご覧ください。

目指す組織図

 

組織図があることで「そのポジション」を任せることが出来る

社長は、社員に仕事を任せなければ、いつまで経っても、全ての仕事を自分で抱え込むことになります。しかしながら、「仕事を任せる」という発想だけでは、理想の組織に近づくことは出来ません。仕事を任せた相手が退職してしまえば、また振り出しに戻ってしまい、責任や権限が明確でないまま任せてしまったために、余計なストレスや労力がかかってしまいます。

そこで必要なのは、「ポジション(職務)」を任せるという発想です。「ポジション(職務)」を任せる仕組みを持つことこそが、中小企業が成長してくために、必須の機能になります。組織戦略とは、自社にどんな「ポジション(職務)」が必要なのかを理解し、それをどのように、どの順番で他の人に任せていくかを決めていくことなのです。渡し方の手順は仕事を任せる仕組みで解説しています。

ふたたび野球チームの例に戻りましょう。残念ながらあなたのチームはまだ始まったばかりで、本当は9人必要なところ、4人しかいません。そのため、あなたがピッチャーとセカンドとショートを兼任しています。だんだんチームの人気が出来てきて、人が増えてきました。するとあなたの代わりにピッチャーをやってくれる人がいたので、あなたはピッチャーをやらなくて良くなりました。さらに人が入ってきて、ショートも任せらるようになりました。こんな感じで、チームが成長してくるとあなたがやっていたポジションを任せられるようになるわけです。

会社もこれと同じです。これからのステップで未来の組織図を作っていただくと、社長であるあなたが様々なポジションを兼任していることがわかると思います。最初はそれでいいのです。会社の成長に従って、兼任しているポジションに人を入れ、そこから抜ける、ということを繰り返していけば、先ほど申し上げたように”組織図から抜ける”ということが可能になります。

 

会社経営に役立つ組織図の作り方

ではいよいよ、組織図の作り方に入っていきましょう。次の5つのステップで進めます。


ステップ1.3年~5年後くらいの目標を立てましょう。

先ほど言った通り、これからあなたが作る組織図は、”未来の組織図”です。ですので、ちょっと時間を取って、自社の未来を考えてみましょう。本当は10年後くらいのビジョンを描いてもらいたいのですが、そこまでやると複雑になるので3年~5年後くらいの未来でいいでしょう。

3年~5年後、あなたの会社はどんな会社になっていますか?規模は?売上は?地域は?商品やサービスは?企業文化は?社員数は?等々なるべく具体的に思い描いてい見ましょう。

ここが曖昧なまま先へ進むと、組織図も曖昧になります。書き出すのが難しければ、先に自社のビジョンを言葉にする時間を取ってください。

 

ステップ2.必要な機能を考えてみましょう。

次に、思い描いた未来の会社を動かすために必要な機能を考えてみましょう。機能というのはたとえば次のようなものです。

  • 新規集客(マーケティング)
  • 営業
  • 顧客サポート
  • 総務
  • 経理
  • IT
  • 経営企画

等々。他にもたくさんあるかも知れませんがあまり上げすぎると、壮大すぎる組織図になってしまうので、なるべくシンプルに考えましょう。

ここで大切なのは、いま社内にある部署名をそのまま並べないことです。部署名は過去の経緯で付いた名前にすぎません。書き出すのは「会社が回るために必要な働き」のほうです。

 

ステップ3.組織図にしてみましょう。

次に挙げた機能を組織図にしてみます。あなたの会社は3年~5年後どんな組織図になっていますか?これはすぐに作れるものではありません。何度も繰り返し考え、書き直してみましょう。ここでもあまり細かくしすぎると、使えない組織図になってしまいますので、シンプルさを心がけましょう。

このとき、機能をどう束ねるかで組織の形が決まります。分け方は大きく二つあります。

水平分業は、業務の流れに合わせて専任者を付ける形です。パン屋さんでいえば、開発担当は開発だけを行い、企画担当は企画だけを行います。各分野の専門性は高まります。一方で部門間の断裂やボトルネックが起きやすく、その会社でしか通用しないスキルが育つこともあります。

垂直分業は、商品や顧客の種類ごとに専任者を付ける形です。担当者は自分が受け持つ商品の開発から販売まで責任を持ちます。全体が見えやすいので効率が上がり、やる気も高まります。ただしマルチタスクが発生するため、人を育てる難易度は上がります。

どちらが正解ということはありません。自社のビジネスモデルと、育てられる人材の層で決めてください。形の選択肢をもっと知りたい方は組織図の種類9個をご覧ください。

例として、私たち一般財団法人日本アントレプレナー学会の組織図(ちょっと古いですが)をアップしておきます。

 

JFEの組織図
JFEの組織図

 

ステップ4.人の名前を入れてみましょう。

さて、ここまで来たら初めて人の名前を入れていきます。いま作った組織図をご覧ください。それぞれの機能をいま誰が担当していますか?小さい会社であればほとんどの機能を社長自身が担当しているかもしれません。それでもいいので、組織図の箱の横に名前を記入していきましょう。こうしていただくと、いかに多くの人が様々なポジションを兼任しているかがわかると思います。

このように、人の名前が入った組織図が出来れば、それがあなたの会社の役割分担を示した図になります。これがあれば、社員の人もいま自分がどの仕事を担当しているのかがわかります。人は全体像を理解したほうが効率的に働けますし、かつ会社に自分がどう貢献しているかもわかるので動機づけにもなります。

 

ステップ5.組織図から抜ける計画を立てましょう。

ここまで来たら、組織図を使って未来へ向かうための計画を立てます。具体的には、

  • あなたが兼任しているポジションをいつ、誰に任せるか?
  • 誰をどこに配置するか?
  • いつ、どのポジションに人を雇うか?

を考えていきます。

最後に数字で確かめてください。完成した組織図があれば、目標を達成した時点での社員数と人件費が計算できます。その金額は、同じ時点で見込んでいる売上や利益と噛み合っているでしょうか。合わないなら、機能の束ね方か目標のどちらかを見直します。ここまでやって、組織図は初めて経営の道具になります。

これらの計画こそが、組織を構築していくための計画になります。そして、あなたが将来、ビジネスオーナーとして組織図から抜けるための計画にもなります。

 

小さな会社・中小企業の組織図の例【社員数別】

ここからは、実際にどんな組織図になるのかを社員数別に見ていきます。あくまで考え方の例です。そのまま写すのではなく、自社の機能に置き換えてお使いください。

社員5人前後の会社の組織図の例

この規模では、ほとんどの機能を社長が兼任しています。それでも組織図を作る意味は十分にあります。

未来の組織図の箱としては、たとえば次のような並びになります。一番上にオーナー(株主)、その下に社長、さらにその下に「集客・営業」「商品やサービスの提供」「管理(経理・総務)」の3つです。

そして名前を入れます。「集客・営業=社長」「商品やサービスの提供=社長と社員2名」「管理=社長と社員1名」といった具合です。社長の名前が3か所に入ること、それがこの図の最大の収穫です。兼任が目に見えると、どこから手放すかを議論できるようになります。

この規模でよく起きるのが、気心の知れた一人に何もかも預けてしまうことです。それは兼任の相手を社長から他の一人へ移しただけで、機能の分業にはなっていません。

社員15人前後の会社の組織図の例

はじめて社長が現場から一歩抜ける規模です。機能は次のように分かれてきます。オーナー(株主)、社長、その下に「マーケティング」「営業」「サービス提供(製造・施工・納品など)」「顧客サポート」「管理」の5つです。

ここでの分かれ目は、社長が「サービス提供」の箱から名前を消せるかどうかです。消すには、その仕事の手順が社長の頭の外に出ている必要があります。組織図とマニュアルの作り方がセットで必要になるのはこのためです。


営業を最初に手放す会社も多いのですが、属人的なまま渡すと数字が落ちます。渡す前に勝ちパターンを型にしておいてください。

社員30人前後の会社の組織図の例

このあたりから、社長と現場の間に一層はさまる必要が出てきます。オーナー(株主)、社長、その下に「事業部門」「管理部門」、さらに各部門の下に担当機能という二階建てです。

同時に、社長の代わりに日々の運営を見る人が要ります。番頭やナンバー2と呼ばれる役割です。番頭さんの5つの役割で、その中身を確認しておきましょう。

新しく置いた管理職に何をしてもらうのかも決めておきます。曖昧なまま肩書きだけ配ると、報告を右から左へ流す層が増えるだけです。先に管理職の役割を定義してください。

 

組織図の作り方でよくある5つの失敗

支援の現場でよく見かける失敗を挙げておきます。

  • いまの姿を写してしまう。現在の人員配置を図にしただけでは、経営の道具になりません。作るのは3年~5年後の姿です。
  • 人から考えてしまう。「山田君に何をやってもらうか」から入ると、その人が辞めた瞬間に図が崩れます。機能を先に決め、あとから名前を入れます。
  • 細かく作りすぎる。箱が数十個並ぶ図は誰も見ません。まずは主要な機能だけで一枚に収めます。
  • 作って共有しない。社長の引き出しに入ったままの組織図は、無いのと同じです。全社員が自分の箱を指させる状態にして、はじめて役割分担になります。
  • 役割と権力を混同する。役職は担う役割であって、他人を思い通りに動かす権力ではありません。ここを取り違えると、組織図がただの上下関係の一覧表になります。

 

組織図が出来たら次は「職務契約書」

組織図が出来ると、役割分担が済んだように見えます。しかし、これだけでは片手落ちです。箱の名前が決まっただけで、その箱が何を達成すべきかは決まっていないからです。

そこで次に作るのが、私たちが職務契約書(職務同意書)と呼ぶものです。中身は二つあります。ひとつは成果定義文、つまりその職務に望まれる成果を表した文章です。もうひとつは仕事内容のリストです。

成果定義文は仕事のリストではありません。たとえば受付という職務であれば、「電話に応える」「来訪者に挨拶する」と並べるのは良くない例です。「自社のブランドに沿うよう、会社にコンタクトしてくる人たちとのやり取りを調整し、関係の構築と維持をアシストする」と書くのが良い例になります。営業担当なら、「新規開拓をし、契約を行う」ではありません。「営業プロセスに沿ってリードを売上につなげ、長期にわたって質の高い顧客を獲得する」と書きます。

仕事内容をリストするときは、戦略的な仕事(計画や企画)と戦術的な仕事(実際に手を動かす仕事)を分けて書いてください。組織図の上に行くほど戦略的な仕事の割合が増える、というのが原則です。

職務を設計するときの目安もあります。ハックマン&オールダムの職務特性理論では、動機づけの高い仕事に共通する要素として、技能多様性(多様なスキルや才能を活かせる)、タスク完結性(始めから終わりまで関われる)、タスク重要性(他者や社会に影響を与える)が挙げられています。分業を進めるほど、この3つは失われやすくなります。組織図を細かくしすぎないほうがよい理由は、ここにもあります。

職務が決まると、評価や等級の話につながります。組織図、職務契約書、人事制度という順に整えていくと、途中で辻褄が合わなくなりません。

 

補足:ティールやホラクラシー等のフラット組織図をどう扱うか?

ここまで読んできた方の中には、最近はやりのティール組織やホラクラシーなどに興味を持っている方もいらっしゃると思います。上記でご紹介したような階層型ではなく、フラット型の組織構造です。

階層型かフラット型か、どちらが良いのでしょうか?この答えはあなたの会社がどのようなビジネスモデルであるか?また、どのような文化であるか?によって決まります。

そして、ここでご紹介している方法とティール組織やホラクラシーとの間には共通の考え方があります。それは、

  • 組織はそれ自体が目的を持つ生き物であるということ
  • 組織に必要とされる職務と役割を明確にし、それを出来る人、やりたい人がその機能を担うということ

です。

階層構造の組織が問題になるのは、役職を持つ人が自分の「役割」と「権力」を混同することで起きます。たとえば、部長という役職は、部下のパフォーマンスを管理する「役割」になるかも知れませんが、それは部下を自分の思い通りに動かすという「権力」ではないのです。

組織内にいる人は、社長も含め何らかの役割を持っています。ただそれは、誰が偉いとか、誰が偉くないなどの「権力」ではないのです。再び野球の例に戻れば、ピッチャーは他のポジションよりも目立つ存在かも知れませんが、かといって、他のポジションよりも権力があり、偉いわけではないでしょう。それと同じことです。

ちなみに当会ではティール組織を目指したい、という方向けにも本場発のツールや情報をご提供しています。ご興味ある方は以下のページをご覧ください。

▶ティール組織診断マップ

▶ティール組織実践に向けたまとめ

 

会社の組織図についてよくある質問

組織図は社員が何人になったら必要ですか?

人数で決めるものではありません。社長ひとりの会社であっても、未来の組織図は作れます。あえて目安を挙げるなら、社員が3人を超えて「誰がやるのか分からない仕事」が出はじめたときです。その時点で、すでに調整のコストが発生しています。

組織図はエクセルやパワーポイントで作っていいですか?

問題ありません。道具は何でも構いません。大事なのは、何度でも書き直せることと、全社員が見られる場所に置いてあることです。凝ったツールを探すよりも、一枚の紙で早く書いてしまうほうが先に進みます。

ひとりが複数の箱を兼任している状態は、どう書けばいいですか?

そのまま複数の箱に同じ名前を書いてください。兼任を隠してはいけません。組織図の目的のひとつは、どこに負荷が集中しているかを見えるようにすることです。社長の名前が5か所に出るなら、それが現状です。

組織図はどのくらいの頻度で見直しますか?

年に1回が目安です。事業計画を立てる時期に合わせて見直すと、採用計画とつながります。加えて、幹部の異動や新規事業の立ち上げなど、機能が増えたり減ったりしたときは都度更新します。

組織図と職務分掌はどう違いますか?

組織図は、機能の並びと関係を示した一枚の図です。職務分掌は、その一つひとつの箱が何を担うのかを文章にしたものです。当社ではこれを職務契約書と呼んでいます。図だけでは組織は動きません。両方そろって、はじめて役割分担になります。


まず何から手を付ければいいですか?

3年~5年後の目標を一枚に書くところからです。目標がないまま組織図を描いても、いまの姿の焼き直しにしかなりません。順番は、目標、機能、組織図、名前、計画です。

 

会社の組織図づくりは成長への道

以上、会社経営にとって役に立つ組織図の作り方をご紹介してきました。私たちがご支援する場合には、この組織図づくりを比較的早い段階で行います。この組織図をベースに仕組みづくりを行い、最終的には属人経営から抜け出し、社長がいなくても回る自走型組織を目指します。

仕組み経営ではより詳しい組織図の作り方や実際の組織構築、さらにその先の会社の仕組みづくりもご支援していますので、以下からぜひガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


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