売上を爆発的に伸ばす!ジョブ理論の実践10ステップを解説

ジョブ理論の実践10ステップ|活用方法と進め方を解説



ジョブ理論を実際に活用する際のステップを紹介します。

ジョブ理論とは、市場ニーズを適切に満たす製品/サービスを提供するために、ニーズを正しく把握する方法を説いた理論です。

ジョブ理論について基本的な理解がないと難しい内容となっているため、”ジョブ理論とは何か”を知りたい方は、以下リンクをご参照ください。

ジョブ理論とは?6つのフレームワークと中小企業での使い方

今回は、そんなジョブ理論を実際に利用して、ヒットする製品/サービスを提供するプロセスを詳しく解説していきます。

ジョブ理論の活用10ステップ

ジョブ理論を実践する10のステップをご紹介します。

この10ステップを通じて、潜在顧客やニーズの特定から製品戦略の立案までを進めていきます。

実は、この10ステップはジョブ理論そのものではなく、実践の部分は Outcome Driven Innovation (ODI)と呼ばれる手法です。ジョブ理論はあくまでも理論であり、ODIは実際のプロセスということですね。

ODIは、企業が新しいソリューションを開発し、顧客のジョブをより早く・効率的に完了させるためのイノベーション戦略とプロセスです。

Anthony W. Ulwick著の「JOBS TO BE DONE: Theory to Practice」にて詳しく書かれており、本記事もこちらの本の内容を基にしております。(※英語版のみ)

では、次から具体的なステップの解説です。

ステップ1:顧客を特定する

顧客ニーズを特定するには、どの顧客にアプローチすべきかを見定める必要があります。

顧客とは、インサイトを与えてくれる存在です。ジョブをより早く効率的に完了させるために、どんなプロダクトやサービスが必要になるのかを教えてくれます。

そのため、「顧客が誰か」を「これらのインサイトを持つのは誰か」と読み替えたほうが分かりやすいでしょう。

通常、顧客には3つの重要なタイプがあります。

  1. エンドユーザー
    コア機能的ジョブ*を実行する人
  2. プロダクトライフサイクルのサポートチーム
    保守運用者。インストール・設定・メンテナンス・修理・破棄などを行う人。
  3. 購入意思決定者
    製品を探し、比較し、購入するかどうかの決定権のある人。

※コア機能的ジョブについてはこちらをご覧ください。

ステップ2:ジョブを特定する

ここでは、顧客のコア機能的なジョブを正しく特定します。

このとき、ジョブの範囲が狭すぎると限定的な解決策しか生み出せません。逆に広すぎると顧客にとって使い方が難しくなります。適切な範囲で定義することが重要です。

ジョブを定義するときにいくつか重要なポイントがあります。

  1. 顧客視点で考える
  2. 複雑にしすぎない:
    ジョブ理論のフレームワークを利用しましょう。この時、複雑なジョブを一つの文章にまとめるのではなく、複数の文章に分けて整理することが重要です。
  3. 感情ジョブや他のニーズは一旦除外する
  4. 状況ではなく、ジョブ自体を定義する
  5. ジョブは正しいフォーマットで記載する:
    動詞+目的語+文脈 Ex. 「通勤中に朝食を食べる」

ここで特定されたジョブこそが、企業が取り組むべきマーケットとなります。

ステップ3:ジョブ完了後の理想的な結果を明らかにする

ジョブ理論のフレームワークの記事でも解説したとおり、顧客はジョブ完了でもたらされる理想の結果を期待します。この結果は一つではなく、50〜150の結果が一般的です。

ステップ3では、2で特定したコア機能的ジョブの達成によって求められる結果を定義します。

このプロセスでは、量ではなく質的/定性的調査を使ったジョブマップの作成が有効な手段です。

ジョブマップとは、コア機能的ジョブを完了するプロセスを視覚的に表したマップです。

これはカスタマージャーニーのように、ソリューション視点から顧客が何をしているのかを表すものではありません。顧客視点から、何をしようとしているのかを表すマップです。


例えば、ソリューション視点では「麻酔医がディスプレイを見ている」と表しますが、顧客視点からは「麻酔医が患者のバイタルサインを見ようとしている」と表現します。

ここで特定された結果は、顧客のニーズそのものと言っても良いでしょう。

ステップ4:アウトカムベースセグメントの発見

マーケットセグメンテーションは企業が製品/サービスに価値を見出す顧客グループを特定するのに使われています。

ペルソナの作成などが代表的なセグメンテーション手法ですが、ジョブ理論において活用するメソッドは、”満たされていないニーズ”によるセグメンテーションです。

このメソッドは下記4ステップで完了します。

  1. ステップ3で特定した理想の結果からニーズを洗い出す
  2. 顧客に対して量的/定量的調査を行い、どのニーズが満たされていないのかを特定
  3. 特定のニーズが満たされていないと回答した顧客の共通点などを調査し、顧客をグループ化する
  4. 顧客のプロフィールから、ニーズが満たされていない原因を調査する

この過程によって、特定した顧客ニーズの中から満たされているニーズと満たされていないニーズを分け、それぞれの顧客グループ(セグメント)を絞ることができます。

ここで特定されたセグメントを、アウトカムベースセグメントと呼びます。

ステップ5:バリュープロポジションを定める

アウトカムベースセグメントによって、満たされていない顧客ニーズとその顧客グループ、そして満たされていない原因を明らかにしました。

実は、この結果自体が将来のバリュープロポジション(顧客に提供する価値)となります。

企業は、この結果に従って製品の開発や改良を行い、また顧客に対して積極的にアピールをすると効果的です。

例えば、既存プロダクトを持つ企業はどうでしょうか。ジョブ理論を適用し、満たされていないニーズと顧客グループに対して既存プロダクトのマーケティングを集中させるだけでも結果は変わります。もちろん、製品/サービスがすでにニーズを満たせる価値を持つ場合に限りますが。

ステップ6:競合分析を行う

ジョブ理論における競合分析の目的は、競合製品の機能を比べてより良いものを作ることではありません。競合製品から、顧客のジョブをより早く効率的に完了させるためのインサイトを得て、自社製品に活かすことにあります。

そのため、競合分析では顧客に対して調査を行います。彼らがジョブを達成するうえで競合製品のどこに価値を見出し、どこに不満を持っているのかを洗い出すのです。

これにより、企業は自社製品を、顧客がジョブをよりうまく達成できるよう改良することに繋げられます。

ステップ7:イノベーション戦略を立てる

イノベーション戦略とは、次の2つを具体化した計画のことです。ターゲットとしているアウトカムベースセグメントと、その中にある満たされていないニーズをどう特定するか。そして、それに対してどのようなアクションを取るか。

ジョブ理論では、量的調査や質的調査など多様な分析手法を用いてセグメントを調べます。そのうえで、狙うべきニーズを決め、それに対するソリューション開発を行います。

イノベーション戦略では、これらをまとめて、一貫性のある計画を作ります。

ステップ8:隠れた成長機会を見つける

ステップ3で洗い出した理想の結果リストのなかに、満たされていない結果(ニーズ)は複数あります。そのどれにターゲットを定めるかは、非常に重要な決断です。

この意思決定をするために、ステップ4のセグメンテーションで利用した顧客への量的調査を再び活用します。

一度アウトカムベースセグメントが洗い出され、どのセグメントに狙いを定めるか決めたら、次は「JOBS TO BE DONE: Theory to Practice」にて定義されている以下のアルゴリズムを使い、セグメントの中のどのニーズに絞るかを決めます。

ジョブ理論の実践ステップ8例えば、270人調査対象者のうち200人(74%=7.4)が「操作エラーが出る可能性を最小化する」というジョブ完了結果についての満足度を1〜5(1<5)で評価し、たった75人(28%=2.8)が4or5の回答をしたとします。

この場合、Opportunityスコアは上記のアルゴリズムを使って(7.4) + (7.4 – 2.8) = 12.0となります。

このスコアが10以上の場合は、結果に対する満足度が低い、つまり満たされていないニーズという判断になります。

また、Opportunityランドスケープを使うと、視覚的にどのニーズが満たされていないか見ることができます。

ジョブ理論の実践ステップ


Opportunityランドスケープでは全ニーズを3つにカテゴライズします。

  1. 満たされていないニーズ
  2. 適切に満たされているニーズ
  3. 過剰に満たされているニーズ

満たされていないニーズに対しては、ジョブをよりうまく・早く完了するソリューションの提供が必要です。

逆に、過剰に満たされているニーズは既存プロダクトで十分に満たされています。類似のプロダクトでも確実にニーズを満たせるため、ここは低価格なプロダクトへのニーズがあるエリアになります。

ステップ9:マーケット戦略を立てる

ジョブ理論において、マーケット戦略を立てる際に重要なのは、ここまでのステップで集めた顧客ニーズに関するデータをマーケティング戦略にしっかりと落とし込むことです。

ステップ8で明らかになった「満たされていないニーズ」に対して、プロダクトのどの強みがそのニーズを満たすのかを明示すると、マーケティングの伝え方は非常に効果的になります。

一方、「過剰に満たされているニーズ」に対しては類似他社プロダクトよりコストメリットが高いことを戦略の主軸に持ってくるとうまくいく可能性が高いです。

具体的には、次の6つのステップでマーケティングアクティビティを進めるのがオススメです。

  1. どのプロダクトを各アウトカムベースセグメントに当てはめるか決める
  2. プロダクト/サービスの強みを目標のセグメントの顧客に伝える
  3. 2を行う際にステップ5で明らかにしたバリュープロポジションを含める
  4. 満たされていないニーズに対してデジタルマーケティング戦略を立てる
  5. マーケティングから生まれた新規リードを、ニーズの種類ごとに適切な担当者に割り当てる
  6. セールスチームを効果的なセールスツールで武装する

ステップ10:プロダクト戦略を立てる

最後のステップは、ジョブ理論を活用したプロダクト戦略です。

効果的なプロダクト戦略があると、企業は次の2点を実現することが可能です。

  1. プロダクトの向上・改善
  2. 1つのプラットフォームでジョブ全体を完了できるソリューションの提供

一度、満たされていないアウトカムベースセグメントとその中で優先すべきものが明らかになると、企業は次の7つのアクションを取ることで上記2点を実現できます。

  1. 他社プロダクトの特徴を取り込む
  2. R&D・サプライチェーンの見直し
  3. 他社とパートナーシップを組む/製品販売ライセンスを取得する
  4. 企業を買収してギャップを埋める
  5. 新たな機能を開発する
  6. サブシステムや補助システムを開発する
  7. 最終的なソリューションのコンセプトを考える(1つのプラットフォームなど)

ジョブ理論の活用事例

上記の実践ステップを実際にたどった事例を、2つ別記事に掲載しています。マイクロソフトとBOSCHの事例です。

ジョブ理論の事例2選|成功例から学ぶ顧客ニーズの見つけ方

中小企業は10ステップを3つに縮めてよい

ここまでの10ステップは、数百人規模の定量調査を実施できる企業を前提に組まれた手順です。中小企業がそのまま始めると、ほぼ確実にステップ3か4の調査で止まります。調査の設計にも実施にも、それなりの費用と人手が要るからです。

ただ、10ステップがやっていることの中身は、規模を落としても再現できます。要点は次の3つに縮められます。

縮めた版1.既存顧客5〜10人に「買う前、何をしようとしていたか」を聞く

ステップ1から3をまとめたものです。新規の見込み客ではなく、すでに買ってくれた顧客に聞くのが要点になります。

聞き方は「どんな商品が欲しいですか」ではありません。「これを買う前、あなたは何をしようとしていましたか」です。返ってくる答えが、その商品が雇われているジョブです。5人に聞いて同じ答えが3人から返ってくれば、輪郭としては十分です。

縮めた版2.まだ不便が残っている場面を1つだけ選ぶ

ステップ4から8をまとめたものです。同じ顧客に「いまも面倒だと感じている場面はありますか」と聞き、複数出てきた不便のなかから1つだけ選びます。

選ぶ基準は、多く挙がったものではありません。「その不便を減らせたら、この人はうちに払う金額を増やすか」で選びます。全員が挙げていても、対価につながらない不便は後回しで構いません。

縮めた版3.商品か、提供の仕方のどちらかを変える

ステップ9と10をまとめたものです。ここで多くの会社が商品開発の話に飛びますが、実際には提供の仕方を変えるだけで解決する不便のほうが多いのです。

納品までの日数、問い合わせへの返答、説明資料の分かりやすさ。顧客が面倒だと感じているのは商品そのものではなく、商品にたどり着くまでの手間であることが少なくありません。この観点は「顧客努力指標(CES)とは?測り方とNPS・満足度との違い」で詳しく扱っています。

3つに縮めても失われないもの

縮めた版で失われるのは、精度と網羅性です。どのセグメントがどれだけの規模かは分かりません。

一方で失われないものがあります。「顧客が何をしようとしているかを、自社の想像ではなく本人の言葉で確認する」という工程です。ジョブ理論の値打ちはここに集約されています。調査の規模を落としても、この工程を飛ばさない限り、得られるものはあります。

逆にいえば、10ステップを全部やっても、顧客に直接聞く工程が抜けていれば意味がありません。

ジョブ理論実践ステップまとめ

いかがだったでしょうか。

ジョブ理論というコンセプトを実際のマーケティングやプロダクト開発に繋げる為のステップを紹介してきました。


最も重要なのは、適切な調査を適切なステップで行い、正しいデータを洗い出すことです。

コア機能的ジョブの特定や期待される理想の結果は、定性的な調査が有効で、アウトカムベースセグメンテーションやセグメント内のニーズの仕分けに関しては定量的な調査が適切です。

それぞれのデータを使って、どの顧客セグメントでニーズが満たされていないのかを洗い出します。そして優先順位をつけ、それに合わせて既存プロダクトの改善や新規プロダクトの開発を進めましょう。

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ジョブ理論を一度使って商品が売れたとしても、それが社長や一部の担当者の頭の中だけにあると、会社としては再現できません。顧客に聞く時期と聞き方を決め、出てきた答えを残し、次の商品開発に渡す。ここまで形にしてはじめて仕組み化されたと言えます。仕組み経営では、社長がいなくても成長する会社づくりをご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


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