今回は、ナイキのビジネスモデルを紹介します。
ナイキといえばスニーカーやランニングウェアなどスポーツウェアブランドとして世界中で愛されていますよね。
そんなナイキの成功の秘訣は、人々の需要を創造するビジネスモデルにあったのです。
本記事では、まずは経営理念、そしてビジネスモデルついてグラフと共に詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください!
ナイキの経営理念とは
ナイキの経営理念は、
「世界中のすべてのアスリート*にインスピレーションとイノベーションをもたらすこと」
*身体さえあれば誰もがアスリートである
とされています。
本経営理念には、以下のような意味が込められています。
“私たちのミッションは人間のポテンシャルを拡大するためにあらゆることを可能にすることです。私たちはこのミッションを、革新的なスポーツイノベーション、商品をより持続可能にすること、クリエイティブで多様性のあるグローバルなチームを作ること、そして私たちが生活し、働くコミュニティにポジティブなインパクトをもたらすことによって実現します。”
出典:NikeのグローバルHP, https://about.nike.com/
ナイキのビジネスモデルの概要
では、ナイキのビジネスモデルを見ていきましょう。
まずは全体像です。
ナイキはご存知の通り、スポーツ用品を製造・販売し、収益をあげています。
(出典:FourWeekMBA.com, https://fourweekmba.com/nike-business-model/)
そんなスポーツ用品の中でもナイキの主要収入源はスニーカーなどのフットウェアです。
フットウェアでは主に卸売業者を通じた売上が大きく、世界中にナイキブランドを広めています。
2017年のデータによると、収益の60%はフォットウェアが占め、28%がアパレル、その他はスポーツ用品やコンバースブランドが占めています。
そんなナイキの成功の秘訣は、需要を創造する能力にあるのです。
このことを裏付ける2017年のデータによると、ナイキは33億ドル、日本円で約3540億円もの金額を需要創造(Demand creation)に費やしています。
(出典:FourWeekMBA.com, https://fourweekmba.com/nike-business-model/)
では、もう少し細かくビジネスの中身を見てみましょう。
ナイキのビジネスモデル:商品
ナイキの商品は9つのキーカテゴリーに分かれています。
- ランニング
- NIKEバスケットボール
- The Jordan Brand
- サッカー
- メンズトレーニング
- ウィメンズトレーニング
- アクションスポーツ
- スポーツウェア
- ゴルフ
メンズトレーニングにはバスケットボールやアメフト商品も含まれています。
また、ナイキはキッズ商品や他のスポーツ(ラクロス、テニス、バレーボール)、その他アウトドアアクティビティー用の商品も取り揃えています。
特に売上が大きいのはランニングとThe Jordan Brand、メンズトレーニングウェアです。
ナイキのビジネスモデル:流通と生産
ナイキはアメリカのテネシー州にあるメンフィスという都市に6つの主要な流通センターを持っています。
そのうち2つは自社で所有し、残り4つは契約で借りています。
製造に関しては、15カ国におよそ127のフットウェア工場を有し、一番大きな工場ではナイキブランドのフットウェア商品の約8%を製造しています。
ナイキのフットウェアの全商品はアメリカ以外の国で生産され、工場はナイキと契約を結ぶ独立した製造業者が請負っているそうです。
2017年にはベトナムで46%、中国で27%、インドネシアで21%のフットウェアが生産されました。
ナイキのビジネスモデル:収益の内訳
ナイキの収益の内訳を見てみましょう。
2017年の決算資料によると、ナイキグループ全体の収益はおよそ340億ドル(約3652億円)、最も収益をあげているフットウェア事業は約210億ドル(約2255億円)、続くアパレルは96億ドル、そしてコンバースブランドでの収益が20億ドルでした。
チャネル別の売上を見てみると、卸売業者(日本でいうABCマートなど)への売上が全体の72%を占め、収益は230億ドルとなっています。
消費者への直販からの収益は約90億ドルで、グローバルブランドディビジョン(ナイキブランドのライセンス事業)からの収益が全体の0.3%の7300万ドルです。
地域別売上では、北米が圧倒的に多く、全体の15%である150億ドル、続いて西ヨーロッパが60億ドル、その後に中国、新興国、中央ヨーロッパ、日本と続きます。
ナイキの成功の秘訣:需要創造モデル
冒頭で紹介したようにナイキのビジネスモデルで最も重要であり、成功の秘訣は人々の需要を創り出す仕組みにあります。
上記の表は、ナイキが需要創造にどれだけの費用を費やしているかを表しています。
2017年には約33億ドル(3540億円)をも需要創造のために支出しています。
需要創造支出の中身は、広告やプロモーションの費用、具体的にはスポーツ選手とのエンドースメント契約(スポンサー契約)やテレビ、デジタル、紙媒体の広告、ブランドのイベントなどとなっています。
また、2017年のデータを見ると需要創造支出は2016年から2%増加しており、マーケティング費用はもちろんのこと2016年に開催されたリオオリンピックやユーロサッカーのチャンピオンシップなどのスポーツイベントに伴うプロモーションコストなどが理由と考えられます。
つまり、ナイキはブランドのPR、広告宣伝に資金を惜しまず注ぎ込み、消費者の需要を作り出すことにとても注力し、それが売上を支えているのです。
このような需要創造ですが、エンドースメント契約(スポンサー契約など)による支出額は以下の2つ方法で計上されています。
1つ目は、契約した特定のアスリートや著名人のパフォーマンスに基づいてスポンサー料を支払うやり方です。
ナイキは、エンドースメント契約(スポンサー契約)を結んでいる選手が定められた目標を達成する時に需要創造費用を出しています。
特定のアスリートとの契約では、アスリートがパフォーマンスを長期間維持すること(例えば、一定以上の世界ランキングを一年間維持する 等)を前提に、スポンサー費を支払う形をとっています。
契約期間中に支払いの可能性が高い、つまり選手が目標を達成/一定以上のパフォーマンスを維持しそうだとナイキが判断した場合、ナイキは選手のパフォーマンス結果に基づいて契約期間中の支払額を見積もり、需要創造コストとして支出に計上します。
2つ目の計上方法は、ロイヤルティフィーによる計上です。
パフォーマンスベース以外のエンドースメント契約では、それぞれの商品の売上から決められた割合をロイヤルティとしてエンドースメント契約を結ぶ相手に支払い、需要創造費として計上します。
以上のようにして、ナイキは需要創造を記録しているのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ナイキの経営理念とその意味、そしてナイキのビジネスモデルを説明してきました。
ナイキのビジネスモデルのポイントは、常に顧客の”欲しい”を惹きつけ、需要を喚起することに支出を惜しまないことであることがわかりました。
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