渥美俊一「商業経営の精神と技術」

渥美俊一の書籍3冊の要約|チェーンストア組織の基本ほか



ニトリ、ダイエー、イトーヨーカ堂など、名だたる店舗ビジネスを指導した渥美俊一氏。本記事では、同氏の書籍3冊「チェーンストア組織の基本」「商業経営の精神と技術」「フードサービス業チェーン化入門」から、印象に残った箇所を引用しながらご紹介します。

店舗ビジネスに限らず、仕組み化のヒントが多数含まれています。ぜひご参考にされてください。

渥美俊一氏の主な書籍

渥美俊一氏は、日本にチェーンストア理論を持ち込み、体系化した人物です。読売新聞社の記者として多くの企業を取材したのち、1962年にチェーンストア経営研究団体「ペガサスクラブ」を設立し、多くの経営者を指導しました。

主な書籍は次のとおりです。

  • 21世紀のチェーンストア……チェーンストア理論の全体像を示した一冊。要約はこちら
  • チェーンストアのマネジメント……多店舗化における実務の進め方。要約はこちら
  • チェーンストア組織の基本……組織づくりと分業の考え方
  • 商業経営の精神と技術……経営者としての姿勢と商品づくり
  • フードサービス業チェーン化入門……外食業を例にしたチェーン化の進め方

本記事では、このうち後半の3冊から引用していきます。

 

組織の基本は分業にある

(引用)各人の力の分散を避けるのが分業

組織の基本は分業、というのは太古の昔からの原則です。

人の脳は、基本的に同時に複数のことを処理できません。一個一個を順番に処理しています。

なので、複数の業務を同時にこなすと無理が生じます。だから分業制が取られているわけです。

では、どう業務を分け、どこを誰が担当するか。これが組織戦略です。そして、それが生産性や個人の能力を発揮できるかどうかに関わってきます。

分業のメリットと落とし穴については「分業とは?分業化・分業制の意味とメリット・デメリット」で詳しく扱っています。

 

明るい職場とは、何を信じられる職場か

(引用)明るい職場とは、社員が次のことを信じていること。
1.自己育成が出来る
2.公正な待遇
3.将来、どこでも社会貢献出来る人材になっていること

挨拶の元気がいいとか、職場の雰囲気がいいといったことは、もちろん必要です。

ただ、そうした表面上のテクニックだけを教え込んでも、組織の強みにまではなりません。

渥美氏が挙げている3つは、どれも社員の気持ちの持ちようではなく、会社が用意すべき条件です。自己育成ができるか、待遇が公正か、この会社にいれば通用する人材になれるか。明るい職場かどうかは、雰囲気ではなくこの3つで決まる、という見方になります。

 

人材育成が機能する条件

(引用)どんなにトップが人材育成の意思や組織作りのロマンを語っても、それが自分の人生に大きな価値をもたらすと受け止められなければ、人々の協力は引き出すことが出来ない。

企業は人なり、と言う社長は多いものです。しかし、それが仕組みにまで落とし込まれていないと、単なるスローガンで終わってしまいます。

さらに、人材育成の計画にも条件があります。それが一人ひとりの人生計画と噛み合っていなければ、かえって社員離脱の原因になります。本人にとって人生計画が先にあり、仕事はその中に置かれているからです。

人を育てる仕組みの作り方は「人を育てる仕組みとは?中小企業が実践すべき4ステップ」でご紹介しています。

 

顧客への敬意は、商品そのものに込める

(引用)モノと͡コトを分けて考えるのではなく、提供する商品そのものに、自分たちのあらゆる調査、研究、計画、実験、分析などの知的・肉体的努力の限りを込める

「仕組み経営」では、顧客に対する最高の敬意は商品の中にこそ込められるべきものと考えています。

顧客以上に顧客のことを考えて作られた商品。それがあってはじめて、顧客サービスが活きます。

逆に言えば、商品そのものに手が入っていない状態でいくら接客を磨いても、限界があるということです。

 

20年後、30年後も必要とされる会社であるために

(引用)20年度、30年後に世の中がわが社をなくてはならない社会インフラとして受け止めてくれることが大切である。

チェーンストア理論も、マイケル・E・ガーバー氏のアントレプレナーシップも、”成長”が大原則です。


自社を2倍、3倍ではなく、1万倍にするビジョン。

そのために絶対的に求められるのが、最低限この2つです。

  • スタープレイヤーでなくても活躍できる仕組み
  • 世の中に広く受け入れられる商品(コモディティ)

 

ストアコンパリゾン(他社視察)をサボると事業は停滞する

(引用)ストアコンパリゾンをサボると事業は停滞する

ストアコンパリゾンとは、他社の店舗を見て真似できる点を学ぶことです。渥美氏は指導先を連れて、米国のチェーン店視察を繰り返してきました。

やはりチェーンストアビジネスは米国のほうが進んでいるからです。

話は少しそれます。ソフトバンクの孫さんの弟である孫泰蔵さんも事業家ですが、最近、自社オフィスを撤廃することを発表しました。

これからの時代にオフィスは要らない。「現場」と「本場」に行けばいい、とのことです。

現場とは、解決すべき問題が起こっている場所。そして本場とは、解決策がある場所のことです。

これをストアコンパリゾンに当てはめれば、

現場・・・自社(解決すべき問題が起こっている場所)
本場・・・米国チェーンストア(その解決策を持っている場所)

となるでしょう。

あなたにとって、解決策がある場所とはどこでしょうか?

3冊に共通していること

3冊を通して読むと、渥美氏の主張が一つの軸に集約されていることが分かります。成果が出ないとき、原因を人の努力不足に求めないという立場です。

分業は各人の力が分散するのを避けるためにある。明るい職場は雰囲気ではなく3つの条件で決まる。人材育成は本人の人生計画と噛み合っていなければ続かない。どれも、会社の側に用意すべきものがある、という話になっています。

これはチェーンストアという業態の性質から来ています。店舗数が増えれば、優秀な人だけを集め続けることはできません。普通の人が普通に働いて同じ成果が出る形を作らなければ、多店舗化は成立しないのです。

だからこそ、この3冊の内容は店舗ビジネス以外にもそのまま当てはまります。人が増えても品質が落ちない会社をつくるという課題は、業種を問わず同じだからです。

人が増えても品質が落ちない会社づくりなら仕組み経営

以上、渥美俊一氏の書籍3冊から、仕組み化に関わる箇所をご紹介してきました。仕組み経営では、社長がいなくても成長する会社づくりのための仕組み化をご支援しています。詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。

 


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