※組織づくりについては、以下でも解説しています。
※書き起こしは以下から。
組織図の種類9つの一覧
先に全体を並べておきます。それぞれの詳しい解説は、この下で1つずつ扱います。
- ①機能的構造……営業・開発・経理など、会社の機能で分ける。もっとも一般的
- ②商品ベースの構造……商品・サービスごとに分ける。売れ筋が複数ある会社向け
- ③マーケットベースの構造……業界や顧客タイプごとに分ける。業界知識が要る事業向け
- ④地理的な構造……地域・テリトリーで分ける。店舗ビジネスや物理的な納品がある事業向け
- ⑤プロセスベースの構造……業務の流れの段階ごとに分ける
- ⑥マトリックス構造……縦と横の2軸で分ける。1人が2本の指揮命令系統を持つ
- ⑦円形構造……上位を円の中心に置き、外側へ広げる
- ⑧フラット構造……管理階層をほとんど置かない
- ⑨ネットワーク構造……部門の多くを社外のリソースに置き換える
中小・成長企業が現実的に選ぶのは、①から④のどれかです。⑤以降は運営が複雑になるため、規模が小さいうちは扱いきれません。理由は記事の後半で説明します。
組織図・組織構造・組織形態の違い
似た言葉が3つあります。指しているものはほぼ同じで、どの角度から呼んでいるかの違いです。
- 組織図……会社のかたちを図にしたもの。目に見える成果物
- 組織構造……会社をどの単位で分けて、どうつなぐかという設計そのもの
- 組織形態……その型を指す言い方。「機能別組織」「事業部制組織」のように使う
実務では、この3つの使い分けに悩む必要はありません。大事なのは名前ではなく、その図を見た社員が「自分は誰に報告するのか」「何に責任を持つのか」を判断できるかどうかです。そこが読み取れない図は、どれだけ整った形をしていても組織図として機能していません。
レポートライン(指揮命令系統)とは
レポートラインとは、誰が誰に報告し、誰の指示を受けるかを示す線のことです。日本語では指揮命令系統と呼びます。組織図で箱と箱をつないでいる線が、そのままレポートラインです。
原則は、1人につき1本です。2本以上を持たせると、この記事の⑥マトリックス構造になります。
実務では、実線と点線を使い分けることがあります。実線は人事評価と業務指示の権限を持つ上司、点線は業務上つながっている相手です。ただし、点線を引く前に実線が1本に定まっているかを確認してください。実線が曖昧なまま点線だけを増やすと、指示が食い違ったときに現場が判断できなくなります。
指揮命令を持つ部門と、支援に回る部門の分け方はライン部門とスタッフ部門の違いで詳しく扱っています。
組織図の種類は9つに分類できる
日頃、会社の仕組みづくりをお手伝いしているんですけれども、その過程で必ずやるのが、組織図の作成です。
中小企業でこれから成長していこうという会社は、結構、組織図がないケースが多いですね。社長の頭の中にはあるんだけれども、とくに明文化された役職、部門、役割がないケースが多いです。
まずそこから整えていくのが、仕組み作りの最初の方のステップなんですけれども、その組織図を作ったことがない社長が多いわけです。
そこで今日は、どういう組織図の種類があるのか、9つに分けてご紹介したいと思います。
※今日の内容は、ハブスポットが出しているレポートを参考にしています。
組織図の種類①機能的構造
まず、1つ目のタイプが機能的構造です。
組織図を作りましょうといった時には、だいたいこのパターンですね。社長がいて、営業部があって、経理部があって、総務、開発みたいな感じですね。要は会社の機能によって部門を作っていくというモデルになります。
これが一般的ですし、私達もこれをお勧めしているケースが多いです。
この組織構造のメリットは、社員の専門性を高めるということですね。営業部、技術みたいに分かれていますので、その部門に所属している人は、その業務について、どんどん専門的な知識を身につけていくということです。
一方でデメリットが、部署間に壁を作ってしまうということです。よく営業部門と技術部門は対立しがちだということがあったり、経理の人は営業の人の雑な処理の仕方にイラついているというケースもよくあったりします。なので、部署を分けたんだけれども、その間で軋轢というか壁ができるということです。
もちろん、こういう壁を取り除くための仕組みもあるので、一般論としてこういうデメリットがありますということをお話しています。具体的には、部門をまたぐ会議体を設計して、部門間で決めるべきことをその場に載せる方法があります。壁ができる原因は担当者の性格ではありません。部門をまたぐ判断を、どこで誰が決めるのかが決まっていないからです。この構造そのものは分業のメリットとデメリットでも扱っています。
組織図の種類②商品ベースの構造
2つ目は、商品ベースの分類構造です。
これは、売れ筋の商品がいくつもある会社にあるパターンです。プロダクトごとに部門分けします。各部門ごとに営業やマーケティングチームが存在するということです。A商品を扱う事業部、部門があって、B商品を扱う部門があってみたいな感じで、その部門ごとに営業機能、マーケティング機能、もしくはバックオフィスの機能があったりするということです。
この場合のメリットは、複数プロダクトを持つ会社に最適で、開発サイクルを短縮化可能ということです。複数の商品がある時に、さっきみたいに機能別の状況になっていると、社内の業務とかプロセスが複雑化しやすいです。でも、1つの部門で同じ商品を成功させようという人達が集まっているわけなので、プロセスもシンプルになりやすいということです。
一方のデメリットは、スケールが難しく、リソースの重複が発生するということです。さっき言った通り、商品ごとに営業がいたりとか、商品ごとにバックオフィスがあったりとか、商品ごとにマーケティングがいたりするので、重複している業務をやっている人が会社の中に何人かいたりすると。それでリソースの重複が発生してもったいないんじゃないかという話です。
組織図の種類③マーケットベースの分類構造
次にマーケットベースの分類構造です。これは業界や顧客タイプごとに部門分けするということです。私が昔いた会社は、当時はこれになっていました。例えば、金融業界向けに営業するグループがあったりとか、建設業向けに営業をするグループだったりとか、メーカー向けとかいろいろ業界別にお客様がいたので、業界ごとに特化して部門を作っていくということです。
これのメリットは、特定のマーケット独特のプロダクトを提供する会社に最適であるということです。IT系とか金融業界向けにやるには金融業界の知識がないとできないので、そうすると金融業界向けの部門を作って、そこで専門特化してやっていった方がよいという話になってくるわけです。
デメリットは、各部門に自治があり過ぎて組織としての一貫性が薄くなるということです。その部門では固まってうまくやっているんだけれども、他の部門との交流がないと、他の部門でなにをやっているのか分からないという話になる可能性があるということです。
組織図の種類④地理的な分類構造
4つ目。地理的な分類構造。これも中小企業でよくあるパターンです。地域、テリトリーなど地理別に部門分けをするということです。
メリットはサプライヤーや顧客と物理的に近くにいる必要のあるビジネスに最適であるということです。物理的なものを納品しないといけないですとか、お客様と会ってやらないとだめとか。店舗ビジネスなんてまさにそうです。西日本、東日本、もしくは四国、関東、近畿とかそんな感じです。分けた方がやりやすいという会社はこういう構造になるということです。
デメリットは意思決定を中央に集中しづらい。地域ごとで競争相手となりかねないということです。
組織図の種類⑤プロセスベース構造
これは最初の機能別にちょっと近いんですけれども、ワークフローのプロセスごとに部門分けすると。ちょっと分かりづらいですけれども、会社ってだいたい大きな業務フローが決まっているわけです。うちの場合だったら、コンテンツの開発があって、それをマーケティングする、営業する、そしてお客様に提供するという大きな流れがあるわけです。その流れごとに組織を分けていくというやり方がありますということです。
メリットは、ビジネスのスピードの効率を向上させるということです。
デメリットはプロセスグループ間に壁ができやすいということです。
これは最初の機能別の構造にちょっと近いかなという感じです。この形を選ぶなら、先に自社の業務プロセスが書き出されている必要があります。流れが見えていないのに流れで組織を分けることはできないためです。
組織図の種類⑥マトリックス構造
中小企業でも意外とこれをやっている、もしくはやりたがる会社が多いです。これはヒエラルキー型で部門があるんですけれども、横軸で切ってまた別の組織を作るモデルです。全社員が縦横2つのレポーティングラインを持つということです。機能的ラインとプロダクトベースラインです。
例えば、ある社員は縦軸でA商品を担当する部門に入っています。同時に横軸で営業部隊にも入っていると。なのでその人は、A商品の営業部隊ということなんですね。別の人は、A商品の中に入っていて開発をしているということなので、この2つのに入っているということになります。
マトリックス型のメリットは、柔軟でバランスのとれた意思決定ができるということです。
デメリットは複雑で混乱しやすいということです。
確かにこれは大企業にはあるパターンではあると思うんですけれども、中小企業でこれをうまくマネジメントするのは相当難しいです。理由は複雑になるからです。なので中小企業でもしこういうことをやりたいのであれば、組織図は組織図でちゃんと作っておいて、横軸に入れたい機能は、別途で考えた方がいいんじゃないかと。要するに1つの組織図にまとめないということです。そうしないと誰が上司なのか分からなくなります。誰にレポートすればいいのか、誰に報告すればいいのか分からないという組織なので、やりがちなんだけど危険な組織構造かなと思います。
大企業で組織運営のやり方が熟達しているのであれば、よくある組織構造です。しかし中小・成長企業にはあまりお勧めしません。
組織図の種類⑦円形構造
これは私は見たことがないんですけど、ハブスポットのレポートに書いてあったので載せているんですけれども、ヒエラルキーの上位は円の中心付近。内から外に向けてビジョンを拡散していくということです。この図に書いてある感じなんでしょう。トップマネジメントの人がいて、分散型で広がっていく組織です。
メリットはコミュニケーションとコラボレーションを活発化させる。
デメリットは構造が複雑でレポーティングラインがどこか分かりづらいということです。
この図を見ても複雑になるなという感じはします。これはあまり実際の例としては考えられないかなと思います。
なお「円形組織図」という言葉は、この構造そのものを指す場合と、単に組織図を円形のデザインで描いた図を指す場合があります。後者はデザインの話であって、組織のかたちが変わるわけではありません。見た目を円にしても、誰が誰に報告するのかが変わらなければ、実態は元の構造のままです。
組織図の種類⑧フラット構造
これも最近よく流行っている構造かなと思います。マネージメント階層が非常に少ないため、リーダーシップが非常に身近であるという特徴があります。
メリットはヒエラルキーがかなり少ないため、社員の生産性が高まる。
デメリットはレポーティングラインが明確でないと意思決定がまとまりにくいということです。
これはフラット構造になっちゃってる場合と、意識して作る場合とあります。なっちゃう場合っていうのは、社長が創業して、だんだん人が増えていくんだけど、組織図を意識しないでやっているので、鍋蓋型になってフラット構造になってしまうというパターンです。これはあまり良くないので、変えていく必要があるのかなと思います。
もう1個のパターンとしては、官僚化して階層構造が非常に多かった組織を敢えてフラット構造にしていくというパターンがあるのかなと思います。このパターンであれば、ちゃんと考えて作っているのでいいのかなと思います。確かにヒエラルキーが少なければ意思決定も早くなりますので、生産性も高まるかなと思います。
フラット構造にしたいという人が増えているのは、ティール組織が非常に流行ったせいもあると思うんです。ただし、ティール組織は必ずしもフラット構造ではありません。
意識してフラット構造にする場合の作り方は、フラット組織を創るには?にまとめてあります。
組織図の種類⑨ネットワーク構造
最後、9個目です。ネットワーク構造。
これは外部リソースをかなりの部分使うということです。各部門が社外のリソースとなるということです。部門ごとアウトソーシングしてしまうというパターンもあったりするということです。
このメリットは、コストの面で非常に安くつくこと、そしては安定稼働です。その部門を専門の会社にアウトソーシングしますので、非常に安定した品質を確保していけるということがあったりします。
デメリットは、組織図は外注先の数などで変わるため、明確でシンプルでないと混乱が生まれるということです。アウトソーシングすればするほど、その管理のコストも生まれてきますので、その辺もデメリットになるのかなと思います。
一流企業・大企業の組織図はどうなっているのか
「一流企業の組織図を見てみたい」という声をよくいただきます。実際に見てみると、大企業の組織図は9つのうちのどれか1つではなく、複数の組み合わせになっています。
典型的なのは次の3層構造です。
- 最上位は事業部で分ける(②商品ベースか③マーケットベース)
- 各事業部の中は機能別で分ける(①営業・開発・管理など)
- そこへ全社の管理部門やプロジェクトが横串で入る(⑥マトリックスの要素)
階層の数は、会社の方針ではなく人数で決まる
大企業の組織図が何段にも重なって見えるのは、社風が官僚的だからではありません。一人の上司が直接見られる人数に限りがあるためです。おおむね5〜10人が上限で、これを超えると一人ひとりの状況が見えなくなります。
社員1万人の会社なら階層は4〜5段必要になります。社員30人の会社なら2段で足ります。人数が違えば必要な段数が違うので、形が違って当然です。
一流企業の組織図をそのまま真似てはいけない理由
大企業の組織図を写すと、空の箱ばかりの組織図ができます。役職名だけが立派に並び、中に人がいない。あるいは一人が3つの箱を兼務していて、実態は何も分かれていない。この状態はよく起こります。
真似るなら、形ではなく別のところを見てください。その会社が「どの単位で利益に責任を持たせているか」です。事業部制を採っている会社では、事業部長が売上と費用の両方に責任を持ちます。だから事業部ごとに判断が早くなります。ここを写さずに箱の形だけ写しても、判断の速さは手に入りません。
なお、箱を作る前に、その箱を任せられる人がいるかどうかも確認が要ります。経営幹部が育っていない状態で階層だけ増やすと、報告の経路が伸びるだけで判断は速くなりません。
中小・成長企業にはどの組織図の種類がお勧めか?
以上、9つの種類の組織図をご紹介しました。結論から言うと、中小・成長企業の場合には、1、2、3、4からどれかを選ぶのがいいかなと思います。5、6、7、8、9はちょっと難しいし、あまり中小・成長企業では使わないかなと思います。
ですので、機能別に分けるか、商品ごとに分けるか、お客様の業界とかタイプごとに分けるか、もしくは地理別で分けるか?
この中から自社に適したものを選んでいただいて組織図を作っていただくといいのかなと思います。
4つのうちどれを選ぶかの決め方
迷ったときは、「自社では何が違うと、やり方が大きく変わるのか」を考えてください。そこが分け方の軸になります。
- 扱う商品が変わると、売り方も作り方も変わる → ②商品ベース
- 顧客の業界が変わると、必要な知識も提案も変わる → ③マーケットベース
- 地域が変わると、商圏も人の動き方も変わる → ④地理的
- 上のどれもそれほど変わらない → ①機能的
特に理由が見当たらないなら、①機能的構造を選んでください。もっとも運営が単純で、社員にも説明しやすい形です。会社が大きくなって①では回らなくなったときに、②③④へ移せば足ります。最初から複雑な形にする必要はありません。
選んだあとの具体的な作り方は会社の組織図の作り方にまとめてあります。
組織図の種類に関するよくある質問
組織図の種類は全部で何個ありますか?
分類の仕方によって変わります。この記事では9つに分けていますが、3つや5つに分ける整理もあります。個数を覚えることに意味はありません。自社の分け方の軸が「機能・商品・顧客・地域」のどれなのかを決められれば、それで足ります。
組織図と組織構造の違いは何ですか?
組織図は図そのもの、組織構造は会社の分け方とつなぎ方の設計です。組織構造を決めた結果を紙に落としたものが組織図だと考えてください。組織形態もほぼ同じ意味で、「機能別組織」のように型を指すときに使われます。
組織図には部門名を書くのですか、人名を書くのですか?
先に部門と役割を書き、あとから人名を入れてください。人名から作ると、その人がいるから存在する部門ができてしまい、退職や異動のたびに組織図を作り直すことになります。会社に必要な機能を先に決めて、そこへ人を当てはめる順番が原則です。
一人が複数の部門を兼務している場合はどう書きますか?
箱は分けたまま、同じ人名を複数の箱に書いて構いません。むしろ、そう書くことに意味があります。一人が3つ4つの箱を持っている状態が図で見えれば、次に採用すべき役割がどこなのかが分かるためです。兼務を隠すために箱をまとめてしまうと、この情報が消えます。
組織図の英語表記は何ですか?
「organization chart」または「organizational chart」です。実務では省略して「org chart」と呼ばれます。組織構造は「organizational structure」、レポートラインは「reporting line」です。
組織図はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
最低でも年に一度、事業計画を立てるタイミングで見直してください。あわせて、人が増減したとき、新しい事業を始めたときにも確認が要ります。組織図が1年以上そのままなら、それは安定しているのではなく、見ていないだけである可能性が高いです。
組織図づくり&仕組みづくりなら
なお、「仕組み経営」では、自社に合う組織図づくりから、成長のための仕組み作りまでを一貫してご支援しています。
詳しくは以下から仕組み化ガイドブックをダウンロードしてご覧ください。


