価格競争とは?原因と巻き込まれない5つの対策・非価格競争



今回のテーマは、価格競争です。

会社を経営していると、競合にどうやって打ち勝つかが常に課題となります。

そんな中で、商品/サービスで差別化の付けづらいビジネスの場合には価格競争に巻き込まれることが珍しくありません。

競合商品/サービスより安く売ろうとして、結局利益が出ていないなんてことはありませんか?

本記事ではそんな価格競争について、価格競争とは何かを説明した後、価格競争に巻き込まれた時の対策について、アメリカの結婚式用品会社の例を使って解説します。

ぜひ最後までご覧ください!

価格競争に巻き込まれる会社と、そうでない会社があります。分かれ目は商品の質でも営業担当の交渉力でもありません。顧客から見て「同じようなものが並んでいる」状態になっているかどうかです。同じように見えるものが2つ並んでいれば、誰でも安いほうを選びます。それは顧客として正しい判断です。だから対策も、値引きを我慢することではありません。比べる材料を会社の側から渡すことになります。

価格競争とは?意味と定義

価格競争とは、辞書によると以下のように定義されています。

商品やサービスの販売にあたり,市場において,価格を主たる手段として各企業が相互に競争すること。

(ブリタニカ大国際百科事典より)

つまり、各企業が製品の質や顧客サービスではなく、価格の安さで競合に勝とうとする時に起こる値下げ戦争のことです。

価格競争が起こると、企業は必死にコストダウンに励み、最終的には利益を犠牲にする結果を招くこともあり、会社の体力を奪っていきます。

価格競争が起きる3つの条件

価格競争は、どんな市場でも起きるわけではありません。次の3つがそろったときに起こります。

  • 顧客から見て、商品やサービスの違いが分からない
  • 比べる手段が価格しかない
  • 売り手が多く、買い手が選べる状態にある

3つ目は自社では変えられません。変えられるのは1つ目と2つ目です。逆にいえば、違いが伝わっていて、価格以外に比べる材料があれば、競合が何社いても価格競争にはなりません。

注意したいのは、1つ目が「違いがない」ではなく「違いが分からない」であることです。実際には品質に差があるのに、顧客がそれを判断できない場合も結果は同じになります。この記事の後半で紹介する結婚式用品の会社が、まさにこの状態でした。布製と紙製という明確な違いがあったのに、ウェブサイトの画面上では見分けがつかなかったのです。

価格競争力・非価格競争・競争価格との違い

似た言葉がいくつかあるので、指している範囲を整理しておきます。

  • 価格競争……価格の安さで競い合うこと
  • 価格競争力……他社より安い値段で提供できる力。原価を下げる力、量をつくる力、仕入れの力から生まれる
  • 非価格競争……価格以外の要素で競い合うこと。品質、機能、納期、サポート、ブランドなどが対象になる
  • 競争価格……競合と競い合った結果として決まる価格。対義語は独占価格

中小企業が気をつけたいのは、価格競争力を高める方向には限界があるという点です。安く提供する力は原価と量で決まります。仕入れの量が多い会社ほど有利になるので、規模の大きい会社が構造的に強い。だから中小企業が向かうべきは、非価格競争のほうです。

自社がどちらの土俵にいるかは、一つの問いで確かめられます。「自社の商品が競合より3割高かったとして、それでも選ぶ理由を顧客は言葉にできますか」。答えが出てこないなら、いま選ばれているのは価格のおかげだということになります。

価格競争に巻き込まれる本当の原因

値下げでしか受注が取れない状態が続くと、多くの会社は営業のやり方に原因を求めます。もっと粘り強く交渉しよう、価値をきちんと伝えよう、と。

ただ、これは営業担当の能力の問題ではありません。伝えるべき違いが会社として決まっていないか、決まっていても顧客が確かめられる形になっていないか、そのどちらかです。

私たちは仕組み化を「自社独自の再現性のある仕事のやり方をつくること」と定義しています。ここでいう独自性は、他社と同じやり方をしている限り生まれません。同じようなやり方で、同じようなものを提供していれば、顧客にとって自社は選択肢の一つに過ぎない。選択肢の一つになった時点で、あとは価格で決まります。

顧客に「何が欲しいか」を聞いても答えは出ない

では顧客に聞けばよいかというと、そう単純でもありません。「何が欲しいですか」と尋ねれば、多くの場合「もっと安く」と返ってきます。

これは顧客が本音を隠しているのではありません。他に比べる材料がないので、価格の話をするしかないのです。顧客が欲しがるものは明白であり、それ自体は差別化になりません。安さは誰にとっても分かりやすく、分かりやすいからこそ違いにならないのです。

聞くとすれば、質問を変えます。「なぜ、うちを選んでくださったのですか」。既存顧客5人に同じことを尋ねて、3人から同じ答えが返ってきたら、それが選ばれている理由です。そしてその言葉は、そのまま自社の売り文句として使えます。

値下げで取った顧客は、値下げで去る

値下げには、その場で受注が取れるという即効性があります。問題はその後です。


値下げで決めた顧客は、次に安い会社が現れたときに同じ理由で離れます。選んだ理由が価格だけだからです。つまり値下げは、顧客を獲得する行為というより、その案件を一度だけ買い取る行為に近い。しかも一度下げた価格は戻しにくいので、同じ顧客との次の取引もその価格が基準になります。値決めが経営そのものだと言われるのは、この一回の判断が後々まで効いてくるからです。

では、価格競争に巻き込まれないためにはどうしたらいいのでしょうか?

価格競争に巻き込まれないための対策

価格競争に巻き込まれないためには、結論からいうと、価格以外で競争することが最適です。

価格以外で選ばれるための5つの手順

  • 1.いま選ばれている理由を、顧客に聞いて確かめる

自社が強みだと思っているものと、顧客が実際に選んでいる理由は一致しないことが多いものです。まずここを確かめます。

  • 2.その理由を、顧客が確かめられる形にする

「丁寧な対応」と書いても、競合も同じことを書いています。何をどうすることが丁寧なのかというところまで降ろして、はじめて違いとして伝わります。

  • 3.価格以外の比較軸を、こちらから提示する

納期、保証の範囲、担当者が代わったときの引き継ぎ、トラブルが起きたときの対応時間。顧客は比べ方を知らないので、こちらから渡します。

  • 4.顧客と直接つながる経路を持つ

間に入る人が増えるほど、伝わるのは価格と仕様だけになります。この点は、次に紹介するインタビューでガーバー氏が繰り返し指摘しているところです。

  • 5.選ばれた理由を、誰がやっても再現できる形にする

社長や特定の担当者だから選ばれている状態は、その人の限界がそのまま会社の限界になります。

5つのうち、もっとも飛ばされやすいのが1番目です。選ばれている理由を確かめないまま2番目以降に進むと、顧客が見ていないところを磨くことになります。労力はかかるのに違いとして伝わらない、という結果になりがちです。

業種によって、違いが出る場所は変わる

  • 製造業……図面どおりに作れば同じものができる前提なので、価格勝負になりやすい業種です。比べる材料になるのは、試作の速さ、無理のある仕様を相談できるかどうか、不良が出たときの対応。製品そのものではなく、製品にたどり着くまでの工程に違いが出ます
  • ネットショップ……画面上では質の違いが伝わりません。写真、使っている場面、購入した人の言葉が比較材料になります。使い終わったあとその商品がどうなるかまで見せている店は多くないので、ここは差がつきやすい部分です
  • サービス業・士業……提供するものが目に見えないので、料金表で比べられます。初回の相談で何が分かるのか、連絡の返しはどれくらい速いのか、担当が代わったときにどう引き継ぐのか。顧客の手間をどれだけ減らせるかが、そのまま違いになります

3つに共通しているのは、違いが出るのは商品そのものではなく、その周辺だという点です。商品は真似されますが、やり方は真似しにくい。差別化が続くかどうかは、たいていこの差で決まります。

価格競争から抜け出した会社の実例

しかし、同じような製品/サービスを扱っている場合は差別化が難しいですよね?

アメリカで結婚式用品会社Original Runner (http://www.originalrunners.com/)を営むジュリー・ゴールドマンも価格競争に苦しんでいました。

そこで彼女は中小企業向けの伝説的コンサルタント、経営者のバイブルと言われる「はじめの一歩を踏み出そう」の著者マイケル・E・ガーバーに、

価格競争に巻き込まれた際の対策を相談することにしました。

以下、二人のインタビューをまとめました。


ガーバー:

あなたのビジネスについて詳しく教えてください。

 

ジュリー:

はい、私たちはおそらく世界で初めて布製のオリジナルウェディングアイルランナーを開発し、販売しました。

それが出来る前は、紙製で見た目もチープなものでした。ビジネスは成功し、有名人の結婚式にも利用されるようになったのです。

一方、私たちのデザインを真似て、紙製の安い商品を売る会社がたくさん出てきたのです。

私たちも彼らもインターネット通販が中心であり、ウェブサイトで見ただけでは、質の違いがわからないのです。布製と紙製では大きな価格差があり、新規顧客をかなり取られています。

 

ガーバー:
他の会社と差別化するためにやっていることはありますか?

 

ジュリー:
ひとつは商品の改善を進め、新商品を創り続けることです。

もちろん、ライバルも追いついてきますが、それに加えて、高いレベルの顧客サービスを提供しています。それによって、競合から一歩先を行ってると思います。


私たちは年間1万件の結婚式に対応しています。他社は数百程度です。ただし、競合は25社ほどあるので、合計すると年間数千の顧客が他社に流れていることになります。難しいのは、私たちの商品は言ってみれば贅沢品なので、そこにお金を使ってもらうようにすることなのです。

 

ガーバー:
他社との価格差はどれくらいあるのですか?

 

ジュリー:
大体数百ドルです。

 

ガーバー:
では、それほど大きな違いとは言えないですね。

一生に一度のイベントで利用する商品だということを考えれば、価格差以外の部分に問題がある可能性がありそうです。

 

ジュリー:
そうかもしれません。顧客には、もしうちの商品を買わなかったとしても、安物は買わないほうがいいですよ、と伝えています。

 

ガーバー:
顧客にはどうアプローチしていますか?

 

ジュリー:
インターネット通販が主体ですので、広告やソーシャルメディア、またときに結婚関連の雑誌に広告を出します。

また、PRも積極的にやっており、セレブリティなどにも商品を提供しています。

それが良いアピールになっています。実際のところ、顧客となるのは、結婚式場やウェディングプランナーです。

 

ガーバー:
直接エンドユーザーに販売しているわけではないのですね。

では第一に、これはいつも卸売りやインターネット販売をしている人たちに伝えていることですが、直接ユーザーと繋がれるチャネルを探してください。

直接見ればわかる違い、直接話せばわかる違いを伝えられていないことが問題なのです。

もう一つ聞きたいのですが、使い終わった商品はどうしていますか?

 

ジュリー:
私たちの商品はオリジナルなので、多くの顧客は、一部を切り取って服や寝具などにしています。家族代々使う人もいます。

 

ガーバー:
わかりました。そこにはいろいろと余地がありますね。

あなたの問題は、商品を販売していくチャネルが不足していること、そしてもうひとつは、商品ラインナップが不足していることでしょう。

 

ジュリー:
そうですね。ウェディングは季節要因が大きいビジネスなので、それを安定したビジネスにしていく必要があると思っています。

そのために、子供用品や家族用の寝具の商品をそろえようとしています。

そこでちょうど質問があるのですが、それらの商品を今のブランドやウェブサイトで販売することは賢い選択肢でしょうか?

いまのビジネスは名前がオリジナルランナーですし、ウェディングアイルランナーの会社として知れ渡っているので、分けたほうが良いのかと思っています。

 

ガーバー:
ブランドを分けるのは良いアイデアかもしれませんが、最も高くつく方法でもあります。

新しい会社を創るようなものです。まず、オリジナルランナーという社名にしたのがひとつ問題でしたね。

 

ジュリー:
そうです。最初は、ここまでの見通しを立てることができなかったのです。社名は知れ渡っていて、変えるのは難しいと思います。

 

ガーバー:
私は変えるのに遅すぎることはないと思います。


それより大事なのは、変えることで、あなたが望むようなことが得られるかどうかです。おそらくそうはならないでしょう。

これはビジネスのポジショニングの話であると同時に、あなたがこれからどういうビジョンを持っているかが大切です。

結婚式以外でもあなたの商品は使われていますか?

 

ジュリー:
はい、ファッションショーなど、エレガントな入場シーンが求められるイベントで使われます。

 

ガーバー:
わかりました。ではあなたにやってほしいのは、まずビジョンを明確にすることです。

そこが曖昧だからネーミングやブランドの問題が発生してくるのです。

次に組織図を創ってください。

あなたの会社はいくつかの事業に分けられると思います。その一つがウェディング事業です。その事業の名前が、いまはオリジナルランナーになっていますね。

いま聞いたように他にも事業がありますね。

それらは別の事業と捉えてください。なぜなら、市場が異なるからです。

そのようにいくつかの事業が合わさって、会社全体が成り立っています。そうなると会社名はオリジナルランナーである必要はありませんね。

 

ジュリー:
なるほど。

 

ガーバー:
商品からビジネスを捉えるのではなく、市場からビジネスを捉えてください。

そうなると、それぞれの事業は、それぞれ異なる市場を持っています。

そして、異なる販売チャネル、異なるアプローチなどが必要になります。

そして、市場により深く入り込むことができ、安物の類似品に惑わされることがなくなります。

 

ジュリー:
まさにそれがやりたいです。

さっき言ったように結婚式が終わった後、子供が生まれて、その子供用の商品や、その後の彼らの人生にとっての大事なイベントごとにかかわっていきたいのです。

既にたくさんの顧客データベースがあり、彼らは家庭を持っていることを知っているわけですから。

それは別の事業としてアプローチが必要だということですね。

 

ガーバー:
そうですね。

そこで考えないといけないのは、あなたは顧客についてどれだけ知っているか?です。

彼らは誰か?何をいしているのか?彼らにとって大事なこととは何か?そして、彼らはあなたの会社のことをどれくらい意識しているのか?

あなたにとっては大切な顧客だと思いますが、彼らからあなたの会社を見たときには、単にランナーを販売している業者に過ぎないですね。

これはコモディティ商品を売っている会社すべてに共通する問題です。


そこから抜け出すには、先ほど言ったように直接顧客と繋がる必要があります。

顧客と直接つながるとは、購買の意思決定者、または影響者と直接話すということです。それは顧客の地元地域に入り込むということです。

あなたはグローバルにビジネスをしているかもしれませんが、顧客はいつもローカルな存在です。

そのローカルな地域に入り込む方法を見つけてください。グローバルにビジネスを展開しながら、どうやってローカルに入り込むか?これは非常に大切な質問です。真剣に答えを考えてみてください。

真剣に考えれば、数十の方法が見つかるはずです。これは競合他社が考え付かない方法でしょう。あなたの競合はすぐに手に入る利益をかすめ取っているだけに過ぎません。

 

ジュリー:
わかりました。

 

ガーバー:
問題は、その利益がもともとはあなたのものだったということです。

あなたは彼らがやっていることの常に上を行く必要があります。より良い商品であることはもちろんですが、そのほかのことでも上回る必要があります。

ジュリー:
ありがとうございます。やってみます。

 


いかがだったでしょうか?

本インタビューのキーポイントは、

・他社と異なる販売チャネルを持つことで差別化につながる
・グローバルな視点を持ちながらも、ローカルで活動する方法を見つける
・同じ商品であっても、対象市場(対象顧客)が異なれば、異なるアプローチが必要

です。

一番大切なことは顧客と繋がりを持つこと、そして顧客を知り尽くすことです。

そうすれば新たな可能性が開け、事業を多角化することも可能になるかもしれません。

ぜひこういった視点から自社の強みを見つけ、開拓してみてください。

価格競争に関するよくある質問

価格競争と非価格競争、どちらを目指すべきですか?

中小企業であれば非価格競争です。価格競争力は原価と量で決まるので、規模の大きい会社が構造的に有利になります。ただし非価格競争は「高く売る」という意味ではありません。同じ価格でも、選ばれる理由が価格以外にあればそれで十分です。

値下げを求められたとき、どう答えればいいですか?

「下げられません」と答える前に、何と比べて高いと感じているのかを聞いてみてください。比較対象が分かると、違いを説明できる場合が少なくありません。それでも価格だけで判断される相手であれば、その顧客は自社の顧客ではないと判断してよいと思います。これは断る勇気の話ではなく、誰を顧客にするのかという設計の話です。

一度下げた価格は、元に戻せますか?

同じ相手に同じ商品で戻すのは簡単ではありません。現実的なのは、内容を変えた別のプランを用意して、そちらへ移ってもらう形です。価格そのものを戻すのではなく、価格に見合う中身を組み直すという順番になります。

価格競争力を高める努力は無駄なのでしょうか?

無駄ではありません。原価を下げる努力は、そのまま利益を厚くします。ただ、下がった分を値下げの原資に使うのか、品質やサービスに回すのかは別の判断です。下げた原価をそのまま価格に反映すると、体力を削り合う競争に自分から参加することになります。

競合の価格は、どこまで気にすべきですか?

知っておく必要はありますが、追いかける必要はありません。競合の価格を毎月調べている会社ほど、価格競争から抜け出せない傾向があります。見ている先が競合になっているからです。見るべきなのは顧客のほうで、競合の価格はその判断材料の一つに過ぎません。

差別化しようにも、うちの商品は他社と変わりません

商品が同じでも、扱い方まで同じ会社はありません。独自性は新しく生み出すものではなく、すでにやっていることの中から見つけて、言葉にして、仕組みに固定するものです。自社が他社より上手にやれることがどこにあるのかを、一度洗い出してみてください。競合のいない領域は、たいてい自社がすでにやっていることの延長線上にあります。

まとめ

価格競争は、商品やサービスの違いが顧客に伝わっていないときに起こります。違いがないのではなく、違いが分からない。だから顧客は価格で判断します。

抜け出す順番は決まっています。まず、いま選ばれている理由を顧客に聞いて確かめる。次に、その理由を顧客が確かめられる形にする。そして、誰がやっても同じように提供できる形に固定する。ここまでやって、はじめて価格以外で選ばれる状態になります。

値引きを我慢することでも、営業担当に発破をかけることでもありません。比べる材料を渡していないという構造のほうを変える作業です。


 

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